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第7章
6 夜会はご辞退
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王宮では王弟のブライオン殿下が、二人の国王と秘密の相談事をしている。
娘のマティルダの今後を、どうしたらよいのか悩んでいた。
「娘として、この国へ来てほしい。
だが、そうすると次の王となるかもしれない」
「余としては、我が娘エリザベスの子を世継ぎにして貰いたい」
義理の息子に本音を話す。
自分の父を亡くし、近くにいる義父に父の影と被さり聞いていた。
「あの子はそれを気にして、このままでと話していた。
そうすると、ここでは別れになる。
愛する娘の存在を知り、ずっと一緒に暮らしていきたい。
それは…、ワガママなのだろうか」
『『………。( この父娘をどうにかしてあげたい ) 』』
「しかしなぁ~、現実の父親はサンダース伯爵だからな。
それも、母親と妹は犯罪起こして牢屋の入っている」
「冗談じゃないのですか?」
「兄上が、驚かれるのは無理はありません。
マティルダから聞かさせて、呆れて同じ反応をしました」
父親と呼ばれているサンダース伯爵も、亡くなったセリメーヌと偽り平民出身のカーラを伯爵夫人にさせていた罪状もある。
「マティルダとは血の繋がらないが一滴もない。
しかし、世間はそれを知らない。
家族の全員が、犯罪者になったしまうわけだ」
姪を心配して、彼女がどうしたら幸せになるか。
そして閃いたように、二人に提案を出してみた。
「彼女を、いっそお前の養女にしたらどうだ!
神のお告げだと言うのだ!
そうすれば、父娘は離れなくて良い」
「養女?
マティルダを、本当の娘を養女としてか」
「それに、もしエリザベスと子が出来なかったら。
ブライオン。
お前の養女になった彼女を、正式に女王に出来る。
無論、私たちに子ができなかったらの話だがな」
「兄上……」
兄弟の会話の背中を押すように、もう一人の国王が決断を決めさせる。
「マティルダ嬢は、このまま国に帰らない方がいい。
サンダース伯爵は、貴族として禁忌を犯した。
死者を生かし続け、貴族として平民と婚姻していたのだ」
ここにいる全員が、サンダース伯爵家が最悪お取り潰しになることをー。
朝方まで激しい雨が一晩中降り続いたのを、起こしに来たメイドが感謝を言いながら支度をしてくれた。
「伯爵令嬢のお力で、我が国の危機をお救い下さりお礼を申し上げます」
偉そうにするのも嫌だし、マティルダは何も言わず微笑む。
これが正解だったのか、謙虚に見えたみたいでメイドがこの時の態度を喋ると周りに広がってしまった。
評判があっという間に、貴族まで噂として散らばっていく。
濡れた雨の水滴がキラッと光ると、すっかり外気温が下がった気がする。
「今晩の夜会が終わったら、この国ともお別れなのね。
帰国したら学園が始まるけど、通常に通えるのかしら」
血縁関係のない家族は、いったいどうなるんだろう?
アリエールと母は、まだ牢屋生活をしてるの?
ハロルドは自分の領地へ戻ったようだけど、手は元通りになるのかしら?
国に戻れば、嫌なこと全てを知ることになる。
「あーーっ!
ドレスを持ってきてない。
どうしよう、夜会なんて1度も参加したこともないわ!」
持ってきた服は、最低限の貴族の令嬢の対面を保つぐらい。
それも、王妃様が用意してくれたものだ。
『夢ではダンスをしていた。
なら、ドレスは用意してあるってことか?』
頭を抱えて考えると、夢は当てにならない。
「出れるわけない!
こんなドレスでは、他国の貴族たちに見せられないわよ。
うん、急病になって仮病しよう」
このマティルダの独り言を、お茶を持ってきたメイドが偶然に聞いてしまった。
『伯爵令嬢がドレスがないなんて!』
お礼を言われながらお茶を出すと、マティルダは具合悪そうにしている。
仮病をしているのを知って、メイドは可哀想になってしまう。
『時間がない!
