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第2章
15 油に火が注ぐ
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窓下からは、女性たちの悲鳴に近い絶叫が聞こえていた。
きゃあ~~、冷たいーー!
ぎゃあぎゃあと取っ組み合いから、伯爵令嬢たちは立ち上がってピョンピョンと飛び上がっている。
「どうしよう……、本当に水をかけちゃった。
2人と目が合っちゃった。
知らん顔しちゃおうか」
「メアリー、あの人たちの所へ行きましょう。
私が、うまく誤魔化して助けてあげるから」
恥ずかしい、どっちらが年上なの。
「う、うん。でも…。
アドニス殿下を独り残していくのはー」
「僕、ずっと前から目が覚めているよ。
マティルダとメアリー、声がデカイんだもの」
「「ええ~っ!!」」
寝ているふりしていたアドニスが、ベッドから出で話しかける。
「「……!ごめんなさい」」
「すこしは寝られたから、気にしなくていいよ。
それより、僕も行くよ!
マティルダが彼女らに、何かされたら困るしね」
ぱっぱっと2本の手が何本もあるかのように、凄い早さで二人を着替えさせた。そして、令嬢たちの場所へ向かう。
「ご令嬢たちと、仲はどうなんだい?」
「これと言って、個人的には何も言えません。
私自身、親しい友人は作らないようしてました」
いつでも身軽に実家から家出するのには、友人はいないほうが後々いいと考えた。
「「友人が、一人も?」」
「私も友達はいない、媚び売ってくるからー。
自称友人ばかりですもの」
「僕は陰口を言われて、引き籠った。
もう簡単には、友人は作らない!」
急ぎ足で階段を降りている時に、3人が会話を交わす。
血統書付きの濡れ猫が、2匹が呆然と立ちすくんでいた。
「もろに、直接当たったのね。
ドレスの色が、変わる程のずぶ濡れだ」
「あれは偶然なの?
マティルダはワザとしたの?」
メアリーとアドニスは、後ろからシズシズと重い足取りになる。
「貴女たちでしたの。
私たちの部屋の下で、喧しく鳴く猫たちだと思いましたわ」
「その、ごめんなさい。
猫だと勘違いして、水を撒いてみたの。
猫さんは伯爵令嬢たち、だったのね…」
「サンダース伯爵令嬢!
貴女が、私たちに水をかけたのね!」
「いきなり水をかけるなんて、驚くじゃない!」
口喧嘩に殴るまでの不仲だったはずが、今は意気投合してマティルダに怒号する。
「マティルダに怒鳴るな!
君たちが、休む時間に大声出すからだろう」
「そうよ!この国で、この時間に外にいるなんて誰も思わないわよ!」
幼くとも王族だけあり、たかが伯爵の娘とは違い威厳がある。
私はおとなしく、黙っているだけでいい。
お二人が、なんとかしてくれそう。
『有難い、心から感謝だ!』
気を使ってタオルを用意したのを、震える声で二人に差し出す。
「こ、これをお使い下さい」
「「使ってあげる!」」
お礼も伝えないで、タオルだけ受け取ると顔や髪を拭く。
「お前ら、マティルダが持ってきてくれのに礼の一言もないのか!」
ベルガー伯爵令嬢は一瞬で顔を赤くしてから、アドニス殿下に咄嗟我を忘れ口答えする。
「いくら弟殿下でも、言い過ぎで御座いますわ」
「アドお兄様に対して、無礼な!
女の癖に取っ組み合いをして、水をかけられる令嬢たちだけあるわ。
こんな方々が、エドワードお兄様の婚約者候補は許せない!」
「王族だからって、窓から水を捨てる方が悪いですわ!」
「アンタ達をドラ猫と、間違ったって話してるでしょう!」
「「ん、まぁー!!」」
令嬢2人のケンカより、王子と王女が参戦して4人で倍になっている。
油に火が注ぐ状態。
どうするんだ、これ?!
「…………、まぁまぁ。
皆さん、落ち着いて!
この暑さでカッカしてるんですね。
落ち着いて下さい!」
マティルダはそろそろ出発の時間が近づくので、焦り納める方向に持っていこうとしていた。
「暑いって、厚いの言い間違いではなくって?!
エドワード殿下の婚約者候補でもないのに、厚かましくついて来て!」
「ベルガー伯爵令嬢の仰る通りだわ。
貴女って、大人しそうに見えて、神経が太くて面の皮厚そう。
お得意のまた、暑さでお倒れになりましたらー」
「…………、は~ぁ?!」
マティルダもぶちギレ気味に、
どんどん険悪になり大騒ぎになる。
これだけの人数が大きな声で話しているのだから、耳につくのは当たり前。
エドワード王子が、友人たちとコチラに来てしまうようだ。
きゃあ~~、冷たいーー!
ぎゃあぎゃあと取っ組み合いから、伯爵令嬢たちは立ち上がってピョンピョンと飛び上がっている。
「どうしよう……、本当に水をかけちゃった。
2人と目が合っちゃった。
知らん顔しちゃおうか」
「メアリー、あの人たちの所へ行きましょう。
私が、うまく誤魔化して助けてあげるから」
恥ずかしい、どっちらが年上なの。
「う、うん。でも…。
アドニス殿下を独り残していくのはー」
「僕、ずっと前から目が覚めているよ。
マティルダとメアリー、声がデカイんだもの」
「「ええ~っ!!」」
寝ているふりしていたアドニスが、ベッドから出で話しかける。
「「……!ごめんなさい」」
「すこしは寝られたから、気にしなくていいよ。
それより、僕も行くよ!
マティルダが彼女らに、何かされたら困るしね」
ぱっぱっと2本の手が何本もあるかのように、凄い早さで二人を着替えさせた。そして、令嬢たちの場所へ向かう。
「ご令嬢たちと、仲はどうなんだい?」
「これと言って、個人的には何も言えません。
私自身、親しい友人は作らないようしてました」
いつでも身軽に実家から家出するのには、友人はいないほうが後々いいと考えた。
「「友人が、一人も?」」
「私も友達はいない、媚び売ってくるからー。
自称友人ばかりですもの」
「僕は陰口を言われて、引き籠った。
もう簡単には、友人は作らない!」
急ぎ足で階段を降りている時に、3人が会話を交わす。
血統書付きの濡れ猫が、2匹が呆然と立ちすくんでいた。
「もろに、直接当たったのね。
ドレスの色が、変わる程のずぶ濡れだ」
「あれは偶然なの?
マティルダはワザとしたの?」
メアリーとアドニスは、後ろからシズシズと重い足取りになる。
「貴女たちでしたの。
私たちの部屋の下で、喧しく鳴く猫たちだと思いましたわ」
「その、ごめんなさい。
猫だと勘違いして、水を撒いてみたの。
猫さんは伯爵令嬢たち、だったのね…」
「サンダース伯爵令嬢!
貴女が、私たちに水をかけたのね!」
「いきなり水をかけるなんて、驚くじゃない!」
口喧嘩に殴るまでの不仲だったはずが、今は意気投合してマティルダに怒号する。
「マティルダに怒鳴るな!
君たちが、休む時間に大声出すからだろう」
「そうよ!この国で、この時間に外にいるなんて誰も思わないわよ!」
幼くとも王族だけあり、たかが伯爵の娘とは違い威厳がある。
私はおとなしく、黙っているだけでいい。
お二人が、なんとかしてくれそう。
『有難い、心から感謝だ!』
気を使ってタオルを用意したのを、震える声で二人に差し出す。
「こ、これをお使い下さい」
「「使ってあげる!」」
お礼も伝えないで、タオルだけ受け取ると顔や髪を拭く。
「お前ら、マティルダが持ってきてくれのに礼の一言もないのか!」
ベルガー伯爵令嬢は一瞬で顔を赤くしてから、アドニス殿下に咄嗟我を忘れ口答えする。
「いくら弟殿下でも、言い過ぎで御座いますわ」
「アドお兄様に対して、無礼な!
女の癖に取っ組み合いをして、水をかけられる令嬢たちだけあるわ。
こんな方々が、エドワードお兄様の婚約者候補は許せない!」
「王族だからって、窓から水を捨てる方が悪いですわ!」
「アンタ達をドラ猫と、間違ったって話してるでしょう!」
「「ん、まぁー!!」」
令嬢2人のケンカより、王子と王女が参戦して4人で倍になっている。
油に火が注ぐ状態。
どうするんだ、これ?!
「…………、まぁまぁ。
皆さん、落ち着いて!
この暑さでカッカしてるんですね。
落ち着いて下さい!」
マティルダはそろそろ出発の時間が近づくので、焦り納める方向に持っていこうとしていた。
「暑いって、厚いの言い間違いではなくって?!
エドワード殿下の婚約者候補でもないのに、厚かましくついて来て!」
「ベルガー伯爵令嬢の仰る通りだわ。
貴女って、大人しそうに見えて、神経が太くて面の皮厚そう。
お得意のまた、暑さでお倒れになりましたらー」
「…………、は~ぁ?!」
マティルダもぶちギレ気味に、
どんどん険悪になり大騒ぎになる。
これだけの人数が大きな声で話しているのだから、耳につくのは当たり前。
エドワード王子が、友人たちとコチラに来てしまうようだ。
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