24 / 28
俺の主は...?
しおりを挟む
「ただいまーっと」
違和感。
なんか違和感!
家に帰ってきても哲生にタックルされない違和感!!
毒されてるなー。
あったらあったで嫌だけど、無かったらそれはそれで寂しいっていうか。
いやあるのと無いのどっちを選ぶかって言ったら無いの選ぶけど。
とりあえず着替えよ。
「ジャックは下でくつろいどいて。すぐに着替えるから」
...無視された。
別にいいけどなんか悲しい。
そう考えつつ制服のシャツと靴下だけ脱いで洗濯機に放り込む。
適当な靴下を取って上に行く。
...あ、この靴下学校用だ。
俺ってインドアのヒッキーで出かけることが殆どないから、無意識で学校用靴下を取ることが多いんだよね。
俺だけかな。
まあいいや。
玄関のところにおいてあるバックを持って階段を登る。
部屋に入ったら、シャツとパンツになって、ブレザーとズボンをクローゼットに仕舞う。
さてと、何着よう...
パーカーでいいかな、楽だし。
だけど弟の職場に行くからには兄として見栄えがあったほうがいいと思うし...
だけど普段出かけない弊害でオシャレなのあんまり持ってないんよなー...
うーん...
うん?
ふと、後ろから気配を感じて振り向くと、ジャックが後ろに立っていた。
「ぎゃあ!!うわ、え、ジャック!?びっくりしたー...」
なんか圧というか、無言で後ろに立たれるとかなり怖い。
「どうしたの?」
「いや、なかなか降りてこないから様子を見に来た。あんまり何も考えずに適当でいいぞ?」
「そう?いや、弟の職場に行くわけだからおしゃれしたほうがいいかなって思ったら変に悩んじゃって」
「...そうか」
あれ、なんか悲しそう?
表情は変わってないけど、なんか雰囲気が。
声かける暇なく降りてっちゃったから聞けなかったけど。
とりあえず着替えてしまおう。
もうめんどくさいからパーカーでいいや!
あ、この服いいね。
真っ黒いのをベースに、左胸元に白いコウモリのシルエットがプリントされている。
背中は無地。
ズボンはどうしよう...
ジーパンでいいや。
ファッションセンスがない俺はこれで満足する。
寒いからなんか羽織るものは...これでいいや。
フードのついてない黒いジャンバー
ダブルフードは邪魔になる。
パーカーにジャンパーが合うか知らないけど、俺が着たいからこれにする。
このあたりがファッションセンスがない原因だけど気にしない。
おしゃれしないといけないときはもっとちゃんとするけど、どうでもいいときはいつもこんな感じ。
さてと、持っていくものはあるかな?
鞄の中からスマホを取り出して、哲生に聞いてみる。
『今家にいるんだけどなんか持っていくものある?』
よし後はちょっと待てば...
ピロン!
はっや!?
さっき送ったばっかりだよ?
まあいいや。どれどれ?
『特に何も持ってこなくて大丈夫だよ』
おっけー、じゃあスマホだけ持って手ぶらで行くか。
「おまたせー。どうよ」
「いいんじゃないか?」
興味なさそう。
ほんとにさっきからそっけないな。
んー?
とりあえず先に外に出とく。
ジャックが、怒ってるのと悲しんでるのが混在してる雰囲気がしてたからちょっと離れたかったってのが理由。
何なんだろう。
...ジャック遅いな。
そろそろ呼びに行こう。
そう思った瞬間前から来てた人にぶつかってしまった。
「あ、すいま」
「君個人にはなんの恨みもないけど、君のその立場が憎い。恨むなら自分の立場を恨んで」
「...は?」
何を言われたのかわからなくて、その言葉を言った人を見る。
「見ちゃったね。しばらくオヤスミ、君にはたくさんの悪夢を見せてあげるね、トモヤくん」
その言葉を最後に俺の意識は途切れた。
...ジャック遅いな。
そろそろ呼びに行こう。
ドアに手をかけて中に入る。
「ジャック、何して...がっ!?」
近づいてきたジャックが突然俺を押し倒して首を締める。
何がなんだかわからなくて必死に抵抗するけど、全く動かすことができない。
『ジャックの気持ち。今すぐ君を殺したい』
「...っ...ぁ、ぐる...じ...じゃ...っ」
『ほらジャックの顔を見て。君が苦しむ姿を見て嗤ってる。君は都合のいいおもちゃでしか無いんだよ』
苦しさで歪む視界の中、謎の声が聞こえ俺の脳内に直接囁いてくる。
感情を感じさせないのに、どこか嘲るような声変わりする前の男の子のような声。
足をジタバタさせるけど、馬乗りになったジャックを動かすことは不可能。
それから少しずつ意識が明点してきて...
「っは、ゲホッゲホッ!っ、はぁ、はぁ...!」
もう少しで殺されるというところで解放される。
咳き込みつつ、必死に肺に空気を送り込む。
「なんで、こんな...」
「なんで?なぜそんなことを聞く」
「え?」
「お前は俺を楽しませればいい。たとえお前が死んだとしても。お前はただの玩具だ」
「何言って...」
「2度も言わせる気か?下等生物が調子に乗るな」
「うあああああ!!?」
『ジャックは人間のことを恨んでる。もちろん君のことも』
耳をとんでもない激痛が襲う。
手にはぬるりとした感触。
それに、あるはずの感触がない。
耳が、無い?
「お探しのものはこれか?」
ジャックの手に握られていたのは俺の耳。
これが、ジャック...?
姿形は一緒なのに、中身が全く違う。
「ねえ、なにかの冗談だよね?さっきからおかしいよ?」
「おかしい?俺が?知った口を利くんじゃねえよ」
『ジャックは君のことをなんとも思っちゃいない。ただのゴミ』
違う!
『どうしてそう言い切れるの?現に耳を取られたじゃん。その程度の存在ってことなんだよ』
違う、違う!ジャックは、俺のことを大切にしてくれる!
『君は大切な人の首を締めて殺そうとする?耳を引きちぎる?』
ジャックは、ジャックは...!
「目障りだ。消えろ、下等生物」
目の前にいるジャックのようななにかは、なんの感情も持っていない目でそういう。
『ほら、本人もこう言ってるよ』
今までの付き合いがフラッシュバックし、ガラガラと崩れていく。
「嘘だったってこと...?」
『そうだよ。だから、これまでのことを忘れて、死んじゃえよ。お前はいなくてもいい存在。生まれてきたことが間違い。何もかも間違い。失敗作は消えろ。消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ』
俺は、いらない存在...?
『そうだよ。だからさっさと消えて。君がいるのは迷惑なんだよ。ほら、君にナイフを渡した。それで死んで』
手元を見ると、いつの間にかナイフを握りしめていた。
視線をジャックに移す。
相変わらず俺の事をなんとも思っていないような目。
首を触ると、いつものくすぐったい感覚はしないし、傷跡の感触もない。
全部俺の妄想?
何も分からないで茫然自失になっていると、手が喉元に勝手に動いていく。
そのままナイフが少しずつ首にくい込んでいって...
血が撒き散らされる光景を最後に、意識が途切れた。
違和感。
なんか違和感!
家に帰ってきても哲生にタックルされない違和感!!
毒されてるなー。
あったらあったで嫌だけど、無かったらそれはそれで寂しいっていうか。
いやあるのと無いのどっちを選ぶかって言ったら無いの選ぶけど。
とりあえず着替えよ。
「ジャックは下でくつろいどいて。すぐに着替えるから」
...無視された。
別にいいけどなんか悲しい。
そう考えつつ制服のシャツと靴下だけ脱いで洗濯機に放り込む。
適当な靴下を取って上に行く。
...あ、この靴下学校用だ。
俺ってインドアのヒッキーで出かけることが殆どないから、無意識で学校用靴下を取ることが多いんだよね。
俺だけかな。
まあいいや。
玄関のところにおいてあるバックを持って階段を登る。
部屋に入ったら、シャツとパンツになって、ブレザーとズボンをクローゼットに仕舞う。
さてと、何着よう...
パーカーでいいかな、楽だし。
だけど弟の職場に行くからには兄として見栄えがあったほうがいいと思うし...
だけど普段出かけない弊害でオシャレなのあんまり持ってないんよなー...
うーん...
うん?
ふと、後ろから気配を感じて振り向くと、ジャックが後ろに立っていた。
「ぎゃあ!!うわ、え、ジャック!?びっくりしたー...」
なんか圧というか、無言で後ろに立たれるとかなり怖い。
「どうしたの?」
「いや、なかなか降りてこないから様子を見に来た。あんまり何も考えずに適当でいいぞ?」
「そう?いや、弟の職場に行くわけだからおしゃれしたほうがいいかなって思ったら変に悩んじゃって」
「...そうか」
あれ、なんか悲しそう?
表情は変わってないけど、なんか雰囲気が。
声かける暇なく降りてっちゃったから聞けなかったけど。
とりあえず着替えてしまおう。
もうめんどくさいからパーカーでいいや!
あ、この服いいね。
真っ黒いのをベースに、左胸元に白いコウモリのシルエットがプリントされている。
背中は無地。
ズボンはどうしよう...
ジーパンでいいや。
ファッションセンスがない俺はこれで満足する。
寒いからなんか羽織るものは...これでいいや。
フードのついてない黒いジャンバー
ダブルフードは邪魔になる。
パーカーにジャンパーが合うか知らないけど、俺が着たいからこれにする。
このあたりがファッションセンスがない原因だけど気にしない。
おしゃれしないといけないときはもっとちゃんとするけど、どうでもいいときはいつもこんな感じ。
さてと、持っていくものはあるかな?
鞄の中からスマホを取り出して、哲生に聞いてみる。
『今家にいるんだけどなんか持っていくものある?』
よし後はちょっと待てば...
ピロン!
はっや!?
さっき送ったばっかりだよ?
まあいいや。どれどれ?
『特に何も持ってこなくて大丈夫だよ』
おっけー、じゃあスマホだけ持って手ぶらで行くか。
「おまたせー。どうよ」
「いいんじゃないか?」
興味なさそう。
ほんとにさっきからそっけないな。
んー?
とりあえず先に外に出とく。
ジャックが、怒ってるのと悲しんでるのが混在してる雰囲気がしてたからちょっと離れたかったってのが理由。
何なんだろう。
...ジャック遅いな。
そろそろ呼びに行こう。
そう思った瞬間前から来てた人にぶつかってしまった。
「あ、すいま」
「君個人にはなんの恨みもないけど、君のその立場が憎い。恨むなら自分の立場を恨んで」
「...は?」
何を言われたのかわからなくて、その言葉を言った人を見る。
「見ちゃったね。しばらくオヤスミ、君にはたくさんの悪夢を見せてあげるね、トモヤくん」
その言葉を最後に俺の意識は途切れた。
...ジャック遅いな。
そろそろ呼びに行こう。
ドアに手をかけて中に入る。
「ジャック、何して...がっ!?」
近づいてきたジャックが突然俺を押し倒して首を締める。
何がなんだかわからなくて必死に抵抗するけど、全く動かすことができない。
『ジャックの気持ち。今すぐ君を殺したい』
「...っ...ぁ、ぐる...じ...じゃ...っ」
『ほらジャックの顔を見て。君が苦しむ姿を見て嗤ってる。君は都合のいいおもちゃでしか無いんだよ』
苦しさで歪む視界の中、謎の声が聞こえ俺の脳内に直接囁いてくる。
感情を感じさせないのに、どこか嘲るような声変わりする前の男の子のような声。
足をジタバタさせるけど、馬乗りになったジャックを動かすことは不可能。
それから少しずつ意識が明点してきて...
「っは、ゲホッゲホッ!っ、はぁ、はぁ...!」
もう少しで殺されるというところで解放される。
咳き込みつつ、必死に肺に空気を送り込む。
「なんで、こんな...」
「なんで?なぜそんなことを聞く」
「え?」
「お前は俺を楽しませればいい。たとえお前が死んだとしても。お前はただの玩具だ」
「何言って...」
「2度も言わせる気か?下等生物が調子に乗るな」
「うあああああ!!?」
『ジャックは人間のことを恨んでる。もちろん君のことも』
耳をとんでもない激痛が襲う。
手にはぬるりとした感触。
それに、あるはずの感触がない。
耳が、無い?
「お探しのものはこれか?」
ジャックの手に握られていたのは俺の耳。
これが、ジャック...?
姿形は一緒なのに、中身が全く違う。
「ねえ、なにかの冗談だよね?さっきからおかしいよ?」
「おかしい?俺が?知った口を利くんじゃねえよ」
『ジャックは君のことをなんとも思っちゃいない。ただのゴミ』
違う!
『どうしてそう言い切れるの?現に耳を取られたじゃん。その程度の存在ってことなんだよ』
違う、違う!ジャックは、俺のことを大切にしてくれる!
『君は大切な人の首を締めて殺そうとする?耳を引きちぎる?』
ジャックは、ジャックは...!
「目障りだ。消えろ、下等生物」
目の前にいるジャックのようななにかは、なんの感情も持っていない目でそういう。
『ほら、本人もこう言ってるよ』
今までの付き合いがフラッシュバックし、ガラガラと崩れていく。
「嘘だったってこと...?」
『そうだよ。だから、これまでのことを忘れて、死んじゃえよ。お前はいなくてもいい存在。生まれてきたことが間違い。何もかも間違い。失敗作は消えろ。消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ』
俺は、いらない存在...?
『そうだよ。だからさっさと消えて。君がいるのは迷惑なんだよ。ほら、君にナイフを渡した。それで死んで』
手元を見ると、いつの間にかナイフを握りしめていた。
視線をジャックに移す。
相変わらず俺の事をなんとも思っていないような目。
首を触ると、いつものくすぐったい感覚はしないし、傷跡の感触もない。
全部俺の妄想?
何も分からないで茫然自失になっていると、手が喉元に勝手に動いていく。
そのままナイフが少しずつ首にくい込んでいって...
血が撒き散らされる光景を最後に、意識が途切れた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる