【完結】女当主は義弟の手で花開く

はるみさ

文字の大きさ
上 下
22 / 22

エピローグ

しおりを挟む
 「当主様……なんてお美しい! 今回も最高の出来ですわ!」

 最近のコディは生き生きしている。私が時々夜会に出掛けるようになったからだ。彼女はどうも美しく私を着飾ることが好きだったらしく、いかに私を美しく仕上げるかというところに最近は夢中になっている。こんなにコディが喜ぶなら、舐められないようになどと意地を張っていないで、ドレスを着ればよかったな、と思うくらいだ。似合うかどうかは別として、私もドレスを着るのは好きだから。

 「そ、そうかな……照れるな」

 「堂々と胸を張ってくださいまし! きっと夜会の中で、当主様が一番お美しいはずですわ!」

 「それは間違いないね」

 「リルっ!」

 私が振り向くと、扉の前には愛しの婚約者様がいた。

 私とお揃いで作った淡いブルーのタキシードがこれほどなく似合っている。こんなにかっこいいのだから、今回も夜会中、令嬢の視線を独り占めしてしまうのだろう。

 「本当によく似合ってるよ」

 「すこしデザインが若いかと思ったんだが、大丈夫だろうか? ……リルと比べて浮いていないか?」

 「そんなことないよ。僕たちが揃って、完成するデザインなんだから。それにシャノンだって十分若いだろ?」

 「そんなことない……。時々リルの隣に並び立つのが、本当に私で良かったのかとーー……んっ……」

 リルにぐっと腰を引かれ、キスを落とされる。何度か角度を変えながら、キスを贈られ、最後にははぁっ……と二人で熱い吐息を漏らす。もう、最近は所かまわず口づけしてくるんだから……

 「そんないけないことを言う口は塞いでしまわないとね?」

 「もう、リル……っ」

 そして、リルは私の耳元で囁く。

 「それに、毎晩僕に付き合えるなんて、まだまだ若い証拠だと思うけど?」

 「そっ、それはリルがーー」

 反論しようと思ったところで、コディの低い声が響いた。

 「リル様っ!!」

 「な、なんだよ、コディ……」

 眉を吊り上げるコディに、リルがおずおずと尋ねる。

 「せっかく整えたのに、キスなんかされたらもう一度整えなくてはならないですかっ!こんなに美しく仕上げたのにーー」

 「シャノンは口紅が取れても可愛いよ」

 リルは笑って私の唇をふにっと触った。
 しかし、コディの怒りは収まらないようで、リルと私をバリッと引き離した。

 リルは不満そうに口を尖らせている。可愛い。

 「そういう問題じゃありませんからっ! 出かけるまで部屋から出て行ってください!」

 コディの剣幕に押され、リルはしぶしぶ部屋を出て行った。

 「まったく……! リル様はところ構わずいちゃつき過ぎですわ!
 お二人が仲がいいのはわかりますが、芸術的に美しく仕上げた当主様にキスをなさるなんて……」

 「まぁ、そう怒らないでやってくれ。リルも悪気があってやったわけじゃ」

 「当主様が甘やかすから、あぁやって同じことを繰り返すんです!いいですか? 私がいないからと言って、馬車の中で盛り上がらないでくださいね!」

 「う、うん……気をつけるよ」

 そう言ったもののーー

 「シャノンと一緒にいるのにキスもできないなんて、こんなの拷問だ!」

 私はリルの膝の上に乗せられていた。今すぐにでもキスをできる状況だが、私がキスを拒否したせいでリルは不満そうに下唇を噛んでいる。

 確かにリルはキスをするのが大好きで、二人で馬車に乗っていれば、キスをしないことなどない。けれど、今日はコディにも念を押されたし、私もできるだけ綺麗な状態で夜会に参加したい。

