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第6章
23 不安なお茶のお誘い
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隣の国で言語が違うだけで、全然違う感じがする。
メアリー王女は、あれから暗い様子は見せてない。
姉上様に会える方が、彼女には不安より上らしい。
エドワード殿下は我関せずで、一切エリザベス王妃様の名前さえ出さなくなった。
それは、アドニス殿下も同じ。
無神経なロバート様も、この件には無視を貫くようだ。
「マティルダ・サンダース。
人の心配より、自分の心配をした方がいいよ」
心を見透かされて、目と口を丸くしてしまう。
公爵令息に笑われて、私は一緒で顔を赤らめる。
分かりやすい単純な性格に、自分ながら周りに呆れられちゃいそうだ。
「なぁ~、マティルダ嬢。
君、夢を見なかったか?
もし、見たら俺に教えてくれよな」
小さい声で話しても、この閉鎖した狭い馬車の中で言われて困る。
「マティルダの正夢は、よく当たるって聞いたわ。
夢を見たの?どんな夢?」
「メアリー王女、残念ですが見てません」
「そ、そうだよね。
都合よく、見ないよね」
王女の顔が晴天から、どしゃ降りに様変わりする。
また、気まずくなる馬車の旅。
王宮では両陛下が、地方から来ている貴族たちの謁見の公務をしていた。
「おお、これは美味しそうな葡萄だな。
こんなに頂いても良いのか?」
「恐縮でございます、陛下。
今年は雨が少ないですが、晴天が続いたので甘さはございます。
ご堪能して頂けたら、それだけでも幸いです」
「まぁ、なんて美味しそう!
ですが、雨が降らないとお困りでしょうね」
隣国から嫁いだ王妃が振ってきた話題に、話をしている貴族が目を瞬いた。
「お噂では雨を降らす巫女様が、王妃様の故郷から参られると耳にしました。
私共には、これは喜ばしいことでございます」
「もう、そのように噂がされているのか。
正式な話は、余から一言も喋ってないぞ」
「……、陛下」、王妃は驚きを露にする夫を嗜める声をかけた。
コチラも気まずくなっていた。
在位して短いだけに、王に対しての求心力は少ない。
これからの王家の課題である。
アンゲロス公爵は、友人と二人で宮廷内の貴族たちと中庭で歓談していた。
つまりだ!
この二人が元凶の素、根回しのつもりがフライングをしていた。
王さまには許可済みと、互いに思い込んでしまう。
好き勝手に、相手に興味を抱くように喋りまくる。
似た者同士の仲良し友だち。
流石、ロバートの父であった。
息子にはこれは遺伝だろうと、後日談で言い訳を言ったそうだ。
幸運の機会を呼び込んだ。
「おい!見ろよ!」
「うん、なんだ!興奮してー。
あれは…、あれが例の侯爵令嬢か?!」
このコンビは、侯爵令嬢に会うのが1番の本日の目的だった。
「よいか、アンゲロス!
声をかけてご機嫌を取る。
全ては、未来の国の架け橋のためだ」
「お、おう!そうしょう……」
お前の方が真剣だな。
彼は苦労してるんだなあと、一歩引きぎみで後ろからつく。
「これは、侯爵令嬢!
久しぶりですね!
いつ振りでしょうか?」
「まぁ!公爵様、お元気そうでなりよりです。
……、ご葬儀以来です」
「「…………。」」
出鼻を粉々にされた二人は沈黙したが、ここで負けてはいられない。
「ハハ、そんな前になりますかな。
今日も暑いですな。
コチラは、隣国から来ている友人です」
「初めてお会いします。
侯爵令嬢、アンゲロスと申します」
「アンゲロス!?
アンゲロスって、確か公爵様でしたとお聞きしてます」
王太子の婚約者だけあり、隣国の主だった家名を学んでいた。
「左様でございます。
王太子殿下のご婚約者は、教養を兼ね備えておられる!」
「勿体ないお言葉ですわ…」
聞き耳たてて注目していた貴族たちから、一斉に咳払いをされて喧しかった。
「おやっ?貴国では、夏風邪が流行っておられますかな」
これは、もう天然だろう。
友人ですら顔色を変えて、どうしたらよいかと貴族たちと一緒に咳き込む。
「夏風邪は長引くと申します。
私たちも気を付けなくてはね」
空気を読めた令嬢は、何事もなくこの場を収めた。
『やれば出来るではないか。
なぜ、何故にー!
王妃にはしてくれないんだあ~』
友人公爵は自信の拳をギュッと握り締めすぎて、痛くなった手を開き振り続ける。
奇妙そうに見ていたが、公爵は振りながら令嬢に話しかけた。
「爽やかな天気ですし、あの樹の下でお茶でもしませんか?」
「お誘いは嬉しいですが、先程は暑いと仰ってませんでした?」
記憶力抜群の彼女は、見事なツッコミをして返す。
「そ、そんな話をしましたのかなあ?
