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第2章
7 作られた友人
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アドニス王子とメアリー王女の2人は、周りからは仲良く見えるが本当にそうなのか。
この人は引きこもり王子様、何が原因でなったのか。
複雑な事情があるのだろう。
マティルダは二人きりになり、目の前で無表情の彼を見ていた。
外に出された妹は不機嫌になり、もう1人兄に文句を言い出す。
「もっとお茶したかったなぁ。
アドお兄様は、私だけがお邪魔だったのみたいね」
ぶつぶつ文句を言って、長男のエドワード王子の後ろをついて歩く。
「父上に大切な話があるのだが、お会いできるだろうか?」
「エドワード殿下、メアリー王女。
今日も暑いですが、ご機嫌いかがですか?
陛下はこれから休憩のご予定ですので、今から確認致します。お待ち下さい」
一礼して足早に同時に彼は、2人の前から消えていく。
「お声がけの方、顔色が青かったです。
汗も滴り落ちて、具合悪そうだったわ」
「立っている仕事で客が来る度に、歩いて教えにいかくてはならないから大変だな」
「そう考えると、先ほどのマティルダ先生の案は素晴らしいと思います」
二人は目を合わせて、お昼寝の効果を確信を得て微笑んで相槌を打つ。
一方のマティルダとアドニスは、彼の過去にあった話を始めていた。
「兄と同じようにー。
僕にも同じ年齢の側近候補が、学友としてつけられていた。
その侯爵令息が、いつも側についていたよ」
「国王様も…。親としてアドニス殿下の学園生活が、ご心配で御座いましたのでしょう。
たがら、お守りできるお目付け役を置いたのです」
アドニス殿下はマティルダの何気なく言った言葉に、顔を一瞬で歪める。
マティルダは自分が言誤りしたと悔やむ。
二人の間に不穏な空気が流れて、彼はそれでも話の続きをしてくる。
「……うん、いつも彼は隣でニコニコしてた。
だから……、僕は慕われているんだとー。
そう僕は…、勘違いしていたんだ」
「……。友人関係を、2人の間に築けなかったのですか!?」
喉と胸に、何かが詰まった感じがする。
この質問は先に促すのが必要と、マティルダは確信した。
彼は聞いて欲しい反面、話しづらそうにしている様に見えた。
「もともと友人関係じゃない。
親に命じられて、友人みたいに振る舞っていたからね。
でも、僕はー」
まだ、単純に友人が出来て嬉しくて見抜けないよね。
気づいた時点で傷ついたと思う、作られた友人との友情。
「知らなかったのは僕だけで、初めての友人に夢中だったんだ。
ある日、彼が彼の友人と話をしているのを偶然に聞いてしまったんだ」
「お相手はアドニス殿下が、側に来ていたのに気づかなかったのですね。
聞きたくないのを聞かされるのは、さぞやお辛かったことでしょう」
偶然にも、両方全て経験してる。
私みたいに生まれた時からだと、最初からそんなもんだと諦めちゃう。
何でどうしてと、ずっと思って生きてきたけど。
「最初から彼は、側にいた人に不機嫌そうに話していたよ。
父である国王は侯爵に、同じ歳の息子に僕との友人になることをお願いした。
家臣だから、嫌とは言えない。
彼とってー、僕は面倒くさい人間だった。
それが、僕が初めて出来た。
…………、友人だったんだ!」
フウって一息つくと、前のカップの中に残ったお茶を飲み干した。
「そうで御座いますか。
じゃあ、私は決められた婚約者ね。
伯爵家に入り婿出来る特典しかない、伯爵令嬢ですもの」
私の顔をマジマジと見ると、それが失礼だと目を背けて黙っていた。
沈黙の時が心地よいのか、逆かは当人同士しか心は知れない。
「友人か婚約者か。
婚約者では婚姻してしまったら、夫になって別れるまで一生だよ。
重さが比べられないよ」
「彼とは、婚姻破棄か解消します。
だって、彼も私もお互いに好意持ってないんですもの」
またも驚き彼は、目がこぼれ落ちるくらいに大きく丸くした。
「僕が友人の件で、こんなので愚痴ってバカみたいに思えてきた。
裏切られて、いじけて学園に行かないなんて…」
「人それぞれ、心の傷の深さは違います。
殿下が学園に通わなくなり。
部屋からも出て来なくなるとは、その侯爵令息は思わなかったでしょう。
きっと、お困りでしょうね」
「逃げた僕は、置き去りになった彼のことを考えていなかった。
悪いと思うが、彼の言葉は許せなかったんだ」
「どんな言葉でしたの」
膝の上に拳が左右に乗せられ、強く握られていたものはピクッと動いた。
「僕の人生はー、兄のスペア。
彼は、僕を予備だと言っていた。
そんな者が友人にー、側近になるのはイヤだと。
そう、ハッキリと言われてしまった」
マティルダは話を聞き終えると、引きこもった理由を知り悲しくなっていた。
親が良かれと思ってしたことが裏目となり、親の気持ちが分かるから言えないでいたのだろう。
この人も生まれた時から、道が決まってしまっているのだろうか。
私は逃げれる、彼は逃げることが出来るのだろうか。
どちらが幸せなのかー、誰にも分からない。
まだ少年で純粋だから、傷が深くなってしまったんだ。
アドニスを救いたいと思って、彼の姿を黙って見ていた。
この人は引きこもり王子様、何が原因でなったのか。
複雑な事情があるのだろう。
マティルダは二人きりになり、目の前で無表情の彼を見ていた。
外に出された妹は不機嫌になり、もう1人兄に文句を言い出す。
「もっとお茶したかったなぁ。
アドお兄様は、私だけがお邪魔だったのみたいね」
ぶつぶつ文句を言って、長男のエドワード王子の後ろをついて歩く。
「父上に大切な話があるのだが、お会いできるだろうか?」
「エドワード殿下、メアリー王女。
今日も暑いですが、ご機嫌いかがですか?
陛下はこれから休憩のご予定ですので、今から確認致します。お待ち下さい」
一礼して足早に同時に彼は、2人の前から消えていく。
「お声がけの方、顔色が青かったです。
汗も滴り落ちて、具合悪そうだったわ」
「立っている仕事で客が来る度に、歩いて教えにいかくてはならないから大変だな」
「そう考えると、先ほどのマティルダ先生の案は素晴らしいと思います」
二人は目を合わせて、お昼寝の効果を確信を得て微笑んで相槌を打つ。
一方のマティルダとアドニスは、彼の過去にあった話を始めていた。
「兄と同じようにー。
僕にも同じ年齢の側近候補が、学友としてつけられていた。
その侯爵令息が、いつも側についていたよ」
「国王様も…。親としてアドニス殿下の学園生活が、ご心配で御座いましたのでしょう。
たがら、お守りできるお目付け役を置いたのです」
アドニス殿下はマティルダの何気なく言った言葉に、顔を一瞬で歪める。
マティルダは自分が言誤りしたと悔やむ。
二人の間に不穏な空気が流れて、彼はそれでも話の続きをしてくる。
「……うん、いつも彼は隣でニコニコしてた。
だから……、僕は慕われているんだとー。
そう僕は…、勘違いしていたんだ」
「……。友人関係を、2人の間に築けなかったのですか!?」
喉と胸に、何かが詰まった感じがする。
この質問は先に促すのが必要と、マティルダは確信した。
彼は聞いて欲しい反面、話しづらそうにしている様に見えた。
「もともと友人関係じゃない。
親に命じられて、友人みたいに振る舞っていたからね。
でも、僕はー」
まだ、単純に友人が出来て嬉しくて見抜けないよね。
気づいた時点で傷ついたと思う、作られた友人との友情。
「知らなかったのは僕だけで、初めての友人に夢中だったんだ。
ある日、彼が彼の友人と話をしているのを偶然に聞いてしまったんだ」
「お相手はアドニス殿下が、側に来ていたのに気づかなかったのですね。
聞きたくないのを聞かされるのは、さぞやお辛かったことでしょう」
偶然にも、両方全て経験してる。
私みたいに生まれた時からだと、最初からそんなもんだと諦めちゃう。
何でどうしてと、ずっと思って生きてきたけど。
「最初から彼は、側にいた人に不機嫌そうに話していたよ。
父である国王は侯爵に、同じ歳の息子に僕との友人になることをお願いした。
家臣だから、嫌とは言えない。
彼とってー、僕は面倒くさい人間だった。
それが、僕が初めて出来た。
…………、友人だったんだ!」
フウって一息つくと、前のカップの中に残ったお茶を飲み干した。
「そうで御座いますか。
じゃあ、私は決められた婚約者ね。
伯爵家に入り婿出来る特典しかない、伯爵令嬢ですもの」
私の顔をマジマジと見ると、それが失礼だと目を背けて黙っていた。
沈黙の時が心地よいのか、逆かは当人同士しか心は知れない。
「友人か婚約者か。
婚約者では婚姻してしまったら、夫になって別れるまで一生だよ。
重さが比べられないよ」
「彼とは、婚姻破棄か解消します。
だって、彼も私もお互いに好意持ってないんですもの」
またも驚き彼は、目がこぼれ落ちるくらいに大きく丸くした。
「僕が友人の件で、こんなので愚痴ってバカみたいに思えてきた。
裏切られて、いじけて学園に行かないなんて…」
「人それぞれ、心の傷の深さは違います。
殿下が学園に通わなくなり。
部屋からも出て来なくなるとは、その侯爵令息は思わなかったでしょう。
きっと、お困りでしょうね」
「逃げた僕は、置き去りになった彼のことを考えていなかった。
悪いと思うが、彼の言葉は許せなかったんだ」
「どんな言葉でしたの」
膝の上に拳が左右に乗せられ、強く握られていたものはピクッと動いた。
「僕の人生はー、兄のスペア。
彼は、僕を予備だと言っていた。
そんな者が友人にー、側近になるのはイヤだと。
そう、ハッキリと言われてしまった」
マティルダは話を聞き終えると、引きこもった理由を知り悲しくなっていた。
親が良かれと思ってしたことが裏目となり、親の気持ちが分かるから言えないでいたのだろう。
この人も生まれた時から、道が決まってしまっているのだろうか。
私は逃げれる、彼は逃げることが出来るのだろうか。
どちらが幸せなのかー、誰にも分からない。
まだ少年で純粋だから、傷が深くなってしまったんだ。
アドニスを救いたいと思って、彼の姿を黙って見ていた。
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