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第2章 新天地にて
第11話 壁に耳あり障子に目あり
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公爵家の馬車を借りて初めて王立図書館まで行くことになったプリムローズたちは、この日を楽しみにしていた。
ギルは護衛として、メリーは私の付き添いをするために連れている。
エリアスにたくさんの本を読ませてあげるのと、大勢の人たちに慣らす目的を兼ねていた。
社会復帰を目指しての外出だ。
そして彼女らは、本日目的の地に降り立つ。
「うわぁ~、大きい!
この建物の中に、本がたくさんあるのですね?!」
エリアスは、王都のような大きな街や大勢の人たちをキョロキョロ見て驚いていた。
『服を買いに行った時、それ以来の外出ですもの。
興奮するなと、言っても無理よね』
プリムローズは、エリアスがはしゃぐ様子を眺める。
3人はエリアスの微笑ましい様子に、図書館の外で思い切り笑い声を出した。
中に入ったら笑い声はもってのほか、図書館は私語厳禁。
学生さんや大人の人ばかりで、私たちぐらいの子供はいない見当たらない。
そのせいか、目立つようで邪魔者扱いな目付きをされた。
ギルとエリアスは、子供用の児童文学がある場所へ。
メリーは、真っ先に料理や恋愛文学の場所だろう。
私は地図を探しに行く。
あまり人気が無い、隅にあるだろうと歩きだす。
3時間後に、入口に集合の予定。
ここで各自、バラバラになった。
早く探さないとこっそり書き写したいし、プリムローズは筆記具の入った鞄を肩にかけて急いだ。
ここから螺旋階段を登って、1番奥の部屋ね。
こんな所へ、まず普通の人は来ないわね。
奥の部屋に向かうと、そこから人の声がする。
奥から2番目の部屋から話し声がするが、無視して目的の部屋に入った。
しかし、彼らは誰も居ないと思っているのか。
話し声が大きく丸聞こえで、プリムローズは注意するか悩む。
「もう、10年になる。
王弟の息子は、この世にいないんじゃないか?!」
「だが、亡くなった確証がない。
それに王に、世継ぎが生まれてみろ。
我々の長年の計画が駄目になる」
プリムローズは、話の内容に耳を疑い息を呑んだ。
もし、ここで彼らに見つかったら…。
この場からいなくなるまで、動いてはいけない!!
気づかれては危険だわ!
「ははは、大丈夫だ!
噂で王は、子が出来にくいのではと囁かれている。
それに…、懐妊しないのは。
誰かに、薬でも盛られてるんではともな」
「薬だと?それは間違いないのか。
お前が…、まさか裏で手を回したのか?!
まだ一人も懐妊はされてないが、もし世継ぎが生まれたらどうする?!」
「なにを決めつけているのだ!
私ではないぞ…、その時はその時だ!
王家には、根深く恨んでいる者がたくさんいる。
あの方のほうが玉座に相応しいと、貴族たちは影で言われてるしのう」
身を忍ばせて、思わず両手で口を覆った。
『まさか!
この国は政権争いをしている。
それも、かなり悪質な。
スクード公爵様は、この暗躍に気づかれているの』
他国に目がいっていて、肝心の足元がグラグラに揺らいるのだろうか。
「そろそろ、出たほうが良い。
しかし、王は無能だが…。
スクード…、アイツは邪魔だな」
「ふん!世継ぎが居なければ、我らの選んだ者が王になる。
それまでの辛抱だ。
そうだろう、ヴェント侯爵」
「よせ!誰もいないからといって、気安く名を呼ぶな。
誰かに知られてはまずい!」
「ハハハ、大丈夫だ。
誰でも入れるが、この場は人気がない。
わざわざ、ここを選んだのだ」
プリムローズは、その名を聞いて冷や汗が出た。
どこかで最近聞いた声だと思ったが、まさか西の将軍とは!
足音と会話を聞く限り、2人に間違いない。
もう一人は誰なの!
この話をスクード公爵に話すべきか、それに彼は私の話をはたして信じてくれるのだろうか。
私は他国のよそ者で、まだヘイズ来たばかり。
信用されていないに等しい。
王妃様たちが、飲んでいるモノやお茶の茶葉等を調べなくてはいけない。
今からでも、まだ間に合う可能性があるかも。
体内に残った薬が抜ければ、子供を授かる希望もある。
プリムローズは、暫く胸の動機が収まるまで静かにしていた。
それから、まだ震えが止まらない手で地図を書き写した。
何かをしていないと、恐怖に押しつぶされそうな気分だ。
およそ3時間が経過し、プリムローズは入口に向かうと3人が待っていた。
「お嬢様、ヘイズの図書館はエテルネルとほぼ変わりありませんね。
料理は魚のレシピが、かなりありましたわ」
メリーは、どうやら料理関係の本を読んでいたようね。
「俺たちは、海賊の本を読んだんだぜ。
なぁ~、エリアス~!」
ギルがどっちが子供なのかと、思えるぐらい楽しそうに話してきた。
「はい、楽しかったです!
最後は、海賊の頭と国王様が友情を芽生えるんですよ」
エリアスも、両手を広げて本の内容を説明する。
物騒な話を聞いてしまったが、エリアスの笑顔で救われたわ。
【壁に耳あり障子に目あり】か。
勝手に話して、無理やりに聞かされたけどね。
まさか、あんな人気のない場所に私がいるとは想像しないわよね。
あの場所で、また密会する可能性はある。
とても、黙っていられない。
帰宅したら、スクード公爵様に話してみよう。
だって、ヘイズ国王の血筋の存続が掛かっているのですから…。
帰りの辻馬車の中で寝ているふりをして、頭の中でどう公爵に告げるかを考えあぐねていた。
ギルは護衛として、メリーは私の付き添いをするために連れている。
エリアスにたくさんの本を読ませてあげるのと、大勢の人たちに慣らす目的を兼ねていた。
社会復帰を目指しての外出だ。
そして彼女らは、本日目的の地に降り立つ。
「うわぁ~、大きい!
