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第2章 新天地にて
第9話 生みの親より育ての親
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エテルネルから、およそ1ヶ月間の旅になってしまった。
海を渡る旅は、予想以上に日数がかかるのに驚く。
アルゴラの波止場で偶然出会ったタルモ殿とは、馬車を降りた時にお別れをした。
後日、改めて挨拶に赴きたいと言ってくれる。
不思議と何故だろうか、すぐに再開するそんな予感がした。
メリーたちは、タルモ殿とは先に別れをしたのか。
公爵家専用の使用人たちの住む屋敷に、皆で向かったようで居なかった。
私は独り、公爵様たちと屋敷の中へー。
到着すると何処の貴族も同じか、大勢の使用人が主人の帰宅を待ち構えていた。
「うむっ、皆も元気そうで安心した!
久しく留守にしていた。
無事に戻ってきたぞ!」
気さくな性格なスクード公爵が、整列して控える者たちに声をおかけしている。
代表して一歩前に出てくる者は、これぞ執事長の顔立ちと姿勢して頭を下げた。
「旦那様、奥様。
従事する者一同、無事のお戻りを嬉しく思います。
お客様、ようこそ当屋敷へー」
執事長が挨拶すると、他の使用人たちも続けて頭を下げ続けるのである。
プリムローズはその習わしを見て、どこの国も一緒かとガッカリする。
いったい、彼女は何を期待していたのか。
「おぉ~、ヤンネか。
こちらが、エテルネル国から参ったお方だ」
ヤンネは切れ者の雰囲気がして、実家の執事長トーマスとは真逆に見えた。
『あら、トーマスも切れ者よ』
見た目が、氷と春の日差しの様に違う。
まぁね、初めての人にたいし普通こんな感じよね。
絶対に、警戒心を持つのが当たり前。
プリムローズにしては寛大な心であった。
私も本当は、メリーたちとそちらで暮らしたい!
だって1人では寂しいし、退屈ですもの。
公爵夫妻と夕食を共にしていたら、明日はご令息と伯爵家に嫁いだ方が此方にご挨拶しに来ると仰った。
お二人共、とても嬉しそうですわ。
きっと、お二人が家を出られてお寂しいのね。
故郷の祖父母と兄の顔が、頭に浮かんだ。
お元気だと宜しいのだけど、この食事の後は故郷に手紙でも書きましょう。
何事もなく無事に、ヘイズの王都ヴァロに着いたことをお知らせしたい。
メリーの代わりに世話するメイドたちが、新しい部屋に現れた。
私の連れてきた方々は、ゆっくり休んでいるのを報告してくれる。
明日はメリーたちに会いに行こうと思いつつ、湯船に浸かり湯浴みをしようと考えていた。
バラの花びらが浮かぶ湯から、ほのかな香りが漂ってくる。
あまりにも気持ちが良くって、寝ちゃいそう。
メイドたちに体を拭かれて支度されて、ベッドに入ったら気づかないうちに寝てしまったわ。
よっぽど疲れていたのだと、朝起きて驚くプリムローズである。
朝、メリーがエテルネルのクラレンス家で着ていたメイド服でプリムローズの部屋を訪れた。
「お嬢様、おはようございます。
お元気そうで、メリーは安心しましたわ」
「メリー、皆は大丈夫?!
どんな部屋にいるの?」
「ご安心下さいませ。
メイドや使用人たちの住む屋敷に居ます。
エリアスとギルは一緒で、とても日当たりの良い素敵なお部屋ですよ」
プリムローズは、メリーに支度をされながら近況報告を受けた。
「今日は午後からお茶を頂きつつ、公爵様の身内の方々にお会いするのよ」
「えぇ、そのようですね。
こちらでも、話題になっております」
プリムローズは、養女になった伯爵夫人が気になる。
自分は、身内の祖父母から育てられた。
本当の両親の愛情を知らずに育った。
赤の他人では、私より色々感じる事がお有りのはず。
「【生みの親より育ての親】、よく言った言葉よね。
私も…。似た感じかしら?」
プリムローズは、また無意識に言葉が出ていた。
「公爵様の嫁がれたお嬢様のことですか?!」
メリーが髪を梳かしながら、プリムローズに聞いてくる。
「メリー!貴女、もう知っているの?!」
驚きの顔を鏡の中ですると、笑い顔を見せ続けた。
「何も聞かずとも、耳をすませば話は聞こえますわ。
最初はぎこちなかったそうですよ。
今では、本当の親子以上に仲がよいとか」
「そう、良かったわ。
ご両親がこの世にいないのは残念ですけど…。
私は生きて分かり合えただけ、きっと彼女より幸せなのね」
メリーは何も言わずに、鏡の中で頷くと彼女にまた話しかける。
「楽しいお茶会になるといいわ。
これからは、何度もお会いする方々ですものね」
公爵家のご嫡男と嫁がれた伯爵夫人を、どんな方だろうと考えてるとふと思い出す。
荒れ地の家族たちは、健康に過ごしているかしら…。
海の向こうのエテルネル、心は祖国の人たちに思いを馳せていた。
海を渡る旅は、予想以上に日数がかかるのに驚く。
アルゴラの波止場で偶然出会ったタルモ殿とは、馬車を降りた時にお別れをした。
後日、改めて挨拶に赴きたいと言ってくれる。
不思議と何故だろうか、すぐに再開するそんな予感がした。
メリーたちは、タルモ殿とは先に別れをしたのか。
公爵家専用の使用人たちの住む屋敷に、皆で向かったようで居なかった。
私は独り、公爵様たちと屋敷の中へー。
到着すると何処の貴族も同じか、大勢の使用人が主人の帰宅を待ち構えていた。
「うむっ、皆も元気そうで安心した!
