51 / 75
第4章 未来への道
第6話 王妃キャロラインの陰謀
しおりを挟む
研修制度は1週間後に始まり、約2週間行われる。
その期間学園は、特別に課外授業の扱いをしてくれた。
私にはもう教えることは無いから、ハッキリ言うと好きにしなさいである。
今年からのいきなりの研修制度に、彼女もだが他の合格者も戸惑っているに違いない。
何処の部署に行くのかは、当日にならないとわからないらしい。
なんとも、不安しか感じない。
考えるだけで、気分が沈み重苦しくなる。
そんなプリムローズの様子を見ていた友人たち。
昼のランチを一緒に共にする友人たちが、少しでも勇気づけたいと皆が思っていた。
「プリムローズ様、貴女様らしくすれば良いのです。
まだ、幼いのですもの。
元気よくなさって下さい」
フローラが話し出すと、次々に励ましの声がかかってくる。
「そうですとも、幼きものに強く当たる方はいませんわ」
「それこそ、幼児虐待よ。
その時は、お得意のやり返しをして下さいませ」
リザとマリーが続けて彼女を励まし助言するのだが、この内容はと周りの者も聞いて悩むのである。
「ありがとう!
そうよね、楽しんでみるわ。
こんな機会は、滅多にないもんね。
まぁ、一生かなぁ?!」
もう腹をくくり、何処其処の体験入学気分で行くつもりになる。
彼女は嫌な事は忘れて次へ向かう性格で、良いのか悪いのか切り替えがうまかった。
そのプリムローズたちの話声をかろうじて聞こえる場所で、心配そうに聞いていた者が1人いた。
エテルネルの王子ルシアンは、プリムローズに今まさに同情している。
あの突然の研修制度は、自分の母である王妃キャロラインが文官や宰相ブロイに自分の意見を言って押し通した現場を見てしまったのだ。
王子ルシアンは、独り食堂で物憂げに回想に浸っている。
あれはいい天気で、たまたま裏庭を散歩していた時にー。
よくたまたまだったなぁと、ルシアン本人も偶然に驚く。
「ブロイ宰相!
今回の文官試験は、女性でましてや幼いクラレンス公爵令嬢が合格したとか聞きましたわ。
彼女や他の者は、適正能力はあるのかしらね?!」
王妃キャロラインは女官を2名引き連れながら、宰相ブロイとその他部下と庭で何やら言いがかりをつけていた。
「それは入ってみないと、私にもわかりませんね。
王妃様の管轄は、女官ではありませんか?
失礼ですが、此方と関係はございませんでは?」
宰相ブロイは、王妃キャロラインの意見を押し退けている。
「でも私は夫である王には、有能な方に仕えて欲しいのですよ。
宰相だって入る前に、どんな人物か知りたくないかしら!?」
王妃はもっともらしい話をして、宰相の心を揺さぶる作戦を決行していた。
「発言を宜しいですか?」と、宰相の部下が話しかけてくる。
許しを得ると、自分も王妃様の意見に賛同だと話しだした。
「王妃様の意見は、素晴らしい!
新たに入る者にも、心構えができます。
王妃様のご意見に賛同ですな」
王妃は、その文官の返事に気をよくした。
「そうでしょう!
宰相、この案を進めなさい。
私から王に話ときますわね~!!」
王妃キャロラインは、嬉しげに女官たちを連れてサッサと去っていく。
「お待ち下さい!王妃様!」と、ブロイ宰相は王妃に呼び掛けるが王妃は無視して行ってしまった。
ルシアン王子は、それを物陰で一部始終見ていたのだった。
そして、その文官と母が示し合わせていた事を後で知るのである。
実の母の入れ知恵で、プリムローズに不利になりそうなのを気の毒に思ってしまった。
彼女が無事に何事もなく終えるのを、彼は心から祈り棒げる。
しかし、その純真な願いを神は見落としたのである。
まさかとんでもない研修になるとは、ルシアンはこの時は考えていなかった。
その期間学園は、特別に課外授業の扱いをしてくれた。
私にはもう教えることは無いから、ハッキリ言うと好きにしなさいである。
今年からのいきなりの研修制度に、彼女もだが他の合格者も戸惑っているに違いない。
何処の部署に行くのかは、当日にならないとわからないらしい。
なんとも、不安しか感じない。
考えるだけで、気分が沈み重苦しくなる。
そんなプリムローズの様子を見ていた友人たち。
昼のランチを一緒に共にする友人たちが、少しでも勇気づけたいと皆が思っていた。
「プリムローズ様、貴女様らしくすれば良いのです。
まだ、幼いのですもの。
元気よくなさって下さい」
フローラが話し出すと、次々に励ましの声がかかってくる。
「そうですとも、幼きものに強く当たる方はいませんわ」
「それこそ、幼児虐待よ。
その時は、お得意のやり返しをして下さいませ」
リザとマリーが続けて彼女を励まし助言するのだが、この内容はと周りの者も聞いて悩むのである。
「ありがとう!
