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第2章
17 それぞれの想い
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エドワード王子殿下は、現在17歳。
幼い頃から、婚約者を置かなかった理由。
それは長女の王女が他国へ嫁ぐか嫁がないかで、弟エドワードにも相手が代わるからだった。
そして、遠距離恋愛を経て去年隣国へ嫁いで行ったのだ。
姉と隣国の王子は絵姿から始まり、手紙のやり取りをこまめにした交際。
途中で何度か互いに訪問して、直接会っての交流と慎重に慎重を重ね続けた。
「やっと、上の娘が片付いた。
エドワード、次はお前の番だ!」
「エドワードは学業は優秀だし、親バカですがー。
顔立ちも、まぁまぁです。
ねぇ~、陛下!」
この両親の楽観的な考えの被害を受けた、長男エドワード。
こうして今があり、この状態に至っている。
ブルネール侯爵令嬢サラは、自分がエドワードの婚約候補の筆頭なのは自らも知っていた。
王家から候補の一員に選ばれた時は、当然と面倒な考えが同時に浮かぶ。
「サラ、さすがは私たちの娘だ。
ブルネール侯爵の娘として、必ずや王太子妃の座を射止めろ!」
「ホホホ、貴方ったら!
サラならできますわ。
対抗馬は、もう一人の侯爵令嬢だけね」
「ああ、あの派手な孔雀姫…。
残りは伯爵令嬢4人。
気になるのは、辺境伯爵だけぐらいだ」
「………、お父様。ですが…。
エドワード王子のお心ひとつで、きっと決定しますわ」
サラには、密かに恋心を寄せる男性がいた。
その彼は、エドワード王子の友人であり側近候補である。
親の期待と自分の気持ちが、すれ違う複雑なサラの立場でもあった。
馬車の中で静かに揺られながら、夫になる可能性のあるエドワードの顔を失礼のないようにチラリと見る。
『この方を嫌いではない。
ですが…、胸が心が…。
全然トキメキすらないの』
恋心は叶わないが、未来の国母の願いは叶うかもしれない。
自分は、それで幸せになれるのか…。
ゴーダン伯爵令嬢、ケイシーは辺境伯爵家の長女。
別に、エドワード王子に関心は無かった。
ただ、年齢が一つ下で年が近い。
辺境伯爵は、隣国との睨む武門で秀でた家柄で重要視されていた。
彼女には、領地が隣接した幼なじみがいる。
産まれた時からの運命を受け入れ、王宮で騎士になるために日々努力していた。
「ケイシーがエドワード王子に気に入られたら、俺を推挙してくれないか?
毎日訓練はしてるが…。
それだけでは、無理だろう。
頼むよ、ケイシー!」
彼が私に頭を下げる。
良いように使われているとは知りながらも、否とは言えない。
好きになど成らねば良かったと、ケイシーは苦悩する毎日。
ベルガー伯爵令嬢グレンダ 、次女であったが姉の愚かさで重荷をかしていた。
「長女が駆け落ちで平民と逃げるとは、ベルガー家は貴族の中で笑われておる!」
父である伯爵は、コレが口癖になっている。
毎日の様に聞かされる食事の時間は、家族にとっては苦痛そのもの。
「グレンダ、聞け!
エドワード王子の婚約者候補に名前があがった!
選ばれれば、バカにして陰口を言っていた者たちに人泡食わせられるぞ!」
『そんなの夢物語よ!
