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第3章

2 男女関係は難しい

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  「だって、だって父上やお母様が…。
王太子妃になれとしっこくって、でも私の他の誰かが婚約者になると思っていたの」

下を向き頭しか見えないブルネール侯爵令嬢に、二人は思いっきり叱咤しったするのである。

「「…??ハァー、それは考えが甘いよ!」」

「ううっ、グズっ…。グズん!
わ、私は…候補者が。
4人も…、いたので安心してました。
私はー。他に、おしたいしている方がおりますの
うっー…、グズん!」

彼女は鼻声になり、とうとう泣き出した。

「4人も居れば、もしかしたらとは思います。
でも、身分が高いのは侯爵でサラ様を含めて2人しかいなかったでしょう?!」

孔雀姫は、あっという間に脱落したではないか。

「まだ、辺境へんきょう伯の長女ケイシー様がいますわ!
彼女が、エドワード王子のお相手になられたらいいのです!」

ハンカチで目を拭くと、顔を前にしてそう話すが…。

「でもねぇ~、侯爵家のサラ様に決まるんではないかしら?」

マティルダは、他力本願な彼女に呆れて希望を打ち消した。

それでも目の前が暗くなりそうな信じられない告白を、涙を浮かべて私たちに語りだした。

「将来は……婚約者に選ばれて……。
王太子妃になる、なるのだろう。
と……、漠然ばくぜんとありました」
 
ウンウンとうなづく、マティルダとメアリー王女。

「でも、しかしー。馬車のとなりに座る殿下を見てー。
胸、胸がー……」

「「むね?胸?」」

「あっ心が……、トキメキがなかった。
わ、私は殿下をー。
その時、ダメだと気付いたの!」

よくある、それは…。
私も最初の頃はハロルドに対して、少しは良いかなぁと思った時もあったわ。
まぁ、すぐに妹絡みからみで無くなったけどね。

「エドお兄様は、ブルネール侯爵令嬢のことをどう思っているのかしら?
お相手として、令嬢と決めているではない」

「メアリー王女、すみません。今日、両陛下とエドワード殿下に御相談します」

マティルダは、侯爵令嬢サラの好きな人が気になった。
もしや、あの人なのか?
そうだとしたら、厄介やっかいすぎて不味まずいのではないか。

「お待ちください!
ブルネール侯爵様にー。
ご両親に、先ずはお知らせした方がいいですよ」

マティルダは、両親に理解して頂くのが大事だと助言する。

『私も父に手紙で、あの婚約者との破棄を訴えたのよね。
ダメもとで慰謝料いしゃりょうの件も、書きえて書いたけど無理だろうなぁ~』

「ですが…。両親に伝えたら、怒りしかりつけて。
そして、考え直せと言われてしまうわ。
なんて、説得すればいいのー!」

彼女は首を振りきれるばかりに左右に振り、切れ気味に私たちに逆にたずねてきた。

『わからないわよ!
私だって婚約破棄してから、どうしたらとおたずねしたいわね』

これ以上深い話になってきたら、さすがにメアリー王女様はこの場を去ってもらわなくてはならないわ。
男女の現実の仲を、全てを知るには幼いからね。
お姫様は…、本物のお姫様には。

まだ、夢を見て欲しいと思うからー。

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