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第2章

6 熱中症は命の危険 ④

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   準備が終わりテーブルには、新しいお茶にプリン?

果物とアイスにクリームたっぷりの贅沢ぜいたくなプリンだった。
今年は異常な暑さで、作物が不出来ふできである。

王宮だからこそ、立派な果物を用意することが可能なのだ。
心をとがめても、この甘い魅力には勝てないマティルダ。
女性の大半たいはんは、彼女と同じ気持ちだ。

驚く私とメアリー王女は、それを目にして大喜びした。
隣に座るエドワード殿下は片目をつむるのは、彼が指示をしたのだろう。
結構こういう気の利いたことをしてくれる彼は、婚約者たちに人気者だと思っていた。
現在は婚約者候補が三人、誰が彼を射止いとめるだろうか。

「うふふっ、幸せな気持ちですわ。
お見舞い品は美味しいでしょう、アドお兄様。
エドお兄様がちゃかり食べてるのが気に入らないけど、気分いいから許してあげる」

彼女のお陰で、明るい雰囲気になっていた。

「アドニス殿下、喉がかわいてなくても水分は多めにお取りください。
特に寝る前と起きた時には、グラス一杯の水を飲むように」

「まるで、医者と同じ事を言うんですね。
診察の時に毎回言われてます。
子供は体温高いから汗が出やすく、体内の水分が減りやすいなんだってさ」

代謝が良さそう。
私も十代半ばだからお肌はまだピチピチだけど、二人と比べて見ると悲しいが落ちる。
甘くて冷えたプリンを口にして、心は少し苦い味がした。

「話して考えてみると、外で働いている者たちは大変だな。
屋内でも、こんなに暑くてバテているんだし」

エドワードは両腕を組むと、顔を窓の外の日差しに向けて眩しげ目をやる。

「……、思い出しました!
本で読みましたが、暑い国では1番暑い正午から三時間位お昼寝して休むそうですよ 」

「そんなことしたら、仕事はどうするんですか?
農作業とかは?」

アドニス殿下は、積極的に私に質問してくる。
いい傾向だわ、彼にはこれが切っ掛けになって学ぶ意欲が出てくれたらどんなにいいか。

「その分は、後にずらすのです。
終わる時間は遅くなりますが、夏は日の時間が長くなります。
そこで時間調整をするのですよ」

「「「良い!それ!」」」 

血のつながりを強く感じた。
アリエールと私とは、分かりきっていたが違うとこの時に感じた。

「このサンダース伯爵令嬢の案を、父上に話しても良いか?
勿論、君の案だと伝える」

「エドワード殿下の案にして下さい。
私は思いついたのを、口にしたまでですから」

もしかしたら、エドワード殿下のお力になれるかもしれない。
ただの伯爵令嬢が、提案するより信頼性が増す。
世間とは、世の中はそんなもの。
特に女は、でしゃばるのは良くないから。

「有り難う!すまないが、父に話しに行ってくる。
アドニス、暑い日が続くから体調に気を付けるんだよ」

「エド兄さん、メアリーも連れて行ってくれない?!」

「「「えっ!!!」」」

アドニスの言葉に、3人は同時に声が出た。

「驚くことはないよ。
サンダース伯爵令嬢と2人きりになって、ちゃんとお礼を言いたいんだ。
身内がいると、恥ずかしいんだ」

「なんとなく理解できる。メアリー、お前も父上の所へ行くぞ!」

「えーっ!私も?!」

残りのお菓子を、名残り惜しそうに眺める。

「2人は出ていく前に水分とってね。
熱中症は危険だから、下手したら天に召されてしまうからね」

アドニス王子の笑う顔は、天使のように愛らしく美しくしかった。
2人を背後を見送ったら、笑顔は消えて口元を閉じて口角だけをあげていた。

「伯爵令嬢は、どうして僕が引きこもっていたのか。
知りたい?」

意地悪そうな言い方は、兄妹だけあってか。
妹のメアリー王女に、よく似ておられた。
ううん、エドワード殿下にも…。

私は躊躇ためらいもせずに、ひとつうなづいて見せた。

彼は、私に引き籠もった理由を話したいのだ。
身内には話しにくいのよ。
からに閉じこもってしまった原因を…。

マティルダは、何となくアドニスの気持ちが分かるからー。
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