 今日の夜会にはヒューバル公爵と、ラズとリズも参加することになっているからだ。

 「でも、せっかくコディが整えてくれたし、私もそれなりに綺麗にしてないとーー」

 「シャノンの綺麗な姿なんて、僕だけのものだ。他の男になんて見せないで」

 「ち、違う! そうじゃなくて……。今日はお義父様も参加されるだろう? ラズとリズも来るし……」

 「それはそうだけど……」

 「それにリルは若くて格好いいから……私があまりにも貧相だと他の令嬢が狙いに来るかもしれないだろ……?」

 「僕にはシャノンしか見えていないのに……そんな心配をしちゃうなんて可愛いなぁ。あぁ……やっぱり無理だ……っ!」

 「えっ……リルっ!? んっ……」

 リルは、私のドレスをくいっと下げて、胸の谷間にキスを落とした。私は、ドレスを慌てて押さえる。

 「やっ、駄目! リル、ここ馬車!」

 「わかってる。でも、会場に到着するまで一時間もあるのにキスもできないなんて我慢できない。だから、シャノンの身体を堪能させて?」

 「でも、ドレスが……っ!」

 「僕、化粧はできないけど、ドレスなら着せてあげられるよ? だから、いいでしょ?」

 そう言い終わる頃には、リルによってドレスの後ろリボンが解かれていた。私の抵抗むなしく、ドレスが下げられ、リルの目の前に乳房が露わになる。

 「リル、恥ずかしい……っ」

 「ふふっ、あんまり大きな声を出さないようにね? 御者に声が聞こえちゃうかもよ?」

 リルは乳首の周りをくるりと舐めた。
 その甘い刺激に私は声を漏らす。

 「え……ぁ、んっ……ぅ」

 「耐えてる声も可愛い」

 「ゃ……本当に……、やめてぇ」

 「ふふっ、そんなこと言って、もう腰が揺れてるよ?」

 リルはそう言って楽しそうに私の胸を責めた。

 乳頭を口に含み、飴玉を転がすようにペロペロと舐める。
 そして、時々、強く吸う。

 「はっ……ふ……ぅん……っ。つよく、しないでぇ……っ」

 「刺激の強い方が好きなくせに」

 口に含まれてないほうの乳首をぎゅっと掴まれる。

 「やんっ!!」

 「ほら、すっごい反応。ねぇ、欲しくてたまらないんじゃない? ちゃんとおねだりできたら、もっとすごいのあげるよ……?」

 リルの目が……そのかつて無邪気に輝いていた緑の瞳は、今、完全に雄の目になっていて……私を求めていた。少し口角を上げて意地悪に笑っている。

 彼の緑の瞳は、私の思考を停止させる。
 彼の意地悪な笑みは、いつも私をおかしくさせる。

 そして、私はいつも……彼を求めずにはいられないのだ。

 私はスカートをたくし上げ、リルの膝の上に跨った。
 すでに一度可愛がってもらった乳房を持ち上げて、彼の眼前に差し出す。

 「リル……私のおっぱい……食べて? 気持ち良く、して?」

 「ふふっ。すっかり僕好みの変態さんになっちゃったね」

 リル嬉しそうに私の胸にむしゃぶりついた。先ほどのような遠慮はなく、最初から強く吸って、甘噛みされる。リルの思うように揉まれ、形を変える乳房も気持ち良くてたまらない。

