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第2章
13 バチバチな関係
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屋敷の主人の伯爵は、あからさまに作られた笑顔をたやさない。
王族の子供たちに、媚びを売りたいのか。
賢そうだとアドニス第2王子を誉める。
メアリー王女には、花の妖精が我が屋敷に舞い降りたと歯が浮くような言葉を並べていた。
「胡散臭い男だな。
父上はあんな男に頼むとは、人を見る目がないな」
私は周りを気にして、そっと彼のお尻を軽くポンと叩く。
いきなり、やられた事もない。
それにされて、ビックリしてやっと静かになる。
「殿下、思った事を素直にお話をされないようにー。
まだお子様ですから、許されますがお控え下さい。ねっ!」
今度は右肩をトントンすると、分かってくれたようでハイって返事を返してくれた。
メアリーは1番文句を言いそうだが、予想外に大人しくしていた。
社交が上手、もしかして場を読む天才なのか?
どことなく、愛想笑いしている母の王妃様に似ていらっしゃる。
『まぁ、本当の親子だし…。
華やかさを漂わせたりするところがー。
末が恐ろしい。
社交界を、牛耳ったりする。
未来が見えてきそうだわ』
人となりを瞬時にかき分けて、相手によって態度を変える。
しかし、人により不快感を与え兼ねない。
要するに、八方美人。
「何かしら?マティルダの声が聞こえたような?」
「ホホホ、何もないです。
メアリー王女様、食堂に参りましょう」
食堂の席順は王様たちを筆頭に、この屋敷の伯爵が続く。
エドワード殿下のご友人の侯爵令息。
婚約者候補のブルネール侯爵令嬢や2人の伯爵令嬢たちが続いた。
マティルダは末席で独り対話がなく、黙々と食べては料理の味を批評する。
これは新鮮なお肉、狩りで仕留めたばかりの鹿の肉かしら?!
実家の伯爵家では、滅多に食べれない貴重な食材たちに目を細めた。
「アドニスお兄様、マティルダと席が離れちゃった。
つまんないわ。
石でも食べてるような気分よ」
「そんな事を言うな。
メアリー、ほら見てみろ!
マティルダは、ニコニコして嬉しそうに食べているぞ」
「ぷぷっ、美味しそうに口に入れてますよ。
私も近くで、あの顔を見て食べたかったですわ」
仲良く隣席同士コソコソお喋りしていると、兄の婚約者の伯爵令嬢が食が進まない様子。
「ゴーダン伯爵令嬢、どうしましたか?
もう、お食べになりませんか?
全然、お手がつけられてませんが如何しました?」
水色の目を氷のように冷たい視線で、馬車での殿下に対しての態度を注意された事を恨んでの行動。
「私は…。このお肉が苦手なの」
この鹿肉が苦手と言っているのにベルガー伯爵令嬢は、肉を全てが嫌いととれる返しをしてくるのだ。
「好き嫌いは良くないですわ。
ゴーダン伯爵令嬢、栄養失調症になったりしたら大変ですよ。
将来、お子を産む時は特に…。ウフフ」
健康なお子が出来にくいと、彼女は遠回しに言ってる。
つまりエドワード王子の婚約者には相応しくないと批判しているのである。
「なっ!このような場で…」
ベルガー伯爵令嬢は、馬車の中でエドワード王子になれなれしい態度に頭にきてしまい。
注意して気まずくなった。
『まさか、それを根に持ってのこれなの?』
ゴーダン伯爵令嬢は隣の彼女が薄ら笑いする顔を、人知れずに奥歯を食い縛った。
「ベルガー伯爵令嬢、あなた。
貴女って人は……」
プルプルと肩を震えだす、ゴーダン伯爵令嬢。
「どうしたのですか?
ゴーダン伯爵令嬢、すこし顔色がお悪いようだわ」
「馬車酔いをしたのかも知れません。
両陛下、エドワード王子。
どうやら、婚約者になるには失格とゴーダン伯爵令嬢に言われてしまいましたわ。
ここから一人で引き返して、王都へ戻ろうかと存じます」
ざわつく食卓に座る人たちは、ゴーダン伯爵令嬢に視線を動かす。
王妃の耳に、2人の会話が小さな声だが聞こえてきた。
具合と機嫌が悪くなった彼女は、明らかにベルガー伯爵令嬢と何かあったとこの場に居る人たちに知らしめたのである。
「横になって休まれたら、体調も治ります。
先にお部屋で横になったら、陛下からもお許しして差し上げて!?」
「王妃、そうしよう!
勿論だとも、よいぞ。
伯爵、ゴーダン伯爵令嬢を部屋に案内してやってくれないか」
伯爵は心配そうにゴーダン令嬢に視線を移すと、近くのメイドに命じた。
「両陛下、お心遣いありがとうございます。
伯爵様にも、せっかくのお食事を残してしまい。
申し訳なく思います」
「気にしないで下され」
ゴーダン伯爵令嬢はメイドに支えられて立ち上がる時に、隣に座るベルガー伯爵令嬢をグレーの瞳を光らせて見る。
『あれだけには、巻き込まれたくない』
その瞳と瞳がバチバチと火花散るのを、1番遠いマティルダは口の中にあるものを飲み込みながら思っていた。
伯爵令嬢たちは互いによい感情がないのだが、皆が勢ぞろいの食事の場でハッキリとする。
避暑地へは何事もなくたどり着けるのかと、一部の者たちは不安になっていた。
王族の子供たちに、媚びを売りたいのか。
賢そうだとアドニス第2王子を誉める。
メアリー王女には、花の妖精が我が屋敷に舞い降りたと歯が浮くような言葉を並べていた。
「胡散臭い男だな。
父上はあんな男に頼むとは、人を見る目がないな」
私は周りを気にして、そっと彼のお尻を軽くポンと叩く。
いきなり、やられた事もない。
それにされて、ビックリしてやっと静かになる。
「殿下、思った事を素直にお話をされないようにー。
まだお子様ですから、許されますがお控え下さい。ねっ!」
今度は右肩をトントンすると、分かってくれたようでハイって返事を返してくれた。
メアリーは1番文句を言いそうだが、予想外に大人しくしていた。
社交が上手、もしかして場を読む天才なのか?
