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第6章
15 予想外な関係
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午前中の授業が終わると女官たちに、ブルネール侯爵令嬢が何処で何してるかと話をすると意外な情報を教えてくれた。
「ブルネール侯爵令嬢ですか?
マイヤー伯爵様と御令息とで、楽しくお茶の予定です」
「お茶ですって!?」
「はい、連日楽しそうにお話をされてますよ。
伯爵様と侯爵令嬢は、気が合うのか気が合うようです」
女官たちがにこやかに、ブルネール侯爵令嬢サラの近況を答えてくれた。
「いつの間に、そんな関係になっていたの。
マイヤー伯爵令息でなく、父上の伯爵様とサラ様がお茶をしてるの?」
「サンダース伯爵令嬢。
そんな意味深な言い方は、人前ではお控え下さい。
マイヤー伯爵は、お嬢様がいらっしゃらないから嬉しいのですよ」
「まるで父娘の様で、見ていて微笑ましい様子です。
お茶の担当者も、側にいて楽しいと話しておりました」
『サラ様ったら。
父親と仲良くなってから、ジョージ様を囲うつもりなの。
なんかもう、ずる賢くて強い。
エドワード殿下の婚約者候補の一番手だっただけあるわ』
「そう、仲良いところお邪魔して悪いですがー。
マイヤー伯爵様に、私がお会いしたいと伝えてくれない。
お帰りになられた方々の件についてと加えて、これは出来たら内密にしてね」
雨乞いの巫女を引き受けたマティルダに、女官たちも薄々は裏のやり取りを知っていた。
「畏まりました。サンダース伯爵令嬢」
誰もいない廊下で別々になり、彼女は独りになるとこれから話す話題を予想する。
昼食まで休んでいると、メイドからメッセージカードを渡される。
中身を確認して返事を持ってかえるまでが、彼女の仕事みたいで私の目に入る場所に控える。
「マイヤー伯爵にお受け致しますと返事をして下さる」
静かなお辞儀をして出ていくと、昨夜見た夢を思い出そうとしていた。
『ブライオンって、名を何処かで聞いたことはあるような。
学園の学生名だったかなぁ…』
雨上がりの濡れた地面が蒸発して、ムシムシして体がダルく感じた。
顔の額の汗がジワジワし滲み拭いも吹き出してげんなりし、お行儀悪いがグッタリ気味でソファーに横座りする。
昼食は、思い思い好きな人たちと自由にしていた。
朝食と夕食は王族たちからのお招きを頂いたら、こちらを何があろうが優先する。
何せ王の尊顔を見てるとは全貴族が喉から手が出るほどの望みだ。
「マイヤー伯爵様にジョージ様、お招き頂き有り難うございます」
「いやいや、食事をしながら例の話をしよう。
皿を出し終えたら、君らは下がってくれ」
マイヤー伯爵の言いようだと、込み入った話になりそう。
ジョージ様も、珍しく表情が真面目にしている。
「ゴーダン辺境伯爵が、私にも会いに来たよ。
凄く慌てて彼が言うもんだから、知らないふりするのに苦労したぞ!ハハハ」
「父上、お人が悪いです。
しかし、あんなに普通は偉そうに頼むものですか。
話を聞いて呆れ返った」
「私にはあの方々は、マイヤー伯爵より上から目線でした。
ムカムカしてきて、言ってはいけない事を言いそうでしたわ」
マティルダのおどけた話し方に、親子は同時に笑いが起こる。
「アッハハハ、サンダース伯爵令嬢の祈りが通じましたな。
それも雨だけでなく雷が落ちまくり、山火事とか踏んだり蹴ったりだったと喚いていた」
前で笑う伯爵は、大喜びで息子のジョージは引き気味である。
「父上…、言い過ぎですよ」
「それなら別に、川を塞き止めてなくてよかったですね。
山火事は予想外な展開でした」
「サンダース伯爵令嬢、山火事で燃えた大木が川の流れを止めた。
その後に大雨が降っている。
今は止んだかどうかは分からないが、被害は甚大だろう」
怖いぐらいに当たった彼女に、マイヤー伯爵令息は怖くなる。
「まだどれくらいかは、詳しくは分からない。
ゴーダン辺境伯は教示が高いから、頭を下げて頼むのは余程だな。
当分は立場逆転で、私は気分が良い!わーははは」
高笑いの伯爵は、今まで我慢してきたのを爆発させている。
「マティルダ嬢の発言通りになった。
君は見えていたのか?
この未来がー」
ジョージ様はさっきから、マティルダに見えない壁を立てているように感じた。
「気持ち悪いですよね。
たまたま、当たっちゃった。
そんな感じです。
あの~、最近はブルネール侯爵令嬢とお二人はお茶を嗜んでいるとかー」
今度は、逆質問でマティルダは気になっていた話題をふる。
息子のジョージの顔が赤くなってきているのを、彼女は見逃さなかった。
侯爵令嬢サラの身分違いの初恋は、奇跡を起こし成就するのか。
「ブルネール侯爵令嬢ですか?