 乳房に与えられる快感がきゅうっとお腹の奥に響く。

 「あっ、はっ、あんっ! リル……っ、私っ!」

 イく! と思った瞬間、リルからの刺激が止む。

 「……っ、なんでーー」

 イきたいのにイかせてもらえないのかと思ったら、瞳が潤む。
 しかし、次の瞬間、リルと目が合った。

 「はぁっ……ごめん、シャノン……。僕、もう限界だ」

 リルは盛り上がったトラウザーズを緩めると、彼のモノを出した。

 そして、私の腰を浮かせると、ドレスの裾から手を入れた。
 彼の手が私の陰部にトンと触れる。

 「ここに挿入りたい……」

 私はコクンと頷いた。こんなところで繋がるなんて、ありえないことだけど、リルが欲しくてたまらなかったから……

 リルは指でショーツをずらす。私は位置を合わせて、腰を落としていく。

 もうすっかり濡れそぼった蜜口は、スムーズにリルを迎えた。

 「はぁっ……気持ちいい……っ」

 「私も……っ。リルぅ……」

 私たちはそのまま抱きしめあった。動かなくても、馬車の振動だけで、気持ちいい。

 私の膣内いっぱいに感じるリルの陰茎は、熱くて、硬かった。

 しばらくしてからリルが「動くよ……」と言って、私の腰を持った。私は、その激しさに振り落とされないよう、リルにぎゅうっとしがみついた。

 「あっ、はぁんっ……リルっ!」

 「シャノン……僕のシャノン……っ!」

 私たちは馬車の中でも飽きるほど愛を交わしたのだった。

   ◆ ◇ ◆ ◇ ◆

 「ねぇ、ラズ……今日のお義姉様、すっごい色っぽくない?」

 「わかるわ、リズ。さっきから会場中の男性陣がお義姉様に釘付けよ。女の私でさえ、なんだかお義姉様を見てるとドキドキしちゃうもの……」

 「そうなのよ、私も……。いつも強気な感じなのに、今日は少し儚げというか……抱きしめてあげたくなる」

 「男女伯爵なんて呼ばれてたのが信じられないわね……」

 「本当。……こう人を変えるのが、恋なのかしら?」

 「……いいものなのかもしれないわね、恋」

 「そうね……。今まで自分より弱い男になんて興味なかったけど、ちょっと探してみようかしら、恋」

 ラズとリズは、美しく花ひらいた義姉となるシャノンを見つめながら、まだ見ぬ出会いに思いを馳せたのだった。








★☆ ★☆ ★☆ ★☆ ★☆ ★☆
本編はこちらで完結になります。シャノンとリルの恋模様を最後まで見守っていただき、ありがとうございました!少しでも楽しんでいただけたようなら嬉しいです。
一旦完結とさせていただきますが、気が向いたら、リルやイアンの視点からなどのお話も書いてみようかなぁと思っています。ただリルは考えていることが結構ブラックなので、彼のためには載せない方がいいのかな…なんて思ったりもしていますがf^_^;)

最後に告知です!
完全新作書き下ろし【追放令嬢の私が魔族の王太子に溺愛されるまで】がアルファポリス・ノーチェブックス様より出版されます。
詳細は近況ボードに掲載しておりますが、溺愛、友情、ざまぁもあり!の盛り沢山の内容になっています。是非、みなさんに手に取っていただけると嬉しいです♪
出版は二月上旬予定です。どうぞよろしくお願いします!



 



しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。 既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。 未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。 後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。 欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。 * 作り話です * そんなに長くしない予定です

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活

ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。 「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」 そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢! そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。 「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」 しかも相手は名門貴族の旦那様。 「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。 ◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用! ◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化! ◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!? 「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」 そんな中、旦那様から突然の告白―― 「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」 えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!? 「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、 「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。 お互いの本当の気持ちに気づいたとき、 気づけば 最強夫婦 になっていました――! のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!

身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~

椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」 私を脅して、別れを決断させた彼の両親。 彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。 私とは住む世界が違った…… 別れを命じられ、私の恋が終わった。 叶わない身分差の恋だったはずが―― ※R-15くらいなので※マークはありません。 ※視点切り替えあり。 ※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

『捨てられダイヤは輝かない』貧相を理由に婚約破棄されたので、綺麗な靴もドレスも捨てて神都で自由に暮らします

三崎こはく
恋愛
 婚約者クロシュラに突如として婚約破棄を告げられたダイナ。悲しみに暮れるダイナは手持ちの靴とドレスを全て焼き払い、単身国家の中心地である神都を目指す。どうにか手にしたカフェ店員としての職、小さな住まい。慎ましやかな生活を送るダイナの元に、ある日一風変わった客人が現れる。  紫紺の髪の、無表情で偉そうな客。それがその客人の第一印象。  さくっと読める異世界ラブストーリー☆★ ※ネタバレありの感想を一部そのまま公開してしまったため、本文未読の方は閲覧ご注意ください ※2022.5.7完結♪同日HOT女性向け1位、恋愛2位ありがとうございます♪ ※表紙画像は岡保佐優様に描いていただきました♪

契約結婚のはずなのに、冷徹なはずのエリート上司が甘く迫ってくるんですが!? ~結婚願望ゼロの私が、なぜか愛されすぎて逃げられません~

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
恋愛
「俺と結婚しろ」  突然のプロポーズ――いや、契約結婚の提案だった。  冷静沈着で完璧主義、社内でも一目置かれるエリート課長・九条玲司。そんな彼と私は、ただの上司と部下。恋愛感情なんて一切ない……はずだった。  仕事一筋で恋愛に興味なし。過去の傷から、結婚なんて煩わしいものだと決めつけていた私。なのに、九条課長が提示した「条件」に耳を傾けるうちに、その提案が単なる取引とは思えなくなっていく。 「お前を、誰にも渡すつもりはない」  冷たい声で言われたその言葉が、胸をざわつかせる。  これは合理的な選択? それとも、避けられない運命の始まり?  割り切ったはずの契約は、次第に二人の境界線を曖昧にし、心を絡め取っていく――。  不器用なエリート上司と、恋を信じられない女。  これは、"ありえないはずの結婚"から始まる、予測不能なラブストーリー。

処理中です...