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第6章
2 夏の夜の幽霊
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やけに現実味があったのは、あの母が泣き叫ぶ姿を初めて見たからだ。
夢の中か現実かー。
彼女は何を見て、そんなに理性を無くしてるんだろう。
マティルダは、その先に倒れている男の人の顔を見ようとした。
『お父様?
お父様がー、たおれた…の?』
光が……、目が眩しい!
目を開けて天井を暫く眺めていると、これは夢だと。
「あ…、倒れたのは父だった。
大丈夫だったのだろうか」
ゆっくり起き上がると、真っ暗の部屋をぐるりと見渡す。
窓が少し開いていて風が流れてコチラに吹いてくる。
お腹が空いてしまっていた。
「あの後、横になって寝てしまったのね。
何時頃かしら?
調理場に行けば、何かしら食べ物あるかなぁ?」
空腹でフラフラ力なく彼女は部屋を出て、廊下を歩くが一人も人に会うこともない。
『もう夜中で、就寝時間だったりして……。
部屋に戻って、我慢して寝て朝を待とう!』
くるりと戻ろうとしたら、庭に繋がる場所に椅子に座る人影がある。
「ゆ、幽霊!?ヒィ!」
「誰だ!私は幽霊じゃない」
「エドワード殿下じゃないですか。
こんな時間で、こんな場所で何してるんですか?」
私が近寄ると、お菓子がテーブルに置いてある。
物欲しそうにお菓子を見ている彼女は口が半開きで、ヨダレが出そう。
「マティルダは、夕食を食べてないのか?」
「ええ、話を聞いた後に疲れたのか。
横になったら寝てしまって」
食べなよって有り難くも言ってくれて、彼女はお礼を述べてパクパク食べ始める。
「寝られないのですか?」
「う…ん。
短期間で色々あって、一人になって考えたいと思っていたんだ」
「ああ……、お邪魔でしたね。
お菓子食べたので帰ります」
食べるだけ食べると、用は済んだと部屋に戻ろうとする。
「空気読んで、殿下お悩みですか?
私でよければお聞きしても良いですか?って言わないか」
「殿下、お話だけでも聞きましょうか?」
#捻__ひね__りもなく、そのまま棒読みで言われた。
エドワードは話したくなくなる。
「私には、男として魅力がなかったのだろうか。
3人の婚約候補がいて、一人も側に居ない。
そんなにダメな男とは、自分でも思わなかったのだ」
静かすぎて、殿下も暗すぎる。
慰めなくてはいけない。
「普通の男性だと、私は思います。
顔は普通以上に整っておりますし、性格も悪くはございません。
ご縁が無かっただけで、次ぎがございますよ。
まだまだお若いし、…ねっ!」
「普通、普通って有り難う。
令嬢の好きな気の利いた会話も出来ない。
面白味ない男だよ」
夕食のワインをお酒を飲み過ぎたか?
絡み酒のウザい親父のようだ。
「いやいや、この世には変わった人は多いし。
この国だけしか、人間が居ないわけでもない。
隣国へ行けばどうですか?」
「隣国か……。
この国じゃあ、もう無理っぽい。
私に引っ掛かってくれる。
おっちょこちょいの女性が現れだろうか」
卑屈な性格の持ち主だったんだ。
爽やかな優等生だと思ったんけど。
エドワード殿下に裏切られたわ。
「男性より、私たち女性の方が難しいのです。
若ければ売れるので、婚約者なしの私たちはこれからが大変なんですよ!」
「私のせいなのか?
彼女たちも私の身分だけが魅力って、酷い捨て台詞で去って行った」
男のクセに、とうとう愚痴まで言い出したぞ。
面倒になってきたー!
誰も通らないかな~。
「あれっ?もうこんな時間!
男と女が、二人きりで夜分はいけまけんわ。
では、これにて失礼をー」
立ち上がると、エドワードがマティルダの手を握る。
「サンダース伯爵令嬢も、私と隣国へ留学に行かないか。
お付きのメイド扱いで、どうだろう?」
もう一度座り直して、留学しようかとマティルダは考え始める。
「殿下よりも、私の方が居場所ない。
伯爵の娘と思っていたのに、出自は誰の子か分からない。
親も無しで、まるで孤児の気分だわ」
「サンダース伯爵が、これからどうなるか不安だろう。
君がついてくれば、両親に今後の身の振り方を頼んであげるぞ」
おおー、これはいい条件だ!
夏休み後に、このまま隣国行って現実逃避もありだよね。
「素敵な申し出ですわ。
無料で隣国で勉強できる。
こんな好条件はありません」
二人きりでこんな話し合いをしていたら、暗闇から声がまたした。
「マティルダ?!
こんな時間に、このような場で何してる!」
パタパタ足音すると、怒ったような見知った人が現れる。
こんな時間は、何時か知らない。
意外な人物がまた現れて、彼女にとっては思いがけない修羅場がきた。
夢の中か現実かー。
彼女は何を見て、そんなに理性を無くしてるんだろう。
マティルダは、その先に倒れている男の人の顔を見ようとした。
『お父様?
お父様がー、たおれた…の?』
光が……、目が眩しい!
目を開けて天井を暫く眺めていると、これは夢だと。
「あ…、倒れたのは父だった。
大丈夫だったのだろうか」
ゆっくり起き上がると、真っ暗の部屋をぐるりと見渡す。
窓が少し開いていて風が流れてコチラに吹いてくる。
お腹が空いてしまっていた。
「あの後、横になって寝てしまったのね。
何時頃かしら?
調理場に行けば、何かしら食べ物あるかなぁ?」
空腹でフラフラ力なく彼女は部屋を出て、廊下を歩くが一人も人に会うこともない。
『もう夜中で、就寝時間だったりして……。
部屋に戻って、我慢して寝て朝を待とう!』
くるりと戻ろうとしたら、庭に繋がる場所に椅子に座る人影がある。
「ゆ、幽霊!?ヒィ!」
「誰だ!私は幽霊じゃない」
「エドワード殿下じゃないですか。
こんな時間で、こんな場所で何してるんですか?」
私が近寄ると、お菓子がテーブルに置いてある。
物欲しそうにお菓子を見ている彼女は口が半開きで、ヨダレが出そう。
「マティルダは、夕食を食べてないのか?」
「ええ、話を聞いた後に疲れたのか。
横になったら寝てしまって」
食べなよって有り難くも言ってくれて、彼女はお礼を述べてパクパク食べ始める。
「寝られないのですか?」
「う…ん。
短期間で色々あって、一人になって考えたいと思っていたんだ」
「ああ……、お邪魔でしたね。
お菓子食べたので帰ります」
食べるだけ食べると、用は済んだと部屋に戻ろうとする。
「空気読んで、殿下お悩みですか?
私でよければお聞きしても良いですか?って言わないか」
「殿下、お話だけでも聞きましょうか?」
#捻__ひね__りもなく、そのまま棒読みで言われた。
エドワードは話したくなくなる。
「私には、男として魅力がなかったのだろうか。
3人の婚約候補がいて、一人も側に居ない。
そんなにダメな男とは、自分でも思わなかったのだ」
静かすぎて、殿下も暗すぎる。
慰めなくてはいけない。
「普通の男性だと、私は思います。
顔は普通以上に整っておりますし、性格も悪くはございません。
ご縁が無かっただけで、次ぎがございますよ。
まだまだお若いし、…ねっ!」
「普通、普通って有り難う。
令嬢の好きな気の利いた会話も出来ない。
面白味ない男だよ」
夕食のワインをお酒を飲み過ぎたか?
絡み酒のウザい親父のようだ。
「いやいや、この世には変わった人は多いし。
この国だけしか、人間が居ないわけでもない。
隣国へ行けばどうですか?」
「隣国か……。
この国じゃあ、もう無理っぽい。
私に引っ掛かってくれる。
おっちょこちょいの女性が現れだろうか」
卑屈な性格の持ち主だったんだ。
爽やかな優等生だと思ったんけど。
エドワード殿下に裏切られたわ。
「男性より、私たち女性の方が難しいのです。
若ければ売れるので、婚約者なしの私たちはこれからが大変なんですよ!」
「私のせいなのか?
彼女たちも私の身分だけが魅力って、酷い捨て台詞で去って行った」
男のクセに、とうとう愚痴まで言い出したぞ。
面倒になってきたー!
誰も通らないかな~。
「あれっ?もうこんな時間!
男と女が、二人きりで夜分はいけまけんわ。
では、これにて失礼をー」
立ち上がると、エドワードがマティルダの手を握る。
「サンダース伯爵令嬢も、私と隣国へ留学に行かないか。
お付きのメイド扱いで、どうだろう?」
もう一度座り直して、留学しようかとマティルダは考え始める。
「殿下よりも、私の方が居場所ない。
伯爵の娘と思っていたのに、出自は誰の子か分からない。
親も無しで、まるで孤児の気分だわ」
「サンダース伯爵が、これからどうなるか不安だろう。
君がついてくれば、両親に今後の身の振り方を頼んであげるぞ」
おおー、これはいい条件だ!
夏休み後に、このまま隣国行って現実逃避もありだよね。
「素敵な申し出ですわ。
無料で隣国で勉強できる。
こんな好条件はありません」
二人きりでこんな話し合いをしていたら、暗闇から声がまたした。
「マティルダ?!
こんな時間に、このような場で何してる!」
パタパタ足音すると、怒ったような見知った人が現れる。
こんな時間は、何時か知らない。
意外な人物がまた現れて、彼女にとっては思いがけない修羅場がきた。
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