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第5章
18 伯爵家の秘密 ④
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食事をしていたメイドと、殺されかけた男も憲兵に連れて行かれた。
見せしめなのか、歩いて娘のいる塔へ向かい歩かせられる。
夜空の下で暑さで外で食事や酒を飲んでいる人たちだけが、気づきカーラを見てコソコソと話をする。
外でワインを独りで飲んでいた、夫サンダース伯爵もその場に一人だ。
「……!カーラ?!」
夜目で見に難いが、自分の妻の顔を見間違えをするわけがない。
縄で拘束され歩く妻を、驚いて本名を口にしてしまう。
「ま、待ってくれー!
セ…、セリメーヌ!!」
久しぶりに、この名を声に出す。
自分の亡くなった妻の名前をー。
カーラは、この名で呼ばれるのを酷く嫌がっていたからだ。
「貴方、旦那様ー!助けて!」
腕を彼に向けたいがその両腕は動かせず、見開く目が潤みがちになる。
「妻になんで、縄をかけているんだ!
何をして、こんな事をするのだ!」
暗闇から声が聞こえる。
それは、またしてもマイヤー伯爵。
彼は王妃から命じられて、サンダース伯爵を密かに調査していたのだ。
「この女性はセリメーヌ・サンダース伯爵夫人ではない!
カーラと言う名前だろう!?」
「違う!セリメーヌだ!
私のー」
「とにかく!
話を聞かなくてはならない。
彼女は罪を犯したのだ。
まだ確定してないので、ちゃんとした部屋だから安心だな」
「貴方ー!
私は何もしてないわ。
したのは、このメイドよ!」
後方でその会話を聞いて、彼女は主人への忠誠心を失った瞬間であった。
事情聴取で、洗いざらい話そうとメイドは決心する。
近くで殺しかけていた男に、そっと独り言のように声をかけた。
「貴方も、本当の事を話した方がいいわ。
私は、夫人から嘘を聞かされてしまったの。
そして、薬を飲ませようとした。
謝るわね。ごめんなさい!」
「俺もスケベ心を出して、アイツから金をせびろうとしたからな。
薬で殺されかけていたなんて、俺はゾッとしたぜ。
……、俺こそ悪かったな。
この女は、お前さんを騙して手伝わせていたんだろう」
根っから悪い人なのかは分からないが、私を助けてくれるような気がした。
取り調べは2日目になって、ワインの成分の結果が出た。
結果は心臓を止める薬で、貴族が自決する時に昔使われた禁止薬。
「君はまだ、自分がサンダース伯爵夫人と偽っているのか?
ワインの中身は、飲めば人を殺めるそうだぞ!」
「……、ですからワインをついだのはメイドよ!
私は、何も知らないわ。
怖いですわね。平民の女はー」
「ハハ、貴女も平民だろう。
裏は取れているんですよ。
サンダース伯爵夫妻の婚姻をした神父が、セリメーヌ様のお顔を覚えておられましてな」
伯爵夫人の顔が崩れ始めて、茶金の瞳を怒りで光らせる。
「覚えてるなんて、嘘で私を騙そうとしているのね。
誘導して認めさせようとー。
騎士道って、姑息に騙して女性を苛めて楽しむことですの!?」
何を言っても、まるで認めないので最終手段に出ることにした。
「入って頂こうか、サンダース伯爵!」
部屋の扉が開くと、自分の夫の姿が見える。
「貴方!迎えに来てくれたのですね。
この方に酷い言葉を、投げ掛けられましたのよ!」
強い味方が現れて、強気に出てくる伯爵夫人。
「済まない、カーラ……。
全てバレてしまったんだ。
もう、何もかも……」
「何を仰っているのですか。
バレたってー、何を?」
彼女は過去の自分を忘れたのか。
信じられないって表情をして、否定して全くもって認めない。
「私が偽って亡くした妻の代わりに、カーラを妻にしたことをだ」
「違うでしょう!
最初から、私は貴方の妻です!
私は、カーラなんて名前ではない。
セリメーヌよ!」
目を見開き夫を説得するように、自分をセリメーヌと言わせようとしていた。
「お前……、狂ったのか。
自分が誰なのかを忘れてしまったのか。
カ、カーラ……」
「私は貴方の妻でしょう。
セリメーヌって、呼んでよ!
