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第4章 王家の陰り
第5話 リリアンヌの婚約話
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2日かけて領地に到着し、馬車から飛び出ると背伸びをした。
「メリ~!
私は、お尻と腰が痛い!
お行儀悪いけど、はやくベッドに横になりたいわ」
プリムローズは、メリーに正直に心境を話す。
「私も同じですわ。
腰を真っ直ぐにすると、背骨がボキボキ鳴っています」
2人は年寄りの様に、腰を曲げ手で擦り笑いあう。
玄関には、祖父母と父の弟夫婦。
その子供たちが待っていた。
「無事に着いたな。
元気な顔見て安心したぞ!」
祖父が、プリムローズを抱き締める。
「お祖父様ったら、まだ皆さんに挨拶もしてませんよ」
プリムローズは、背中を軽く叩く。
「皆さま、お懐かしいですわ。
また1ヶ月間の間ですが、皆様と過ごせるのが嬉しゅうございます」
プリムローズが挨拶すると、メリーも主の後に続いた。
「ようこそいらっしゃい!
そして、お帰りなさい!
さぁ、お茶でも飲んで少し休みなさい」
父の弟の夫人にあたる叔母が、話しかけてきた。
「エルザの言うとおりね。
居間に、一先ず行きましょう。
メリーお前も、部屋でゆっくり休みなさい」
子供達もプリム姉さま行こうと、手を引っ張ってきた。
叔父様がレディに失礼だと、子供たちに言い聞かせている。
私はその光景を見て、吹き出して笑った。
広い居間の暖炉前に、大勢が座れるソファーに皆が座るとプリムローズが話しかける。
「久しぶり!
シモンとマリユスは、元気一杯そうね。
もう、4歳と5歳か。剣の練習は、もう始めたの?」
子供達に質問すると、代わりに叔父が返事をした。
「まだだよ。
上の子は、基礎体力をつけさせているところだ。
下の子は、まだ遊ばせている」
「まぁ、お前は自分から始めたからのう。
やる気が出るまで、まだ良いじゃろ」
祖父が、小さな孫たちの頭をなでる。
「入れ違いでトーマスとアンナが、やっと屋敷に戻って来ましたわ。お祖父様、おばあ様」
プリムローズが報告したら、祖母は喜んでいた。
「そう、良かったわ。
良かったと言えば、プリムローズの姉リリアンヌが伯爵の嫡男とやっと婚約したと連絡があったわよ。
これで愚息とあの嫁も、安心したことでしょう」
祖母が苦笑して話した。
「どこの伯爵家でしょうか?」
「マドニック伯爵家です。
伯爵の中でも下位のほうよ。
余り物だし、仕方ないでしょう。
行き遅れよりは、マシです」
祖母が、馬鹿にした様に皆に伝える。
「マドニック?
聞いた事がありませんわ?!
本当に貴族ですか?」
私が首を傾げて聞くと、横からビックリした声が聞こえてきましたわ。
「まさか、あの家ですの?!
お義母様、領地も北で作物も産業も盛んでないと噂で聞きましたわよ!
もっと良いご縁が、なかったのでしょうか?!」
叔母エルザは、かなりガッカリした顔を露骨にだした。
「顔がよかったんでは?!
私も噂で聞きましたが、確か歳は22歳でしたよ。
王宮の文官務めをしていますが、あまり良くない話も聞いてます」
叔父があまり良い顔をしないで、詳しく話をしてくれる。
「あの姉なら、あり得ますわ。
幸せになれると宜しいですわよね?!」
姉の婚約者に興味なしのプリムローズは、適当に返した。
「リリアンヌは、来年17歳か。相手は5つ違いになります。
いつ頃、結婚する予定ですか?」
叔父が父の祖父に尋ねた。
「婚約は1年間で、18歳で結婚じゃ。
学園を出てからじゃの。
その間に婚礼準備すると書いてあったわい」
祖父も孫なのに、どうでも良さげな感じだった。
「プリム姉のお姉さま、幸せになるの?」
可愛い子供たちが、プリムローズに訊いてくる。
「たぶんね。
ごめんなさいね。
私も、そのお姉さまの事をよく知らないのよ?!」
困り顔をしながら子供たちに答えた。
「さぁー、シモンとマリユス!
ママとお部屋で、お昼寝しましょう!」
夫人は2人の子供たちの手を引いて居間を出て行った。
気を使わせたみたいだわと、プリムローズは思った。
「何やら嫌な予感がするの。
姉はもっと早く、婚姻を結んだ方がいいですわ。
あの性格では、また同じ事が起きないとは言えませんわよ!」
プリムローズは、また婚約破棄されることを懸念した。
「儂もなぁ、気になっているのじゃ。
愚息には、なるべく早目に片付けろと催促の手紙を送ってある!
勝手にしろとは思うが、あれでも孫だしのう」
「貴方、私もソフィアに手紙を書いておきますわ。
あの嫁が、私の言うことを素直に聞くとは思いませんがね」
祖父母も、何かを感じとったのかもしれない。
後にこの会話が現実になるとは、話している本人たちも思わなかったのである。
「メリ~!
私は、お尻と腰が痛い!
