117 / 207
第6章
3 真夜中の談話
しおりを挟む
フクロウがホウホウーと鳴く声が遠くから聞こえるくらい、夜の静けさが際立っている。
声変わりしてない。
女の子のような声の主はー。
「どうして、ここに?
アドニス殿下、深夜にどうなされたのですか?」
「それは、先にこの僕が知りたいよ。
こんな夜中に、エド兄様となんで二人で一緒にいるさ!」
「おい、声が大きいぞ。
二人とも、少し静かに!」
「「殿下 ( 兄上 ) もです!」」
ここで我に返り、冷静になろうとした3人である。
あれからかなり時が経つ、全然人が誰も通らない。
「しかし、警備は何してるんだ。
誰、独り通らないじゃないか」
エドワードは避暑地でもゆるゆるさに、警備する騎士たちの怠慢に不安を感じる。
「まぁまぁ。
だから、私たちは落ち着いて談話ができるのです。
許してあげて下さい」
「マティルダは優しいな。
それより何で、二人はここに居たんです」
二人の関係を疑る彼は、暗闇の中で顔を真っ赤にしていた。
『兄上とマティルダは、内緒で付き合っていたのか?
嘘をついて、何でもない振りをしていた』
頭の中は、怪しみ疑う事ばかりを考えていた。
イライラする感情は、嫉妬心である。
「お前こそ、真夜中にマティルダを探し回って怪しいぞ」
マティルダもそれを不審に感じていて、どう聞き出そうかと考えていた矢先であった。
『おお、エドワード殿下!
それを伺いたかったのよ!』
マティルダは目を覚めながら、イヤッ目を爛々として彼を見つめていた。
『兄をー。
あんな目で見てるなんて、まさかー!!
好きになってしまったのか?
僕より背も高いし、大人だからか?』
アドニスはマティルダに指摘されてから、僕から私呼びに代えていたのを忘れてしまう。
たまに、素に戻るのである。
感情が自制出来ずにいる時だ。
「夢の中で、君が泣いていた。
だから気になって…。
それで、健やかに寝てるか確認しに部屋に行ったら……。
マティルダがベッドに居なかった」
2人はアドニスの話を聞いて、ギョッとして同時に同じことを感じていた。
「お前!?
深夜に、令嬢の寝室に忍び込んだのか。
変態……、なのか?」
「違う!初めてしたんだ!
行くのを躊躇ったけど、気になって寝られなくなって……。
だから、そっと覗こうと思ってー。
マティルダの様子を確認するだけだよ」
「アドニス王子、こんなことをするのは最後にして下さいませ。
私だから笑って許しますが、他人でしたら犯罪です。
思い込み激しい令嬢もおりますので、危険な行為でございます」
彼女は、まるで乳母のように言い聞かす。
二人の関係が微妙であるのを、エドワードは確認して苦笑いをした。
「そうでしたか。
偶然にマティルダが兄上を見つけて、ここで話をされていただけですか」
「彼女の夢の話を聞いていた。
夢の中でサンダース伯爵が倒れたの見て、眠れずにさ迷っていたそうだ」
お腹空いて調理場に忍び込もうとしたのは、二人には言わないでおこう。
都合のいい言われ方をしてもらい、彼女は微笑みでエドワードの話を肯定する。
「私とメアリーは話を聞かされていないから、サンダース伯爵がどうして倒れた理由は詳しく知らない」
「そのうち、全部が判明したら噂されますわ。
こういう話は、皆様本当にお好きですからね」
お茶会やパーティーの話題になるだろう。
アリエールは学園に戻れないだろうし、ハロルドはどうするんだろうか。
私はハロルドと婚約破棄出来るだろうか?
「何もかも捨てて、新しく人生を歩みたくなりました。
私はこの先、どうなるか不安で寝れそうもありませんわ」
空腹で寝れないなんて、ご令嬢の彼女には口に出せない。
「マティルダ…、僕が守るよ」
「はいはい、アドニス殿下。
誰これ構わず言ってはダメですよ。王子様たちは特にね」
「ふう、眠くなってきたな。
誰にも見つからずに、そろそろ部屋に戻らないか?」
エドワード王子の提案に私たちも従って、立ち上がって部屋に帰るためにバラバラになる。
「サンダース伯爵令嬢。
留学の話を考えてくれないか。
君も満更ではないだろう」
瞳を大きくした自分に目を細めてるエドワード殿下を、一礼してからきびし返す。
『私の考えなんて、彼には手に取るように分かってしまうのね。
生まれながらの王太子殿下だけあるわ』
悩んで考えても、どちらに転ぶか予想はできない。
なら、悩んでも仕方ないこと。
もう1度寝て忘れてしまおうと
、彼女は窓の外を見上げて夜空に輝く星たちに誓っていた。
声変わりしてない。
女の子のような声の主はー。
「どうして、ここに?
