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第2章
9 思い思われは勘違い
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3日後、夏休暇で王家が持つ北ある避暑地へ向かう。
お城の前には湖があり、とても涼しい場所にあるそうだ。
私の体は喜ぶだろうが、精神的には気を使って疲れるだろう。
これでは、プラスマイナスでゼロになる。
損得を考えていたら、生徒としては先生に対し横柄な言葉で投げかけられた。
「なぁ、マティルダ。
答えは、これで正解だろう」
呼びつけられ、彼女は不機嫌になり注意した。
「アドレス殿下、先生を呼びつけてはいけません。
親しい女性でも、敬称をキチンとつけて言いましょう。
分かりましたか、殿下!」
「親しき仲にも礼儀ありですわ。
アドお兄様、先生をつけて申して下さいませ!」
私の生徒、メアリー王女とアドニス王子。
二人同時に、授業を受け持っていた。
殿下と二人きりになったら、面倒な会話をされても迷惑だからだ。
「メアリー王女、お気遣い有り難うございます。
アドニス殿下、お答えは正解です。
今度は、こちらの問題を解いて下さい」
勉強はお出来になるが、私と婚約したいとワケわからない話をしてくる。
バカと天才は、紙一重か…。
「お兄様、最近お顔が浮腫んでませんか?」
「メアリー、それは違うぞ。
これは頑張って、食べている証拠だよ。
ガリガリで貧弱だから、肉をつけるんだ。
そして、筋肉もつけて。
マティルダを、この腕で抱っこする予定である」
扇の閉じた先ででボンポンと軽く頭を叩くと、2人を嗜めるように注意する。
「お二方、ムダなお喋りしないように!
集中して、問題を解きなさい!」
先生らしく叱りつけると、生徒たちは大人しくなり問題にとりかかる。
しばしの沈黙を心地よく感じていた。
生暖かい風が部屋の中に、この風も少したてばお別れだと窓の外の木々を目にとどめる。
昨日、独りで食事をしているとコソコソと私を見て何かを話していていた。
あの気まずいベッキーとの対話に、あれから誰も近寄る人はいない。
寂しく思う時もあるが興味本位で探るように側に来られても困る。
「アドニス王子殿下は、彼女より年下でしょう?」
「ハハハ、冗談の冗談にしか思えんな」
「暑さで頭が変になって、誰かが勘違いしたんだろう?!」
あのバカらしい告白から、2日しかまだ経ってないわよ。
あの熱中症王子、もうお願いしたのね。
まったく持って迷惑だわ!
話の話題が変わり、こちらは冗談ではない。
今日から実施されるのだから。
「陛下が、国中に御触れを出したのでしょう。
あれ、スゴく良いよね!」
「俺、門番だから立ちくらみする時があったんだよ。
交代時間はあるけど、そんなに長くないからな」
「うん、三時間あるなら部屋に戻って横になれる。
ゆっくりと休めるから嬉しいぜ」
会話を聞いていた周りも、この良策に持ちきりになっていた。
私の話題を、外に追い出してくれている。
お昼の休み延長の話は、当分は続く噂になるだろう。
口からひょっこり出たけど、結果として自分で自分を助けた。
「あの噂は…。最近の話題の中では、冗談でウソなんじゃない?」
「王子が家庭教師になんて、あり得ないわ。
思い思われは、勘違いよ」
「急ぎ始めるから、混乱した中でどさくさに流れた。
馬鹿げた、噂だったのね」
聞き耳をたてていたマティルダは、安心して分厚い肉をナイフで切り分ける。
だが父親の陛下に、彼はどう私の事を話したの。
普通の人なら、真面目にそんな話を取り扱いはしない。
「いいお肉を出してる。
これを食べて、せめて体力つけてとの考えかしらね」
頭は使うが体力は使わない。
それでも暑さだけで体力は奪われていたので、お昼寝出来るのは良いことだわ。
食堂で食事をしていた人たち、喜んでは活気に満ちた笑顔が眩しく思えたら。
マティルダは口を閉じて咀嚼をすると、自然と込み上げる笑みを浮かべている。
お城の前には湖があり、とても涼しい場所にあるそうだ。
私の体は喜ぶだろうが、精神的には気を使って疲れるだろう。
これでは、プラスマイナスでゼロになる。
損得を考えていたら、生徒としては先生に対し横柄な言葉で投げかけられた。
「なぁ、マティルダ。
答えは、これで正解だろう」
呼びつけられ、彼女は不機嫌になり注意した。
「アドレス殿下、先生を呼びつけてはいけません。
親しい女性でも、敬称をキチンとつけて言いましょう。
分かりましたか、殿下!」
「親しき仲にも礼儀ありですわ。
アドお兄様、先生をつけて申して下さいませ!」
私の生徒、メアリー王女とアドニス王子。
二人同時に、授業を受け持っていた。
殿下と二人きりになったら、面倒な会話をされても迷惑だからだ。
「メアリー王女、お気遣い有り難うございます。
アドニス殿下、お答えは正解です。
今度は、こちらの問題を解いて下さい」
勉強はお出来になるが、私と婚約したいとワケわからない話をしてくる。
バカと天才は、紙一重か…。
「お兄様、最近お顔が浮腫んでませんか?」
「メアリー、それは違うぞ。
これは頑張って、食べている証拠だよ。
ガリガリで貧弱だから、肉をつけるんだ。
そして、筋肉もつけて。
マティルダを、この腕で抱っこする予定である」
扇の閉じた先ででボンポンと軽く頭を叩くと、2人を嗜めるように注意する。
「お二方、ムダなお喋りしないように!
集中して、問題を解きなさい!」
先生らしく叱りつけると、生徒たちは大人しくなり問題にとりかかる。
しばしの沈黙を心地よく感じていた。
生暖かい風が部屋の中に、この風も少したてばお別れだと窓の外の木々を目にとどめる。
昨日、独りで食事をしているとコソコソと私を見て何かを話していていた。
あの気まずいベッキーとの対話に、あれから誰も近寄る人はいない。
寂しく思う時もあるが興味本位で探るように側に来られても困る。
「アドニス王子殿下は、彼女より年下でしょう?」
「ハハハ、冗談の冗談にしか思えんな」
「暑さで頭が変になって、誰かが勘違いしたんだろう?!」
あのバカらしい告白から、2日しかまだ経ってないわよ。
あの熱中症王子、もうお願いしたのね。
まったく持って迷惑だわ!
話の話題が変わり、こちらは冗談ではない。
今日から実施されるのだから。
「陛下が、国中に御触れを出したのでしょう。
あれ、スゴく良いよね!」
「俺、門番だから立ちくらみする時があったんだよ。
交代時間はあるけど、そんなに長くないからな」
「うん、三時間あるなら部屋に戻って横になれる。
ゆっくりと休めるから嬉しいぜ」
会話を聞いていた周りも、この良策に持ちきりになっていた。
私の話題を、外に追い出してくれている。
お昼の休み延長の話は、当分は続く噂になるだろう。
口からひょっこり出たけど、結果として自分で自分を助けた。
「あの噂は…。最近の話題の中では、冗談でウソなんじゃない?」
「王子が家庭教師になんて、あり得ないわ。
思い思われは、勘違いよ」
「急ぎ始めるから、混乱した中でどさくさに流れた。
馬鹿げた、噂だったのね」
聞き耳をたてていたマティルダは、安心して分厚い肉をナイフで切り分ける。
だが父親の陛下に、彼はどう私の事を話したの。
普通の人なら、真面目にそんな話を取り扱いはしない。
「いいお肉を出してる。
これを食べて、せめて体力つけてとの考えかしらね」
頭は使うが体力は使わない。
それでも暑さだけで体力は奪われていたので、お昼寝出来るのは良いことだわ。
食堂で食事をしていた人たち、喜んでは活気に満ちた笑顔が眩しく思えたら。
マティルダは口を閉じて咀嚼をすると、自然と込み上げる笑みを浮かべている。
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