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第3章
3 べつに相談されたくない
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サラと話をしていてマティルダは、メアリーに済まないが奥の部屋に行ってくれないかと頼む。
「う~ん…。分かったわ。
話せる時になったら、教えてくれる?」
「ええ、メアリー王女!
ブルネール侯爵令嬢も、宜しいですよね!?」
なぜかマティルダが、ブルネール侯爵令嬢に無理やりに承知させる。
「えっ、ええ。メアリー王女殿下…、いいですわ」
王女は聞き分け良く、こうして奥の部屋に姿を消してくれた。
マティルダはサラと二人きりになり、深く彼女の生い立ちから聞くことになるのである。
サラ様は、二人きりになると表情をちょっぴり固くされた。
「きっと、マティルダ様は私を軽蔑されるでしょう。
私が貴方なら、そう思うからです」
「そんなことないわって、言ってあげたいけど…。
サラ様の話を伺ってみないとー」
そうでしょうねって、態度して彼女は話し始める。
「私はブルネール侯爵家に生まれたわ。
家のためになる婚姻になるのだろうと今も思っている。
でも、幼い頃はそんな事は思わないでしょう?」
「子供の頃は、まだ何も考えないで毎日暮らしますもの。
私も小さい時は、妹とそれまで仲が悪いわけではなかったわ」
彼女は私の話に、妹アリエールとのやり取りに思うところがあるみたいだった。
「従兄弟に、エドワード殿下の友人の公爵令息がいます。
彼とは男女の区別がハッキリしていない頃から、遊んだり勉強したりして過ごしていたのよ」
『やっぱり、サラ様は彼のことをー。
前からそうではないかと、感じていたが思い違いかと思っていた』
話を続けている彼女を前にしてマティルダは、黙って頭の中で今までの殿下と彼女のことを考えていた。
「歳を重ねて、私は侯爵令嬢としての役割を両親から教えられてきた。
そして、エドワード殿下の婚約者候補に選ばれましたわ」
「サラ様は選ばれて当然です。全ての面で、貴女様は優れたお方ですもの」
私の言葉は彼女以外なら喜ぶだろうが、彼女には違って辛い言葉だったのだ。
「そんな人ではないのー!
自分に偽って生きてきたわ。
両親や周りの人が未来の王太子妃、王妃様にって期待されて流されていたのよ!」
また泣き出す彼女は、先ほどより激しく感情を吐き出していた。
貴族の淑女は人に感情を出さず、いつも優雅に微笑みばかり。
ああ、彼女はずっと我慢していたのか。
『学園で2回もさらけ出したから、私の前ならと思ったのか。
酷かったもんね。ハハハ』
「ご自分をそこまで仰らないで下さい。
私だってずっと妹と婚約者の仲を知っていて、見てみないふりをしていたのです」
「貴女は、勇気をお出しになっていた。
あんなに正直に言える貴女は、私からしたら尊敬しかないわ」
『そんなに思われてもねぇ。
まさしく、となりの芝生は青く見えるですわ』
話がこれからどう進むか、マティルダは不安になってゆく。
「私!彼に告白するわ!
もし彼が……、私と同じ気持ちなら全てを捨ててもいい!」
「えっ、ちょっと落ち着いてくださいませ!
この暑さで、サラ様は感情が高ぶっているのですわ」
「そんなことないわ!
確かに今年は気が変になるくらいですが、この想いは幼い頃から変わりません!」
私と貴女では、周りの影響が比べられないぐらいよ。
簡単に助言は与えられない。
「あーその……、その。
サラ様の好きな人は、どんなお方なのですか?
ハッキリと名を仰らないでもいいですから、私にそっと教えて下さいませんか?」
お相手は予想出来るので、うまく私は驚けるのかしら?!
別に驚かなくても構わないが、空気読むならビックリした方がいいよね。
マティルダはサラの男性名に、耳と目を集中するのだった。
「う~ん…。分かったわ。
話せる時になったら、教えてくれる?」
「ええ、メアリー王女!
ブルネール侯爵令嬢も、宜しいですよね!?」
なぜかマティルダが、ブルネール侯爵令嬢に無理やりに承知させる。
「えっ、ええ。メアリー王女殿下…、いいですわ」
王女は聞き分け良く、こうして奥の部屋に姿を消してくれた。
マティルダはサラと二人きりになり、深く彼女の生い立ちから聞くことになるのである。
サラ様は、二人きりになると表情をちょっぴり固くされた。
「きっと、マティルダ様は私を軽蔑されるでしょう。
私が貴方なら、そう思うからです」
「そんなことないわって、言ってあげたいけど…。
サラ様の話を伺ってみないとー」
そうでしょうねって、態度して彼女は話し始める。
「私はブルネール侯爵家に生まれたわ。
家のためになる婚姻になるのだろうと今も思っている。
でも、幼い頃はそんな事は思わないでしょう?」
「子供の頃は、まだ何も考えないで毎日暮らしますもの。
私も小さい時は、妹とそれまで仲が悪いわけではなかったわ」
彼女は私の話に、妹アリエールとのやり取りに思うところがあるみたいだった。
「従兄弟に、エドワード殿下の友人の公爵令息がいます。
彼とは男女の区別がハッキリしていない頃から、遊んだり勉強したりして過ごしていたのよ」
『やっぱり、サラ様は彼のことをー。
前からそうではないかと、感じていたが思い違いかと思っていた』
話を続けている彼女を前にしてマティルダは、黙って頭の中で今までの殿下と彼女のことを考えていた。
「歳を重ねて、私は侯爵令嬢としての役割を両親から教えられてきた。
そして、エドワード殿下の婚約者候補に選ばれましたわ」
「サラ様は選ばれて当然です。全ての面で、貴女様は優れたお方ですもの」
私の言葉は彼女以外なら喜ぶだろうが、彼女には違って辛い言葉だったのだ。
「そんな人ではないのー!
自分に偽って生きてきたわ。
両親や周りの人が未来の王太子妃、王妃様にって期待されて流されていたのよ!」
また泣き出す彼女は、先ほどより激しく感情を吐き出していた。
貴族の淑女は人に感情を出さず、いつも優雅に微笑みばかり。
ああ、彼女はずっと我慢していたのか。
『学園で2回もさらけ出したから、私の前ならと思ったのか。
酷かったもんね。ハハハ』
「ご自分をそこまで仰らないで下さい。
私だってずっと妹と婚約者の仲を知っていて、見てみないふりをしていたのです」
「貴女は、勇気をお出しになっていた。
あんなに正直に言える貴女は、私からしたら尊敬しかないわ」
『そんなに思われてもねぇ。
まさしく、となりの芝生は青く見えるですわ』
話がこれからどう進むか、マティルダは不安になってゆく。
「私!彼に告白するわ!
もし彼が……、私と同じ気持ちなら全てを捨ててもいい!」
「えっ、ちょっと落ち着いてくださいませ!
この暑さで、サラ様は感情が高ぶっているのですわ」
「そんなことないわ!
確かに今年は気が変になるくらいですが、この想いは幼い頃から変わりません!」
私と貴女では、周りの影響が比べられないぐらいよ。
簡単に助言は与えられない。
「あーその……、その。
サラ様の好きな人は、どんなお方なのですか?
ハッキリと名を仰らないでもいいですから、私にそっと教えて下さいませんか?」
お相手は予想出来るので、うまく私は驚けるのかしら?!
別に驚かなくても構わないが、空気読むならビックリした方がいいよね。
マティルダはサラの男性名に、耳と目を集中するのだった。
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