1番は劣っているのに、彼をそそのかして体で落とすか方法がないわ』
目を輝かして自分の意見だけを娘に言い聞かす、父親を母は止められないでいる。
現実的に考えれば、選ばれない。
グレンダは誰にもバレないように、何人かの好意を寄せてくれそうな子息と友人になるのが精一杯。
一応は王子の気を引く真似をするが、堅物な彼はなかなか引っかかってはくれない。
本当は私だって、こんなことをしたくないのよ。
「早くエドワード殿下が選んでくれなくては、行き遅れになる。
私だって自分で選んで、素敵な殿方と結ばれたかったのに…」
彼女は、王家と父を恨むしかない。
気持ちの落とし所がなく。
自分と同じくらい、不幸そうなマティルダには好意があったのだった。
幼い頃から、婚約者を置かなかった理由。
それは長女の王女が他国へ嫁ぐか嫁がないかで、弟エドワードにも相手が代わるからだった。
そして、遠距離恋愛を経て去年隣国へ嫁いで行ったのだ。
姉と隣国の王子は絵姿から始まり、手紙のやり取りをこまめにした交際。
途中で何度か互いに訪問して、直接会っての交流と慎重に慎重を重ね続けた。
「やっと、上の娘が片付いた。
エドワード、次はお前の番だ!」
「エドワードは学業は優秀だし、親バカですがー。
顔立ちも、まぁまぁです。
ねぇ~、陛下!」
この両親の楽観的な考えの被害を受けた、長男エドワード。
こうして今があり、この状態に至っている。
ブルネール侯爵令嬢サラは、自分がエドワードの婚約候補の筆頭なのは自らも知っていた。
王家から候補の一員に選ばれた時は、当然と面倒な考えが同時に浮かぶ。
「サラ、さすがは私たちの娘だ。
ブルネール侯爵の娘として、必ずや王太子妃の座を射止めろ!」
「ホホホ、貴方ったら!
サラならできますわ。
対抗馬は、もう一人の侯爵令嬢だけね」
「ああ、あの派手な孔雀姫…。
残りは伯爵令嬢4人。
気になるのは、辺境伯爵だけぐらいだ」
「………、お父様。ですが…。
エドワード王子のお心ひとつで、きっと決定しますわ」
サラには、密かに恋心を寄せる男性がいた。
その彼は、エドワード王子の友人であり側近候補である。
親の期待と自分の気持ちが、すれ違う複雑なサラの立場でもあった。
馬車の中で静かに揺られながら、夫になる可能性のあるエドワードの顔を失礼のないようにチラリと見る。
『この方を嫌いではない。
ですが…、胸が心が…。
全然トキメキすらないの』
恋心は叶わないが、未来の国母の願いは叶うかもしれない。
自分は、それで幸せになれるのか…。
ゴーダン伯爵令嬢、ケイシーは辺境伯爵家の長女。
別に、エドワード王子に関心は無かった。
ただ、年齢が一つ下で年が近い。
辺境伯爵は、隣国との睨む武門で秀でた家柄で重要視されていた。
彼女には、領地が隣接した幼なじみがいる。
産まれた時からの運命を受け入れ、王宮で騎士になるために日々努力していた。
「ケイシーがエドワード王子に気に入られたら、俺を推挙してくれないか?
毎日訓練はしてるが…。
それだけでは、無理だろう。
頼むよ、ケイシー!」
彼が私に頭を下げる。
良いように使われているとは知りながらも、否とは言えない。
好きになど成らねば良かったと、ケイシーは苦悩する毎日。
ベルガー伯爵令嬢グレンダ 、次女であったが姉の愚かさで重荷をかしていた。
「長女が駆け落ちで平民と逃げるとは、ベルガー家は貴族の中で笑われておる!」
父である伯爵は、コレが口癖になっている。
毎日の様に聞かされる食事の時間は、家族にとっては苦痛そのもの。
「グレンダ、聞け!
エドワード王子の婚約者候補に名前があがった!
選ばれれば、バカにして陰口を言っていた者たちに人泡食わせられるぞ!」
『そんなの夢物語よ!
1番は劣っているのに、彼をそそのかして体で落とすか方法がないわ』
目を輝かして自分の意見だけを娘に言い聞かす、父親を母は止められないでいる。
現実的に考えれば、選ばれない。
グレンダは誰にもバレないように、何人かの好意を寄せてくれそうな子息と友人になるのが精一杯。
一応は王子の気を引く真似をするが、堅物な彼はなかなか引っかかってはくれない。
本当は私だって、こんなことをしたくないのよ。
「早くエドワード殿下が選んでくれなくては、行き遅れになる。
私だって自分で選んで、素敵な殿方と結ばれたかったのに…」
彼女は、王家と父を恨むしかない。
気持ちの落とし所がなく。
自分と同じくらい、不幸そうなマティルダには好意があったのだった。
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