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第2章 王都の生活
第18話 戦友との再会
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早めの朝食をとると、昨日の夕方に先触れをした返事がもう返ってきた。
クラレンス家から早馬を出し、午前10時の約束を交わした。
突然の訪問なので、もてなしは不要と先方に伝える。
ブロイ公爵家に行く途中で、祖父は独り言のように話し始めた。
「あやつ…、あの恩を儂に返してきたか!」
35年前にこの国は2カ国から同時に、戦を仕掛けられた時期があったそうだ。
祖父とブロイ前公爵は、別々の参謀として参戦していた。
祖父の方の指揮官が怪我をしたために、祖父自ら前線で戦って勝利する。
しかし、もう片方が苦戦していた。
祖父は直ぐに動ける兵たちを叱咤し、後ろから追いつき攻めて助けたのだ。
その祖父の姿に鬼神と神を見たものは、祖父を戦の神と讃えた。
まだ、弱冠16歳の若さである。
「あの戦は、本当に卑怯でしたわ」
祖母はその時の祖父の噂を知り、興味が湧きどうしても会いたくなったそうだ。
お忍びでこの国に入り、身分を偽り滅多に舞踏会に出席しない祖父を待ち続けた。
そして、見た瞬間に祖父に一目惚れする。
そして、一方的に迫ったそうだ。
プリムローズは、馴れ初め話を聞くと顔を赤くした。
情熱的ですわ、素敵!
しかし、疑問が脳裏に浮かぶ。
あの姉ですら婚約者がいたのに、当時二人にはいなかったのかと疑念が湧くのである。
「お祖父様、おばあ様は今でも素敵な方々ですわ。
当時お二人には、ご婚約者はいらっしゃいませんでしたの?」
プリムローズはたまにとんでもない事を聞いたり、やったりする要注意人物であった。
たちが悪く、本人には自覚が全くない。
祖父母は黙った、沈黙が馬車に訪れた。
祖父は、軽く咳払いをしてから語る。
「いた…。
勝手に、家同士で婚約しておってのう。
じゃが、儂は女より剣を愛していたのだ。
当時は、今と違い平和ではない。
剣術ばかりしてたら、浮気されてなぁ。
儂に、剣と私どちらが大事とぬかしてな。
剣と言ったら、いきなり頬を殴られたわい」
2人の女性たちは、祖父を見て思う。
それは、殴られて当然よ!
「まぁ、宜しゅうございました。
おばあ様と出会わなければ、私は存在ないんですもの。
で、それでおばあ様の方は?!」
彼女は幼いながら、度胸は大人以上であった。
「コホン!
私はね、馬鹿が嫌いなの。
両親は、私に政略結婚させようとしていたわ。
だから、私より賢い方ならと約束させたのよ。
分かるでしょう?
紹介された方々は、皆さんお馬鹿さんばかりなの」
馬鹿を連呼する祖母は、当時を思い出しているのか。
形相が恐ろしく見えた。
「プリムローズ、貴女は無理しなくてもいいわ。
あの愚息たちをご覧なさい。
あれは、馬鹿者たちよ!」
プリムローズは、これで確信した。
何故ここまで、母を嫌っていたのか。
理由が、ハッキリと判明した。
祖父は気を取り直し、また思い出話を続けた。
「儂も息つく暇もなかった。
若かったから、出来たのかもしれん。
あやつは足を切られておってな。
儂が馬に乗せて、王都まで連れ帰ったのじゃ」
「気になってましたわ。
少し左足を引きずった歩き方をされてましたのを…」
プリムローズは、お茶会の前公爵を思い出す。
「お会いするのが、嬉しゅうございますね。旦那様!」
祖母は、優しく祖父の手に自分の手を置く。
屋敷を訪れると、ブロイ前公爵と現公爵夫妻や全使用人たちが3人に深く頭を下げた。
「元気そうじゃのう。
また会えて嬉しいぞ。戦友!」
「今日まで、この家があるのは貴殿のお陰。
生きて子を授かり。国を存続出来たのも、あの戦に勝利したからこそ。
こうして、お礼を申し上げる」
「皆、頭をあげよ。
儂の力だけではない。
そなたの方が地の利は厳しかった。
儂は、ただ運が良かったのだ」
それぞれ挨拶が済ますと、サロンへ通された。
「父上、即金なら相手も喜びます。
値引き交渉は、私が自ら致しましょう」
「良い後継者を、お持ちで羨ましいですわねぇ」
祖母は気を良くして、ブロイ公爵を褒めていた。
「助力に感謝する!
儂は、どうも子育てをしくじったわい。
せめてこのプリムローズには、儂の意思を受け継いで欲しいと思う」
祖父母も自分の息子を思うと、悩ましくなるのであった。
「息子やお義父様から伺っておりましたわ。
あの、セパヌイールがお嬢様の発案とはー。
私、あのジャムがないとパンが食べられなくなってしまったわ」
カフェの話がでると、ブロイ公爵夫人が店で茶会をしたいとお願いをしてきた。
「貴族をお客様としていたのでしょう?!
オープン前のセレモニーでもしてみたら?!」
祖母は、孫娘に後押しをしてきた。
「公爵夫人、是非ともお客様の第1号になって下さいませ」
カフェのお披露目が決定した。
「そうじゃあ?
新店舗の名は決まったんか?!」
「お祖父様、それがまだですの。
そうですわ。
お祖父様が、名付け親になってくれませんか?!」
「儂か?
センスないからのう。
そうじゃ、戦友よ。
そちも、一緒に考えないか?」
ブロイ前公爵と祖父が、名付け親になることになった。
帰宅後、祖父母は執事長トーマスを呼び出した。
「トーマス。
儂らは、この屋敷を去る。
儂らと共にと、思う者たちは来るが良い。
そして、儂らが息子にと思って譲った。
伝来の家具や美術品は、全て新居に運ぶ!」
執事長トーマスは、戸惑って言い返した。
そんな執事長に、祖母は言い聞かせた。
「いいこと、トーマス!
息子はこの国の宰相なのよ。
家具や使用人たちを手配できないのでは、この家の存続は無理だと思うわ。
突き放すも、親の愛なのよ!」
父はこの話を、トーマスから無言で聞いた。
父と母の言葉にショックを受けていたが、宰相でもある立場が邪魔をして反論できなかった。
私を試しておられるのか。
甘かったのか、妻や2人の子に対して……。
この後に宰相として自分の甘さで身を滅ぼすとは、夢にも思っていなかった。
クラレンス家から早馬を出し、午前10時の約束を交わした。
突然の訪問なので、もてなしは不要と先方に伝える。
ブロイ公爵家に行く途中で、祖父は独り言のように話し始めた。
「あやつ…、あの恩を儂に返してきたか!」
35年前にこの国は2カ国から同時に、戦を仕掛けられた時期があったそうだ。
祖父とブロイ前公爵は、別々の参謀として参戦していた。
祖父の方の指揮官が怪我をしたために、祖父自ら前線で戦って勝利する。
しかし、もう片方が苦戦していた。
祖父は直ぐに動ける兵たちを叱咤し、後ろから追いつき攻めて助けたのだ。
その祖父の姿に鬼神と神を見たものは、祖父を戦の神と讃えた。
まだ、弱冠16歳の若さである。
「あの戦は、本当に卑怯でしたわ」
祖母はその時の祖父の噂を知り、興味が湧きどうしても会いたくなったそうだ。
お忍びでこの国に入り、身分を偽り滅多に舞踏会に出席しない祖父を待ち続けた。
そして、見た瞬間に祖父に一目惚れする。
そして、一方的に迫ったそうだ。
プリムローズは、馴れ初め話を聞くと顔を赤くした。
情熱的ですわ、素敵!
しかし、疑問が脳裏に浮かぶ。
あの姉ですら婚約者がいたのに、当時二人にはいなかったのかと疑念が湧くのである。
「お祖父様、おばあ様は今でも素敵な方々ですわ。
当時お二人には、ご婚約者はいらっしゃいませんでしたの?」
プリムローズはたまにとんでもない事を聞いたり、やったりする要注意人物であった。
たちが悪く、本人には自覚が全くない。
祖父母は黙った、沈黙が馬車に訪れた。
祖父は、軽く咳払いをしてから語る。
「いた…。
勝手に、家同士で婚約しておってのう。
じゃが、儂は女より剣を愛していたのだ。
当時は、今と違い平和ではない。
剣術ばかりしてたら、浮気されてなぁ。
儂に、剣と私どちらが大事とぬかしてな。
剣と言ったら、いきなり頬を殴られたわい」
2人の女性たちは、祖父を見て思う。
それは、殴られて当然よ!
「まぁ、宜しゅうございました。
おばあ様と出会わなければ、私は存在ないんですもの。
で、それでおばあ様の方は?!」
彼女は幼いながら、度胸は大人以上であった。
「コホン!
私はね、馬鹿が嫌いなの。
両親は、私に政略結婚させようとしていたわ。
だから、私より賢い方ならと約束させたのよ。
分かるでしょう?
紹介された方々は、皆さんお馬鹿さんばかりなの」
馬鹿を連呼する祖母は、当時を思い出しているのか。
形相が恐ろしく見えた。
「プリムローズ、貴女は無理しなくてもいいわ。
あの愚息たちをご覧なさい。
あれは、馬鹿者たちよ!」
プリムローズは、これで確信した。
何故ここまで、母を嫌っていたのか。
理由が、ハッキリと判明した。
祖父は気を取り直し、また思い出話を続けた。
「儂も息つく暇もなかった。
若かったから、出来たのかもしれん。
あやつは足を切られておってな。
儂が馬に乗せて、王都まで連れ帰ったのじゃ」
「気になってましたわ。
少し左足を引きずった歩き方をされてましたのを…」
プリムローズは、お茶会の前公爵を思い出す。
「お会いするのが、嬉しゅうございますね。旦那様!」
祖母は、優しく祖父の手に自分の手を置く。
屋敷を訪れると、ブロイ前公爵と現公爵夫妻や全使用人たちが3人に深く頭を下げた。
「元気そうじゃのう。
また会えて嬉しいぞ。戦友!」
「今日まで、この家があるのは貴殿のお陰。
生きて子を授かり。国を存続出来たのも、あの戦に勝利したからこそ。
こうして、お礼を申し上げる」
「皆、頭をあげよ。
儂の力だけではない。
そなたの方が地の利は厳しかった。
儂は、ただ運が良かったのだ」
それぞれ挨拶が済ますと、サロンへ通された。
「父上、即金なら相手も喜びます。
値引き交渉は、私が自ら致しましょう」
「良い後継者を、お持ちで羨ましいですわねぇ」
祖母は気を良くして、ブロイ公爵を褒めていた。
「助力に感謝する!
儂は、どうも子育てをしくじったわい。
せめてこのプリムローズには、儂の意思を受け継いで欲しいと思う」
祖父母も自分の息子を思うと、悩ましくなるのであった。
「息子やお義父様から伺っておりましたわ。
あの、セパヌイールがお嬢様の発案とはー。
私、あのジャムがないとパンが食べられなくなってしまったわ」
カフェの話がでると、ブロイ公爵夫人が店で茶会をしたいとお願いをしてきた。
「貴族をお客様としていたのでしょう?!
オープン前のセレモニーでもしてみたら?!」
祖母は、孫娘に後押しをしてきた。
「公爵夫人、是非ともお客様の第1号になって下さいませ」
カフェのお披露目が決定した。
「そうじゃあ?
新店舗の名は決まったんか?!」
「お祖父様、それがまだですの。
そうですわ。
お祖父様が、名付け親になってくれませんか?!」
「儂か?
センスないからのう。
そうじゃ、戦友よ。
そちも、一緒に考えないか?」
ブロイ前公爵と祖父が、名付け親になることになった。
帰宅後、祖父母は執事長トーマスを呼び出した。
「トーマス。
儂らは、この屋敷を去る。
儂らと共にと、思う者たちは来るが良い。
そして、儂らが息子にと思って譲った。
伝来の家具や美術品は、全て新居に運ぶ!」
執事長トーマスは、戸惑って言い返した。
そんな執事長に、祖母は言い聞かせた。
「いいこと、トーマス!
息子はこの国の宰相なのよ。
家具や使用人たちを手配できないのでは、この家の存続は無理だと思うわ。
突き放すも、親の愛なのよ!」
父はこの話を、トーマスから無言で聞いた。
父と母の言葉にショックを受けていたが、宰相でもある立場が邪魔をして反論できなかった。
私を試しておられるのか。
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