どことなく、愛想笑いしている母の王妃様に似ていらっしゃる。
『まぁ、本当の親子だし…。
華やかさを漂わせたりするところがー。
末が恐ろしい。
社交界を、牛耳ったりする。
未来が見えてきそうだわ』
人となりを瞬時にかき分けて、相手によって態度を変える。
しかし、人により不快感を与え兼ねない。
要するに、八方美人。
「何かしら?マティルダの声が聞こえたような?」
「ホホホ、何もないです。
メアリー王女様、食堂に参りましょう」
食堂の席順は王様たちを筆頭に、この屋敷の伯爵が続く。
エドワード殿下のご友人の侯爵令息。
婚約者候補のブルネール侯爵令嬢や2人の伯爵令嬢たちが続いた。
マティルダは末席で独り対話がなく、黙々と食べては料理の味を批評する。
これは新鮮なお肉、狩りで仕留めたばかりの鹿の肉かしら?!
実家の伯爵家では、滅多に食べれない貴重な食材たちに目を細めた。
「アドニスお兄様、マティルダと席が離れちゃった。
つまんないわ。
石でも食べてるような気分よ」
「そんな事を言うな。
メアリー、ほら見てみろ!
マティルダは、ニコニコして嬉しそうに食べているぞ」
「ぷぷっ、美味しそうに口に入れてますよ。
私も近くで、あの顔を見て食べたかったですわ」
仲良く隣席同士コソコソお喋りしていると、兄の婚約者の伯爵令嬢が食が進まない様子。
「ゴーダン伯爵令嬢、どうしましたか?
もう、お食べになりませんか?
全然、お手がつけられてませんが如何しました?」
水色の目を氷のように冷たい視線で、馬車での殿下に対しての態度を注意された事を恨んでの行動。
「私は…。このお肉が苦手なの」
この鹿肉が苦手と言っているのにベルガー伯爵令嬢は、肉を全てが嫌いととれる返しをしてくるのだ。
「好き嫌いは良くないですわ。
ゴーダン伯爵令嬢、栄養失調症になったりしたら大変ですよ。
将来、お子を産む時は特に…。ウフフ」
健康なお子が出来にくいと、彼女は遠回しに言ってる。
つまりエドワード王子の婚約者には相応しくないと批判しているのである。
「なっ!このような場で…」
ベルガー伯爵令嬢は、馬車の中でエドワード王子になれなれしい態度に頭にきてしまい。
注意して気まずくなった。
『まさか、それを根に持ってのこれなの?』
ゴーダン伯爵令嬢は隣の彼女が薄ら笑いする顔を、人知れずに奥歯を食い縛った。
「ベルガー伯爵令嬢、あなた。
貴女って人は……」
プルプルと肩を震えだす、ゴーダン伯爵令嬢。
「どうしたのですか?
ゴーダン伯爵令嬢、すこし顔色がお悪いようだわ」
「馬車酔いをしたのかも知れません。
両陛下、エドワード王子。
どうやら、婚約者になるには失格とゴーダン伯爵令嬢に言われてしまいましたわ。
ここから一人で引き返して、王都へ戻ろうかと存じます」
ざわつく食卓に座る人たちは、ゴーダン伯爵令嬢に視線を動かす。
王妃の耳に、2人の会話が小さな声だが聞こえてきた。
具合と機嫌が悪くなった彼女は、明らかにベルガー伯爵令嬢と何かあったとこの場に居る人たちに知らしめたのである。
「横になって休まれたら、体調も治ります。
先にお部屋で横になったら、陛下からもお許しして差し上げて!?」
「王妃、そうしよう!
勿論だとも、よいぞ。
伯爵、ゴーダン伯爵令嬢を部屋に案内してやってくれないか」
伯爵は心配そうにゴーダン令嬢に視線を移すと、近くのメイドに命じた。
「両陛下、お心遣いありがとうございます。
伯爵様にも、せっかくのお食事を残してしまい。
申し訳なく思います」
「気にしないで下され」
ゴーダン伯爵令嬢はメイドに支えられて立ち上がる時に、隣に座るベルガー伯爵令嬢をグレーの瞳を光らせて見る。
『あれだけには、巻き込まれたくない』
その瞳と瞳がバチバチと火花散るのを、1番遠いマティルダは口の中にあるものを飲み込みながら思っていた。
伯爵令嬢たちは互いによい感情がないのだが、皆が勢ぞろいの食事の場でハッキリとする。
避暑地へは何事もなくたどり着けるのかと、一部の者たちは不安になっていた。
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