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第3章
1 侯爵令嬢の悩み
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冷めているがお茶を仕方なく勧め、ブルネール侯爵令嬢の話をこれから聴かされる。
メアリー王女を前にして、かなり話しづらいみたいだった。
「コホン、メアリー王女様は…。
ご年齢よりも大人で、賢い御方でございます。
それに話される内容では、もしかしたらお力をお借りする可能性もあります」
「えへっ、もうマティルダったら…。
貴女方よりはお子様だけど、これでも王族だしい。
母上のお茶会で鍛えられてます。
なんでも、私に話しなさい!」
褒められているのを嬉しいのか、かなり喜んでいるので分かる。
これだけはハッキリ言える。
メアリー王女は、単純な性格で裏表はない。
こんな二人を前にして、慎重に話し始める。
ブルネール侯爵令嬢サラ。
「部屋に案内された後に彼女たちとお茶でも思い、ゴーダン伯爵のお部屋に誘いに行きましたの」
令嬢たちの険悪さを知っていた2人は、彼女なりに何とかしたかったんだろうと考えていた。
「伯爵の屋敷に着いた時から、気になってましたわ。
馬車から降りた貴女の様子が、いつもとは違いました」
メアリーもお茶を飲んで、あの時の事をよくよくまた思い返す。
「午前中の馬車の中で、ベルガー伯爵令嬢がエドワード殿下をー。
あのですね、その誘う様な御言葉を仰ってきましたの」
「誘うって、何を?
まさか、お兄様に色目を使ったのですか!?
それで、皆様の雰囲気が悪かったのね」
『やっぱり、この子は鋭い!
グレンダ様は前々から、殿下にグイグイしていたからなぁ~』
マティルダも一息付くために、冷たいお茶を一口飲む。
飲み込んだお茶は苦くて、思わず顔をしかめてしまう。
「あっ…、はい。ずぶ濡れになった件を、エドワード殿下が気になったようでした。
殿下が伺っていたら、また一段と感じが悪くなりました」
「水を窓から落としたのは、私の考えが誤っていたわ。
ドラ猫たちがー。
人間の伯爵令嬢たちだったなんて、まさか思わかなったのです」
『まだ、あれを根に持っているのか。
ブルネール侯爵令嬢が、彼女らから省かれたみたいだ』
マティルダは、二人の対話から予想がついてきた。
「貴女のことも、その場で話されていたわ。
王妃様から素行調査を依頼され、私たちを調べていた。
それは、本当ですか?
殿下は、そうだと仰っておりましたけど…」
「それは真実です!
王妃様から直接頼まれました。
エドワード殿下は、無理しなくてもよいとまで仰ってくれました」
『うわっ、マティルダ!
正直に答えていいの?
人間関係って面倒くさいわね。
女性同士はとくに…』
メアリーは驚くと、お茶菓子を取るために伸ばした手を止めて聞き入っている。
「……、聞いてしまったの。
部屋の扉をノックしようとした時に、御二人は私の話をしていたわ」
「それって、悪口でしょう。
気にすることはないですよ。
ケンカした同士で、仲良くなってもねぇ~」
「うふふ、サンダース伯爵令嬢はハッキリ仰るわね」
「どうせ、今は仲良くしても。また、あの令嬢たちはケンカするわよ」
メアリー王女は会話に話に割り込みながら、またお菓子に手を伸ばす。
二人は交互に、侯爵令嬢の悩み相談に答えてあげていた。
「今までは仲良くしていたのに、急に変わってしまった。
私のことを良い子ぶっているって…」
「それ!やっかみですわ。
最後は貴女が、エドワード殿下の婚約者にお成りですもの。
彼女たちは、早く自由になりたいのです。
そりゃ、イラつきますわよ」
侯爵令嬢は自覚なかったの。
どう考えても、貴女で決まりでしょうにー。
あの脱落した孔雀姫が、辞退した時から決まったのも当然。
「わ、私がエドワード殿下とですか?
……、実は、私はー。
今更ですが、婚約者に選ばれたくないのです」
「「えーえ!なんで?!」」
赤らめて両手で顔を隠す人に、容赦なく怒涛の質問を浴びせる。
「いやいや、サラ様はエドワード殿下と婚姻していいから婚約者候補になったんですよね?
あれれ、殿下と仲良くしてましたよね?」
「お兄様のどこが気に入らなかったの?
まぁ、あの方は面白味にかけてますが……。
真面目で、なかなか良い物件ですよ?」
「んまぁ、メアリー王女!
兄上を物件って、ちょっと失礼ではないですか?」
変なところを気にする侯爵令嬢は、メアリー王女に注意する。
「そんな事より…。
貴女様は、土壇場で嫌ですってないですよ?
どうしたらいいのですか?これ!?」
メアリーを無視して、ブルネール侯爵令嬢に対して詰め寄る。
サラは下を向きボソボソと、マティルダに責められ言い訳を始めるのだった。
メアリー王女を前にして、かなり話しづらいみたいだった。
「コホン、メアリー王女様は…。
ご年齢よりも大人で、賢い御方でございます。
それに話される内容では、もしかしたらお力をお借りする可能性もあります」
「えへっ、もうマティルダったら…。
貴女方よりはお子様だけど、これでも王族だしい。
母上のお茶会で鍛えられてます。
なんでも、私に話しなさい!」
褒められているのを嬉しいのか、かなり喜んでいるので分かる。
これだけはハッキリ言える。
メアリー王女は、単純な性格で裏表はない。
こんな二人を前にして、慎重に話し始める。
ブルネール侯爵令嬢サラ。
「部屋に案内された後に彼女たちとお茶でも思い、ゴーダン伯爵のお部屋に誘いに行きましたの」
令嬢たちの険悪さを知っていた2人は、彼女なりに何とかしたかったんだろうと考えていた。
「伯爵の屋敷に着いた時から、気になってましたわ。
馬車から降りた貴女の様子が、いつもとは違いました」
メアリーもお茶を飲んで、あの時の事をよくよくまた思い返す。
「午前中の馬車の中で、ベルガー伯爵令嬢がエドワード殿下をー。
あのですね、その誘う様な御言葉を仰ってきましたの」
「誘うって、何を?
まさか、お兄様に色目を使ったのですか!?
それで、皆様の雰囲気が悪かったのね」
『やっぱり、この子は鋭い!
グレンダ様は前々から、殿下にグイグイしていたからなぁ~』
マティルダも一息付くために、冷たいお茶を一口飲む。
飲み込んだお茶は苦くて、思わず顔をしかめてしまう。
「あっ…、はい。ずぶ濡れになった件を、エドワード殿下が気になったようでした。
殿下が伺っていたら、また一段と感じが悪くなりました」
「水を窓から落としたのは、私の考えが誤っていたわ。
ドラ猫たちがー。
人間の伯爵令嬢たちだったなんて、まさか思わかなったのです」
『まだ、あれを根に持っているのか。
ブルネール侯爵令嬢が、彼女らから省かれたみたいだ』
マティルダは、二人の対話から予想がついてきた。
「貴女のことも、その場で話されていたわ。
王妃様から素行調査を依頼され、私たちを調べていた。
それは、本当ですか?
殿下は、そうだと仰っておりましたけど…」
「それは真実です!
王妃様から直接頼まれました。
エドワード殿下は、無理しなくてもよいとまで仰ってくれました」
『うわっ、マティルダ!
正直に答えていいの?
人間関係って面倒くさいわね。
女性同士はとくに…』
メアリーは驚くと、お茶菓子を取るために伸ばした手を止めて聞き入っている。
「……、聞いてしまったの。
部屋の扉をノックしようとした時に、御二人は私の話をしていたわ」
「それって、悪口でしょう。
気にすることはないですよ。
ケンカした同士で、仲良くなってもねぇ~」
「うふふ、サンダース伯爵令嬢はハッキリ仰るわね」
「どうせ、今は仲良くしても。また、あの令嬢たちはケンカするわよ」
メアリー王女は会話に話に割り込みながら、またお菓子に手を伸ばす。
二人は交互に、侯爵令嬢の悩み相談に答えてあげていた。
「今までは仲良くしていたのに、急に変わってしまった。
私のことを良い子ぶっているって…」
「それ!やっかみですわ。
最後は貴女が、エドワード殿下の婚約者にお成りですもの。
彼女たちは、早く自由になりたいのです。
そりゃ、イラつきますわよ」
侯爵令嬢は自覚なかったの。
どう考えても、貴女で決まりでしょうにー。
あの脱落した孔雀姫が、辞退した時から決まったのも当然。
「わ、私がエドワード殿下とですか?
……、実は、私はー。
今更ですが、婚約者に選ばれたくないのです」
「「えーえ!なんで?!」」
赤らめて両手で顔を隠す人に、容赦なく怒涛の質問を浴びせる。
「いやいや、サラ様はエドワード殿下と婚姻していいから婚約者候補になったんですよね?
あれれ、殿下と仲良くしてましたよね?」
「お兄様のどこが気に入らなかったの?
まぁ、あの方は面白味にかけてますが……。
真面目で、なかなか良い物件ですよ?」
「んまぁ、メアリー王女!
兄上を物件って、ちょっと失礼ではないですか?」
変なところを気にする侯爵令嬢は、メアリー王女に注意する。
「そんな事より…。
貴女様は、土壇場で嫌ですってないですよ?
どうしたらいいのですか?これ!?」
メアリーを無視して、ブルネール侯爵令嬢に対して詰め寄る。
サラは下を向きボソボソと、マティルダに責められ言い訳を始めるのだった。
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