お行儀悪いけど、はやくベッドに横になりたいわ」
プリムローズは、メリーに正直に心境を話す。
「私も同じですわ。
腰を真っ直ぐにすると、背骨がボキボキ鳴っています」
2人は年寄りの様に、腰を曲げ手で擦り笑いあう。
玄関には、祖父母と父の弟夫婦。
その子供たちが待っていた。
「無事に着いたな。
元気な顔見て安心したぞ!」
祖父が、プリムローズを抱き締める。
「お祖父様ったら、まだ皆さんに挨拶もしてませんよ」
プリムローズは、背中を軽く叩く。
「皆さま、お懐かしいですわ。
また1ヶ月間の間ですが、皆様と過ごせるのが嬉しゅうございます」
プリムローズが挨拶すると、メリーも主の後に続いた。
「ようこそいらっしゃい!
そして、お帰りなさい!
さぁ、お茶でも飲んで少し休みなさい」
父の弟の夫人にあたる叔母が、話しかけてきた。
「エルザの言うとおりね。
居間に、一先ず行きましょう。
メリーお前も、部屋でゆっくり休みなさい」
子供達もプリム姉さま行こうと、手を引っ張ってきた。
叔父様がレディに失礼だと、子供たちに言い聞かせている。
私はその光景を見て、吹き出して笑った。
広い居間の暖炉前に、大勢が座れるソファーに皆が座るとプリムローズが話しかける。
「久しぶり!
シモンとマリユスは、元気一杯そうね。
もう、4歳と5歳か。剣の練習は、もう始めたの?」
子供達に質問すると、代わりに叔父が返事をした。
「まだだよ。
上の子は、基礎体力をつけさせているところだ。
下の子は、まだ遊ばせている」
「まぁ、お前は自分から始めたからのう。
やる気が出るまで、まだ良いじゃろ」
祖父が、小さな孫たちの頭をなでる。
「入れ違いでトーマスとアンナが、やっと屋敷に戻って来ましたわ。お祖父様、おばあ様」
プリムローズが報告したら、祖母は喜んでいた。
「そう、良かったわ。
良かったと言えば、プリムローズの姉リリアンヌが伯爵の嫡男とやっと婚約したと連絡があったわよ。
これで愚息とあの嫁も、安心したことでしょう」
祖母が苦笑して話した。
「どこの伯爵家でしょうか?」
「マドニック伯爵家です。
伯爵の中でも下位のほうよ。
余り物だし、仕方ないでしょう。
行き遅れよりは、マシです」
祖母が、馬鹿にした様に皆に伝える。
「マドニック?
聞いた事がありませんわ?!
本当に貴族ですか?」
私が首を傾げて聞くと、横からビックリした声が聞こえてきましたわ。
「まさか、あの家ですの?!
お義母様、領地も北で作物も産業も盛んでないと噂で聞きましたわよ!
もっと良いご縁が、なかったのでしょうか?!」
叔母エルザは、かなりガッカリした顔を露骨にだした。
「顔がよかったんでは?!
私も噂で聞きましたが、確か歳は22歳でしたよ。
王宮の文官務めをしていますが、あまり良くない話も聞いてます」
叔父があまり良い顔をしないで、詳しく話をしてくれる。
「あの姉なら、あり得ますわ。
幸せになれると宜しいですわよね?!」
姉の婚約者に興味なしのプリムローズは、適当に返した。
「リリアンヌは、来年17歳か。相手は5つ違いになります。
いつ頃、結婚する予定ですか?」
叔父が父の祖父に尋ねた。
「婚約は1年間で、18歳で結婚じゃ。
学園を出てからじゃの。
その間に婚礼準備すると書いてあったわい」
祖父も孫なのに、どうでも良さげな感じだった。
「プリム姉のお姉さま、幸せになるの?」
可愛い子供たちが、プリムローズに訊いてくる。
「たぶんね。
ごめんなさいね。
私も、そのお姉さまの事をよく知らないのよ?!」
困り顔をしながら子供たちに答えた。
「さぁー、シモンとマリユス!
ママとお部屋で、お昼寝しましょう!」
夫人は2人の子供たちの手を引いて居間を出て行った。
気を使わせたみたいだわと、プリムローズは思った。
「何やら嫌な予感がするの。
姉はもっと早く、婚姻を結んだ方がいいですわ。
あの性格では、また同じ事が起きないとは言えませんわよ!」
プリムローズは、また婚約破棄されることを懸念した。
「儂もなぁ、気になっているのじゃ。
愚息には、なるべく早目に片付けろと催促の手紙を送ってある!
勝手にしろとは思うが、あれでも孫だしのう」
「貴方、私もソフィアに手紙を書いておきますわ。
あの嫁が、私の言うことを素直に聞くとは思いませんがね」
祖父母も、何かを感じとったのかもしれない。
後にこの会話が現実になるとは、話している本人たちも思わなかったのである。
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第2作目を7月17日より投稿しております。「君はバラより美しく!ドクダミよりもたくましい?」謎の宝石商の秘密を書いております。もし宜しければ、お読み下さると嬉しく思います。宜しく、お願い致します。
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