この建物の中に、本がたくさんあるのですね?!」
エリアスは、王都のような大きな街や大勢の人たちをキョロキョロ見て驚いていた。
『服を買いに行った時、それ以来の外出ですもの。
興奮するなと、言っても無理よね』
プリムローズは、エリアスがはしゃぐ様子を眺める。
3人はエリアスの微笑ましい様子に、図書館の外で思い切り笑い声を出した。
中に入ったら笑い声はもってのほか、図書館は私語厳禁。
学生さんや大人の人ばかりで、私たちぐらいの子供はいない見当たらない。
そのせいか、目立つようで邪魔者扱いな目付きをされた。
ギルとエリアスは、子供用の児童文学がある場所へ。
メリーは、真っ先に料理や恋愛文学の場所だろう。
私は地図を探しに行く。
あまり人気が無い、隅にあるだろうと歩きだす。
3時間後に、入口に集合の予定。
ここで各自、バラバラになった。
早く探さないとこっそり書き写したいし、プリムローズは筆記具の入った鞄を肩にかけて急いだ。
ここから螺旋階段を登って、1番奥の部屋ね。
こんな所へ、まず普通の人は来ないわね。
奥の部屋に向かうと、そこから人の声がする。
奥から2番目の部屋から話し声がするが、無視して目的の部屋に入った。
しかし、彼らは誰も居ないと思っているのか。
話し声が大きく丸聞こえで、プリムローズは注意するか悩む。
「もう、10年になる。
王弟の息子は、この世にいないんじゃないか?!」
「だが、亡くなった確証がない。
それに王に、世継ぎが生まれてみろ。
我々の長年の計画が駄目になる」
プリムローズは、話の内容に耳を疑い息を呑んだ。
もし、ここで彼らに見つかったら…。
この場からいなくなるまで、動いてはいけない!!
気づかれては危険だわ!
「ははは、大丈夫だ!
噂で王は、子が出来にくいのではと囁かれている。
それに…、懐妊しないのは。
誰かに、薬でも盛られてるんではともな」
「薬だと?それは間違いないのか。
お前が…、まさか裏で手を回したのか?!
まだ一人も懐妊はされてないが、もし世継ぎが生まれたらどうする?!」
「なにを決めつけているのだ!
私ではないぞ…、その時はその時だ!
王家には、根深く恨んでいる者がたくさんいる。
あの方のほうが玉座に相応しいと、貴族たちは影で言われてるしのう」
身を忍ばせて、思わず両手で口を覆った。
『まさか!
この国は政権争いをしている。
それも、かなり悪質な。
スクード公爵様は、この暗躍に気づかれているの』
他国に目がいっていて、肝心の足元がグラグラに揺らいるのだろうか。
「そろそろ、出たほうが良い。
しかし、王は無能だが…。
スクード…、アイツは邪魔だな」
「ふん!世継ぎが居なければ、我らの選んだ者が王になる。
それまでの辛抱だ。
そうだろう、ヴェント侯爵」
「よせ!誰もいないからといって、気安く名を呼ぶな。
誰かに知られてはまずい!」
「ハハハ、大丈夫だ。
誰でも入れるが、この場は人気がない。
わざわざ、ここを選んだのだ」
プリムローズは、その名を聞いて冷や汗が出た。
どこかで最近聞いた声だと思ったが、まさか西の将軍とは!
足音と会話を聞く限り、2人に間違いない。
もう一人は誰なの!
この話をスクード公爵に話すべきか、それに彼は私の話をはたして信じてくれるのだろうか。
私は他国のよそ者で、まだヘイズ来たばかり。
信用されていないに等しい。
王妃様たちが、飲んでいるモノやお茶の茶葉等を調べなくてはいけない。
今からでも、まだ間に合う可能性があるかも。
体内に残った薬が抜ければ、子供を授かる希望もある。
プリムローズは、暫く胸の動機が収まるまで静かにしていた。
それから、まだ震えが止まらない手で地図を書き写した。
何かをしていないと、恐怖に押しつぶされそうな気分だ。
およそ3時間が経過し、プリムローズは入口に向かうと3人が待っていた。
「お嬢様、ヘイズの図書館はエテルネルとほぼ変わりありませんね。
料理は魚のレシピが、かなりありましたわ」
メリーは、どうやら料理関係の本を読んでいたようね。
「俺たちは、海賊の本を読んだんだぜ。
なぁ~、エリアス~!」
ギルがどっちが子供なのかと、思えるぐらい楽しそうに話してきた。
「はい、楽しかったです!
最後は、海賊の頭と国王様が友情を芽生えるんですよ」
エリアスも、両手を広げて本の内容を説明する。
物騒な話を聞いてしまったが、エリアスの笑顔で救われたわ。
【壁に耳あり障子に目あり】か。
勝手に話して、無理やりに聞かされたけどね。
まさか、あんな人気のない場所に私がいるとは想像しないわよね。
あの場所で、また密会する可能性はある。
とても、黙っていられない。
帰宅したら、スクード公爵様に話してみよう。
だって、ヘイズ国王の血筋の存続が掛かっているのですから…。
帰りの辻馬車の中で寝ているふりをして、頭の中でどう公爵に告げるかを考えあぐねていた。
応援ありがとうございます!
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