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第3章  学園生活

第16話 変態を抹殺せよ!

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 もう1本で意識をなくして、早々に終わらせようと心に決めたプリムローズ。
礼をすると、相手が突然プリムローズに話しかけてくる。

「君、可愛いね!
まるで、お人形さんみたいだ。
優しくしてあげるね?!
デフフフ……」

ニヤニヤ顔で変な笑い声をし、固まる彼女を見ていた。
気味悪い内容に、一瞬だけ背筋に悪寒が走る。

始めと同時に、剣が変態へんたいの脇腹に炸裂さくれつした。

肉に弾力性を感じる。
剣が肉にめり込んで、取れなくなるかもですわー!

薄気味悪い男が前に倒れた時に、後ろの右肩に剣を突き刺した。
思い切り関節を外したが、大丈夫かなぁ~?!
イマイチ普通体型と違うので、加減がわからん!

そのままうつ伏せになり、動かなくなった。
1本と相手の戦闘不能により勝ち上がった。

歓声の中、プリムローズは右手を高々挙げて応えた。

あ~、気持ち悪かったわ。
あんなに、醜いのは久しぶりだったわ。

なかなか味わえない経験だった。
デブの対処法を考えなくては、肉に負けないようにしなくてはね。

5秒で終わり、周りは唖然あぜんとした。

「あの子、女の子だよね。 
剣筋けんすじ見えた?!」

選手たちが話し合っている間に、殿下も1つ上の学年に勝っていた。

これで半分減り、18組が残った。

次の相手は、高等部1年A組。
プリムローズは見上げた。

体格差はありありであった。
クラスメートたち以外は、これは負けると皆が考える。

この人は、少し出来るのかしら? 

さっきから前髪をかきあげて、スカしているわ。
こやつも気味が悪い。
どうしてマトモなのが、誰もいないのか?!

始めの声に、スカシは優雅に構えた。
その構えるすきねらい、手の甲を叩き剣を払った。

オ~っと叫ぶとスカシの剣は、斜め横に飛んでいった。

馬鹿だ!どうして、ちゃんと剣を握らないのだ。

右肩に剣を差し込んだらボキッと、関節の外れる音がする。 
ギャーっと、叫びのたうち回っているスカシ。

1本と審判が言った後に、またタンカーで運ばれて行くのを見ていたプリムローズ。

「たった5秒よ!
これでは、応援前に終わってしまってよ。
もう、始まる前からするしかないじゃない」
 
フローラが、女子生徒たちに指示する。

「強すぎて、まばたきしたら終わってるわ。
瞬殺しゅんさつよ!」

マリーは興奮状態で、扇を握りしめる音がする。

近くにいる男子生徒は、その音を聞きビクビクしていた。

不味まずいぞ!
なんかずっとらプリムローズ様が怒っていないか?
ブツブツ言っては、地面をっていらっしゃるぞ!」

アレンは震えながら、男子生徒たちに叫ぶ。

王は貴賓席きひんせきで、隣にいる宰相さいしょうに声をかける。

「クリス、お前の娘おかしいぞ。
2回戦戦って、10秒しか時間使っていないぞ!」
 
宰相は娘を見て声も出ず、返事が出来なかった。
王妃と母公爵夫人は、無言で目を丸くしていた。

近衛隊長このえたいちょうが王に、宰相に代わり話をする。 

「彼女はわざと1本勝ちして、戦闘不能にしています。
おそらく、関節を外しているのではないでしょうか?」

「そんな事を出来るわけないだろう?!」

王は、近衛隊長の言葉を否定した。

 まだ終わっていない人ばかりなので、プリムローズは次の試合までクラスメートたちのところへ戻る。

プリムローズは明らかに機嫌がわるかった。
プンプンと怒る心の声が、周りにも聞こえる気がした。

「お疲れ様ですわ。
お茶を御用意しましたのよ」

香り高い温かな紅茶の受け皿を、プリムローズに両手で差し出した。
周りはどうやって?
見ていた者は悩んだが、忘れることを心がけた。

「ありがとう、リザ様。
はぁ~、よい香りだこと。
嫌な気分が収まりそうよ!」

ごくりと、一口紅茶を飲む。

「何かブツブツ仰って地面を蹴っておりましたが、何かありましたか?」

気になったアレンは、プリムローズに聞いてみた。

「相手が2人とも、気持ち悪かったのよ。
1人は私にこう言ったのよ。
可愛い人形のようだね。
優しくしてあげるね。  
デフフって、笑ったのよ!」

座っていたが、勢いよく立ち上がり大声で言い放った。
怒り周りをよく見ていなかった。

「イヤー、気持ち悪い~!
変態へんたいですわー!!」

女子生徒たちが、大きな叫び声をあげて隣のクラスまで聞こえた。

「でしょう!?
もう1人は、前髪ばかり気にしてスカシ野郎だし。
これって、なんなのよ。
代表を適当に選んだしか思えん!」

「あらまぁ、お可哀想に。
クッキーもあります。
座って休みましょうね?」

お姉様方は、妹を慰めるように接した。

「そう言えば、これで9組になったわね。
1組足りないけど、どうするのかなぁ?」

「ああ。1番年少が、自動的に繰り上げになります。
プリムローズ様」

アレンが代表で応えた。

「誰が免除?」

「殿下ですわ。
初等部は、殿下以外は全滅しましてよ」

辺境へんきょう伯爵令嬢が横から現れた。

「ふ~ん、殿下って強いの。
試合観てないから教えて頂戴ちょうだいな?」

クラスメートたちは、微妙な顔をする。

「手加減して、勝たせてる感じだなぁ。
聞こえ悪いから、これ内緒だよ」

アレンは小声で話してきた。

八百長やおちょうしているの?
それじゃ、意味ないよね。
私に当たったら叩きのめすけどね!」

大きな声で話すプリムローズを、クラスメートたちは笑って見ていた。



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