アドニス殿下、深夜にどうなされたのですか?」
「それは、先にこの僕が知りたいよ。
こんな夜中に、エド兄様となんで二人で一緒にいるさ!」
「おい、声が大きいぞ。
二人とも、少し静かに!」
「「殿下 ( 兄上 ) もです!」」
ここで我に返り、冷静になろうとした3人である。
あれからかなり時が経つ、全然人が誰も通らない。
「しかし、警備は何してるんだ。
誰、独り通らないじゃないか」
エドワードは避暑地でもゆるゆるさに、警備する騎士たちの怠慢に不安を感じる。
「まぁまぁ。
だから、私たちは落ち着いて談話ができるのです。
許してあげて下さい」
「マティルダは優しいな。
それより何で、二人はここに居たんです」
二人の関係を疑る彼は、暗闇の中で顔を真っ赤にしていた。
『兄上とマティルダは、内緒で付き合っていたのか?
嘘をついて、何でもない振りをしていた』
頭の中は、怪しみ疑う事ばかりを考えていた。
イライラする感情は、嫉妬心である。
「お前こそ、真夜中にマティルダを探し回って怪しいぞ」
マティルダもそれを不審に感じていて、どう聞き出そうかと考えていた矢先であった。
『おお、エドワード殿下!
それを伺いたかったのよ!』
マティルダは目を覚めながら、イヤッ目を爛々として彼を見つめていた。
『兄をー。
あんな目で見てるなんて、まさかー!!
好きになってしまったのか?
僕より背も高いし、大人だからか?』
アドニスはマティルダに指摘されてから、僕から私呼びに代えていたのを忘れてしまう。
たまに、素に戻るのである。
感情が自制出来ずにいる時だ。
「夢の中で、君が泣いていた。
だから気になって…。
それで、健やかに寝てるか確認しに部屋に行ったら……。
マティルダがベッドに居なかった」
2人はアドニスの話を聞いて、ギョッとして同時に同じことを感じていた。
「お前!?
深夜に、令嬢の寝室に忍び込んだのか。
変態……、なのか?」
「違う!初めてしたんだ!
行くのを躊躇ったけど、気になって寝られなくなって……。
だから、そっと覗こうと思ってー。
マティルダの様子を確認するだけだよ」
「アドニス王子、こんなことをするのは最後にして下さいませ。
私だから笑って許しますが、他人でしたら犯罪です。
思い込み激しい令嬢もおりますので、危険な行為でございます」
彼女は、まるで乳母のように言い聞かす。
二人の関係が微妙であるのを、エドワードは確認して苦笑いをした。
「そうでしたか。
偶然にマティルダが兄上を見つけて、ここで話をされていただけですか」
「彼女の夢の話を聞いていた。
夢の中でサンダース伯爵が倒れたの見て、眠れずにさ迷っていたそうだ」
お腹空いて調理場に忍び込もうとしたのは、二人には言わないでおこう。
都合のいい言われ方をしてもらい、彼女は微笑みでエドワードの話を肯定する。
「私とメアリーは話を聞かされていないから、サンダース伯爵がどうして倒れた理由は詳しく知らない」
「そのうち、全部が判明したら噂されますわ。
こういう話は、皆様本当にお好きですからね」
お茶会やパーティーの話題になるだろう。
アリエールは学園に戻れないだろうし、ハロルドはどうするんだろうか。
私はハロルドと婚約破棄出来るだろうか?
「何もかも捨てて、新しく人生を歩みたくなりました。
私はこの先、どうなるか不安で寝れそうもありませんわ」
空腹で寝れないなんて、ご令嬢の彼女には口に出せない。
「マティルダ…、僕が守るよ」
「はいはい、アドニス殿下。
誰これ構わず言ってはダメですよ。王子様たちは特にね」
「ふう、眠くなってきたな。
誰にも見つからずに、そろそろ部屋に戻らないか?」
エドワード王子の提案に私たちも従って、立ち上がって部屋に帰るためにバラバラになる。
「サンダース伯爵令嬢。
留学の話を考えてくれないか。
君も満更ではないだろう」
瞳を大きくした自分に目を細めてるエドワード殿下を、一礼してからきびし返す。
『私の考えなんて、彼には手に取るように分かってしまうのね。
生まれながらの王太子殿下だけあるわ』
悩んで考えても、どちらに転ぶか予想はできない。
なら、悩んでも仕方ないこと。
もう1度寝て忘れてしまおうと
、彼女は窓の外を見上げて夜空に輝く星たちに誓っていた。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
あなたには彼女がお似合いです
風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。
妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。
でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。
ずっとあなたが好きでした。
あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。
でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。
公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう?
あなたのために婚約を破棄します。
だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。
たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに――
※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる