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第1章
15 ドキドキは初体験
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有能な女官たちは彼女の指示に喜び、さっさと支度を終えるとペコリとして部屋をしずしずと出て去って行った。
素早すぎる撤収に残された4人は、席に座りマティルダ一人だけ満面の笑み。
「王妃様、メアリー王女様も反省し後悔してます。
アイスには罪なしです。
ですから、召し上がりませんか?」
「サンダース伯爵令嬢、そうですね。
いただきましょうか……」
王妃の了承を得て、アイスを食べ始める。
「甘いー、冷たい~!
幸せ~、本当アイスって贅沢でございますわ」
マティルダ一人が、大喜びでスプーンを掬い口に入れた。
「先生、美味しいですわ」
貴女から先生呼びに格上されて、王女の目を見て微笑む。
「メアリー王女は、打たれ強い性格してますね。
上に立つ資質が、生まれ持ってございます。
明日の授業までに、今まで習ってご理解出来ぬ箇所を纏めて下さい」
「はい、サンダース先生」
あのメアリーがここまでおとなしいだけでなく媚びるのを見て、母も兄もアイスの冷たさと同時に目を丸くする。
「食べ終わったら、貴女は先生の宿題を自室でしなさい」
この後、私は2人から王女の話を詳しく尋問されるのかと会話を聞いていた。
手間のかかる末っ子が居なくなった勉強部屋で、母親は悪戯に使用された細工された本を手で触っていた。
「こんな手の込んだ品を用意してまで、家庭教師たちに悪さをしていたのね」
「母上、メアリーは反省してます。
許してあげて下さい」
側仕えの者たちが、手を貸さなかったら途中でするのを諦めていたかもしれない。
しかし、エドワード王子は優しすぎる。
争いを好まない方とは聞いていたが、ここまで平和主義で甘い考えの持ち主でしたのね。
先が思いやられますわ。
「私は夏休暇までの契約ですが。
真剣に勉学に励まれて、その後に成果がでたら許しては如何ですか?
過去に辞められた先生方に今更ですが、謝罪のお手紙を書かせたらどうですか?」
「サンダース伯爵令嬢、いい案です。
辞めた先生方には一通り理由を伺いましたが、皆さん言葉を濁されておりました。
メアリーがここまでしていたのを、親なのに見逃していたわ」
見逃すって、それ放置の間違いでしょう?
多忙なのはわかるが、だからって他人に任せていた。
今回は、私を使ってみたら発覚したってか?
笑わさないで、本気で吹き出しそうになる。
「サンダース伯爵令嬢、君にはたくさん助けてもらい感謝している。
メアリーの話の中で、君の妹との関係が気になってしまってね…」
その考えは全く違っていた。
だんだんと、私の身の上になっていった。
「妾も気になっていたのよ。
貴女が婚約している方と、妹君がその……」
王妃様は、言葉を詰まらせる。
「本当の話ですよ。
5歳で初めて会った時も、妹がハロルド…。
婚約者に一目惚れしたのか、必ず会う機会に邪魔してましたもの」
マティルダはここで一口お茶を飲んでから、ため息をつくと怒涛の告白の時間が訪れた。
かい摘んで話したが、聞いていた2人は半ば信じられない。
マティルダ本人が2人の不貞現場を、見てはいなくても聞いていたとは…。
「その声を私だけでなく、執事やメイドたちもその場で聞いてました。
聞くに堪えない声で所々に、マティルダとは将来したくない行為だ。
君が婚約者ならって、息絶え絶えにそう申してましたわ」
「君は!濡れ場を見たのか…。
ゴホン、修羅場ではないか!
その場に…、君たちはー。
えーっと、その場に踏み込んだのかい?」
「入りませんよ。
誰が好き好んで、他人の裸を見たいのですか?
それも、妹と婚約者の……」
「酷い裏切りで、聞いていて虫唾が走ります。
自分がその場に居たらと思ったら、妾も貴女と同じで部屋に踏み込めないわ」
王妃様の顔には、気色が悪いってハッキリと書いてあるようだった。
「執事に付き合ってもらって、一緒に父に訴えたら妄想扱いされました。
何なら婚姻してダメなら、妹と再婚させたら良いじゃないかと胸くそ悪い事も言われてしまいー」
一拍おいて、悲しげな声で呟く。
「涙は枯れて出なくなったが、心臓が潰れそうになりました。
父だけは…、まだ…。
心のどこかで味方になってくれると、少しは期待を持ってましたから」
王妃もメアリー王女も、マティルダが家族との仲が悪いと知る。
エドワードは直に争いを見ているだけに、無表情だけどマティルダの顔が泣いているように見えた。
彼はそんな彼女に対して、自分の心臓がズキンと痛くなっていた。
痛みからドキドキと鼓動するしている。
これは…、何だろうか?
彼は悩みながらも、そっと胸を右手を置き押さえている。
初めてのことで、この状況を分からずにいた。
素早すぎる撤収に残された4人は、席に座りマティルダ一人だけ満面の笑み。
「王妃様、メアリー王女様も反省し後悔してます。
アイスには罪なしです。
ですから、召し上がりませんか?」
「サンダース伯爵令嬢、そうですね。
いただきましょうか……」
王妃の了承を得て、アイスを食べ始める。
「甘いー、冷たい~!
幸せ~、本当アイスって贅沢でございますわ」
マティルダ一人が、大喜びでスプーンを掬い口に入れた。
「先生、美味しいですわ」
貴女から先生呼びに格上されて、王女の目を見て微笑む。
「メアリー王女は、打たれ強い性格してますね。
上に立つ資質が、生まれ持ってございます。
明日の授業までに、今まで習ってご理解出来ぬ箇所を纏めて下さい」
「はい、サンダース先生」
あのメアリーがここまでおとなしいだけでなく媚びるのを見て、母も兄もアイスの冷たさと同時に目を丸くする。
「食べ終わったら、貴女は先生の宿題を自室でしなさい」
この後、私は2人から王女の話を詳しく尋問されるのかと会話を聞いていた。
手間のかかる末っ子が居なくなった勉強部屋で、母親は悪戯に使用された細工された本を手で触っていた。
「こんな手の込んだ品を用意してまで、家庭教師たちに悪さをしていたのね」
「母上、メアリーは反省してます。
許してあげて下さい」
側仕えの者たちが、手を貸さなかったら途中でするのを諦めていたかもしれない。
しかし、エドワード王子は優しすぎる。
争いを好まない方とは聞いていたが、ここまで平和主義で甘い考えの持ち主でしたのね。
先が思いやられますわ。
「私は夏休暇までの契約ですが。
真剣に勉学に励まれて、その後に成果がでたら許しては如何ですか?
過去に辞められた先生方に今更ですが、謝罪のお手紙を書かせたらどうですか?」
「サンダース伯爵令嬢、いい案です。
辞めた先生方には一通り理由を伺いましたが、皆さん言葉を濁されておりました。
メアリーがここまでしていたのを、親なのに見逃していたわ」
見逃すって、それ放置の間違いでしょう?
多忙なのはわかるが、だからって他人に任せていた。
今回は、私を使ってみたら発覚したってか?
笑わさないで、本気で吹き出しそうになる。
「サンダース伯爵令嬢、君にはたくさん助けてもらい感謝している。
メアリーの話の中で、君の妹との関係が気になってしまってね…」
その考えは全く違っていた。
だんだんと、私の身の上になっていった。
「妾も気になっていたのよ。
貴女が婚約している方と、妹君がその……」
王妃様は、言葉を詰まらせる。
「本当の話ですよ。
5歳で初めて会った時も、妹がハロルド…。
婚約者に一目惚れしたのか、必ず会う機会に邪魔してましたもの」
マティルダはここで一口お茶を飲んでから、ため息をつくと怒涛の告白の時間が訪れた。
かい摘んで話したが、聞いていた2人は半ば信じられない。
マティルダ本人が2人の不貞現場を、見てはいなくても聞いていたとは…。
「その声を私だけでなく、執事やメイドたちもその場で聞いてました。
聞くに堪えない声で所々に、マティルダとは将来したくない行為だ。
君が婚約者ならって、息絶え絶えにそう申してましたわ」
「君は!濡れ場を見たのか…。
ゴホン、修羅場ではないか!
その場に…、君たちはー。
えーっと、その場に踏み込んだのかい?」
「入りませんよ。
誰が好き好んで、他人の裸を見たいのですか?
それも、妹と婚約者の……」
「酷い裏切りで、聞いていて虫唾が走ります。
自分がその場に居たらと思ったら、妾も貴女と同じで部屋に踏み込めないわ」
王妃様の顔には、気色が悪いってハッキリと書いてあるようだった。
「執事に付き合ってもらって、一緒に父に訴えたら妄想扱いされました。
何なら婚姻してダメなら、妹と再婚させたら良いじゃないかと胸くそ悪い事も言われてしまいー」
一拍おいて、悲しげな声で呟く。
「涙は枯れて出なくなったが、心臓が潰れそうになりました。
父だけは…、まだ…。
心のどこかで味方になってくれると、少しは期待を持ってましたから」
王妃もメアリー王女も、マティルダが家族との仲が悪いと知る。
エドワードは直に争いを見ているだけに、無表情だけどマティルダの顔が泣いているように見えた。
彼はそんな彼女に対して、自分の心臓がズキンと痛くなっていた。
痛みからドキドキと鼓動するしている。
これは…、何だろうか?
彼は悩みながらも、そっと胸を右手を置き押さえている。
初めてのことで、この状況を分からずにいた。
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