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第7章
30 別れのラストダンス
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猛暑をそれなりに楽しんだ王族たちと共に、他国から来た王の弟殿下と未婚の令嬢たち。
ブライオン王弟殿下は、中年の男盛り。
その魅力を辺に、ムンムンするほどに振り撒撒。
近くにいるマティルダは、何で貴女が隣にいるのって声が聞こえそうだった。
間隔を空けようと離れようとしたら、父は恥じらう娘をグーっと腕を取って引き寄せる。
「きゃあ~!
あの子は誰よ!」
「デカイ女ね!」
「胸が背中か、どっちかしら」
マティルダに聞こえるようにすれ違う時、妬みと悪口を言ってくれた。
「……、子供の頃から良いもの食べてないから育たなかったのよ」
「マティルダ、背が高いのは私に似ているのだな。
デカイ女って言われて、済まなかった」
親に直接謝罪されて、娘として笑って平気でしか返せない。
「デブになるより、その方がまだマシですわ。
脂肪って年を取ると、なかなか減らないんですって!ホホホ」
斜め後ろを流し目して娘は、負けないで言い返していた。
「なっ!どこの貴族よ!」
「見たことないから、他国から来た令嬢じゃない」
「よそ者なのに生意気ね!」
女の醜い正体をまざまざと見せられてしまう、ブライオン。
『セリメーヌも、弱そうにみえたが気が強かった。
戦争に行くときに、しゃんとしろと背中を殴られたあの痛さを思い出す。
容姿より性格が似ていたんだな』
「お父様、皆様は私が誰だと噂されてます。
他国とか、学園通っていたのに顔が割れてませんで悲しいです」
「ここで身元を明らかにするので、悪口言ったあの者たちに挨拶まわりをするか。ハハハ」
父娘で笑っていたら、国王が参列者たちに対して挨拶をする。
お偉いさんのお話は静かに聞かなくては、貴族たちは口を閉じて一応は主君に顔を向ける。
「よくココに集ってくれた。
今年は酷暑で、体調を崩した者をおったであろう」
お偉いさんの話は長くなりやすく、つまらなく退屈なのが多い。
この後に欠伸を我慢していた貴族たちが、珍しくビックリ驚愕するになる。
「ココにおる元マティルダ・サンダース伯爵令嬢は、隣国の王の弟君ブライオン殿下の娘になる。
戦争による不幸が、このような罪が重なったのだ。
サンダース伯爵だけが悪いわけでない」
貴族の世界の暗黙の掟、貴族は貴族のみしか婚姻できない。
愛人として、日陰の者としか生きられない。
同姓として王妃は女性たちに、訴えかけては同情を集めた。
「彼が平民の女性を本気に愛していたのが悲劇だったのです。
調べた結果、2名同じ違反をしている者がいました」
「よって!
サンダース伯爵を含めた3名は、身分を一階級下げる!
この先、この問題はまた現れるだろう。
余の時代では改革するつもりはない。
聞いた者は、この件を忘れないでくれ。
未来は変わるかもしれないからのう」
話し終えると手渡されたグラスを掲げて、夜会の始まりを高らかに告げた。
エドワード殿下からアドニス殿下に、王太子が代わる話題はしないでいる。
貴族たちは既に知らされていて、騒ぎ出す無礼な者は現れなかった。
盛り上がる楽曲が鳴り響き、暗い話を払うように人々は気を使いダンスを始める。
1番最初は両陛下が軽やかに踊ると、次々に高位貴族からフロアーにカラフルな花が舞っている。
「マティルダは、踊りなれてないようだな。
国に帰国したら、ダンスを本格的に習って貰おう 」
勉強は好きだが気取った社交に関しては、大の苦手意識を持っていた。
「人に注目されたり、華やかな世界は苦手です。
立場を考えたら、やらなくてはいけないのですよね」
「私とセリメーヌの子だから、すぐに上手くなるよ。
彼女はダンスが得意だった。
楽しそうに笑っていたな」
若い頃を懐かしんで、彼女と踊っているような錯覚を起こす。
目に留まった中で、エドワード殿下とイブリン様が踊っていた。
『エドワード殿下は、頑張って彼女を誘ったみたい。
イブリン様もなんだか嬉しそう』
他国からの令嬢たちも、ちゃんと相手を探して躍りの輪に加わっていた。
光輝く世界と反対に、サンダース家の未来は暗いだろう。
「家族を思い出していたのか。
真面目に公正すれば、恩赦があれば元に戻れる。
王族の誰かに祝い事があったりしたらな」
父の話が本当になるのは、数年先の未来まで待たなくてはならない。
「王子さまがお待ちだよ。
楽しい夜を過ごしなさい」
マティルダから離れると、待っていたご夫人たちがブライオンと踊りたそうに近寄っていった。
「父上は人気者だね。
お嬢さん、私と踊ってください」
「うふふっ、喜んで私の王子様!」
暫くは、二人はダンスも会うことも叶わない。
寂しくないし暗くもない。
自分の持ちようで、幸せでもあり不幸にもなる。
「手紙を書きますわ。
会えなくても手紙の中で、いつでも会うことが出来ます」
「書くよ、マティルダには正直に全てを。
呆れないで読んで、返事を書いてくれ」
今度会うときは私の背を越してしまうかもと、目を伏せて大人になった彼を重ねて思う。
彼が他の人を好きなって愛しても、友人として関係を築きたいと思いステップを踏んでいた。
ブライオン王弟殿下は、中年の男盛り。
その魅力を辺に、ムンムンするほどに振り撒撒。
近くにいるマティルダは、何で貴女が隣にいるのって声が聞こえそうだった。
間隔を空けようと離れようとしたら、父は恥じらう娘をグーっと腕を取って引き寄せる。
「きゃあ~!
