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第4章  光と闇が混ざる時

第8話 思い邪なし

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 中庭は、大勢が飲めや歌えのカオス状態になっていた。
ワインがたるごと持ち込まれている。

あれは豚や羊とかもの丸焼きが、あちらコチラでそのまま解体され焼かれているわ。
なんと、野性味溢やさいみあふれれるうたげになっている。

『これって、スクード公爵邸の美しい庭園には似合わない光景よね。
一応いちおうは孫だし、身内がしている事を謝罪しないといけないわよね?!』

「あの~、祖父母が御迷惑かけて申し訳ありません」

プリムローズは頭を下げてから、ゆっくりと顔をあげて公爵夫妻の顔色をうかがう。

「あらっ、私は楽しいわよ。
それにクラレンス公爵が持ち込んだ。
このワインは、とても美味しいわ!
ねぇ~、オレフ!フフフ」

『あらまぁ、意外にニーナ様は酔ってご機嫌の様子だわ。
公爵も不快になっていないみたいで、上機嫌にワインをゴクゴク飲んでる』

予想外な反応にプリムローズは、驚きホッとしていた。
ちなみにこのワインは、プリムローズの友人のリザの男爵家から買い取ったブドウ畑から作られたワインである。

「お嬢様、私も御挨拶を申し上げたいです」

エリアスがギルから教わった挨拶を、祖父母と偽装ぎそうした兄に向ってしていた。

「おっ、そなたはエリック様に似ておるの。
プリムの暗号あんごうの手紙で知っておったわい!」

「エリック??
お父さんの名前!?
なんだか、私の名前に似ております」

「何じゃ~、父親の名も教えてなかったんか?!
プリムよ、可哀想ではないか?!」

祖父グレゴリーはエリアスの頭をでながら、私に文句をれてきた。

「私も、いま聞かされましたのよ。
そういえば、弟とか王弟とかしか言っておりませんでしたわ。
お母上様はなんと仰るのかしら?」

祖父はまたまた呆れ果てて、エリアスの前に屈んで目を合わせた。

「エリアス様、よく聞くのだ!
お父上はエリック様、お母上はアリス様とおっしゃる。
お二方は自分の名を、貴方様にお与えたのだ。
愛していたんじゃよ。
お忘れになりなさるな。
そして、育ててくれたご両親もな」

「はい、クラレンス公爵様!
両親の名前を、教えて頂き感謝致します。
生まれた命、救われた命を大切に生きていきます」

この会話でスクード公爵は居づらくなり、すまん伝えるのを忘れておったとエリアスに謝った。

「いえ、気にしないで下さい。
私から公爵様に聞かなかったんですから」

『ああー、良い子なの』

プリムローズは、心の中で絶叫した。

「エリアス様は【おもじゃ邪なし】じゃのう。
よくもあの環境で育って、本当に良い子であるな!ホホホ」

祖母も優しく話してから、エリアスの頭をでている。
いきなりプリムローズの祖父母二人に頭を撫でられて、びっくりしたのか意味が分からないようだった。

「心が素直で飾るところがなく、邪悪じゃあくな考えがまったくないことじゃあ!
そんなところは、エリック様によく似ておるぞ」

祖父母はエリアスを気に入り、お祖父様とおばあ様と呼んでねと頼む。

また孫を増やしたわねと、クスクスと嬉しげに笑いだした。 

その様子を少しだけ面白くない表情して、ルシアン王子は離れた場所から眺めていた。

「ブライアン様、気持ち分かるぜ!
お嬢に好かれたかったら、大人にならんといけない。
そんな顔をしてたら、たぶん嫌われるな」

ギルが不敬にも肩をバシッと叩き、誰も見てない瞬間に忠告する。

「そんなのは、分かっておる!
自分が嫉妬しっとしているのもな。
彼女は気持ち良いぐらい、私にあのように無関心だ」

「殿下は、本当にお嬢様がお好きなんですか?
あのお嬢様ですよ?
他の令嬢の方が、ご苦労なく幸せになれると存じます」

さりげなく料理を盛り付けた皿を、メリーは殿下にお渡してこれまた忠言する。

「おーい!メリー、ブライアン様と呼べよ。
今は誰にも聞かれてないから良いけどよ。
ちょっとは気を付けろ」

「あらまぁ、失礼致しました。
ブライアン様、よくよくお嬢様の行動を見てからお決め下さいませ」

メリーはまた料理のある場所に行くと、プリムローズたちの為にせっせと料理を盛り付けるのだった。

「メリーの言うことは、正しいかもな。
貴方様も、そろそろ婚約話が出ているんでは?
お嬢は地位も美しさもあるが、如何いかんせん自覚なしでいつも厄介事やっかいごとを持ち込む。
無難な美人の令嬢にするのが利口だな」

そうお節介せっかいを言うと、ギルも仲間たちのいる場所へ戻る。

「これが、最後の機会になるかもしれない。
国に戻ったら、母上の紹介された方を婚約者の相手にされてしまう。
どうして…、母上と彼女は相性が悪いのか」

ルシアン王子はボソボソ独り言を言いつつ、プリムローズたちの近くに寄りづらそうにしてぽつんと立っていた。

そんなルシアンを遠くから見ていた者がいたのを、誰一人気づく人はいなかった。
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