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第5章
2 狙われし者
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凄まじい衝撃に彼女の体は、湖の中に吹き飛ばされてしまい。
静寂な空間と真逆に、その水しぶきが派手な音を立ててあがっていた。
それを待っていたカのように、叩きつける大粒の雨が突如に降りだす。
『雷に打たれたよね?
うん、湖に落ちてしまった!?
それよりも、雨が…。
雨が降りだした?奇跡だわ!
これは、私が起こした事なの!?』
大の字に湖の真ん中で激しい雨に打たれて、彼女は呆然として湖に浮いていた。
何故なんだろう。
マティルダの周辺だけ、激しい雷鳴が鳴り響き落ち続ける。
「ピカッ!ゴロゴロ…。
ドーン!どっかーン!!」
待機していたボートに乗っていた人達も、この爆音に誰もが退くしかない。
「おぉっと、マジ危険だ!
このまま呑気にプカプカ浮かんでいたら、雷にやられてしまうじゃない?!」
正気に戻るマティルダは、自分を狙うかのような雷の数々にビビりだす。
『サンダースのカッパとあだ名がある、この私ー!
こんな無様な格好で、溺死なんて他人様に見せられん!』
縦泳ぎから横泳ぎに変えて、優雅に魚でなくカッパのように泳ぐ。
「こんなのは、朝飯前のスイスイですわ~」
誰にも聞こえないのをいいことに、マティルダは見事な泳ぎで岸に向かう。
ボートへ向かって乗って帰った方が、早く安全だと後で考えるが…。
この状態では、冷静に考えられなかったのである。
王妃たちは大司教たちの隣のテントで儀式を見守っている。
突然の思わない出来事に、普段でない悲鳴をあげてしまった。
「ぎゃーあ~!雷が落ちたわよ!
マティルダがー、サンダース伯爵令嬢が湖に落ちましたわ!」
「落ち着けー、王妃!
落ち着くのじゃあ~!
何をしているのだ、誰ぞー!
早よう、令嬢を助けよー!」
見晴らしいい所で座って見ていたが驚きすぎてか、この国の両陛下は立ち上がりオタオタしている。
また違うテントには、次期王太子のほぼ決定のエドワードがいた。
「マティルダ嬢が、湖に浮いているぞ!
周りにいる者たちは、何をしてるんだ!
ボーッとしてないで、早く誰か助けないか~!」
「エドワード、お前も冷静になれ!
目玉、大きく開けて見ろよ!
あんな雷の集中砲火されていて、お前は助けられるか?
それにマティルダは、ちゃんと泳いで逃げているぞ!」
「……あっ、彼女は泳げたんだ!
私は恥ずかしながら、泳げないんだよ」
別にお前のことは、ここではどうでもいい。
アンゲロス公爵令息はそう思いながら、マティルダの遠泳を軽々するのに感心している。
「女であの距離を泳げる人を、俺は人生で初めて見たよ。
それも、長いドレスを着てだぞ!スゴイぜー!尊敬する」
「ロバートの人生初は、本気でどうでもいい。
順調そうでいいが、彼女の体力がいつまでも持つとは思えない」
公爵令息の的外れな解説に、エドワードはそれでも途中で何かあってからでは遅いと救出するように命じた。
またまた所変わり、ウォーレン大司教の場所である。
「大司教、サンダース伯爵令嬢が雷に打たれたようです。
そのせいで湖に、湖に落ちてしまいましたぁー!」
「うっ…。そ、そのようだな。
サンダース、まさに雷の化身だ!
何故、彼女が選ばれたのか。
今、わかったぞ!
神がー、お側におられた気がした。
おおー、神よー~!」
大声出して騒いでいるが、テントの中で雷が鳴り響き続ける中で身動きも出来ない。
神官も感じたが、神よりも令嬢の生命が大事だった。
「早く助けなくては、伯爵令嬢がー!
令嬢が、泳いでる。
うーぉ泳いでる?
彼女は、泳げるのか!?」
「流石は、雨乞いの儀式に選ばれし巫女。
教皇様の目に、狂いはなかったのだ。
ハハハー、はぁ~」
笑いとため息どころではない。
神官は上司の楽観的なバカ笑いを、下衆な者を見る目付きになる。
『神よー!子羊をお助け下さい!』
1番まっとうで善良な神官はマティルダに目が離せずに、胸にあるロザリオを握りしめると無事を祈り続けていたのである。
静寂な空間と真逆に、その水しぶきが派手な音を立ててあがっていた。
それを待っていたカのように、叩きつける大粒の雨が突如に降りだす。
『雷に打たれたよね?
