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第3章 暗躍と毒女たちとの戦い
第10話 敵を欺くにはまず味方から
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セント・ジョンズ学園の薔薇組に入ると、ライラ様が健気にも登校していた。
「プリムローズ様、ご機嫌よう。
ご覧になって下さい。
助言して頂いた通りに、切られた髪で付け毛を作りました。
伸びるまで、これで我慢します」
プリムローズは切られた髪を拾い集め、ライラに自毛で付け毛を作ればと渡したのだった。
「ライラ様、とっても似合っていますわ!
髪はすぐに伸びますわ。
それよりも、お心が心配です。
おそろしい目に遭われたんですもの」
ライラの髪を切られた時の悲痛な悲鳴が、まだプリムローズの耳にこびりついている。
「思い出すと…、身体が震えてきます。
ですが、両親やオスモ様が慰めて頂き元気が出てきました。
スクード公爵様からも、お見舞いのお手紙やお品を頂きましたのよ」
彼女の笑顔を見られて、少しだけ一安心するのだった。
ヴェント侯爵令嬢のサンドラが今後どうなるかは、まだ結論が出ていない。
噂では、父である侯爵が学園に復学を懇願しているみたいだ。
なんと、図々しい方々なの。
あの方々を、思い出すだけでムカムカしてくる。
この事件は衝撃的だったみたいで、長い間生徒たちに噂をされていた。
それから10日後に、王様と王妃様のご拝謁が正式決定した。
メリーは、プリムローズの王宮で王族方に謁見するドレスを選んでいた。
禁色を調べると、翡翠の様な色だそうだ。
「落ち着いた薄いローズピンクにしましょう!
お嬢様の美しい紫水晶の瞳に、絶対にお似合いになります」
プリムローズの髪に飾るピンクの薔薇を貰えるか、庭師を探していた時に話し声が聞こえてくる。
「お前、明日やるのかよ。
旦那様たちが、王宮に出掛ける時に狙うのか?!」
「しょうがないだろ!
やらないと、人質になっている家族が危ないんだ」
声をする方へ行くか、悩むが止めておいた。
もし、見つかったらと思ったからだ。
それより、先にお嬢様に相談した方がいいですわ。
そっと気づかれないよう、その場を静かに離れる。
残念ですがピンク薔薇は、今回は諦めるしか仕方ないみたい。
『あっ、そうですわ!
あのルビーの石のついた、髪飾りにしよう。
やっと、ピーちゃんの宝石が日の目を見るのね』
なんとも切り替えの早い、呑気な彼女であった。
主人に仕えていると、性格も似てくるのであろうか。
プリムローズが学園から帰宅すると、メリーから庭での密談話を聞かされた。
「まだ、そんな人が屋敷に居たの?!
それも、2人も!」
「お嬢様、2人とは限りません。
しかし、物騒ですわ…」
「スクード公爵は、ワザと傍観するつもりかしら。
どうなっているのかを、全然私に教えてくれないのよ。
信用がないのかなぁ?」
「心配させたくないのでは?
お嬢様、公爵様にこの件をお知らせしますか」
プリムローズは、少し考える様に窓の外を見ていた。
「お嬢様、ギル師匠に伝えますか?」
メリーは、まだギルにも教えてないようだった。
彼女は、あくまでもプリムローズが1番である。
「メリー、誰にも知らせないでくれない。
私が独りで始末つける」
黙って一礼すると、メリーは部屋を出ていった。
「【敵を欺くにはまず味方から】ね。
先人の教えは的確で素晴らしい、本当にいいこと言う」
ギルは、私を裏切らない。
分かっているが、態度で敵に知られたら好機が無くなりやすい。
黙っていて後から知ると、ギルは怒るかなぁ?
まぁ、大丈夫でしょう!
敵は、2人か…。
家族が囚われていたら、本気で襲ってくるわよね。
久し振りに、真剣に剣を振るのか。
今から、少し明日のために素振りでもしましょうか。
こちらも、呑気な主人であった。
ヘイズ王にお会いするハレの日なのに、準備が出来たドレス姿を見て心配そうな目でプリムローズを眺める。
「武器を仕込み過ぎではありませんか?
もし、ドレスが切れたり汚れたりしたらと気が気でありません」
プリムローズは心配するところは、そこかいと突っ込みそうになる。
「メリー、敵は2名とは限らないでしょう。
目を眩ませる道具と、ぶっ叩く剣や投げつける武器は必須よ!」
「お嬢様、私も助太刀します。
女性なら油断して、驚き隙を見せます。
この国の女性はどうやら軟弱に育てられている様ですし、私たちなら殺れますわ!」
二人は、目を合わすと不気味に微笑む。
「よし!じゃあ、メリー!
気合い入れて行きますわよ!
どうせギルとスクード公爵も、襲ってきたらしゃしゃり出るに違いない。
その前に、出来たらキレイに片付けるからね」
仕込んだ武器の重さを感じない、優雅な歩行で玄関ホールを歩く。
公爵夫妻が待っているのを確認すると、周りの気配に注意を払うのだった。
襲撃場所は、きっと馬車の前だわ。
メリーに目で合図して、彼女も察知したのか目を細める。
襲撃まで、後10歩。
プリムローズとメリー、二人の女性が待つ戦いが目の前に待っていた。
「プリムローズ様、ご機嫌よう。
ご覧になって下さい。
助言して頂いた通りに、切られた髪で付け毛を作りました。
伸びるまで、これで我慢します」
プリムローズは切られた髪を拾い集め、ライラに自毛で付け毛を作ればと渡したのだった。
「ライラ様、とっても似合っていますわ!
髪はすぐに伸びますわ。
それよりも、お心が心配です。
おそろしい目に遭われたんですもの」
ライラの髪を切られた時の悲痛な悲鳴が、まだプリムローズの耳にこびりついている。
「思い出すと…、身体が震えてきます。
ですが、両親やオスモ様が慰めて頂き元気が出てきました。
スクード公爵様からも、お見舞いのお手紙やお品を頂きましたのよ」
彼女の笑顔を見られて、少しだけ一安心するのだった。
ヴェント侯爵令嬢のサンドラが今後どうなるかは、まだ結論が出ていない。
噂では、父である侯爵が学園に復学を懇願しているみたいだ。
なんと、図々しい方々なの。
あの方々を、思い出すだけでムカムカしてくる。
この事件は衝撃的だったみたいで、長い間生徒たちに噂をされていた。
それから10日後に、王様と王妃様のご拝謁が正式決定した。
メリーは、プリムローズの王宮で王族方に謁見するドレスを選んでいた。
禁色を調べると、翡翠の様な色だそうだ。
「落ち着いた薄いローズピンクにしましょう!
お嬢様の美しい紫水晶の瞳に、絶対にお似合いになります」
プリムローズの髪に飾るピンクの薔薇を貰えるか、庭師を探していた時に話し声が聞こえてくる。
「お前、明日やるのかよ。
旦那様たちが、王宮に出掛ける時に狙うのか?!」
「しょうがないだろ!
やらないと、人質になっている家族が危ないんだ」
声をする方へ行くか、悩むが止めておいた。
もし、見つかったらと思ったからだ。
それより、先にお嬢様に相談した方がいいですわ。
そっと気づかれないよう、その場を静かに離れる。
残念ですがピンク薔薇は、今回は諦めるしか仕方ないみたい。
『あっ、そうですわ!
あのルビーの石のついた、髪飾りにしよう。
やっと、ピーちゃんの宝石が日の目を見るのね』
なんとも切り替えの早い、呑気な彼女であった。
主人に仕えていると、性格も似てくるのであろうか。
プリムローズが学園から帰宅すると、メリーから庭での密談話を聞かされた。
「まだ、そんな人が屋敷に居たの?!
それも、2人も!」
「お嬢様、2人とは限りません。
しかし、物騒ですわ…」
「スクード公爵は、ワザと傍観するつもりかしら。
どうなっているのかを、全然私に教えてくれないのよ。
信用がないのかなぁ?」
「心配させたくないのでは?
お嬢様、公爵様にこの件をお知らせしますか」
プリムローズは、少し考える様に窓の外を見ていた。
「お嬢様、ギル師匠に伝えますか?」
メリーは、まだギルにも教えてないようだった。
彼女は、あくまでもプリムローズが1番である。
「メリー、誰にも知らせないでくれない。
私が独りで始末つける」
黙って一礼すると、メリーは部屋を出ていった。
「【敵を欺くにはまず味方から】ね。
先人の教えは的確で素晴らしい、本当にいいこと言う」
ギルは、私を裏切らない。
分かっているが、態度で敵に知られたら好機が無くなりやすい。
黙っていて後から知ると、ギルは怒るかなぁ?
まぁ、大丈夫でしょう!
敵は、2人か…。
家族が囚われていたら、本気で襲ってくるわよね。
久し振りに、真剣に剣を振るのか。
今から、少し明日のために素振りでもしましょうか。
こちらも、呑気な主人であった。
ヘイズ王にお会いするハレの日なのに、準備が出来たドレス姿を見て心配そうな目でプリムローズを眺める。
「武器を仕込み過ぎではありませんか?
もし、ドレスが切れたり汚れたりしたらと気が気でありません」
プリムローズは心配するところは、そこかいと突っ込みそうになる。
「メリー、敵は2名とは限らないでしょう。
目を眩ませる道具と、ぶっ叩く剣や投げつける武器は必須よ!」
「お嬢様、私も助太刀します。
女性なら油断して、驚き隙を見せます。
この国の女性はどうやら軟弱に育てられている様ですし、私たちなら殺れますわ!」
二人は、目を合わすと不気味に微笑む。
「よし!じゃあ、メリー!
気合い入れて行きますわよ!
どうせギルとスクード公爵も、襲ってきたらしゃしゃり出るに違いない。
その前に、出来たらキレイに片付けるからね」
仕込んだ武器の重さを感じない、優雅な歩行で玄関ホールを歩く。
公爵夫妻が待っているのを確認すると、周りの気配に注意を払うのだった。
襲撃場所は、きっと馬車の前だわ。
メリーに目で合図して、彼女も察知したのか目を細める。
襲撃まで、後10歩。
プリムローズとメリー、二人の女性が待つ戦いが目の前に待っていた。
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