誰でもいいから、早く女官に伝えなくてはー。
この人は、今日の主役の一人なのよ』
急いでいる様子に、夜会の準備が大変でなのかと何故かマティルダも支度の手伝いをする。
「それ、それでは私は失礼致します」
「ええ、ありがー」、お礼を言う途中に戻って行ってしまった。
呑気に彼女は紅茶のカップを手にして、ちょっとしたお菓子に舌鼓をうって癒されていた。
本人が夢中になっている間に、周辺がバタバタするとは思ってなかったのだ。
『うーん、このチョコのかかったクッキー!おいしい~!』
この様子をメイドがこれを知ったら、後頭部を思わず叩きたくなるだろう。
それほど夜会の準備は忙しいのであった。
娘のマティルダの今後を、どうしたらよいのか悩んでいた。
「娘として、この国へ来てほしい。
だが、そうすると次の王となるかもしれない」
「余としては、我が娘エリザベスの子を世継ぎにして貰いたい」
義理の息子に本音を話す。
自分の父を亡くし、近くにいる義父に父の影と被さり聞いていた。
「あの子はそれを気にして、このままでと話していた。
そうすると、ここでは別れになる。
愛する娘の存在を知り、ずっと一緒に暮らしていきたい。
それは…、ワガママなのだろうか」
『『………。( この父娘をどうにかしてあげたい ) 』』
「しかしなぁ~、現実の父親はサンダース伯爵だからな。
それも、母親と妹は犯罪起こして牢屋の入っている」
「冗談じゃないのですか?」
「兄上が、驚かれるのは無理はありません。
マティルダから聞かさせて、呆れて同じ反応をしました」
父親と呼ばれているサンダース伯爵も、亡くなったセリメーヌと偽り平民出身のカーラを伯爵夫人にさせていた罪状もある。
「マティルダとは血の繋がらないが一滴もない。
しかし、世間はそれを知らない。
家族の全員が、犯罪者になったしまうわけだ」
姪を心配して、彼女がどうしたら幸せになるか。
そして閃いたように、二人に提案を出してみた。
「彼女を、いっそお前の養女にしたらどうだ!
神のお告げだと言うのだ!
そうすれば、父娘は離れなくて良い」
「養女?
マティルダを、本当の娘を養女としてか」
「それに、もしエリザベスと子が出来なかったら。
ブライオン。
お前の養女になった彼女を、正式に女王に出来る。
無論、私たちに子ができなかったらの話だがな」
「兄上……」
兄弟の会話の背中を押すように、もう一人の国王が決断を決めさせる。
「マティルダ嬢は、このまま国に帰らない方がいい。
サンダース伯爵は、貴族として禁忌を犯した。
死者を生かし続け、貴族として平民と婚姻していたのだ」
ここにいる全員が、サンダース伯爵家が最悪お取り潰しになることをー。
朝方まで激しい雨が一晩中降り続いたのを、起こしに来たメイドが感謝を言いながら支度をしてくれた。
「伯爵令嬢のお力で、我が国の危機をお救い下さりお礼を申し上げます」
偉そうにするのも嫌だし、マティルダは何も言わず微笑む。
これが正解だったのか、謙虚に見えたみたいでメイドがこの時の態度を喋ると周りに広がってしまった。
評判があっという間に、貴族まで噂として散らばっていく。
濡れた雨の水滴がキラッと光ると、すっかり外気温が下がった気がする。
「今晩の夜会が終わったら、この国ともお別れなのね。
帰国したら学園が始まるけど、通常に通えるのかしら」
血縁関係のない家族は、いったいどうなるんだろう?
アリエールと母は、まだ牢屋生活をしてるの?
ハロルドは自分の領地へ戻ったようだけど、手は元通りになるのかしら?
国に戻れば、嫌なこと全てを知ることになる。
「あーーっ!
ドレスを持ってきてない。
どうしよう、夜会なんて1度も参加したこともないわ!」
持ってきた服は、最低限の貴族の令嬢の対面を保つぐらい。
それも、王妃様が用意してくれたものだ。
『夢ではダンスをしていた。
なら、ドレスは用意してあるってことか?』
頭を抱えて考えると、夢は当てにならない。
「出れるわけない!
こんなドレスでは、他国の貴族たちに見せられないわよ。
うん、急病になって仮病しよう」
このマティルダの独り言を、お茶を持ってきたメイドが偶然に聞いてしまった。
『伯爵令嬢がドレスがないなんて!』
お礼を言われながらお茶を出すと、マティルダは具合悪そうにしている。
仮病をしているのを知って、メイドは可哀想になってしまう。
『時間がない!
誰でもいいから、早く女官に伝えなくてはー。
この人は、今日の主役の一人なのよ』
急いでいる様子に、夜会の準備が大変でなのかと何故かマティルダも支度の手伝いをする。
「それ、それでは私は失礼致します」
「ええ、ありがー」、お礼を言う途中に戻って行ってしまった。
呑気に彼女は紅茶のカップを手にして、ちょっとしたお菓子に舌鼓をうって癒されていた。
本人が夢中になっている間に、周辺がバタバタするとは思ってなかったのだ。
『うーん、このチョコのかかったクッキー!おいしい~!』
この様子をメイドがこれを知ったら、後頭部を思わず叩きたくなるだろう。
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