忘れてしまったな。
ハハハ…、なぁアンゲロス!」
「ああっ!ぜひ、お願いします。
お美しい令嬢と、お茶をご一緒したいですなー」
棒読みだったが、気を良くして令嬢は申し出を受けた。
どんな話になるか。
娘ぐらいの令嬢に、公爵たいは牽制し合っていた。
メアリー王女は、あれから暗い様子は見せてない。
姉上様に会える方が、彼女には不安より上らしい。
エドワード殿下は我関せずで、一切エリザベス王妃様の名前さえ出さなくなった。
それは、アドニス殿下も同じ。
無神経なロバート様も、この件には無視を貫くようだ。
「マティルダ・サンダース。
人の心配より、自分の心配をした方がいいよ」
心を見透かされて、目と口を丸くしてしまう。
公爵令息に笑われて、私は一緒で顔を赤らめる。
分かりやすい単純な性格に、自分ながら周りに呆れられちゃいそうだ。
「なぁ~、マティルダ嬢。
君、夢を見なかったか?
もし、見たら俺に教えてくれよな」
小さい声で話しても、この閉鎖した狭い馬車の中で言われて困る。
「マティルダの正夢は、よく当たるって聞いたわ。
夢を見たの?どんな夢?」
「メアリー王女、残念ですが見てません」
「そ、そうだよね。
都合よく、見ないよね」
王女の顔が晴天から、どしゃ降りに様変わりする。
また、気まずくなる馬車の旅。
王宮では両陛下が、地方から来ている貴族たちの謁見の公務をしていた。
「おお、これは美味しそうな葡萄だな。
こんなに頂いても良いのか?」
「恐縮でございます、陛下。
今年は雨が少ないですが、晴天が続いたので甘さはございます。
ご堪能して頂けたら、それだけでも幸いです」
「まぁ、なんて美味しそう!
ですが、雨が降らないとお困りでしょうね」
隣国から嫁いだ王妃が振ってきた話題に、話をしている貴族が目を瞬いた。
「お噂では雨を降らす巫女様が、王妃様の故郷から参られると耳にしました。
私共には、これは喜ばしいことでございます」
「もう、そのように噂がされているのか。
正式な話は、余から一言も喋ってないぞ」
「……、陛下」、王妃は驚きを露にする夫を嗜める声をかけた。
コチラも気まずくなっていた。
在位して短いだけに、王に対しての求心力は少ない。
これからの王家の課題である。
アンゲロス公爵は、友人と二人で宮廷内の貴族たちと中庭で歓談していた。
つまりだ!
この二人が元凶の素、根回しのつもりがフライングをしていた。
王さまには許可済みと、互いに思い込んでしまう。
好き勝手に、相手に興味を抱くように喋りまくる。
似た者同士の仲良し友だち。
流石、ロバートの父であった。
息子にはこれは遺伝だろうと、後日談で言い訳を言ったそうだ。
幸運の機会を呼び込んだ。
「おい!見ろよ!」
「うん、なんだ!興奮してー。
あれは…、あれが例の侯爵令嬢か?!」
このコンビは、侯爵令嬢に会うのが1番の本日の目的だった。
「よいか、アンゲロス!
声をかけてご機嫌を取る。
全ては、未来の国の架け橋のためだ」
「お、おう!そうしょう……」
お前の方が真剣だな。
彼は苦労してるんだなあと、一歩引きぎみで後ろからつく。
「これは、侯爵令嬢!
久しぶりですね!
いつ振りでしょうか?」
「まぁ!公爵様、お元気そうでなりよりです。
……、ご葬儀以来です」
「「…………。」」
出鼻を粉々にされた二人は沈黙したが、ここで負けてはいられない。
「ハハ、そんな前になりますかな。
今日も暑いですな。
コチラは、隣国から来ている友人です」
「初めてお会いします。
侯爵令嬢、アンゲロスと申します」
「アンゲロス!?
アンゲロスって、確か公爵様でしたとお聞きしてます」
王太子の婚約者だけあり、隣国の主だった家名を学んでいた。
「左様でございます。
王太子殿下のご婚約者は、教養を兼ね備えておられる!」
「勿体ないお言葉ですわ…」
聞き耳たてて注目していた貴族たちから、一斉に咳払いをされて喧しかった。
「おやっ?貴国では、夏風邪が流行っておられますかな」
これは、もう天然だろう。
友人ですら顔色を変えて、どうしたらよいかと貴族たちと一緒に咳き込む。
「夏風邪は長引くと申します。
私たちも気を付けなくてはね」
空気を読めた令嬢は、何事もなくこの場を収めた。
『やれば出来るではないか。
なぜ、何故にー!
王妃にはしてくれないんだあ~』
友人公爵は自信の拳をギュッと握り締めすぎて、痛くなった手を開き振り続ける。
奇妙そうに見ていたが、公爵は振りながら令嬢に話しかけた。
「爽やかな天気ですし、あの樹の下でお茶でもしませんか?」
「お誘いは嬉しいですが、先程は暑いと仰ってませんでした?」
記憶力抜群の彼女は、見事なツッコミをして返す。
「そ、そんな話をしましたのかなあ?
忘れてしまったな。
ハハハ…、なぁアンゲロス!」
「ああっ!ぜひ、お願いします。
お美しい令嬢と、お茶をご一緒したいですなー」
棒読みだったが、気を良くして令嬢は申し出を受けた。
どんな話になるか。
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