カーラって、そんな人ー。
知らないでしょう!?」
このまま、狂ったままでいたら伯爵夫人のままでいられる。
アリエールは彼と私の子供よ。
『あの子は、サンダース伯爵令嬢よ。
例え、私が伯爵夫人で失くなってもー』
お腹を痛めて生んだ子を、意地でも貴族の娘を続けさせようと必死だった。
最後の最後まで、彼女は足枷をかくつもりでいた。
見せしめなのか、歩いて娘のいる塔へ向かい歩かせられる。
夜空の下で暑さで外で食事や酒を飲んでいる人たちだけが、気づきカーラを見てコソコソと話をする。
外でワインを独りで飲んでいた、夫サンダース伯爵もその場に一人だ。
「……!カーラ?!」
夜目で見に難いが、自分の妻の顔を見間違えをするわけがない。
縄で拘束され歩く妻を、驚いて本名を口にしてしまう。
「ま、待ってくれー!
セ…、セリメーヌ!!」
久しぶりに、この名を声に出す。
自分の亡くなった妻の名前をー。
カーラは、この名で呼ばれるのを酷く嫌がっていたからだ。
「貴方、旦那様ー!助けて!」
腕を彼に向けたいがその両腕は動かせず、見開く目が潤みがちになる。
「妻になんで、縄をかけているんだ!
何をして、こんな事をするのだ!」
暗闇から声が聞こえる。
それは、またしてもマイヤー伯爵。
彼は王妃から命じられて、サンダース伯爵を密かに調査していたのだ。
「この女性はセリメーヌ・サンダース伯爵夫人ではない!
カーラと言う名前だろう!?」
「違う!セリメーヌだ!
私のー」
「とにかく!
話を聞かなくてはならない。
彼女は罪を犯したのだ。
まだ確定してないので、ちゃんとした部屋だから安心だな」
「貴方ー!
私は何もしてないわ。
したのは、このメイドよ!」
後方でその会話を聞いて、彼女は主人への忠誠心を失った瞬間であった。
事情聴取で、洗いざらい話そうとメイドは決心する。
近くで殺しかけていた男に、そっと独り言のように声をかけた。
「貴方も、本当の事を話した方がいいわ。
私は、夫人から嘘を聞かされてしまったの。
そして、薬を飲ませようとした。
謝るわね。ごめんなさい!」
「俺もスケベ心を出して、アイツから金をせびろうとしたからな。
薬で殺されかけていたなんて、俺はゾッとしたぜ。
……、俺こそ悪かったな。
この女は、お前さんを騙して手伝わせていたんだろう」
根っから悪い人なのかは分からないが、私を助けてくれるような気がした。
取り調べは2日目になって、ワインの成分の結果が出た。
結果は心臓を止める薬で、貴族が自決する時に昔使われた禁止薬。
「君はまだ、自分がサンダース伯爵夫人と偽っているのか?
ワインの中身は、飲めば人を殺めるそうだぞ!」
「……、ですからワインをついだのはメイドよ!
私は、何も知らないわ。
怖いですわね。平民の女はー」
「ハハ、貴女も平民だろう。
裏は取れているんですよ。
サンダース伯爵夫妻の婚姻をした神父が、セリメーヌ様のお顔を覚えておられましてな」
伯爵夫人の顔が崩れ始めて、茶金の瞳を怒りで光らせる。
「覚えてるなんて、嘘で私を騙そうとしているのね。
誘導して認めさせようとー。
騎士道って、姑息に騙して女性を苛めて楽しむことですの!?」
何を言っても、まるで認めないので最終手段に出ることにした。
「入って頂こうか、サンダース伯爵!」
部屋の扉が開くと、自分の夫の姿が見える。
「貴方!迎えに来てくれたのですね。
この方に酷い言葉を、投げ掛けられましたのよ!」
強い味方が現れて、強気に出てくる伯爵夫人。
「済まない、カーラ……。
全てバレてしまったんだ。
もう、何もかも……」
「何を仰っているのですか。
バレたってー、何を?」
彼女は過去の自分を忘れたのか。
信じられないって表情をして、否定して全くもって認めない。
「私が偽って亡くした妻の代わりに、カーラを妻にしたことをだ」
「違うでしょう!
最初から、私は貴方の妻です!
私は、カーラなんて名前ではない。
セリメーヌよ!」
目を見開き夫を説得するように、自分をセリメーヌと言わせようとしていた。
「お前……、狂ったのか。
自分が誰なのかを忘れてしまったのか。
カ、カーラ……」
「私は貴方の妻でしょう。
セリメーヌって、呼んでよ!
カーラって、そんな人ー。
知らないでしょう!?」
このまま、狂ったままでいたら伯爵夫人のままでいられる。
アリエールは彼と私の子供よ。
『あの子は、サンダース伯爵令嬢よ。
例え、私が伯爵夫人で失くなってもー』
お腹を痛めて生んだ子を、意地でも貴族の娘を続けさせようと必死だった。
最後の最後まで、彼女は足枷をかくつもりでいた。
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