マイヤー伯爵様と御令息とで、楽しくお茶の予定です」
「お茶ですって!?」
「はい、連日楽しそうにお話をされてますよ。
伯爵様と侯爵令嬢は、気が合うのか気が合うようです」
女官たちがにこやかに、ブルネール侯爵令嬢サラの近況を答えてくれた。
「いつの間に、そんな関係になっていたの。
マイヤー伯爵令息でなく、父上の伯爵様とサラ様がお茶をしてるの?」
「サンダース伯爵令嬢。
そんな意味深な言い方は、人前ではお控え下さい。
マイヤー伯爵は、お嬢様がいらっしゃらないから嬉しいのですよ」
「まるで父娘の様で、見ていて微笑ましい様子です。
お茶の担当者も、側にいて楽しいと話しておりました」
『サラ様ったら。
父親と仲良くなってから、ジョージ様を囲うつもりなの。
なんかもう、ずる賢くて強い。
エドワード殿下の婚約者候補の一番手だっただけあるわ』
「そう、仲良いところお邪魔して悪いですがー。
マイヤー伯爵様に、私がお会いしたいと伝えてくれない。
お帰りになられた方々の件についてと加えて、これは出来たら内密にしてね」
雨乞いの巫女を引き受けたマティルダに、女官たちも薄々は裏のやり取りを知っていた。
「畏まりました。サンダース伯爵令嬢」
誰もいない廊下で別々になり、彼女は独りになるとこれから話す話題を予想する。
昼食まで休んでいると、メイドからメッセージカードを渡される。
中身を確認して返事を持ってかえるまでが、彼女の仕事みたいで私の目に入る場所に控える。
「マイヤー伯爵にお受け致しますと返事をして下さる」
静かなお辞儀をして出ていくと、昨夜見た夢を思い出そうとしていた。
『ブライオンって、名を何処かで聞いたことはあるような。
学園の学生名だったかなぁ…』
雨上がりの濡れた地面が蒸発して、ムシムシして体がダルく感じた。
顔の額の汗がジワジワし滲み拭いも吹き出してげんなりし、お行儀悪いがグッタリ気味でソファーに横座りする。
昼食は、思い思い好きな人たちと自由にしていた。
朝食と夕食は王族たちからのお招きを頂いたら、こちらを何があろうが優先する。
何せ王の尊顔を見てるとは全貴族が喉から手が出るほどの望みだ。
「マイヤー伯爵様にジョージ様、お招き頂き有り難うございます」
「いやいや、食事をしながら例の話をしよう。
皿を出し終えたら、君らは下がってくれ」
マイヤー伯爵の言いようだと、込み入った話になりそう。
ジョージ様も、珍しく表情が真面目にしている。
「ゴーダン辺境伯爵が、私にも会いに来たよ。
凄く慌てて彼が言うもんだから、知らないふりするのに苦労したぞ!ハハハ」
「父上、お人が悪いです。
しかし、あんなに普通は偉そうに頼むものですか。
話を聞いて呆れ返った」
「私にはあの方々は、マイヤー伯爵より上から目線でした。
ムカムカしてきて、言ってはいけない事を言いそうでしたわ」
マティルダのおどけた話し方に、親子は同時に笑いが起こる。
「アッハハハ、サンダース伯爵令嬢の祈りが通じましたな。
それも雨だけでなく雷が落ちまくり、山火事とか踏んだり蹴ったりだったと喚いていた」
前で笑う伯爵は、大喜びで息子のジョージは引き気味である。
「父上…、言い過ぎですよ」
「それなら別に、川を塞き止めてなくてよかったですね。
山火事は予想外な展開でした」
「サンダース伯爵令嬢、山火事で燃えた大木が川の流れを止めた。
その後に大雨が降っている。
今は止んだかどうかは分からないが、被害は甚大だろう」
怖いぐらいに当たった彼女に、マイヤー伯爵令息は怖くなる。
「まだどれくらいかは、詳しくは分からない。
ゴーダン辺境伯は教示が高いから、頭を下げて頼むのは余程だな。
当分は立場逆転で、私は気分が良い!わーははは」
高笑いの伯爵は、今まで我慢してきたのを爆発させている。
「マティルダ嬢の発言通りになった。
君は見えていたのか?
この未来がー」
ジョージ様はさっきから、マティルダに見えない壁を立てているように感じた。
「気持ち悪いですよね。
たまたま、当たっちゃった。
そんな感じです。
あの~、最近はブルネール侯爵令嬢とお二人はお茶を嗜んでいるとかー」
今度は、逆質問でマティルダは気になっていた話題をふる。
息子のジョージの顔が赤くなってきているのを、彼女は見逃さなかった。
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