うん、湖に落ちてしまった!?
それよりも、雨が…。
雨が降りだした?奇跡だわ!
これは、私が起こした事なの!?』
大の字に湖の真ん中で激しい雨に打たれて、彼女は呆然として湖に浮いていた。
何故なんだろう。
マティルダの周辺だけ、激しい雷鳴が鳴り響き落ち続ける。
「ピカッ!ゴロゴロ…。
ドーン!どっかーン!!」
待機していたボートに乗っていた人達も、この爆音に誰もが退くしかない。
「おぉっと、マジ危険だ!
このまま呑気にプカプカ浮かんでいたら、雷にやられてしまうじゃない?!」
正気に戻るマティルダは、自分を狙うかのような雷の数々にビビりだす。
『サンダースのカッパとあだ名がある、この私ー!
こんな無様な格好で、溺死なんて他人様に見せられん!』
縦泳ぎから横泳ぎに変えて、優雅に魚でなくカッパのように泳ぐ。
「こんなのは、朝飯前のスイスイですわ~」
誰にも聞こえないのをいいことに、マティルダは見事な泳ぎで岸に向かう。
ボートへ向かって乗って帰った方が、早く安全だと後で考えるが…。
この状態では、冷静に考えられなかったのである。
王妃たちは大司教たちの隣のテントで儀式を見守っている。
突然の思わない出来事に、普段でない悲鳴をあげてしまった。
「ぎゃーあ~!雷が落ちたわよ!
マティルダがー、サンダース伯爵令嬢が湖に落ちましたわ!」
「落ち着けー、王妃!
落ち着くのじゃあ~!
何をしているのだ、誰ぞー!
早よう、令嬢を助けよー!」
見晴らしいい所で座って見ていたが驚きすぎてか、この国の両陛下は立ち上がりオタオタしている。
また違うテントには、次期王太子のほぼ決定のエドワードがいた。
「マティルダ嬢が、湖に浮いているぞ!
周りにいる者たちは、何をしてるんだ!
ボーッとしてないで、早く誰か助けないか~!」
「エドワード、お前も冷静になれ!
目玉、大きく開けて見ろよ!
あんな雷の集中砲火されていて、お前は助けられるか?
それにマティルダは、ちゃんと泳いで逃げているぞ!」
「……あっ、彼女は泳げたんだ!
私は恥ずかしながら、泳げないんだよ」
別にお前のことは、ここではどうでもいい。
アンゲロス公爵令息はそう思いながら、マティルダの遠泳を軽々するのに感心している。
「女であの距離を泳げる人を、俺は人生で初めて見たよ。
それも、長いドレスを着てだぞ!スゴイぜー!尊敬する」
「ロバートの人生初は、本気でどうでもいい。
順調そうでいいが、彼女の体力がいつまでも持つとは思えない」
公爵令息の的外れな解説に、エドワードはそれでも途中で何かあってからでは遅いと救出するように命じた。
またまた所変わり、ウォーレン大司教の場所である。
「大司教、サンダース伯爵令嬢が雷に打たれたようです。
そのせいで湖に、湖に落ちてしまいましたぁー!」
「うっ…。そ、そのようだな。
サンダース、まさに雷の化身だ!
何故、彼女が選ばれたのか。
今、わかったぞ!
神がー、お側におられた気がした。
おおー、神よー~!」
大声出して騒いでいるが、テントの中で雷が鳴り響き続ける中で身動きも出来ない。
神官も感じたが、神よりも令嬢の生命が大事だった。
「早く助けなくては、伯爵令嬢がー!
令嬢が、泳いでる。
うーぉ泳いでる?
彼女は、泳げるのか!?」
「流石は、雨乞いの儀式に選ばれし巫女。
教皇様の目に、狂いはなかったのだ。
ハハハー、はぁ~」
笑いとため息どころではない。
神官は上司の楽観的なバカ笑いを、下衆な者を見る目付きになる。
『神よー!子羊をお助け下さい!』
1番まっとうで善良な神官はマティルダに目が離せずに、胸にあるロザリオを握りしめると無事を祈り続けていたのである。
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