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不安定な心
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とりあえずラインを見た。
どうやら俺はなにかの病気で緊急入院したことになってるらしい。
ていうか送られてきたのついさっきじゃん。
「生きてるか~wいやー先生がお前が入院したって言ったから焦ったわ」
いやおかしいだろ。
焦ってるやつは草を生やさないと思う。
「突然入院したやつに対して草を生やしながら生存確認するやつがおるか!タヒね!!」
「なんだよ元気づけるためのジョークじゃん」
「えらい返事早いじゃんサボり?」
「いや、今休み時間だから」
「健太は大変だね~。俺はしばらく学校に行けないから早めの春休みを楽しんでおくわ」
「強がりじゃないよな。本当は結構きついとか無いよな?」
「大丈夫。そんな死ぬほどヤバいってわけじゃないから」
「ほんとか?先生が面会謝絶って言ってたからめちゃくちゃ心配してんだぞ?」
「いやほんとに大丈夫!」
なんか申し訳なくなるから写真を取って送る。
...首輪邪魔!
膝立てて、その上に腕乗っけて、その更に上に顎を乗せれば...
よしよし首輪見えない。
「ほら、死にそうな感じではないでしょ?」
「何そのポーズ。はっきり言って変」
「酷い!まあとりあえず元気であることは伝わった?」
「まあ、そうだな。じゃあ元気そうだから茶化しても大丈夫だな」
「やめろブロックするぞ」
「冗談だって。んじゃあ授業始まるから。早く治して戻ってこいよー」
「りょーかい!」
...
うぐあああああ!!
親友を!親友を騙すのって!辛い!!
いや騙してはいないんだけどさあ...
一言も病院にいるとは言っていない。
俺はたとえとして入院してるやつに言うかって言っただけだし?
俺自身の口から入院してるって言葉は出てないし?
そう、向こうが勝手に誤解してるだけ!
うんそう思っとこう。
「どうしたトモヤ」
「ひゃいっ!」
頭の中でぐるぐると考えてるところで突然声をかけられて変な声が出た。
「ふっ...くく...」
ほら、ジャックがめっちゃ笑いこらえてるじゃん。
「...なんだよ」
「ひゃいって...くくっ...!」
「なにツボってんだよ!」
「はぁ...いやなんか面白くてな。それよりどうした?すごい悶々とした顔してたし、スマホ握る手がプルプル震えてたぞ?」
「うぅ...ジャックぅ...!」
特に何も考えずにジャックに抱きつく。
「な、どうした?」
「辛いよー...」
「ほんとにどうした?」
「病気だと思われてるんだけどこの通りピンピンしてるじゃん?なんか心配させてるのが申し訳ない」
「そうか。その考えが持てるってことはトモヤは正直者なんだな」
「いや俺普通に嘘つくよ?今回のは程度がね...」
「ふーん...なあトモヤ、昨日授業の後帰ってくるの遅かったが何してたんだ?」
話題180度変わったな。
それにしても昨日...?なんかあったっけ。
...あ。
そ、そういえばジャックに伝えてなかったねー...
いやけどこれ今伝えたらどうなる?
現在の俺、ジャックに捕まってる。
なんで俺ジャックに抱きついたー!!
ヤバい、絶対に絞め殺される。
な、なんか理由をでっちあげろ!
...ちょっと待とう。
これ嘘ついたほうが絞め殺される可能性高いな。
正直に話そう。
「...親友の健太に暗示をかけてセッ...っ...ス、してました...」
沈黙が場を支配する。
「...やっぱり正直だな」
頭をワシャワシャと撫でられる。
ちょっとこの対応は予想外。
もっとこう、殴られるくらいはされると思ってた。
「けど、もしトモヤが嘘ついたら...怒りに任せてなにをしでかすかわからないな」
「...っ!」
ヤバい殺される!目がガチやん!?
反射的に尻尾を出してジャックに叩きつけようとした。
「だめじゃないか、攻撃したら」
パシッと尻尾を掴まれて動かすことができなくなる。
「...知ってたとはいえ実際にトモヤの口から聞くとやっぱりイライラするな」
「な、何?」
「このトモヤに染み付いた雄の匂いもイライラする」
首元に顔を近づけてスンスンと匂いをかぐジャック。
「トモヤは俺の眷属。俺だけのモノ。他のやつに渡したりしない」
「...」
なぜかわからないけど、もやもやする。
いや...
俺はジャックの眷属でいてもいいのか。
ジャックは俺を眷属でいさせてくれるのか。
その言葉は本当に思ってるのか。
そこまで考えて、自分に苛立ちを感じた。
信じきれてない。
裏切ってしまってる。
「どうした?」
なんでもない。
いつもみたいにそう答えればよかった。
だけど俺はそう言えなかった。
「ジャック、俺のことどう思ってるの?」
「どうって...変えの利かない俺だけの大切な眷属」
「...」
普段だった顔を真っ赤にして抗議するところだけど、何も感じない。
「...何も言わないのか?」
「だって、嘘言われても、なに、も、感じるわけ、ない!」
ジャックに八つ当たりをした。
素直に信じきれてないって言うことができなかった。
...言えるはずがないか。馬鹿みたい。
「どうしたんだ?」
焦りつつ俺の手を握ろうと手を伸ばすジャック。
俺はその手を叩き落とした。
「触るなよ!俺、俺なんか、どうせ!」
頭の中がグルグルする。
どうしてこんな事を言っているんだろう。
こんな天邪鬼になったってジャックが傷つくだけ。
ここまで考えて血の気が引いた。
本当に、何をしているんだろう。
「...ごめん。なんか、錯乱してた」
「大丈夫か?」
「...ごめん、なさい...ジャック、俺、おれ...」
「落ち着け。大丈夫だから」
ベットの上に座り込んでいると、ジャックが抱きしめて頭を撫でてくれた。
「...俺、信じきれてなかった」
撫でられるのに安心してぽつりぽつりとなんであんなことしたのか話した。
「ジャックが、俺のこと大事だって思ってるって言ったけど...悪夢のことを思い出して...また首絞められたり、耳もがれたりするんじゃないかって、思って...」
「...そうか」
「...やっぱり俺、ジャックの眷属じゃ、だめ、かな...いや、いけないよね。だって、嫌いなやつに俺だけのものなんて言わないもん」
「...」
「それなのに、信じきれなくて...ごめん...変に疑って、また拒絶して...」
「黙れ」
「...っ!!」
静かだけど、腹に響くような声。
耳元で囁かれて大げさに体を震わせる。
「もう、黙れ。これ以上何も言うな」
「...やっぱり、怒ってるよね。もう、眷属でいちゃ駄目だよね...」
「...お前は馬鹿か。逃がすわけ無いだろ」
「え?」
「お前は俺のもの。勝手にいなくなったら駄目だ。俺無しじゃ駄目なようにする」
俺に抱きついている無理な姿勢から無理やり顔を覗き込み、視線を合わせられる。
そのジャックの目は赤くなっていて...
「体は始める前に戻す。だから今だけは何も考えないで身を委ねてくれ」
目を合わせていると、体の中をかき回されてるかのような不思議な感覚がした。
「ん...?...あ、はぁ、熱い...」
体が熱くて、お腹の奥が疼いて、頭がボーッとして...
「無理やり発情させた」
「バカ、何してんだよ...」
「だったら治してやらないとな」
「お前が、やったくせに...!」
もうなんでもいい。
早くこのキツさから逃れたい。
どうせ後にはこのことは覚えてない。らしい。
ヤバい思考がめちゃくちゃになってきてる。
「う...やばい...あっちいけ...」
「やだ」
「なんでだよ...」
「...トモヤ、すごく悲しそうな顔してるからだな」
「意味、わかんない...めんどくさいなら素直に捨てれば...」
「捨てるわけない!お前が大事なんだ!大好きなんだ!!」
「...」
「話は終わりだ」
俺でいいのか、わからない。
だけど、ジャックがいいのなら...
...やっぱりわからない。
ジャックに抱きしめられたままそう思っていた。
どうやら俺はなにかの病気で緊急入院したことになってるらしい。
ていうか送られてきたのついさっきじゃん。
「生きてるか~wいやー先生がお前が入院したって言ったから焦ったわ」
いやおかしいだろ。
焦ってるやつは草を生やさないと思う。
「突然入院したやつに対して草を生やしながら生存確認するやつがおるか!タヒね!!」
「なんだよ元気づけるためのジョークじゃん」
「えらい返事早いじゃんサボり?」
「いや、今休み時間だから」
「健太は大変だね~。俺はしばらく学校に行けないから早めの春休みを楽しんでおくわ」
「強がりじゃないよな。本当は結構きついとか無いよな?」
「大丈夫。そんな死ぬほどヤバいってわけじゃないから」
「ほんとか?先生が面会謝絶って言ってたからめちゃくちゃ心配してんだぞ?」
「いやほんとに大丈夫!」
なんか申し訳なくなるから写真を取って送る。
...首輪邪魔!
膝立てて、その上に腕乗っけて、その更に上に顎を乗せれば...
よしよし首輪見えない。
「ほら、死にそうな感じではないでしょ?」
「何そのポーズ。はっきり言って変」
「酷い!まあとりあえず元気であることは伝わった?」
「まあ、そうだな。じゃあ元気そうだから茶化しても大丈夫だな」
「やめろブロックするぞ」
「冗談だって。んじゃあ授業始まるから。早く治して戻ってこいよー」
「りょーかい!」
...
うぐあああああ!!
親友を!親友を騙すのって!辛い!!
いや騙してはいないんだけどさあ...
一言も病院にいるとは言っていない。
俺はたとえとして入院してるやつに言うかって言っただけだし?
俺自身の口から入院してるって言葉は出てないし?
そう、向こうが勝手に誤解してるだけ!
うんそう思っとこう。
「どうしたトモヤ」
「ひゃいっ!」
頭の中でぐるぐると考えてるところで突然声をかけられて変な声が出た。
「ふっ...くく...」
ほら、ジャックがめっちゃ笑いこらえてるじゃん。
「...なんだよ」
「ひゃいって...くくっ...!」
「なにツボってんだよ!」
「はぁ...いやなんか面白くてな。それよりどうした?すごい悶々とした顔してたし、スマホ握る手がプルプル震えてたぞ?」
「うぅ...ジャックぅ...!」
特に何も考えずにジャックに抱きつく。
「な、どうした?」
「辛いよー...」
「ほんとにどうした?」
「病気だと思われてるんだけどこの通りピンピンしてるじゃん?なんか心配させてるのが申し訳ない」
「そうか。その考えが持てるってことはトモヤは正直者なんだな」
「いや俺普通に嘘つくよ?今回のは程度がね...」
「ふーん...なあトモヤ、昨日授業の後帰ってくるの遅かったが何してたんだ?」
話題180度変わったな。
それにしても昨日...?なんかあったっけ。
...あ。
そ、そういえばジャックに伝えてなかったねー...
いやけどこれ今伝えたらどうなる?
現在の俺、ジャックに捕まってる。
なんで俺ジャックに抱きついたー!!
ヤバい、絶対に絞め殺される。
な、なんか理由をでっちあげろ!
...ちょっと待とう。
これ嘘ついたほうが絞め殺される可能性高いな。
正直に話そう。
「...親友の健太に暗示をかけてセッ...っ...ス、してました...」
沈黙が場を支配する。
「...やっぱり正直だな」
頭をワシャワシャと撫でられる。
ちょっとこの対応は予想外。
もっとこう、殴られるくらいはされると思ってた。
「けど、もしトモヤが嘘ついたら...怒りに任せてなにをしでかすかわからないな」
「...っ!」
ヤバい殺される!目がガチやん!?
反射的に尻尾を出してジャックに叩きつけようとした。
「だめじゃないか、攻撃したら」
パシッと尻尾を掴まれて動かすことができなくなる。
「...知ってたとはいえ実際にトモヤの口から聞くとやっぱりイライラするな」
「な、何?」
「このトモヤに染み付いた雄の匂いもイライラする」
首元に顔を近づけてスンスンと匂いをかぐジャック。
「トモヤは俺の眷属。俺だけのモノ。他のやつに渡したりしない」
「...」
なぜかわからないけど、もやもやする。
いや...
俺はジャックの眷属でいてもいいのか。
ジャックは俺を眷属でいさせてくれるのか。
その言葉は本当に思ってるのか。
そこまで考えて、自分に苛立ちを感じた。
信じきれてない。
裏切ってしまってる。
「どうした?」
なんでもない。
いつもみたいにそう答えればよかった。
だけど俺はそう言えなかった。
「ジャック、俺のことどう思ってるの?」
「どうって...変えの利かない俺だけの大切な眷属」
「...」
普段だった顔を真っ赤にして抗議するところだけど、何も感じない。
「...何も言わないのか?」
「だって、嘘言われても、なに、も、感じるわけ、ない!」
ジャックに八つ当たりをした。
素直に信じきれてないって言うことができなかった。
...言えるはずがないか。馬鹿みたい。
「どうしたんだ?」
焦りつつ俺の手を握ろうと手を伸ばすジャック。
俺はその手を叩き落とした。
「触るなよ!俺、俺なんか、どうせ!」
頭の中がグルグルする。
どうしてこんな事を言っているんだろう。
こんな天邪鬼になったってジャックが傷つくだけ。
ここまで考えて血の気が引いた。
本当に、何をしているんだろう。
「...ごめん。なんか、錯乱してた」
「大丈夫か?」
「...ごめん、なさい...ジャック、俺、おれ...」
「落ち着け。大丈夫だから」
ベットの上に座り込んでいると、ジャックが抱きしめて頭を撫でてくれた。
「...俺、信じきれてなかった」
撫でられるのに安心してぽつりぽつりとなんであんなことしたのか話した。
「ジャックが、俺のこと大事だって思ってるって言ったけど...悪夢のことを思い出して...また首絞められたり、耳もがれたりするんじゃないかって、思って...」
「...そうか」
「...やっぱり俺、ジャックの眷属じゃ、だめ、かな...いや、いけないよね。だって、嫌いなやつに俺だけのものなんて言わないもん」
「...」
「それなのに、信じきれなくて...ごめん...変に疑って、また拒絶して...」
「黙れ」
「...っ!!」
静かだけど、腹に響くような声。
耳元で囁かれて大げさに体を震わせる。
「もう、黙れ。これ以上何も言うな」
「...やっぱり、怒ってるよね。もう、眷属でいちゃ駄目だよね...」
「...お前は馬鹿か。逃がすわけ無いだろ」
「え?」
「お前は俺のもの。勝手にいなくなったら駄目だ。俺無しじゃ駄目なようにする」
俺に抱きついている無理な姿勢から無理やり顔を覗き込み、視線を合わせられる。
そのジャックの目は赤くなっていて...
「体は始める前に戻す。だから今だけは何も考えないで身を委ねてくれ」
目を合わせていると、体の中をかき回されてるかのような不思議な感覚がした。
「ん...?...あ、はぁ、熱い...」
体が熱くて、お腹の奥が疼いて、頭がボーッとして...
「無理やり発情させた」
「バカ、何してんだよ...」
「だったら治してやらないとな」
「お前が、やったくせに...!」
もうなんでもいい。
早くこのキツさから逃れたい。
どうせ後にはこのことは覚えてない。らしい。
ヤバい思考がめちゃくちゃになってきてる。
「う...やばい...あっちいけ...」
「やだ」
「なんでだよ...」
「...トモヤ、すごく悲しそうな顔してるからだな」
「意味、わかんない...めんどくさいなら素直に捨てれば...」
「捨てるわけない!お前が大事なんだ!大好きなんだ!!」
「...」
「話は終わりだ」
俺でいいのか、わからない。
だけど、ジャックがいいのなら...
...やっぱりわからない。
ジャックに抱きしめられたままそう思っていた。
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