俺と吸血鬼

クローバー

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なんか間違ってると思う

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さてさて、帰ろうと思うんですけど。
助けてください、体がふわふわした感じがしてくらくらします。
もうずっとばたんきゅーした状態で会話してたもん。
まじで未経験者には早すぎた行為だと思うんですよ。
あーキツイ。
「お前大丈夫か?」
「大丈夫じゃない。そもそも原因になったのはジャックのせいです。あとお前じゃなくて俺の名前は高野智也」
「じゃあ今からトモヤって呼ぶ」
はい。
てかそんなことはどうでもいいんですよ。
「この疲労ってどうにかならない...?」
「流石に疲労はどうにもできない」
「そっか...」
まあ確かにできるならもうしてそうだもんね。
「じゃあとりあえずここから出よう...あれ?出入り口どこ?」
「ああ、ここ俺が作り出した空間だから出入りは俺がどうにかしないとできない」
怖っ。
下手したら俺って監禁ルートだったってこと?
また怖い想像をしてしまったけど、それを振り切ってベットから降りる。
「あれ?」
立てずに倒れた。
「悪い、結構生命力を吸ってしまってたのかもな。一応すぐ戻ると思うけど今はどうしようもないな」
そう言って俺のことをお姫様抱っこしてきた。
...お姫様抱っこ!?
待って俺一応身長170cm、体重は60キロほどなんだけど!?
そんな無重力みたいにフワって持ち上がらないと思うんだけど!?
見た目は細いから多分脱いだらすごいってタイプだろうなー。
っていうか俺の体型から逆算したらジャックって190cmあるよね絶対。
なんかこう、そんなくもなくスッて持ち上げられたら地味に傷つくというか。
...てかそんなことよりもさっきのことがあったから体密着してると色々考えてしまってやばい。
俺って結構ムッツリだったのかなー...
...
あれ、いつの間にかジャックと出会った角のところにいる。
あの、ジャックさん。
もう外に出てるのなら降ろしてもらって結構ですよ?
てか降ろして!?
「ジャックそろそろ降ろして!」
「だって歩けないだろ?」
「歩ける!歩けるから!てかこの状態で家に帰れないから!」
「じゃあ降ろすぞ?」
そのまま降りて、立つことは...できなかった。
なんかフニャって感じで倒れてしまった。
さっきよりはマシになったけど、全身に力が入らない。
本格的にやばくない?これ。
「一応俺の生命力を移したはずだが...」
マジかい。
このままではお姫様抱っこ帰宅エンドな気がしてきたから気合で立ち上がる。
やった立てた。
しかも壁伝いであれば歩ける!
「歩けるようになった!というわけでバックの中に入って」
「無理はすんなよ?」
そう言ってコウモリになってバックの中に入っていった。
...頑張って帰宅するか。

ぜえ、はあ...
あ、歩くのしんどい...
なんで人間は二足歩行なの!?
安定しなくて何回か転びかけたんだけど!?
まあ家についたしいいか。
だからこの件は忘れる。
「ただいm...うっ!」
「兄ちゃんおかえり~」
痛い。
いつものタックルに出迎えられた。
こいつは俺の弟の哲生てつお
現在中2でバスケ部所属。
そのせいか俺よりデカくて細マッチョ。
そしてブラコンの気がある。
こいつが本気を出せば彼女とかすぐにできそうだけどそんなのを聞いたこと無い。
で話を戻す。
ジャックに生命力を吸われて弱体化してる俺が哲生にタックルされたらどうなるか?
答え、目を回します。
気絶とまでは行かないけど目を回します。
「うう...」
「わー!兄ちゃんごめん!」
ほぼ毎日してるよね?
「とりあえず寒いから中に入ろう」
おい。
何を当たり前のように兄をお姫様抱っこしてるんだ?
...なんでさっきからお姫様抱っこされ続けてるんですかねー。
なんかもうめんどくさくて悟った気持ちになるわ。
「母さんはまだ帰ってきてないのか?」
「うん」
うちに父さんはいない。
俺がまだ小学生だった時に事故にあって死んじゃった。
それで母さんは朝から晩まで働いている。
俺たちに安定した暮らしをさせるために。
「ちょっと今日具合が悪いから俺もう寝る...」
「大丈夫?」
「多分疲れだと思うから寝れば治るでしょ」
「うん。それじゃあおやすみ」

部屋に戻ってきた瞬間ベットに倒れ込む。
ああ、死ぬかと思った。
「お前の弟か?元気だな」
「うん。けど何かを押さえつけて過ごしてるように見えるんだよね」
一応思春期だし、彼女とか作ったり、そうじゃなくても友だちと遊んだりしそうだけどね。
...俺は彼女できてないけど。
けど哲生の場合はかっこいいと思うから彼女はできると思うけど。
謎だ。
まあわかんないこと考えていてもしょうがないか。
「じゃあ俺はさっきも言ったようにもう疲れたから寝る」
床で寝かせるのは可愛そうだしなー。
けどベットで一緒に寝るのはな...
でも床は...
...まあ寝るだけだし一緒にベット使っても問題ないか。
「ジャックも一緒に寝よう。流石に床で寝かせるのは可愛そうだから」
「いいのか?」
「もちろん。そもそも床で寝かせる勇気がないっていうか...」
「ありがとう」
というわけでさっさとパジャマに着替える。

ドスドスドス!

あ。
「ジャック!コウモリ!早く!」
「兄ちゃん!」
セーフ!
危ない見つかるとこだった。
「ど、どうしたの?」
「いや心配だから俺も一緒に寝ようと思って」
え?
「大丈夫大丈夫!大したこと無いから!」
「えーでも顔色悪いよ?」
そう言って俺の額を触ってきた。
「んー熱はないかな。けど怠そうだし...」
やばいどうしよう、変身ってどれくらい続くんだろ。
『トモヤ、俺は大丈夫だから弟と一緒に寝たらいいんじゃないか?』
あ、すごい。テレパシーなんてものも使えるんだ。
なんかもうこれくらいじゃ驚かなくなってきた。
『ごめん、もう哲生が引かなさそうだから隙きを見てどっかに隠れて』
「ねえ兄ちゃん?」
「あーうん!じゃあ今日だけね」
「やった!」
こんな反応するから弟として見れるんだよなー。
これで捻くれてたら弟というより兄に見えてたかも。
哲生がベットに潜り込んでくる。
...これほんとに弟か?
なんかもう大きさが違いすぎて違和感満載なんだけど。
「早く寝て休んでね」
頭を撫でてくる。
...絶対こいつ俺のこと弟扱いしてるよね。
けどなんか眠たくなってくる...
「んん...」
なんか自分でもよくわからないけど哲生の胸に顔を埋めていた。
...絶対これ立場逆転してる。
けど眠すぎてそんなことがどうでも良くなりそのまま意識を手放した。

「めんどくさいことになったなー。今の状態だと兄ちゃんが怒り狂うだろうし。うまいこと籠絡できないかな...」
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