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第4章
19 書面は保身
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背筋だけでなく全てがピーンと伸ばして、マティルダの緊張が頂点に達していた。
なにせ国王陛下と大司教、揃っていらっしゃる。
中流貴族の小娘なんて、会えない方々が同じ部屋にいるなんてと座っていた。
「マティルダ・サンダース伯爵令嬢。
そなたをこの場に呼んだのは、ここにおる大司教から説明をして頂こう」
司祭服を着ている男性は、微笑みんでマティルダを上から下から隅々まで見ていた。
「初めてお会いします。
サンダース伯爵令嬢。
私はオーレンと申します。
格好でご想像できますでしょうが、教会の者ございます」
彼女が自分に対して、極限まで緊張しているのを空気で感じた。
親近感を持つように心がけ、令嬢に気さくに語りだす。
マティルダは前もって夢を見て、彼の存在を知っていたので挨拶を返してしまう。
「初めましてお目にかかります。
ウォーレン大司教様。
お会いできて、光栄でございます」
「おやっ?大司教って、私は言いましたか?」
「えっ!あ、あの服装がしてそうだと思いまして…。ホホホ」
愛想笑いして、誤魔化した。
うっかり口に出してしまい。
心臓がドキドキして表情に出ないように、気を付けていると顔から汗が吹き出しそうになれ、
「それでですな。サンダース伯爵令嬢」
「はい、はい、大司教様!
もちろん、伺っておりますよ!」
バカな受け答えをして、またまた余計に焦りだす。
「まだ、挨拶しかしておらんぞ」
『この令嬢が、巫女で本当にいいのだろうか?
教皇からの指示だが、他の者じゃないのか!?』
「 口を挟むが、大司教。
サンダース伯爵令嬢は、巫女の件を知っていて先を読み返事をしたのだ。
そうだな、令嬢?」
「左様でございます、陛下」
「ああ、なるほど!
そうであったか、ハハハ」
三者は微妙な空気だが、先に進める大司教。
「教皇から青みかがった金髪に10代半ばで、中流貴族令嬢で選ばれました」
「そのう、髪の色で選ばれたのですか?
あとは、年齢で?」
大司教は無言で頷き、マティルダも頷く。
国王も謎めいた2人のぎこち無いやり取りを見て、雨乞いは失敗する可能性がフト頭によぎる。
『もうそろそろ、雨が降らないと国民が不安になり怒ってしまう。
飢饉だけは免れたいと願う』
神頼みならぬ、マティルダ頼みに急に胃がキリキリしそうになる。
「気楽にやってください。
雨が降らなかったら、また代わりを探しますから。
いい加減、もう雨が降るだろう」
「でしたら、代わりの方に頼まれたらどうですか?
もし、降らなかったら私の責任問題になりませんか?」
「それは……、そうだな」
「どうなるか、わからん」
国の中で権力を持つ人物達が、似たような事を言い出していた。
『そんな~、立場上弱い私はどうなるのですか?
上手くいかなかったら、一生涯修道院に幽閉されちゃう?』
考えたら私に不利な話じゃない。
全然、名誉でもないわ。
巫女なんてやりたくない。
「でも、サンダース伯爵令嬢。巫女に選ばれたのは、名誉なんじゃよ」
国王は大司教より先に、マティルダを言いくるめに走ってきた。
彼よりも国王の方が面識がある。
2人の間に、マティルダを丸め込める話し合いをしてんだろう。
『うっ、大人の世界は汚い。
自分の身は、自分で守らなくてはいけないわ』
「書面で責任問題を問わないと約束してください。
まだ未成年で世捨て人には、なりとうございませんので」
「…、それは。そうだ、な」
間の空いた返答にマティルダは、自身の考えの正しさに確信を持った。
「神をー、君は冒涜するのか!」
「いやいや、冒涜とは重いです。
神様は尊敬しますし、毎日お祈りしてから寝てます。
雨が降らなくて、責められて困りますのでつい言葉に出ました。
申し訳ございませんでした」
頭を下げで謝罪するマティルダは、なんで頼まれている自分が責められているんだと不条理を感じてきた。
「まぁまぁ、ご令嬢の不安も理解できる。
王家と協会で、書類を作成して約束しようではないか。
それで良いかのう」
大司教は不満げな顔をしていたが、王の頼みで仕方なく了承した。
マティルダはサインのみでなく、印までも押させる徹底振りでこれには2人はドン引きしてしまう。
『ここまで人を疑うのか。
この者は過去に、相当誰から騙された。
あの若さで、そんな経験の持ち主だろうか』
王はサインをしながら、今まで知り合った女性とは間逆な彼女に驚きを感じてなかったのである。
そんな風に思われてるマティルダは、雨乞いの儀式の日時を聞かされる。
あの庭師が言っていた話を思い出し、彼に相談してみようと思うのだった。
なにせ国王陛下と大司教、揃っていらっしゃる。
中流貴族の小娘なんて、会えない方々が同じ部屋にいるなんてと座っていた。
「マティルダ・サンダース伯爵令嬢。
そなたをこの場に呼んだのは、ここにおる大司教から説明をして頂こう」
司祭服を着ている男性は、微笑みんでマティルダを上から下から隅々まで見ていた。
「初めてお会いします。
サンダース伯爵令嬢。
私はオーレンと申します。
格好でご想像できますでしょうが、教会の者ございます」
彼女が自分に対して、極限まで緊張しているのを空気で感じた。
親近感を持つように心がけ、令嬢に気さくに語りだす。
マティルダは前もって夢を見て、彼の存在を知っていたので挨拶を返してしまう。
「初めましてお目にかかります。
ウォーレン大司教様。
お会いできて、光栄でございます」
「おやっ?大司教って、私は言いましたか?」
「えっ!あ、あの服装がしてそうだと思いまして…。ホホホ」
愛想笑いして、誤魔化した。
うっかり口に出してしまい。
心臓がドキドキして表情に出ないように、気を付けていると顔から汗が吹き出しそうになれ、
「それでですな。サンダース伯爵令嬢」
「はい、はい、大司教様!
