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第3章

15 立場逆転

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 声に反応して後ろを振り向く、お騒がせ伯爵令嬢コンビ。

「貴女はー、サンダース伯爵令嬢!」

「いきなり話しかけて、礼儀がなってなくてよ!」

「くだらない言いがかりして礼儀知らずなのは、貴女方でしょう!」

「私たちは、この目で見ました!
2人で見たのです!
だから、間違いないわ!」

「ええ、そうでございますわ!
ベルガー伯爵令嬢が、仰ってるのは事は正しいです!」

『すんごい、迫力ですわ!
これでは、そこで縮んで泣いている侯爵令嬢には無理!
マイヤー伯爵令息はお口がパクパクしかしてませんしーい!』

私たちのバトルトークで周りは引き気味だし、直接本人たちは使い物にもならない。

「ふう~ん!見たのは、貴女方だけではなくってよ!」  

「ハッキリと言いなさいよ!
貴女が、見ていたと言うのですか?」

「たった独りよりも、二人の方が正しいですわよ!
黙ってないで、貴女!
反論してみなさいよ!」

『これは、不利ですわ。
私は独りだし、悔しいー~』

照りつける太陽の下で、マティルダはジリジリと追い詰められていた。

「ほらっ、言えない!フッ」

「クス、可哀想じゃない。
ゴーダン伯爵令嬢って、意地悪な方なのね」

「……、でも!私は抱き合ってる姿は、見てないわ!!」

マティルダは二人を睨み付けて、自身をつらぬいて言い切った。

そして、ブルネール侯爵令嬢は私を見て瞳からポロリと光るものが流れた。
伯爵令息は青白い顔で、口を一文字で固めた表情をしている。

『助けてあげられなかった。
彼らは嘘ででっち上げた不評で、アッサリと終わってしまうの?』

悔しくて情けなくて、顔を上に向けられなくなってしまう。
そんなマティルダに、天使たちの声が聞こえてきた。

「マティルダは嘘は言ってはいないよ!
何故なら、私たちも見ていたからね!」

「そうよ!アドニスお兄様と私も見ていたもの。
それも、彼らが座っていた木の裏側よ!」

「アドニス王子、メアリー王女。
二人は……、どうしてココに?
あの時、寝ていたのでは」

木の裏側から飛び出して来る、二人の姿に驚きしかなかった。

「寝ている振りをしていたのよ。
暑くて寝ていられなかったから、マティルダが何処へ行くのか気になってー」

「それで、マティルダについて行ったわけだ。
まさか、こんな騒ぎになるなんて思わなかったな」

子供らの言葉など、私たちで押さえ込んでみせる。
ベンガー伯爵令息グレンダは、横に仮面が外れかかる相棒あいぼうに視線で言い聞かせてから話す。

「ウソを言ってはいけませんわ。
お二人は、見間違いをしていたのでは?」

グレンダの話に合わせて、ケイシーも負けずに続いた。

「王子様や王女様には、まだその手の事はまだお分かりになりませんもの」

「なっ!お二人は、お分かりにならないなんてありません!」

マティルダは王族としてでなく、自分の生徒として馬鹿にされて許せなかった。

「やめなさい!!
何を言い争いをしてるのですか!?」

「「「王妃様!」」」 、3人の伯爵令嬢。

「「お母様!」」 、来てくれたと喜ぶ子供たち。

「「………」」、先程からタダ呆然ぼうぜんの当事者たち。

「どうなっているんだ?」

全部貴方が中心だよ、エドワード王子殿下のご登場。

「エドお兄様~、この2人の伯爵令嬢がー!
私とアドお兄様を、嘘つきと仰いましたのー」

メアリー王女はエドワード殿下に飛び込んで、泣き真似まねして言いつけていた。

「何だってー!君たちは、弟や妹を嘘つきと言って泣かしたのか?!」

温厚なエドワード殿下が、みるみる怒り顔になってしまう。

『普段大人しい方って、怒ると怖い。
1番怒らしてはならない人を、彼女たちは怒らしたみたいだわ』

伯爵令嬢たちに怒鳴りながらも、妹メアリーをあやしてなぐさめる兄エドワード。

王妃様がマドニス王子の側に寄ると、息子から騒ぎの内容を説明されている。

マティルダは生唾なまつばをゴックンと飲み込むと、立場が逆転したのに安心したのか腰が抜けそうになるのだった。

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