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第1章 私は可愛い男の子?
第8話 神からの天罰
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ローベル伯爵姉妹が、学園に通うようになって1ヶ月たった。
何とか弟ラファエルの努力とローベル家の全ての人々の献身的な行いで、学園に通う前におデブを解消したローベル伯爵令嬢たち。
現在のスラリとした体型をして、昔の姉妹を知るものは別人としか思えないであろう。
「お父様、お母様、ラル。
聞いてくださいませ!
私たち、最初の頃は学園でロベール家の者と信じられませんでしたのよ!」
長女エミリーは夕食時に、ちょっと自慢げに家族に報告をしている。
「そうなんです!
あなた達は何処の家の方々って、会う人会う人に聞かれたしたわ!ウフフ」
次女シモーヌも、それは嬉しそうに笑いながら話し出した。
「そうか、だいぶ見た目が変わってしまったからなぁ」
父モーリスは、可愛い娘たちを愛おしげに見ていた。
父モーリスも二人の娘たちが、子豚の様に丸々した姿を思い出す。
今はあの頃の面影も、まったくなくなってしまった容姿。
あの可愛らしさを脳裏に浮かべ、少しだけ残念に思うのだった。
アレはあれで、愛らしいかったな。
妻と娘たちには、死んでも言えん言葉だが…。
「お姉様たちは、あの例の意地悪なご令嬢とはお会いになりましたか?」
男言葉を少しずつ話せるようになってきている、ラファエルが二人に気になるのか質問した。
姉妹は、弟の質問に急に笑いだした。
知らない他の家族は、不思議な顔をしてその様子を眺めていた。
「ラル、あの方ね!
プッ、ぷぷぷ」
「エミリー姉さま!
笑っては、いけませんわよ。
クッ、ぷぷぷ!」
「あらあら、どうしたの2人とも笑ったりして?
そのご令嬢に、何かあったのかしら?!」
母アリシアは、笑う娘たちを見て首を傾げた。
「あ、あのね~。あの方!」
「ふ、太っていたのよー!
ア、アハハハーァ!」
2人が一斉にお腹を抱えて大笑いをし始めてしまって、食堂は笑い声がやまなくなってしまった。
姉たちが落ち着くと、行儀が悪かったので謝ってから説明をしてきた。
姉妹が言うには、なかなかあれから友人が出来なかった彼女。
その令嬢はイライラして気分がスッキリしない、そんな毎日を過ごしていたようであったとの噂。
以前はロベール家の姉妹をバカにして、うっぷんを晴らしていたらしいのだがそれが出来なくなった。
かわりに、お菓子を食べ過ぎて太ったらしい。
「凄いのよ!
私たちより、ずーっと太っていてね。
本当に貴女は、どこの誰でしたわよね。シモーヌ!」
また、あの馬鹿笑いが再び起きそうな話し方。
「そうそう、エミリー姉さま!
初めて学園で会ったとき、お互いに目が点でしたわね。
クスクス、あー!
お腹が痛いし、苦しいですわぁ。笑いすぎて!」
二人はお腹を抱えて、涙目になっている。
話を聞いて余程あの性格悪い令嬢は、体型が変わったのだとラファエルは想像した。
「天罰ですよ。
行いが返ってきたのです。
お姉様たち、神様は本当にいるかもしれませんね」
ラファエルは言って、その話を聞いてスッカとした気持ちをしたのである。
「お前たち、もうその令嬢を笑っては駄目よ。
バカにすると、逆にバチが当たるかもしれないわ。
そのお話は、ここで終わりなさい!」
母は娘たちの気持ちがわかるが、相手を笑う行いを戒める。
「はーい!お母様!
気を付けますわぁ!」
「分かりました!
もう笑いませんわ。
それにもう、友人ではありませんものね!」
見映えが良くなり、姉妹は学園で人気者になったようだ。
でも性格は相変わらずお人好しで好い人なので、友人も増えているようである。
父モーリスは、姉妹のおデブ問題を片付けたのを心から安堵した。
次はさらなる問題、長男ラファエルをお嬢様から坊っちゃんに戻す課題に取り組むのであった。
「ラル!
お前の剣術を教える方が、3日後に来てくれるそうだ!
しっかり、習うんだぞ!!」
ラファエルは父の言葉を静かに聞くと、一言だけ返事をした。
私はこのままで幸せなのに、これではダメなのかしら?!