もちろん、伺っておりますよ!」
バカな受け答えをして、またまた余計に焦りだす。
「まだ、挨拶しかしておらんぞ」
『この令嬢が、巫女で本当にいいのだろうか?
教皇からの指示だが、他の者じゃないのか!?』
「 口を挟むが、大司教。
サンダース伯爵令嬢は、巫女の件を知っていて先を読み返事をしたのだ。
そうだな、令嬢?」
「左様でございます、陛下」
「ああ、なるほど!
そうであったか、ハハハ」
三者は微妙な空気だが、先に進める大司教。
「教皇から青みかがった金髪に10代半ばで、中流貴族令嬢で選ばれました」
「そのう、髪の色で選ばれたのですか?
あとは、年齢で?」
大司教は無言で頷き、マティルダも頷く。
国王も謎めいた2人のぎこち無いやり取りを見て、雨乞いは失敗する可能性がフト頭によぎる。
『もうそろそろ、雨が降らないと国民が不安になり怒ってしまう。
飢饉だけは免れたいと願う』
神頼みならぬ、マティルダ頼みに急に胃がキリキリしそうになる。
「気楽にやってください。
雨が降らなかったら、また代わりを探しますから。
いい加減、もう雨が降るだろう」
「でしたら、代わりの方に頼まれたらどうですか?
もし、降らなかったら私の責任問題になりませんか?」
「それは……、そうだな」
「どうなるか、わからん」
国の中で権力を持つ人物達が、似たような事を言い出していた。
『そんな~、立場上弱い私はどうなるのですか?
上手くいかなかったら、一生涯修道院に幽閉されちゃう?』
考えたら私に不利な話じゃない。
全然、名誉でもないわ。
巫女なんてやりたくない。
「でも、サンダース伯爵令嬢。巫女に選ばれたのは、名誉なんじゃよ」
国王は大司教より先に、マティルダを言いくるめに走ってきた。
彼よりも国王の方が面識がある。
2人の間に、マティルダを丸め込める話し合いをしてんだろう。
『うっ、大人の世界は汚い。
自分の身は、自分で守らなくてはいけないわ』
「書面で責任問題を問わないと約束してください。
まだ未成年で世捨て人には、なりとうございませんので」
「…、それは。そうだ、な」
間の空いた返答にマティルダは、自身の考えの正しさに確信を持った。
「神をー、君は冒涜するのか!」
「いやいや、冒涜とは重いです。
神様は尊敬しますし、毎日お祈りしてから寝てます。
雨が降らなくて、責められて困りますのでつい言葉に出ました。
申し訳ございませんでした」
頭を下げで謝罪するマティルダは、なんで頼まれている自分が責められているんだと不条理を感じてきた。
「まぁまぁ、ご令嬢の不安も理解できる。
王家と協会で、書類を作成して約束しようではないか。
それで良いかのう」
大司教は不満げな顔をしていたが、王の頼みで仕方なく了承した。
マティルダはサインのみでなく、印までも押させる徹底振りでこれには2人はドン引きしてしまう。
『ここまで人を疑うのか。
この者は過去に、相当誰から騙された。
あの若さで、そんな経験の持ち主だろうか』
王はサインをしながら、今まで知り合った女性とは間逆な彼女に驚きを感じてなかったのである。
そんな風に思われてるマティルダは、雨乞いの儀式の日時を聞かされる。
あの庭師が言っていた話を思い出し、彼に相談してみようと思うのだった。
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