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第3章  暗躍と毒女たちとの戦い

第20話 3人よれば文殊の知恵

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 無理やり半ば強引に食堂で食事しながら、フレデリカ様のお願いの要件ようけんうかがうことにした。

「お母上に習えば宜しいのでは?!
ピアノ、お上手なんでしょう?」

チューダー侯爵の母上、つまりフレデリカ様のおばあ様が1ヶ月後にお誕生日を迎える。

その誕生日会の集まりで、孫のピアノ演奏を聞きたいと祖母は言い出した。
フレデリカ様は、それでプリムローズにピアノを習いたいとお願いする。

「お願いします!
あの演奏を聴いて、貴女しかいないと思ったのです」

あの百合組の毒女がペコペコして頼むのを、驚きと好奇心こうきしんの目で周囲は見ていた。
他の令嬢たちは、会話の内容が分からないので様子だけで勝手な判断する。

この3人の話し合いは、午後の高等部の話題にされたのは間違いない。

「お母様には…、今さら教えてとは言えません。
私が意地を張って、拒絶していたからですの」

幼い時の生死をさまよってから、両親の過保護と監視かんし生活に不満がまっていた彼女。

「ピアノを教えると母が言った時に、絶対に弾かないと宣言してしまいました。
それ以来、授業しかピアノを習ってません」

貴族のご令嬢が弾けないとは、それも侯爵令嬢が!
驚きの事実に2人の令嬢は、顔を見つめて同じ事を考えていた。

「なら、取り巻きに頼めばいいでしょう?
私より真剣にご教授きょうじゅしてくれましてよ」

エリアスは、危険にさらされている。
例の泉も、まだ探していない。
しなくてはいけない事柄が、有りすぎて忙しいのよ。

「あの方々は、私が出来なくても何も言わないのです。
下手でも弾けてるって答える!
それじゃ、ずっと上達しないでしょう?」

言いづらいけど、そう言いますよ。
そりゃあ、取り巻きですもの。
ましてや身分が上だし、れ物にさわる扱いが目に浮かぶ。

自分の体が3つ位欲しい、そうだ。
もう一人、代わりになりそうな方が側にこうしているではないか。

プリムローズは、ぼけーっとしている隣の令嬢を見て話す。

「ライラ様、貴女様がフレデリカ様を教えて下さい。
将来の子に、教える気持ちで接すれば良いのですよ」

プリムローズに話を持ちかけられ、ライラは動揺して言い返すのが遅れた。

「そうでしたわ!
貴女もピアノを弾けましたわよね。
ヘーディン侯爵令嬢、お願い致します。
今日から、さっそく宜しくお願い出来ますか!?」
 
「待って、お待ちになって!
【三人寄れば文殊もんじゅの知恵】って言葉がございますわ。
ここは3人で、違う視点で問題を解決していきましょう」
    
『ライラ様は、変にお人がいいですね。
だが何気に、私も仲間に入れたわ』

プリムローズは、小さくため息をくと覚悟を決めた。

「有名でお祝いにピッタリな、メロディが繰り返される曲は何がありますか?
二人でお選びなさい」

そう命じると、2人の令嬢たちは明るい表情になる。
周りからすると、どちらが年上なのかと思う態度。

「チューダー侯爵令嬢、へーディン侯爵令嬢。
今日から練習するから、スクード公爵の屋敷に寄ると使いを出しなさいな。
時間が足りないくらいよ」

私も友達を、連れて帰ると連絡しないとね。
ピーちゃん、放し飼いにしてたかしら?!
指笛で呼んでみよう。
こういうときは便利よね。

 
    飼い主の彼女は忘れていたが、忠義心の厚いたかはエリアスを見張っていた。
指笛を吹くと、遠くから鳥が近づいてくるではないか。

「プ、プリムローズ様!
何かが、此方に向かってまいりますわぁー!!」

「ライラ様、落ち着いてね。
あれは、私が飼っている鷹よ」

ライラは鷹を飼う令嬢って、普通はありえないと思う。
小鳥とかを、鳥カゴに入れて飼うんではない。

「ピーちゃん、近くにいたのね。
この手紙を、メリーに渡してくれる?!
お願いしますね」

足に細長い紙を、大人しく巻かれている。
白い鷹は目つき鋭く、近くいたライラたちをにらんでいるように感じた。

「ピーちゃん、彼女は友人ですよ。
前に髪をむしった。
あの令嬢とは違うからね」

横で鷹に注意している内容を聞くと、二人は顔色を悪くしていた。

「ピー!ピッピー!」

「ピーちゃんは賢いね!
ママは、出来の良い子で助かるわ」

そうプリムローズが話すと、白い鷹は嬉しそうに鳴いて窓から飛び立つ。

無言でそのやり取りを一部始終見て、エテルネルではペットとして鷹を飼っていると勘違いする。
プリムローズの友人に認められただけあり、彼女も変わっているのかボケた考えの持ち主のようだ。

 スクード公爵の屋敷に2人を招き連れ帰る途中、楽譜がくふを買いに楽器等を売っている店に出向いた。

「どんな曲に決まりましたか?
それと鍵盤けんばんが描かれている紙も、何枚か購入しましょう」

鍵盤の紙には、2人は納得できない表情する。

「フレデリカ様は、お家でピアノを弾けないんでしょう?
紙の上で、おさらいするしかないわ。
ピアノの練習出来るのは、学園か私たちの屋敷しかないって訳よ」

2人は納得して頷くが、1ヶ月で果たして弾けるようになるか心配になるのだった。
それから3人は、毎日練習するために行動一緒にした。

気づけばフレデリカは取り巻きたちよりも、彼女たちと会う方が楽しくなっていた。
ぎゃあぎゃあ言いながらの練習に、自然に友人関係を築いていく3人。

ピアノを弾く日まで、残りが1週間になっている。
ちゃんとフレデリカが弾きこなせるか、ギリギリの進み具合で不安だった。



    
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