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第5章
25 王女の涙
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勉強を教えたり泳ぎを教えたり、マティルダはなるべく忙しく動いていた。
両殿下たちも、あれからは一切あの話題をしなかった。
普通に接するのが、彼女にとって1番だと兄妹は話し合っていた。
「エドワードお兄様は、婚約者候補たちとどうなるのかなぁ?
私は最初から、あのやり方は気に入らなかったのよ」
メアリーは、嫌っている伯爵令嬢たちが避暑地から逃げ去ったのは気分がいい。
王家から選ばれた候補たちで気位が高くなり、これから相手を探すには彼女も少しは気の毒に感じている。
「王太子になりませんで、掌返し過ぎだよ。
そんな令嬢は、男としては好きになれないな」
「アドお兄様は、マティルダがいれば良いのでしょう?
お兄様……、マティルダが貴族じゃないと相手としては無理なんじゃない」
「……、困ったな。
王太子、未来の国王の妃が貴族でないのは不味い。
側室ならなんとか出来るか?!
でも、マティルダはそんなのはならない。
あの性格からして…」
「マティルダなら平民になっても生きていけそうだしね。
アドお兄様をなんか忘れて、私たちの出会いすらなかったと吹っ切りそうだわ」
メアリーはそんなのは嫌だけど、貴族でなければ王族の自分たちと会うのは不可能だ。
「エド兄の知り合いでなければ、私たちは会うこともなかった。
マティルダの父親が隣国でも貴族だったなら、付き合いは出来るんだけどな」
「貴族でも、最低限は伯爵ぐらいないとダメですわ。
あっ、女官で王宮に仕えればいつまでも会えるじゃない!
私に仕えて貰えばいいわ」
冗談じゃないと、妹メアリーを不機嫌に見つめる。
「お前に仕えさせるなら、私付きにする!
お手付きにすれば、側室になれる可能性はある」
汚ならしい者を見る目付きで、実の兄を男として見た。
実際は側室扱いは無理で、王宮の外で囲う愛人になるしかない。
2人はそれを知らないでいた。
「いやらしいわ!
おて、お手付きって何よ!
お兄様って、マティルダをそんな目で見ていらしてましたの!?
いや、いやだあ~!!」
弱い10歳だが、薄々は子供の作り方を詳しくはないが教育されていた。
キャベツの中に赤ん坊がとか、コウノトリが運んでくるとかでは騙されない。
「煩い!それだけ、僕は好きなんだ。
サンダース伯爵令嬢じゃなくても、どこかの貴族が令嬢にしてくれないかなぁ?」
素晴らしい考えだと思うが、誰がそんな物好きなことをしてくれる。
真剣に悩む兄の手助けをしたいと、メアリーはあの人に頼んでみよう行動に出てみた。
第2王女は、上に三人の姉兄を持つ末っ子である。
家族から甘やかされて育てられていたせいで、ちょっと生意気で性格に一癖ある少女。
そんな彼女に気に入られたマティルダは、この先は損なのか得なのか微妙な未来を待っていた。
「ロバート様!いたいた!
何処をフラフラとしてたのです。
足が痛くなるまで、私は探しましたのよ!」
メアリー王女が探してるのを俺知らなかったし、こんなに怒られるのは何故だ?
「これは失礼しました。
ご用はなんでしょうか?
メアリー王女殿下」
「お庭でも散歩して、話しをしましょう。
人に聞かれてたくないのです」
夕暮れ前に風が出始めて気持ちよく、草花も雨のお陰で生き生きして美しかった。
「アンゲロス公爵令息は、マティルダがどんな人か知っていますか?」
「サンダース伯爵令嬢か。
彼女は男女関係なく成績は良いし、身分の上下の礼儀として立ち回りは出来るし賢いよね」
「私が親密になったのは、出会って1ヶ月間だけです。
前から王宮で遠くで見たり、挨拶を何度か交わしたぐらいでした」
「メアリー王女には、お互いに砕けた感じがします。
エドワードの婚約者候補には、一歩引いて見えない壁があった」
そうそうと首を振り、自分たちの親しい関係をロバートに説明する。
「将来が心配なのよ。
彼女が貴族で失くなったら、マティルダとお話も会うのも難しいわ」
「その2つは、確実に出来なくなります。
貴女様は王族ですからね」
ドレスを両手で握りしめると、公爵令息に意を決して質問する。
「そんなの、そんなのはイヤ。
お願いよ!
ロバート様の家、アンゲロス公爵家でマティルダを養女にして!」
いきなりの王女の頼み事に彼は驚き、彼女の様子を観察する。
綺麗な青い瞳から透明な涙が流れ出していた。
彼は用意してあったハンカチーフを取り出して、彼女に合わせて膝を折って頬に流れ落ちる涙を優しく拭く。
初めて見た、心から流した王女の涙であった。
両殿下たちも、あれからは一切あの話題をしなかった。
普通に接するのが、彼女にとって1番だと兄妹は話し合っていた。
「エドワードお兄様は、婚約者候補たちとどうなるのかなぁ?
私は最初から、あのやり方は気に入らなかったのよ」
メアリーは、嫌っている伯爵令嬢たちが避暑地から逃げ去ったのは気分がいい。
王家から選ばれた候補たちで気位が高くなり、これから相手を探すには彼女も少しは気の毒に感じている。
「王太子になりませんで、掌返し過ぎだよ。
そんな令嬢は、男としては好きになれないな」
「アドお兄様は、マティルダがいれば良いのでしょう?
お兄様……、マティルダが貴族じゃないと相手としては無理なんじゃない」
「……、困ったな。
王太子、未来の国王の妃が貴族でないのは不味い。
側室ならなんとか出来るか?!
でも、マティルダはそんなのはならない。
あの性格からして…」
「マティルダなら平民になっても生きていけそうだしね。
アドお兄様をなんか忘れて、私たちの出会いすらなかったと吹っ切りそうだわ」
メアリーはそんなのは嫌だけど、貴族でなければ王族の自分たちと会うのは不可能だ。
「エド兄の知り合いでなければ、私たちは会うこともなかった。
マティルダの父親が隣国でも貴族だったなら、付き合いは出来るんだけどな」
「貴族でも、最低限は伯爵ぐらいないとダメですわ。
あっ、女官で王宮に仕えればいつまでも会えるじゃない!
私に仕えて貰えばいいわ」
冗談じゃないと、妹メアリーを不機嫌に見つめる。
「お前に仕えさせるなら、私付きにする!
お手付きにすれば、側室になれる可能性はある」
汚ならしい者を見る目付きで、実の兄を男として見た。
実際は側室扱いは無理で、王宮の外で囲う愛人になるしかない。
2人はそれを知らないでいた。
「いやらしいわ!
おて、お手付きって何よ!
お兄様って、マティルダをそんな目で見ていらしてましたの!?
いや、いやだあ~!!」
弱い10歳だが、薄々は子供の作り方を詳しくはないが教育されていた。
キャベツの中に赤ん坊がとか、コウノトリが運んでくるとかでは騙されない。
「煩い!それだけ、僕は好きなんだ。
サンダース伯爵令嬢じゃなくても、どこかの貴族が令嬢にしてくれないかなぁ?」
素晴らしい考えだと思うが、誰がそんな物好きなことをしてくれる。
真剣に悩む兄の手助けをしたいと、メアリーはあの人に頼んでみよう行動に出てみた。
第2王女は、上に三人の姉兄を持つ末っ子である。
家族から甘やかされて育てられていたせいで、ちょっと生意気で性格に一癖ある少女。
そんな彼女に気に入られたマティルダは、この先は損なのか得なのか微妙な未来を待っていた。
「ロバート様!いたいた!
何処をフラフラとしてたのです。
足が痛くなるまで、私は探しましたのよ!」
メアリー王女が探してるのを俺知らなかったし、こんなに怒られるのは何故だ?
「これは失礼しました。
ご用はなんでしょうか?
メアリー王女殿下」
「お庭でも散歩して、話しをしましょう。
人に聞かれてたくないのです」
夕暮れ前に風が出始めて気持ちよく、草花も雨のお陰で生き生きして美しかった。
「アンゲロス公爵令息は、マティルダがどんな人か知っていますか?」
「サンダース伯爵令嬢か。
彼女は男女関係なく成績は良いし、身分の上下の礼儀として立ち回りは出来るし賢いよね」
「私が親密になったのは、出会って1ヶ月間だけです。
前から王宮で遠くで見たり、挨拶を何度か交わしたぐらいでした」
「メアリー王女には、お互いに砕けた感じがします。
エドワードの婚約者候補には、一歩引いて見えない壁があった」
そうそうと首を振り、自分たちの親しい関係をロバートに説明する。
「将来が心配なのよ。
彼女が貴族で失くなったら、マティルダとお話も会うのも難しいわ」
「その2つは、確実に出来なくなります。
貴女様は王族ですからね」
ドレスを両手で握りしめると、公爵令息に意を決して質問する。
「そんなの、そんなのはイヤ。
お願いよ!
ロバート様の家、アンゲロス公爵家でマティルダを養女にして!」
いきなりの王女の頼み事に彼は驚き、彼女の様子を観察する。
綺麗な青い瞳から透明な涙が流れ出していた。
彼は用意してあったハンカチーフを取り出して、彼女に合わせて膝を折って頬に流れ落ちる涙を優しく拭く。
初めて見た、心から流した王女の涙であった。
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