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第7章
16 流れる想い
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部屋の前で祖父母とは、実感の湧かない二人とは別々になる。
それは私だけでなく、老夫妻も同じだと思う。
ただ凛としている立ち姿は、セリメーヌに似ていると言ってくれた。
綺麗な女性だと話していたが、見かけはあまり似ていない。
美男美女を親に持ち、醜いアヒルが生まれたようだ。
醜いは言い過ぎかなぁって、頬をついつい擦ってみる。
「明後日には帰国するんだろう。
私も一緒に行きたいが、よく考えたら令嬢たちの準備には日数が足りない。
マティルダと一緒に行きたいから、考えなしに言っしまった」
慌てん坊で行き当たりばったりの性格は、どうもこの人に似ているみたい。
「勢いで返事して、やっぱり考え直したら辞めたいと思うかもしれません」
「あの場のノリで言ってしまったんだろう。
そうなっても、私が王の名代として交流でついて来たとしよう」
婚姻してないせいか。
所帯染みたくたびれた雰囲気がしない。
独身だと、自分に使える時間があるから?
「どうしたのだ。
顔に何かついているか?」
「いいえ!本当、本当に…。
私の父親なのかなぁって~」
「何を言っているんだ!
王族の特徴の瞳がある。
光の加減で光彩で色が変わるんだ。
そんな人間がごろごろいるわけがないんだよ。
マティルダ」
両肩に力を込めて、ブライオン殿下が真剣な瞳がキラキラ光る。
『親よりも殿下って感じだ。
血が繋がってなかったら、令嬢たちとおじ様ステキって騒いでしまいそう』
人形のようにカクカクと、何度も首を動かしてしまった。
帰国する支度で、1日があっという間に過ぎ去ってしまう。
もう馬車に乗り込まなくてはならない時間になり、家族と別れを惜しむエリザベス王妃。
「サンダース伯爵令嬢。
我が国のためにご助力頂き、心よりお礼を申します。
それと、侯爵令嬢との事もー」
失礼をと断り耳許に何かを囁くと、エリザベス王妃が大層驚き少し顔を熱くする。
「伯爵令嬢、いまの言った話は本当ですか?」
「信じるものは救われます。 心を穏やかに、そうすれば願いは近づきますわ」
「ありがとう、マティルダ。
誰でもいいから、誰かにそう言って欲しかったのよ」
ゆっくりと深くお辞儀をすると、彼女は微笑む美しい王妃に笑みを返した。
乗り込むと4人の令嬢たちは、マティルダを囲んで今から向かう隣国の言葉で会話する。
発音を指摘しながらお喋りは、勉強になり一石二鳥って訳だ。
「皆さまのご家族は、お止めになりませんでしたの。
全員来ないと思ってました」
ピクニックにでも出掛ける風情の彼女らに、マティルダは呆れ気味に尋ねてみる。
「神のお告げですから、言い聞かせて脅せば簡単でした」
「一人じゃないし、4人もいれば心強いです」
「ステキな殿方を探しにー。
ちゃんと交流もして、国の架け橋にもなりますわ」
修道院組は、ウザったらしい場所から離れたかったのね。
舞踏会での親たちの態度を、直接見ちゃったら同情する。
「新天地で生まれ変わりたい。
でも、あの人は一生行き続けてます。
好きな人が現れても、彼は消え去ることはないわ」
前に座るマティルダを射抜く瞳は、真っ直ぐで力強いが優しい。
「それがいいですわ。
無理に気持ちを偽ってまで、大切な想いを忘れなくていい」
しんみりしてるが優しい空気の中、馬車の窓が開けられているので風が流れ込んでいく。
この風が向かっているときよりも、あの時よりも冷たく爽やかに感じる。
「夏が終わりますね。
季節が流れて時は移り行く。
立ち止まるか進むかは、他人振り回されず自分で考えなくてはならない」
青い広い空を見ている彼女の視線に、彼女たちもならうように同じ空を目に入れてる。
車輪の音が耳に聞こえているはずが、何故か何も聞こえない。
無心になっているからだろう。
祖国から離れて行くのを感じ始めて、いままで蓋をしていた寂寥感が胸にいっぱいに急に広がっていった。
それは私だけでなく、老夫妻も同じだと思う。
ただ凛としている立ち姿は、セリメーヌに似ていると言ってくれた。
綺麗な女性だと話していたが、見かけはあまり似ていない。
美男美女を親に持ち、醜いアヒルが生まれたようだ。
醜いは言い過ぎかなぁって、頬をついつい擦ってみる。
「明後日には帰国するんだろう。
私も一緒に行きたいが、よく考えたら令嬢たちの準備には日数が足りない。
マティルダと一緒に行きたいから、考えなしに言っしまった」
慌てん坊で行き当たりばったりの性格は、どうもこの人に似ているみたい。
「勢いで返事して、やっぱり考え直したら辞めたいと思うかもしれません」
「あの場のノリで言ってしまったんだろう。
そうなっても、私が王の名代として交流でついて来たとしよう」
婚姻してないせいか。
所帯染みたくたびれた雰囲気がしない。
独身だと、自分に使える時間があるから?
「どうしたのだ。
顔に何かついているか?」
「いいえ!本当、本当に…。
私の父親なのかなぁって~」
「何を言っているんだ!
王族の特徴の瞳がある。
光の加減で光彩で色が変わるんだ。
そんな人間がごろごろいるわけがないんだよ。
マティルダ」
両肩に力を込めて、ブライオン殿下が真剣な瞳がキラキラ光る。
『親よりも殿下って感じだ。
血が繋がってなかったら、令嬢たちとおじ様ステキって騒いでしまいそう』
人形のようにカクカクと、何度も首を動かしてしまった。
帰国する支度で、1日があっという間に過ぎ去ってしまう。
もう馬車に乗り込まなくてはならない時間になり、家族と別れを惜しむエリザベス王妃。
「サンダース伯爵令嬢。
我が国のためにご助力頂き、心よりお礼を申します。
それと、侯爵令嬢との事もー」
失礼をと断り耳許に何かを囁くと、エリザベス王妃が大層驚き少し顔を熱くする。
「伯爵令嬢、いまの言った話は本当ですか?」
「信じるものは救われます。 心を穏やかに、そうすれば願いは近づきますわ」
「ありがとう、マティルダ。
誰でもいいから、誰かにそう言って欲しかったのよ」
ゆっくりと深くお辞儀をすると、彼女は微笑む美しい王妃に笑みを返した。
乗り込むと4人の令嬢たちは、マティルダを囲んで今から向かう隣国の言葉で会話する。
発音を指摘しながらお喋りは、勉強になり一石二鳥って訳だ。
「皆さまのご家族は、お止めになりませんでしたの。
全員来ないと思ってました」
ピクニックにでも出掛ける風情の彼女らに、マティルダは呆れ気味に尋ねてみる。
「神のお告げですから、言い聞かせて脅せば簡単でした」
「一人じゃないし、4人もいれば心強いです」
「ステキな殿方を探しにー。
ちゃんと交流もして、国の架け橋にもなりますわ」
修道院組は、ウザったらしい場所から離れたかったのね。
舞踏会での親たちの態度を、直接見ちゃったら同情する。
「新天地で生まれ変わりたい。
でも、あの人は一生行き続けてます。
好きな人が現れても、彼は消え去ることはないわ」
前に座るマティルダを射抜く瞳は、真っ直ぐで力強いが優しい。
「それがいいですわ。
無理に気持ちを偽ってまで、大切な想いを忘れなくていい」
しんみりしてるが優しい空気の中、馬車の窓が開けられているので風が流れ込んでいく。
この風が向かっているときよりも、あの時よりも冷たく爽やかに感じる。
「夏が終わりますね。
季節が流れて時は移り行く。
立ち止まるか進むかは、他人振り回されず自分で考えなくてはならない」
青い広い空を見ている彼女の視線に、彼女たちもならうように同じ空を目に入れてる。
車輪の音が耳に聞こえているはずが、何故か何も聞こえない。
無心になっているからだろう。
祖国から離れて行くのを感じ始めて、いままで蓋をしていた寂寥感が胸にいっぱいに急に広がっていった。
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