女の子の姿で誰かに迷惑かける事なんて、別に何もないではなくって?!
あぁ~、とうとう今度は私の番なのね。
心の中でラファエルは、深くため息をつくのであった。
何とか弟ラファエルの努力とローベル家の全ての人々の献身的な行いで、学園に通う前におデブを解消したローベル伯爵令嬢たち。
現在のスラリとした体型をして、昔の姉妹を知るものは別人としか思えないであろう。
「お父様、お母様、ラル。
聞いてくださいませ!
私たち、最初の頃は学園でロベール家の者と信じられませんでしたのよ!」
長女エミリーは夕食時に、ちょっと自慢げに家族に報告をしている。
「そうなんです!
あなた達は何処の家の方々って、会う人会う人に聞かれたしたわ!ウフフ」
次女シモーヌも、それは嬉しそうに笑いながら話し出した。
「そうか、だいぶ見た目が変わってしまったからなぁ」
父モーリスは、可愛い娘たちを愛おしげに見ていた。
父モーリスも二人の娘たちが、子豚の様に丸々した姿を思い出す。
今はあの頃の面影も、まったくなくなってしまった容姿。
あの可愛らしさを脳裏に浮かべ、少しだけ残念に思うのだった。
アレはあれで、愛らしいかったな。
妻と娘たちには、死んでも言えん言葉だが…。
「お姉様たちは、あの例の意地悪なご令嬢とはお会いになりましたか?」
男言葉を少しずつ話せるようになってきている、ラファエルが二人に気になるのか質問した。
姉妹は、弟の質問に急に笑いだした。
知らない他の家族は、不思議な顔をしてその様子を眺めていた。
「ラル、あの方ね!
プッ、ぷぷぷ」
「エミリー姉さま!
笑っては、いけませんわよ。
クッ、ぷぷぷ!」
「あらあら、どうしたの2人とも笑ったりして?
そのご令嬢に、何かあったのかしら?!」
母アリシアは、笑う娘たちを見て首を傾げた。
「あ、あのね~。あの方!」
「ふ、太っていたのよー!
ア、アハハハーァ!」
2人が一斉にお腹を抱えて大笑いをし始めてしまって、食堂は笑い声がやまなくなってしまった。
姉たちが落ち着くと、行儀が悪かったので謝ってから説明をしてきた。
姉妹が言うには、なかなかあれから友人が出来なかった彼女。
その令嬢はイライラして気分がスッキリしない、そんな毎日を過ごしていたようであったとの噂。
以前はロベール家の姉妹をバカにして、うっぷんを晴らしていたらしいのだがそれが出来なくなった。
かわりに、お菓子を食べ過ぎて太ったらしい。
「凄いのよ!
私たちより、ずーっと太っていてね。
本当に貴女は、どこの誰でしたわよね。シモーヌ!」
また、あの馬鹿笑いが再び起きそうな話し方。
「そうそう、エミリー姉さま!
初めて学園で会ったとき、お互いに目が点でしたわね。
クスクス、あー!
お腹が痛いし、苦しいですわぁ。笑いすぎて!」
二人はお腹を抱えて、涙目になっている。
話を聞いて余程あの性格悪い令嬢は、体型が変わったのだとラファエルは想像した。
「天罰ですよ。
行いが返ってきたのです。
お姉様たち、神様は本当にいるかもしれませんね」
ラファエルは言って、その話を聞いてスッカとした気持ちをしたのである。
「お前たち、もうその令嬢を笑っては駄目よ。
バカにすると、逆にバチが当たるかもしれないわ。
そのお話は、ここで終わりなさい!」
母は娘たちの気持ちがわかるが、相手を笑う行いを戒める。
「はーい!お母様!
気を付けますわぁ!」
「分かりました!
もう笑いませんわ。
それにもう、友人ではありませんものね!」
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でも性格は相変わらずお人好しで好い人なので、友人も増えているようである。
父モーリスは、姉妹のおデブ問題を片付けたのを心から安堵した。
次はさらなる問題、長男ラファエルをお嬢様から坊っちゃんに戻す課題に取り組むのであった。
「ラル!
お前の剣術を教える方が、3日後に来てくれるそうだ!
しっかり、習うんだぞ!!」
ラファエルは父の言葉を静かに聞くと、一言だけ返事をした。
私はこのままで幸せなのに、これではダメなのかしら?!
女の子の姿で誰かに迷惑かける事なんて、別に何もないではなくって?!
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