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第2章 エーレンタール侯爵家
第2話 侯爵夫人の頼まれ事
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理由がわからないまま初対面のお客人の令嬢に、突然泣かれてしまう。
侯爵家の人たちは、彼女がどうしてしまったのかと驚き困ってしまった。
「あの、どうなさったの?
具合でも、悪くおなりなの?!」
今度はこちらが狼狽える、反対の立場になる羽目になっている。
侯爵夫人はどうして良いか、オロオロ心配をしてきた。
令息も母の側でかける言葉もなく、泣くグレースを心配そうにただ見ていた。
いけない思い出したら、まず思わず涙が出て…。
困ったわ、あっそうだわ!
そうだあの話をして、うまく誤摩化しちゃいましょう!
「不可解な態度をとって、すみません!
無事にたどり着けて、安心しましたら涙が出てしまいました。
途中で橋が落ちそうになる経験をして、何とか渡りきりました。
生きた心地がしませんでしたので、つい思い出したら涙がまた出てしまい。
このような、ご無礼を致しました」
そうだったのか、他国で危険な目に合い情緒不安定だったのか。
話をよく聞くと、周りにいた人たちは納得する。
「まぁ!それは災難なこと!
大変な思いをされましたわね。
それは、いったい何処の橋かしら?!」
社交で慣らした空気を読む力で夫人は、大袈裟でもあるが心配し話題を振ってみた。
「馭者が言うには…。
すみません、国境近くの伯爵様しか存じません」
何も考えず、素直に侯爵夫人に返事をしたのだった。
この話を聞いた途端に側にいる令息は、だんだんとゆっくり顔を赤くしてしまっていた。
「カルロス、聞きましたか!
やっぱり、あの伯爵はやめましょう。
どうも、領地もうまく治めてないようです。
橋が落ちるなんて、余りにも不吉すぎます!」
えっ、私の余計な一言でこんな話の流れになるの?!
あ~っ、思い出したわ!
あの伯爵は、令息の婚約者のご令嬢の実家だった!
言ってから後悔はよくある事だが、出会って数分でしてしまったグレースは焦りワタワタした。
「あの~、その~侯爵夫人!
たまたまですので、お気になさらないで下さい。
それにキチンと御挨拶もしておりませんで、重ねて申し訳ございません」
それから挨拶を正式に交わして、今はお茶を頂く予定にこぎつけていた。
肉体と精神が疲労困憊のグレースは、早くぼーっとしたいと望む。
荷物は部屋に運んでくれたが、その際にかなりの重さに運ぶ者が驚く素振りをする。
「ご令嬢は、よく御一人で持てましたなぁ」
グレースは、その一言で顔を赤くして照れ笑いをした。
豪華な内装の家具が置かれた部屋に通されてて、くつろぐ事になりそう。
「さぁさぁ、甘いものでも食べなさいな!
手紙は確かに受け取りましたよ。
グレース嬢、当分の間はこの国ザィールを楽しんで下さいまし」
アデラ・エーレンタール侯爵夫人は、優雅に手つきでお茶を勧めてきた。
本来の侯爵夫人の姿はこれなんだろうと、先程の態度の夫人を忘れようと心掛けた。
「はい、お言葉に甘えて当面の間はご厄介になります。
それでは、お茶を頂きます」
グレースは紅茶を一口飲むと、渋い顔をした。
このお茶は、茶葉が開きすぎている。
置く時間が長すぎたんだわ。
自身が、王妃さま専属のお茶係のためにかなり味に敏感になり過ぎていたのだった。
旅の間とかは紅茶を飲んでなかったので、余計気になってしまう。
カルロスはグレースの表情が変わったのを見てから、紅茶を飲んだが何も感じなかった。
侯爵夫人も、普通に紅茶を飲んで話を続けている。
「何か紅茶が気になりますかなぁ?
先ほど眉間にシワが浮かびましたが?!」
ちょうど斜め前に座っていた嫡男カルロスが、グレースの気になる表情を指摘した。
「あらあら、カルロスったらご令嬢に失礼よ!
淑女のお顔に対して、そんな事を言ってはー!」
息子の不調法を詫て、女性の扱いの不慣れに呆れている。
「顔に出てしまいましたか。
ちょっと、お茶が渋めだと感じました。
この茶葉にしてはと…」
彼女は王宮で使う茶葉は、殆どの種類を入れていた。
エーレンタール侯爵夫人は、グレースがお茶を上手に入れるのを親友からの便りで覚えていた。
そう思い出したら、どうしても飲みたくなるのであった。
侯爵夫人は、旅の疲れもある彼女に頼みづらそうにしていた。
「母上?!どうかなさいましたか?」
息子のカルロスが、母であるアデラを気にして伺ってきた。
「貴方ではなくて、グレース嬢なの。
ジョセフィーヌ様の手紙でね。
貴女がとても美味しいお茶を入れると、そう書いてあったのを思い出したのよ」
遠慮がちの言い方だが、侯爵夫人は私のお茶を飲みたいのだと思った。
私は別に平気だけど、このお茶を入れた方が気分を害してしまわないかしら?
彼女はお茶を入れた。
その者を思い悩んでしまう。
側で聞いていたメイド長が、助け船を出してきた。
「奥様、私も是非ともお味見をしてみたいものですわ!」
「あっ、では私も此方に慣れるために是非に紹介がてらにお茶を入れさせて下さい!」
グレースは、メイド長と一緒に調理場へ向かった。
「母上!エテルネルから着いたばかりで疲れているのに可哀想ではないですか?」
今度は逆に、母の図々しいさを非難してきた。
侯爵令息の息子は、彼女を気の毒に感じるのである。
「まぁまぁ、良いではないの!
彼女、感じが良いわね。
高慢な令嬢なら、普通はお茶なんていれないわよね?!フフフ」
侯爵夫人のアデラは嫌な顔をしないで頼み事を引き受けた。
そんな、グレースを気に入ってしまったようであった。
侯爵家の人たちは、彼女がどうしてしまったのかと驚き困ってしまった。
「あの、どうなさったの?
具合でも、悪くおなりなの?!」
今度はこちらが狼狽える、反対の立場になる羽目になっている。
侯爵夫人はどうして良いか、オロオロ心配をしてきた。
令息も母の側でかける言葉もなく、泣くグレースを心配そうにただ見ていた。
いけない思い出したら、まず思わず涙が出て…。
困ったわ、あっそうだわ!
そうだあの話をして、うまく誤摩化しちゃいましょう!
「不可解な態度をとって、すみません!
無事にたどり着けて、安心しましたら涙が出てしまいました。
途中で橋が落ちそうになる経験をして、何とか渡りきりました。
生きた心地がしませんでしたので、つい思い出したら涙がまた出てしまい。
このような、ご無礼を致しました」
そうだったのか、他国で危険な目に合い情緒不安定だったのか。
話をよく聞くと、周りにいた人たちは納得する。
「まぁ!それは災難なこと!
大変な思いをされましたわね。
それは、いったい何処の橋かしら?!」
社交で慣らした空気を読む力で夫人は、大袈裟でもあるが心配し話題を振ってみた。
「馭者が言うには…。
すみません、国境近くの伯爵様しか存じません」
何も考えず、素直に侯爵夫人に返事をしたのだった。
この話を聞いた途端に側にいる令息は、だんだんとゆっくり顔を赤くしてしまっていた。
「カルロス、聞きましたか!
やっぱり、あの伯爵はやめましょう。
どうも、領地もうまく治めてないようです。
橋が落ちるなんて、余りにも不吉すぎます!」
えっ、私の余計な一言でこんな話の流れになるの?!
あ~っ、思い出したわ!
あの伯爵は、令息の婚約者のご令嬢の実家だった!
言ってから後悔はよくある事だが、出会って数分でしてしまったグレースは焦りワタワタした。
「あの~、その~侯爵夫人!
たまたまですので、お気になさらないで下さい。
それにキチンと御挨拶もしておりませんで、重ねて申し訳ございません」
それから挨拶を正式に交わして、今はお茶を頂く予定にこぎつけていた。
肉体と精神が疲労困憊のグレースは、早くぼーっとしたいと望む。
荷物は部屋に運んでくれたが、その際にかなりの重さに運ぶ者が驚く素振りをする。
「ご令嬢は、よく御一人で持てましたなぁ」
グレースは、その一言で顔を赤くして照れ笑いをした。
豪華な内装の家具が置かれた部屋に通されてて、くつろぐ事になりそう。
「さぁさぁ、甘いものでも食べなさいな!
手紙は確かに受け取りましたよ。
グレース嬢、当分の間はこの国ザィールを楽しんで下さいまし」
アデラ・エーレンタール侯爵夫人は、優雅に手つきでお茶を勧めてきた。
本来の侯爵夫人の姿はこれなんだろうと、先程の態度の夫人を忘れようと心掛けた。
「はい、お言葉に甘えて当面の間はご厄介になります。
それでは、お茶を頂きます」
グレースは紅茶を一口飲むと、渋い顔をした。
このお茶は、茶葉が開きすぎている。
置く時間が長すぎたんだわ。
自身が、王妃さま専属のお茶係のためにかなり味に敏感になり過ぎていたのだった。
旅の間とかは紅茶を飲んでなかったので、余計気になってしまう。
カルロスはグレースの表情が変わったのを見てから、紅茶を飲んだが何も感じなかった。
侯爵夫人も、普通に紅茶を飲んで話を続けている。
「何か紅茶が気になりますかなぁ?
先ほど眉間にシワが浮かびましたが?!」
ちょうど斜め前に座っていた嫡男カルロスが、グレースの気になる表情を指摘した。
「あらあら、カルロスったらご令嬢に失礼よ!
淑女のお顔に対して、そんな事を言ってはー!」
息子の不調法を詫て、女性の扱いの不慣れに呆れている。
「顔に出てしまいましたか。
ちょっと、お茶が渋めだと感じました。
この茶葉にしてはと…」
彼女は王宮で使う茶葉は、殆どの種類を入れていた。
エーレンタール侯爵夫人は、グレースがお茶を上手に入れるのを親友からの便りで覚えていた。
そう思い出したら、どうしても飲みたくなるのであった。
侯爵夫人は、旅の疲れもある彼女に頼みづらそうにしていた。
「母上?!どうかなさいましたか?」
息子のカルロスが、母であるアデラを気にして伺ってきた。
「貴方ではなくて、グレース嬢なの。
ジョセフィーヌ様の手紙でね。
貴女がとても美味しいお茶を入れると、そう書いてあったのを思い出したのよ」
遠慮がちの言い方だが、侯爵夫人は私のお茶を飲みたいのだと思った。
私は別に平気だけど、このお茶を入れた方が気分を害してしまわないかしら?
彼女はお茶を入れた。
その者を思い悩んでしまう。
側で聞いていたメイド長が、助け船を出してきた。
「奥様、私も是非ともお味見をしてみたいものですわ!」
「あっ、では私も此方に慣れるために是非に紹介がてらにお茶を入れさせて下さい!」
グレースは、メイド長と一緒に調理場へ向かった。
「母上!エテルネルから着いたばかりで疲れているのに可哀想ではないですか?」
今度は逆に、母の図々しいさを非難してきた。
侯爵令息の息子は、彼女を気の毒に感じるのである。
「まぁまぁ、良いではないの!
彼女、感じが良いわね。
高慢な令嬢なら、普通はお茶なんていれないわよね?!フフフ」
侯爵夫人のアデラは嫌な顔をしないで頼み事を引き受けた。
そんな、グレースを気に入ってしまったようであった。
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