そうよね、楽しんでみるわ。
こんな機会は、滅多にないもんね。
まぁ、一生かなぁ?!」
もう腹をくくり、何処其処の体験入学気分で行くつもりになる。
彼女は嫌な事は忘れて次へ向かう性格で、良いのか悪いのか切り替えがうまかった。
そのプリムローズたちの話声をかろうじて聞こえる場所で、心配そうに聞いていた者が1人いた。
エテルネルの王子ルシアンは、プリムローズに今まさに同情している。
あの突然の研修制度は、自分の母である王妃キャロラインが文官や宰相ブロイに自分の意見を言って押し通した現場を見てしまったのだ。
王子ルシアンは、独り食堂で物憂げに回想に浸っている。
あれはいい天気で、たまたま裏庭を散歩していた時にー。
よくたまたまだったなぁと、ルシアン本人も偶然に驚く。
「ブロイ宰相!
今回の文官試験は、女性でましてや幼いクラレンス公爵令嬢が合格したとか聞きましたわ。
彼女や他の者は、適正能力はあるのかしらね?!」
王妃キャロラインは女官を2名引き連れながら、宰相ブロイとその他部下と庭で何やら言いがかりをつけていた。
「それは入ってみないと、私にもわかりませんね。
王妃様の管轄は、女官ではありませんか?
失礼ですが、此方と関係はございませんでは?」
宰相ブロイは、王妃キャロラインの意見を押し退けている。
「でも私は夫である王には、有能な方に仕えて欲しいのですよ。
宰相だって入る前に、どんな人物か知りたくないかしら!?」
王妃はもっともらしい話をして、宰相の心を揺さぶる作戦を決行していた。
「発言を宜しいですか?」と、宰相の部下が話しかけてくる。
許しを得ると、自分も王妃様の意見に賛同だと話しだした。
「王妃様の意見は、素晴らしい!
新たに入る者にも、心構えができます。
王妃様のご意見に賛同ですな」
王妃は、その文官の返事に気をよくした。
「そうでしょう!
宰相、この案を進めなさい。
私から王に話ときますわね~!!」
王妃キャロラインは、嬉しげに女官たちを連れてサッサと去っていく。
「お待ち下さい!王妃様!」と、ブロイ宰相は王妃に呼び掛けるが王妃は無視して行ってしまった。
ルシアン王子は、それを物陰で一部始終見ていたのだった。
そして、その文官と母が示し合わせていた事を後で知るのである。
実の母の入れ知恵で、プリムローズに不利になりそうなのを気の毒に思ってしまった。
彼女が無事に何事もなく終えるのを、彼は心から祈り棒げる。
しかし、その純真な願いを神は見落としたのである。
まさかとんでもない研修になるとは、ルシアンはこの時は考えていなかった。
10
お気に入りに追加
199
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
嘘を囁いた唇にキスをした。それが最後の会話だった。
わたあめ
恋愛
ジェレマイア公爵家のヒルトンとアールマイト伯爵家のキャメルはお互い17の頃に婚約を誓た。しかし、それは3年後にヒルトンの威勢の良い声と共に破棄されることとなる。
「お前が私のお父様を殺したんだろう!」
身に覚えがない罪に問われ、キャメルは何が何だか分からぬまま、隣国のエセルター領へと亡命することとなった。しかし、そこは異様な国で...?
※拙文です。ご容赦ください。
※この物語はフィクションです。
※作者のご都合主義アリ
※三章からは恋愛色強めで書いていきます。
【完結】愛とは呼ばせない
野村にれ
恋愛
リール王太子殿下とサリー・ペルガメント侯爵令嬢は六歳の時からの婚約者である。
二人はお互いを励まし、未来に向かっていた。
しかし、王太子殿下は最近ある子爵令嬢に御執心で、サリーを蔑ろにしていた。
サリーは幾度となく、王太子殿下に問うも、答えは得られなかった。
二人は身分差はあるものの、子爵令嬢は男装をしても似合いそうな顔立ちで、長身で美しく、
まるで対の様だと言われるようになっていた。二人を見つめるファンもいるほどである。
サリーは婚約解消なのだろうと受け止め、承知するつもりであった。
しかし、そうはならなかった。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
【完結】無意識 悪役公爵令嬢は成長途中でございます!幼女篇
愚者 (フール)
恋愛
プリムローズは、筆頭公爵の末娘。
上の姉と兄とは歳が離れていて、両親は上の子供達が手がかからなくなる。
すると父は仕事で母は社交に忙しく、末娘を放置。
そんな末娘に変化が起きる。
ある時、王宮で王妃様の第2子懐妊を祝うパーティーが行われる。
領地で隠居していた、祖父母が出席のためにやって来た。
パーティー後に悲劇が、プリムローズのたった一言で運命が変わる。
彼女は5年後に父からの催促で戻るが、家族との関係はどうなるのか?
かなり普通のご令嬢とは違う育て方をされ、ズレた感覚の持ち主に。
個性的な周りの人物と出会いつつ、笑いありシリアスありの物語。
ゆっくり進行ですが、まったり読んで下さい。
★初めての投稿小説になります。
お読み頂けたら、嬉しく思います。
全91話 完結作品
義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!
ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。
貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。
実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。
嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。
そして告げられたのは。
「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」
理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。
…はずだったが。
「やった!自由だ!」
夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。
これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが…
これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。
生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。
縁を切ったはずが…
「生活費を負担してちょうだい」
「可愛い妹の為でしょ?」
手のひらを返すのだった。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる