52 / 207
第3章
10 チャンスを逃さない
しおりを挟む
腕の中で彼女は目を閉じて、胸のドキドキが自分にも高鳴りとなって聞こえそう。
『ダメ、緊張してしまって!
頭がどうにかなりそうだわ。
マティルダ様ったら、他人事だと思って大胆過ぎるわよ』
こんな考えてをして好きな男性の腕が私の背中に、膝裏に彼の手の感触を感じちゃう。
私はいつ目覚めたようにしたら、自然な流れになるのかしら?
「ブルネール侯爵令嬢?」
彼が私の名を、優しく呼び掛けてくれる。
マティルダ様の仰っていたように鼻血が出そうだわ。
「あっ、ココは何処ですか?
たしか…、エドワード王子殿下とお話をしていたのですが…」
下手な演技だが、相手は武術と体格維持しか興味ない脳筋な男だ。
全然、疑う余地がない。
「気づかれたのですね。
殿下と話している時に、暑さで倒れてしまったのです。
今年は、特に暑い夏ですから…」
話すマイヤー伯爵令息の顔が、ああっ私に近い!
目と目がバチッと合うと、高鳴りドキドキする。
本気で倒れそう、今度は彼のせいで~!
「ジョージ様が私を…、運んで下さいましたの?
ごめんなさい、お名前で呼んでしまって…」
敷物の上に寝かされて、彼は騎士のように片ひざをつく。
『こんな私を、物語の中のお姫様の様な扱いをして下さる。嬉しい~』
「ブルネール侯爵令嬢、構いませんよ。
ジュージと呼んでくれ!」
『きゃっ~、幸せ!
これが本物の恋?愛ですのね!』
殿下の婚約者候補は辞退したし、私は今日からやっと自由。
手紙は2~3日後に実家に届く、そうなったら大騒ぎになってたりして。
それでも構わないと、サラは思っていた。
「はい、これは果物水ですよ。
ゆっくりとお飲み下さい。
皆さまは、別の場所で昼食をしております」
「有り難うございます。
マイヤー伯爵令息も、皆さまと御一緒して下さい。
私は…。一人でも、平気ですので行って下さいませ」
「貴女お一人をここへ置いていくのは、騎士を目指す者としてできません!
それから、ジョージとお呼び下さい」
首を振り自分は頼まれたので、少しでも食べるなら何が見繕って来ましょう。
ここで、2人で食べましょうとサラに誘ってきたのだった。
「まぁ、お優しいお方!
なんて、お礼を申したから…。
もし皆様の元へ戻り、また具合が悪くなったりと気を揉んでいましたの」
具合が悪いのはウソだが、これぐらいは神も許されるだろう。
『ジョージ様が私と二人きりで、お食事が出来るなんてー』
「ブルネール侯爵令嬢。
暫し、ここでお待ち下さい」
キビキビした所作で、サラから離れて行く彼の後ろ姿を見つめていた。
「サンダース伯爵令嬢のお陰で、彼とこんなに話せる。
食事もこれから…。ふふふ」
他人が冷静に見ていたら、彼女は恋に狂っていたのだろうと思う。
侯爵家に生まれて、暮らしは至れり尽くせり。
苦労知らずで、思い通りに生きてきた。
全てを持っている人は、恋と愛も手に入るのだろうか…。
マティルダたちが、ピクニック様式で昼食をしていた。
マイヤー伯爵令息のジョージは、両陛下とエドワード王子に倒れた侯爵令嬢の容態を報告する。
「意識が戻ったか!
倒れたと聞き驚いたが、話を聞き安心したぞ!」
「食欲はあるのですね。手をかけますが、ブルネール侯爵令嬢に食事を持って行っておくれ」
両陛下が伯爵令息に侯爵令嬢の世話をお願いをしている最中に、婚約者になるかもしれない男が黙って聞いていた。
「ねぇ、エドワード。
貴方も、ブルネール侯爵令嬢が心配でしょう?
出発前に、令嬢の様子を見に行きなさい」
「……、はい。母上……」
王妃は、息子と侯爵令嬢の別れ話を知らないと仰っていた。
別に、2人は付き合ってはないが……。
王妃も流れから、ブルネール侯爵令嬢を婚約者に決定するとひいき目をしている。
エドワードの他に、そのことを知っているマティルダたちは知らんふりして食事を味わっていた。
『ダメ、緊張してしまって!
頭がどうにかなりそうだわ。
マティルダ様ったら、他人事だと思って大胆過ぎるわよ』
こんな考えてをして好きな男性の腕が私の背中に、膝裏に彼の手の感触を感じちゃう。
私はいつ目覚めたようにしたら、自然な流れになるのかしら?
「ブルネール侯爵令嬢?」
彼が私の名を、優しく呼び掛けてくれる。
マティルダ様の仰っていたように鼻血が出そうだわ。
「あっ、ココは何処ですか?
