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第三章 フィアナ奪還
第四話 竜人の里
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――俺の生まれ育った場所【竜人の里】
竜人の里は古くからある小さな町、職業が竜人の者が多く中には最初から竜人の姿で生まれてくる者もいる。竜と人間が共に暮らし子供を産んだことでできたと昔から伝わっているこの町では、一つの問題が存在していた。それは土地の広さの問題である。
小さな村には神として崇められている白き竜と黒き竜の二体が今も生きていた。
その二体の竜は子供を産み半分白と半分黒の世にも珍しい竜が生まれた。
人が混じっていない竜は減少していたためこの雛の命は大事に扱われることは決まっている。だが土地の広さを考えると竜が成長すれば生活がしづらいと竜人の里の者が考えた。
そこで村長から言い渡されたんだ。
「ヴルム、お前はまだ若く才能溢れるこの里のリーダー的存在だ。だからこそ頼みたい、竜の雛を窮屈なく生活させることのできる場所を探してほしい」
「村長様そのお気持ちは分かりますが、一度旅に出たことがある俺から言わせていただくとこの世界に竜が生きるのに適切な場所はあまりないと考えられます。あったとしてもそこには人々が暮らしていると思うんです」
「と言ってもなぁ、竜をここで育てていたら死んでしまう可能性もある。頼むおまえにしか頼めないことなんだヴルム」
「分かりました、少し時間を下さい」
その時は時間をおいて考えることで冷静になれると思っていた。
しかし時間が経つにつれ竜のことが頭から離れなくなり、悩みが尽きない毎日が続いていた。
外から見ればたかが竜だ、その辺で育てればいいと言われるかもしれない。外の人間がそう思うのは分からなくもないが、この里で生まれた竜は強靭な姿とは反対に身体が弱く神聖で人が住めるような生活のしやすい場所でないと死んでしまう傾向にあった。
悩みに悩みぬいた結果、村長を呼び出した。
「おっヴルムか。話とはあのことか?」
「あのことでございます。村長様の言う通り、こんなところで竜の命を粗末にしてはいけないと判断しました」
「それはもしかして行くということなのだな」
「はい、そうです。あの雛が住める神聖な場所を探す旅に行きたいと思います」
村長はヴルムの発言に満面の笑みを浮かべて手を握っていた。
目からは涙が零れそうになっている。これでよかったと、自分の選択は間違っていないと確信して次の日には旅に出ることにした。
竜人の里に住む者たち全員が英雄を送るかのように手を振り、皆は希望の目で見送っている。
「よし長い旅になると思うけど自分の里への恩返しだと思えばこれくらい……」
その時は案外すぐ見つかり数日で戻って来れると思っていた。
無限に続いているような道を歩き続けるヴルム。
何件かの村や町を訪れたが既に人が住んでいたため、そこを使うことはできないと考え他をあたっているといつの間にか何カ月かの時が経っていた。
このままでは見つけることは不可能だと思いしたことが、
「アクセル、お前と戦ったあの村を奪うことだったんだ」
「……そうだったのか、だからってあんなやり方はなかったんじゃないか?」
「お前には分からないだろうな俺が考えている里の事なんて……」
「そんな重荷背負ったことのない俺には分からない……だけど仲間や自分の大切にしている人の為に何かをする気持ちは痛いほどわかる。だから俺に協力させてくれなっ」
すると話している途中で空中を彷徨うように現れたのは魔女である。
放棄に乗りアクセルを見ると邪魔そうな顔をしていた。
「まーた私の邪魔をする気なの、ほらヴルムあんな奴殺しちゃいなさいよ!ふふふ、それともいらないのかしら土地が欲しいのでしょ?」
「それは……」
魔女の言葉を聞いたアクセルは何故ヴルムが協力しているのかが分かった。
「そういうことか、魔女は弱みを握り汚い力を使いそうやって人を使うんだな」
「何が言いたいの?」
「何も言いたいことは無いさ、だが俺はお前を今すぐ倒したいよ」
「ふふふ悪いけど私は戦わないわ。あなたの発言は一々ムカつくから、もう終わりにしましょ」
魔女が眉間に皺を寄せて笑いながら紫の液体を空中からヴルムに垂らす。
何か嫌な予感がしてアクセルは避けさせようとするが、間に合わずヴルムはその液体を頭からかぶってしまう。
液体がヴルムの体に入ると目が赤くなり堕天の力が強化されていた。
「ふふふふ、それじゃ楽しんでちょうだい」
「なにをしたんだ魔女‼」
何も言わず魔法の力で消えていく魔女。
その瞬間にヴルムは飛びついてきていた。
――グオオォォォオォオオオォォオ
「俺はどうしてもお前と戦わないといけないのか」
ヴルムの苦しみにも聞こえる悲痛な竜の咆哮が響いていた。
竜人の里は古くからある小さな町、職業が竜人の者が多く中には最初から竜人の姿で生まれてくる者もいる。竜と人間が共に暮らし子供を産んだことでできたと昔から伝わっているこの町では、一つの問題が存在していた。それは土地の広さの問題である。
小さな村には神として崇められている白き竜と黒き竜の二体が今も生きていた。
その二体の竜は子供を産み半分白と半分黒の世にも珍しい竜が生まれた。
人が混じっていない竜は減少していたためこの雛の命は大事に扱われることは決まっている。だが土地の広さを考えると竜が成長すれば生活がしづらいと竜人の里の者が考えた。
そこで村長から言い渡されたんだ。
「ヴルム、お前はまだ若く才能溢れるこの里のリーダー的存在だ。だからこそ頼みたい、竜の雛を窮屈なく生活させることのできる場所を探してほしい」
「村長様そのお気持ちは分かりますが、一度旅に出たことがある俺から言わせていただくとこの世界に竜が生きるのに適切な場所はあまりないと考えられます。あったとしてもそこには人々が暮らしていると思うんです」
「と言ってもなぁ、竜をここで育てていたら死んでしまう可能性もある。頼むおまえにしか頼めないことなんだヴルム」
「分かりました、少し時間を下さい」
その時は時間をおいて考えることで冷静になれると思っていた。
しかし時間が経つにつれ竜のことが頭から離れなくなり、悩みが尽きない毎日が続いていた。
外から見ればたかが竜だ、その辺で育てればいいと言われるかもしれない。外の人間がそう思うのは分からなくもないが、この里で生まれた竜は強靭な姿とは反対に身体が弱く神聖で人が住めるような生活のしやすい場所でないと死んでしまう傾向にあった。
悩みに悩みぬいた結果、村長を呼び出した。
「おっヴルムか。話とはあのことか?」
「あのことでございます。村長様の言う通り、こんなところで竜の命を粗末にしてはいけないと判断しました」
「それはもしかして行くということなのだな」
「はい、そうです。あの雛が住める神聖な場所を探す旅に行きたいと思います」
村長はヴルムの発言に満面の笑みを浮かべて手を握っていた。
目からは涙が零れそうになっている。これでよかったと、自分の選択は間違っていないと確信して次の日には旅に出ることにした。
竜人の里に住む者たち全員が英雄を送るかのように手を振り、皆は希望の目で見送っている。
「よし長い旅になると思うけど自分の里への恩返しだと思えばこれくらい……」
その時は案外すぐ見つかり数日で戻って来れると思っていた。
無限に続いているような道を歩き続けるヴルム。
何件かの村や町を訪れたが既に人が住んでいたため、そこを使うことはできないと考え他をあたっているといつの間にか何カ月かの時が経っていた。
このままでは見つけることは不可能だと思いしたことが、
「アクセル、お前と戦ったあの村を奪うことだったんだ」
「……そうだったのか、だからってあんなやり方はなかったんじゃないか?」
「お前には分からないだろうな俺が考えている里の事なんて……」
「そんな重荷背負ったことのない俺には分からない……だけど仲間や自分の大切にしている人の為に何かをする気持ちは痛いほどわかる。だから俺に協力させてくれなっ」
すると話している途中で空中を彷徨うように現れたのは魔女である。
放棄に乗りアクセルを見ると邪魔そうな顔をしていた。
「まーた私の邪魔をする気なの、ほらヴルムあんな奴殺しちゃいなさいよ!ふふふ、それともいらないのかしら土地が欲しいのでしょ?」
「それは……」
魔女の言葉を聞いたアクセルは何故ヴルムが協力しているのかが分かった。
「そういうことか、魔女は弱みを握り汚い力を使いそうやって人を使うんだな」
「何が言いたいの?」
「何も言いたいことは無いさ、だが俺はお前を今すぐ倒したいよ」
「ふふふ悪いけど私は戦わないわ。あなたの発言は一々ムカつくから、もう終わりにしましょ」
魔女が眉間に皺を寄せて笑いながら紫の液体を空中からヴルムに垂らす。
何か嫌な予感がしてアクセルは避けさせようとするが、間に合わずヴルムはその液体を頭からかぶってしまう。
液体がヴルムの体に入ると目が赤くなり堕天の力が強化されていた。
「ふふふふ、それじゃ楽しんでちょうだい」
「なにをしたんだ魔女‼」
何も言わず魔法の力で消えていく魔女。
その瞬間にヴルムは飛びついてきていた。
――グオオォォォオォオオオォォオ
「俺はどうしてもお前と戦わないといけないのか」
ヴルムの苦しみにも聞こえる悲痛な竜の咆哮が響いていた。
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