あの子は誰よ!」
「デカイ女ね!」
「胸が背中か、どっちかしら」
マティルダに聞こえるようにすれ違う時、妬みと悪口を言ってくれた。
「……、子供の頃から良いもの食べてないから育たなかったのよ」
「マティルダ、背が高いのは私に似ているのだな。
デカイ女って言われて、済まなかった」
親に直接謝罪されて、娘として笑って平気でしか返せない。
「デブになるより、その方がまだマシですわ。
脂肪って年を取ると、なかなか減らないんですって!ホホホ」
斜め後ろを流し目して娘は、負けないで言い返していた。
「なっ!どこの貴族よ!」
「見たことないから、他国から来た令嬢じゃない」
「よそ者なのに生意気ね!」
女の醜い正体をまざまざと見せられてしまう、ブライオン。
『セリメーヌも、弱そうにみえたが気が強かった。
戦争に行くときに、しゃんとしろと背中を殴られたあの痛さを思い出す。
容姿より性格が似ていたんだな』
「お父様、皆様は私が誰だと噂されてます。
他国とか、学園通っていたのに顔が割れてませんで悲しいです」
「ここで身元を明らかにするので、悪口言ったあの者たちに挨拶まわりをするか。ハハハ」
父娘で笑っていたら、国王が参列者たちに対して挨拶をする。
お偉いさんのお話は静かに聞かなくては、貴族たちは口を閉じて一応は主君に顔を向ける。
「よくココに集ってくれた。
今年は酷暑で、体調を崩した者をおったであろう」
お偉いさんの話は長くなりやすく、つまらなく退屈なのが多い。
この後に欠伸を我慢していた貴族たちが、珍しくビックリ驚愕するになる。
「ココにおる元マティルダ・サンダース伯爵令嬢は、隣国の王の弟君ブライオン殿下の娘になる。
戦争による不幸が、このような罪が重なったのだ。
サンダース伯爵だけが悪いわけでない」
貴族の世界の暗黙の掟、貴族は貴族のみしか婚姻できない。
愛人として、日陰の者としか生きられない。
同姓として王妃は女性たちに、訴えかけては同情を集めた。
「彼が平民の女性を本気に愛していたのが悲劇だったのです。
調べた結果、2名同じ違反をしている者がいました」
「よって!
サンダース伯爵を含めた3名は、身分を一階級下げる!
この先、この問題はまた現れるだろう。
余の時代では改革するつもりはない。
聞いた者は、この件を忘れないでくれ。
未来は変わるかもしれないからのう」
話し終えると手渡されたグラスを掲げて、夜会の始まりを高らかに告げた。
エドワード殿下からアドニス殿下に、王太子が代わる話題はしないでいる。
貴族たちは既に知らされていて、騒ぎ出す無礼な者は現れなかった。
盛り上がる楽曲が鳴り響き、暗い話を払うように人々は気を使いダンスを始める。
1番最初は両陛下が軽やかに踊ると、次々に高位貴族からフロアーにカラフルな花が舞っている。
「マティルダは、踊りなれてないようだな。
国に帰国したら、ダンスを本格的に習って貰おう 」
勉強は好きだが気取った社交に関しては、大の苦手意識を持っていた。
「人に注目されたり、華やかな世界は苦手です。
立場を考えたら、やらなくてはいけないのですよね」
「私とセリメーヌの子だから、すぐに上手くなるよ。
彼女はダンスが得意だった。
楽しそうに笑っていたな」
若い頃を懐かしんで、彼女と踊っているような錯覚を起こす。
目に留まった中で、エドワード殿下とイブリン様が踊っていた。
『エドワード殿下は、頑張って彼女を誘ったみたい。
イブリン様もなんだか嬉しそう』
他国からの令嬢たちも、ちゃんと相手を探して躍りの輪に加わっていた。
光輝く世界と反対に、サンダース家の未来は暗いだろう。
「家族を思い出していたのか。
真面目に公正すれば、恩赦があれば元に戻れる。
王族の誰かに祝い事があったりしたらな」
父の話が本当になるのは、数年先の未来まで待たなくてはならない。
「王子さまがお待ちだよ。
楽しい夜を過ごしなさい」
マティルダから離れると、待っていたご夫人たちがブライオンと踊りたそうに近寄っていった。
「父上は人気者だね。
お嬢さん、私と踊ってください」
「うふふっ、喜んで私の王子様!」
暫くは、二人はダンスも会うことも叶わない。
寂しくないし暗くもない。
自分の持ちようで、幸せでもあり不幸にもなる。
「手紙を書きますわ。
会えなくても手紙の中で、いつでも会うことが出来ます」
「書くよ、マティルダには正直に全てを。
呆れないで読んで、返事を書いてくれ」
今度会うときは私の背を越してしまうかもと、目を伏せて大人になった彼を重ねて思う。
彼が他の人を好きなって愛しても、友人として関係を築きたいと思いステップを踏んでいた。
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