久しく留守にしていた。
無事に戻ってきたぞ!」
気さくな性格なスクード公爵が、整列して控える者たちに声をおかけしている。
代表して一歩前に出てくる者は、これぞ執事長の顔立ちと姿勢して頭を下げた。
「旦那様、奥様。
従事する者一同、無事のお戻りを嬉しく思います。
お客様、ようこそ当屋敷へー」
執事長が挨拶すると、他の使用人たちも続けて頭を下げ続けるのである。
プリムローズはその習わしを見て、どこの国も一緒かとガッカリする。
いったい、彼女は何を期待していたのか。
「おぉ~、ヤンネか。
こちらが、エテルネル国から参ったお方だ」
ヤンネは切れ者の雰囲気がして、実家の執事長トーマスとは真逆に見えた。
『あら、トーマスも切れ者よ』
見た目が、氷と春の日差しの様に違う。
まぁね、初めての人にたいし普通こんな感じよね。
絶対に、警戒心を持つのが当たり前。
プリムローズにしては寛大な心であった。
私も本当は、メリーたちとそちらで暮らしたい!
だって1人では寂しいし、退屈ですもの。
公爵夫妻と夕食を共にしていたら、明日はご令息と伯爵家に嫁いだ方が此方にご挨拶しに来ると仰った。
お二人共、とても嬉しそうですわ。
きっと、お二人が家を出られてお寂しいのね。
故郷の祖父母と兄の顔が、頭に浮かんだ。
お元気だと宜しいのだけど、この食事の後は故郷に手紙でも書きましょう。
何事もなく無事に、ヘイズの王都ヴァロに着いたことをお知らせしたい。
メリーの代わりに世話するメイドたちが、新しい部屋に現れた。
私の連れてきた方々は、ゆっくり休んでいるのを報告してくれる。
明日はメリーたちに会いに行こうと思いつつ、湯船に浸かり湯浴みをしようと考えていた。
バラの花びらが浮かぶ湯から、ほのかな香りが漂ってくる。
あまりにも気持ちが良くって、寝ちゃいそう。
メイドたちに体を拭かれて支度されて、ベッドに入ったら気づかないうちに寝てしまったわ。
よっぽど疲れていたのだと、朝起きて驚くプリムローズである。
朝、メリーがエテルネルのクラレンス家で着ていたメイド服でプリムローズの部屋を訪れた。
「お嬢様、おはようございます。
お元気そうで、メリーは安心しましたわ」
「メリー、皆は大丈夫?!
どんな部屋にいるの?」
「ご安心下さいませ。
メイドや使用人たちの住む屋敷に居ます。
エリアスとギルは一緒で、とても日当たりの良い素敵なお部屋ですよ」
プリムローズは、メリーに支度をされながら近況報告を受けた。
「今日は午後からお茶を頂きつつ、公爵様の身内の方々にお会いするのよ」
「えぇ、そのようですね。
こちらでも、話題になっております」
プリムローズは、養女になった伯爵夫人が気になる。
自分は、身内の祖父母から育てられた。
本当の両親の愛情を知らずに育った。
赤の他人では、私より色々感じる事がお有りのはず。
「【生みの親より育ての親】、よく言った言葉よね。
私も…。似た感じかしら?」
プリムローズは、また無意識に言葉が出ていた。
「公爵様の嫁がれたお嬢様のことですか?!」
メリーが髪を梳かしながら、プリムローズに聞いてくる。
「メリー!貴女、もう知っているの?!」
驚きの顔を鏡の中ですると、笑い顔を見せ続けた。
「何も聞かずとも、耳をすませば話は聞こえますわ。
最初はぎこちなかったそうですよ。
今では、本当の親子以上に仲がよいとか」
「そう、良かったわ。
ご両親がこの世にいないのは残念ですけど…。
私は生きて分かり合えただけ、きっと彼女より幸せなのね」
メリーは何も言わずに、鏡の中で頷くと彼女にまた話しかける。
「楽しいお茶会になるといいわ。
これからは、何度もお会いする方々ですものね」
公爵家のご嫡男と嫁がれた伯爵夫人を、どんな方だろうと考えてるとふと思い出す。
荒れ地の家族たちは、健康に過ごしているかしら…。
海の向こうのエテルネル、心は祖国の人たちに思いを馳せていた。
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