たしか…、エドワード王子殿下とお話をしていたのですが…」
下手な演技だが、相手は武術と体格維持しか興味ない脳筋な男だ。
全然、疑う余地がない。
「気づかれたのですね。
殿下と話している時に、暑さで倒れてしまったのです。
今年は、特に暑い夏ですから…」
話すマイヤー伯爵令息の顔が、ああっ私に近い!
目と目がバチッと合うと、高鳴りドキドキする。
本気で倒れそう、今度は彼のせいで~!
「ジョージ様が私を…、運んで下さいましたの?
ごめんなさい、お名前で呼んでしまって…」
敷物の上に寝かされて、彼は騎士のように片ひざをつく。
『こんな私を、物語の中のお姫様の様な扱いをして下さる。嬉しい~』
「ブルネール侯爵令嬢、構いませんよ。
ジュージと呼んでくれ!」
『きゃっ~、幸せ!
これが本物の恋?愛ですのね!』
殿下の婚約者候補は辞退したし、私は今日からやっと自由。
手紙は2~3日後に実家に届く、そうなったら大騒ぎになってたりして。
それでも構わないと、サラは思っていた。
「はい、これは果物水ですよ。
ゆっくりとお飲み下さい。
皆さまは、別の場所で昼食をしております」
「有り難うございます。
マイヤー伯爵令息も、皆さまと御一緒して下さい。
私は…。一人でも、平気ですので行って下さいませ」
「貴女お一人をここへ置いていくのは、騎士を目指す者としてできません!
それから、ジョージとお呼び下さい」
首を振り自分は頼まれたので、少しでも食べるなら何が見繕って来ましょう。
ここで、2人で食べましょうとサラに誘ってきたのだった。
「まぁ、お優しいお方!
なんて、お礼を申したから…。
もし皆様の元へ戻り、また具合が悪くなったりと気を揉んでいましたの」
具合が悪いのはウソだが、これぐらいは神も許されるだろう。
『ジョージ様が私と二人きりで、お食事が出来るなんてー』
「ブルネール侯爵令嬢。
暫し、ここでお待ち下さい」
キビキビした所作で、サラから離れて行く彼の後ろ姿を見つめていた。
「サンダース伯爵令嬢のお陰で、彼とこんなに話せる。
食事もこれから…。ふふふ」
他人が冷静に見ていたら、彼女は恋に狂っていたのだろうと思う。
侯爵家に生まれて、暮らしは至れり尽くせり。
苦労知らずで、思い通りに生きてきた。
全てを持っている人は、恋と愛も手に入るのだろうか…。
マティルダたちが、ピクニック様式で昼食をしていた。
マイヤー伯爵令息のジョージは、両陛下とエドワード王子に倒れた侯爵令嬢の容態を報告する。
「意識が戻ったか!
倒れたと聞き驚いたが、話を聞き安心したぞ!」
「食欲はあるのですね。手をかけますが、ブルネール侯爵令嬢に食事を持って行っておくれ」
両陛下が伯爵令息に侯爵令嬢の世話をお願いをしている最中に、婚約者になるかもしれない男が黙って聞いていた。
「ねぇ、エドワード。
貴方も、ブルネール侯爵令嬢が心配でしょう?
出発前に、令嬢の様子を見に行きなさい」
「……、はい。母上……」
王妃は、息子と侯爵令嬢の別れ話を知らないと仰っていた。
別に、2人は付き合ってはないが……。
王妃も流れから、ブルネール侯爵令嬢を婚約者に決定するとひいき目をしている。
エドワードの他に、そのことを知っているマティルダたちは知らんふりして食事を味わっていた。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
あなたには、この程度のこと、だったのかもしれませんが。
ふまさ
恋愛
楽しみにしていた、パーティー。けれどその場は、信じられないほどに凍り付いていた。
でも。
愉快そうに声を上げて笑う者が、一人、いた。
あなたには彼女がお似合いです
風見ゆうみ
恋愛
私の婚約者には大事な妹がいた。
妹に呼び出されたからと言って、パーティー会場やデート先で私を置き去りにしていく、そんなあなたでも好きだったんです。
でも、あなたと妹は血が繋がっておらず、昔は恋仲だったということを知ってしまった今では、私のあなたへの思いは邪魔なものでしかないのだと知りました。
ずっとあなたが好きでした。
あなたの妻になれると思うだけで幸せでした。
でも、あなたには他に好きな人がいたんですね。
公爵令嬢のわたしに、伯爵令息であるあなたから婚約破棄はできないのでしょう?
あなたのために婚約を破棄します。
だから、あなたは彼女とどうか幸せになってください。
たとえわたしが平民になろうとも婚約破棄をすれば、幸せになれると思っていたのに――
※作者独特の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。教えていただけますと有り難いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる