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第2章
16 短気は損気
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口喧嘩をして言い争っている5人は、近寄る足音さえも聞こえていない。
「王妃様からお誘いくださったからです!
貴女方がこうして仲が悪いから、第三者の者が仲を取り持つ為に必要なの!
それが、わ・た・し・なの!」
好き勝手に言ってきた令嬢たちに、日頃の我慢して溜まっていた鬱憤がここで出てしまった。
『ああー~、とうとう言ってしまったわ。
今まで頑張っていたのが、全てがお仕舞いになってしまった。
終わったよ、努力した事がキレイサッパリ燃え尽きた……』
「私たちを見張っていたわけ!
去った婚約者候補も、貴女が王妃様に告げ口を仰っていたのね」
「考えれば貴女、怖い方ね。
友人扱いをしてあげて、私は親切にしていたのよ」
「…………、友人?」
『友人なんて、お互いに思ってなかったでしょう。
エドワード王子と王妃様の影に、私にお友だちになったふりしてんでしょう?』
「「マティルダ……」 」
自分より小さな手が、私の手をソッと優しく握ってくれる。
その手の温もりが、私に力を与えてくれた。
「どんな風に思われてもいいですが、予定を立てて避暑地へ向かっているのです。
他の皆様は、これをご存じではない。
ですからー」
「ココに居たのか。
君たちは、何をしてるんだ?!
出発するから、玄関へ行こう」
エドワード殿下と公爵令息が、肩を並べて呼びに来た。
どこからか、二人は私たちの話を聞いている。
「「エドワード殿下、御一緒に参りましょう~!!」」
「「「…………」」」
コロリと態度が変わる令嬢たちを、無言で唖然と見つめる6つの目。
結局は前と同じ席の馬車の中だが、3人は無言で揺られる。
伯爵令嬢達との戦いは乱入で物別れに終わった。
『二人は表情は疲れ、私も精神がすり減ってしたまった』
「お二人には助けて頂き、有り難うございました。
お昼寝も中途半端でしたので、馬車の中で寝ましょう」
「「そうね ( そうだな )!」」
怒りと声を出したために、目を閉じると3人は夢の中の住人となった。
エドワード王子は髪やドレスが濡れていた伯爵令嬢2人を気にしていた。
急いで着替えて、崩れた髪型を整えたら別人に様変わり。
どうしても気になる彼は、地雷を踏んで自ら足を踏み込んでしまう。
「君たちがずぶ濡れだったのか、気になってな。
弟や妹も不機嫌な顔をしていたし、マティルダさえ表情が固かった」
マティルダの名前を出されると、伯爵令嬢たちが過敏になる。
「マティルダですって!
あの人がメアリー王女に命じられて、私たちに窓から水をかけたのです!」
ベルガー伯爵令嬢は赤みの髪に負けない真っ赤な顔で、前に座るエドワードに怒鳴るような感じで話す。
「私たちを、ドラ猫と勘違いしたと申しましたわ。
どうしたら、人間と猫を間違えると言うのでしょうか?!」
ゴーダン伯爵令嬢も午前中に仲良くなかったはずが、今は気が合うのか同じく文句を訴える。
「ですが、その時間帯は休息のお時間でしたよね。
その時間に何故?
お二人は、その場にいたのですか?」
ブルネール侯爵令嬢は、エドワードが聞きたいことを尋ねてくれた。
「「その~、あの~ですね」」
顔にうっすら汗を滲ませて、目で合図をし言葉を濁らす。
「コホン、食事中の意見の食い違いを話し合ってましたの。
ゴーダン伯爵令嬢、そうでしたね!」
「ベルガー伯爵令嬢が、これではいけないと申しまして…。
二人で話し合って、仲直りしましたのよ」
水色の瞳とグレーの瞳が、胸の奥底を探り合うのだ。
「私、エドワード殿下にお聞きしたいのです。
サンダース伯爵令嬢は、婚約者候補でもないのに私たちと一緒に旅行に行くのは問題です!」
「彼女は王妃様から、私たちの素行を探っていたのでしょう?
本人から、直接お聞きしました。
その様なことを知り、とても気分が悪かったですわ!」
もうひとりの侯爵令嬢は、エドワード王子からそれとなく聞いていた。
「母が中立で公平な立場で、実直なサンダース伯爵令嬢に依頼したんだ。
彼女のお陰で、2名の婚約者候補の不正を暴いてくれた」
あの二人は、エドワード殿下以外の殿方と関係を持っていた。
サンダース伯爵令嬢が接する態度の怪しさで、数日まで張り付いて調査をした結果である。
「彼女は役に立ってますわ。
私たちの仲を気遣って、今まで上手くお付き合いしていたではない」
伯爵令嬢たちは、身分がひとつ上の侯爵令嬢の良い子ぶりにムカッとする。
密かにこの2人は同時に、新たなターゲットをこの人に変えるのだった。
女の心とは、コロコロ変わるものだ。
馬車はピリピリな空気の中で、北の避暑地に向けて走る。
「王妃様からお誘いくださったからです!
貴女方がこうして仲が悪いから、第三者の者が仲を取り持つ為に必要なの!
それが、わ・た・し・なの!」
好き勝手に言ってきた令嬢たちに、日頃の我慢して溜まっていた鬱憤がここで出てしまった。
『ああー~、とうとう言ってしまったわ。
今まで頑張っていたのが、全てがお仕舞いになってしまった。
終わったよ、努力した事がキレイサッパリ燃え尽きた……』
「私たちを見張っていたわけ!
去った婚約者候補も、貴女が王妃様に告げ口を仰っていたのね」
「考えれば貴女、怖い方ね。
友人扱いをしてあげて、私は親切にしていたのよ」
「…………、友人?」
『友人なんて、お互いに思ってなかったでしょう。
エドワード王子と王妃様の影に、私にお友だちになったふりしてんでしょう?』
「「マティルダ……」 」
自分より小さな手が、私の手をソッと優しく握ってくれる。
その手の温もりが、私に力を与えてくれた。
「どんな風に思われてもいいですが、予定を立てて避暑地へ向かっているのです。
他の皆様は、これをご存じではない。
ですからー」
「ココに居たのか。
君たちは、何をしてるんだ?!
出発するから、玄関へ行こう」
エドワード殿下と公爵令息が、肩を並べて呼びに来た。
どこからか、二人は私たちの話を聞いている。
「「エドワード殿下、御一緒に参りましょう~!!」」
「「「…………」」」
コロリと態度が変わる令嬢たちを、無言で唖然と見つめる6つの目。
結局は前と同じ席の馬車の中だが、3人は無言で揺られる。
伯爵令嬢達との戦いは乱入で物別れに終わった。
『二人は表情は疲れ、私も精神がすり減ってしたまった』
「お二人には助けて頂き、有り難うございました。
お昼寝も中途半端でしたので、馬車の中で寝ましょう」
「「そうね ( そうだな )!」」
怒りと声を出したために、目を閉じると3人は夢の中の住人となった。
エドワード王子は髪やドレスが濡れていた伯爵令嬢2人を気にしていた。
急いで着替えて、崩れた髪型を整えたら別人に様変わり。
どうしても気になる彼は、地雷を踏んで自ら足を踏み込んでしまう。
「君たちがずぶ濡れだったのか、気になってな。
弟や妹も不機嫌な顔をしていたし、マティルダさえ表情が固かった」
マティルダの名前を出されると、伯爵令嬢たちが過敏になる。
「マティルダですって!
あの人がメアリー王女に命じられて、私たちに窓から水をかけたのです!」
ベルガー伯爵令嬢は赤みの髪に負けない真っ赤な顔で、前に座るエドワードに怒鳴るような感じで話す。
「私たちを、ドラ猫と勘違いしたと申しましたわ。
どうしたら、人間と猫を間違えると言うのでしょうか?!」
ゴーダン伯爵令嬢も午前中に仲良くなかったはずが、今は気が合うのか同じく文句を訴える。
「ですが、その時間帯は休息のお時間でしたよね。
その時間に何故?
お二人は、その場にいたのですか?」
ブルネール侯爵令嬢は、エドワードが聞きたいことを尋ねてくれた。
「「その~、あの~ですね」」
顔にうっすら汗を滲ませて、目で合図をし言葉を濁らす。
「コホン、食事中の意見の食い違いを話し合ってましたの。
ゴーダン伯爵令嬢、そうでしたね!」
「ベルガー伯爵令嬢が、これではいけないと申しまして…。
二人で話し合って、仲直りしましたのよ」
水色の瞳とグレーの瞳が、胸の奥底を探り合うのだ。
「私、エドワード殿下にお聞きしたいのです。
サンダース伯爵令嬢は、婚約者候補でもないのに私たちと一緒に旅行に行くのは問題です!」
「彼女は王妃様から、私たちの素行を探っていたのでしょう?
本人から、直接お聞きしました。
その様なことを知り、とても気分が悪かったですわ!」
もうひとりの侯爵令嬢は、エドワード王子からそれとなく聞いていた。
「母が中立で公平な立場で、実直なサンダース伯爵令嬢に依頼したんだ。
彼女のお陰で、2名の婚約者候補の不正を暴いてくれた」
あの二人は、エドワード殿下以外の殿方と関係を持っていた。
サンダース伯爵令嬢が接する態度の怪しさで、数日まで張り付いて調査をした結果である。
「彼女は役に立ってますわ。
私たちの仲を気遣って、今まで上手くお付き合いしていたではない」
伯爵令嬢たちは、身分がひとつ上の侯爵令嬢の良い子ぶりにムカッとする。
密かにこの2人は同時に、新たなターゲットをこの人に変えるのだった。
女の心とは、コロコロ変わるものだ。
馬車はピリピリな空気の中で、北の避暑地に向けて走る。
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