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☆★刊行記念★☆番外編SS ツノの秘密
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「気に入ってくれるかしら……」
私の手のひらには小さな小箱。
そんなに高い物ではないが、私が自分の足で探して買ったものだ。
これを受け取ったら、どんな顔をするか想像して、思わず笑みが漏れる。きっと喜んでくれるはず。
その時、扉がノックされた。
「リリアナ様、朝の準備に参りました」
私の大事な専属侍女のベルナだ。私は木箱を膝の上に置いて、返事をした。
「えぇ、起きているわ。入って」
ベルナは、礼儀正しく入室したのだが、すぐにいつものテンションに戻る。
「リリアナ様、おはようございます! 今日も女神のごとく美しいですわ! 朝の陽を浴びて、リリアナ様の艶やかな髪がより一層輝いております! あぁ、天よ……リリアナ様をこの世に生み出してくださったこと、心より感謝いたします……!」
今日も安定のうっとりとした眼差しで私を見る。
もう慣れたが、よくこうもポンポンと言葉が出ると毎日感心する。
「ベルナ落ち着いて。まずは、おはよう」
「おはようございます! リリアナ様」
「ねぇ、ちょっとこっちに来てくれる?」
ベルナは少し不思議そうな顔をしたが、私のほうにすぐに来てくれた。
「えっと…………お誕生日おめでとう! 今日はベルナ、あなたの誕生日でしょう?」
「え……あ……。うそ、そんな……」
ベルナは言葉を失い、わなわなと震え出した。その顔は喜びというより驚愕が浮かんでいた。
思っていた反応と違った私は焦る。
「ど、どうしたのベルナ? 私、何か間違ったかしら!?」
「違うんです……私、嬉しくて……っ。
心から敬愛するリリアナ様に誕生日を祝福していただけるなんて、本当に夢のようで……
はぁ……、私、こんなに幸せで……明日死ぬのでしょうか?」
ベルナはあろうことか涙まで流し始めた。
一言、誕生日おめでとうと言っただけなのに……もはや心配になってくるレベルだ。
「死なないわよ……。もう、大袈裟なんだから……」
「だって、リリアナ様が私なんかを祝ってくださるなんて言うからです……ぐすっ」
「私なんか、だなんて言わないで。本当にベルナには感謝しているのよ。
私をいつもそばで支えてくれて、シルワのことを知らない私を馬鹿にもせず、色々なことを教えてくれた。
最初にシルワで味方になってくれたのは、あなただったもの」
私は目の前に立つリリアナの手を両手で包み込んだ。
「リリアナ様ぁ……!」
「ふふっ。泣かないの。
でね、少しなんだけど、お祝いの気持ちを伝えたくて、この前ゼノと出かけた時にベルナへのプレゼントを買ってきたの。たいしたものじゃないんだけど、受け取ってもらえると嬉しいわ」
私が木箱を差し出すと、彼女は震える手を出したものの、なかなか受け取ってくれない。
「ほ、ほ、ほ、本当に……いただいてもよろしいのですか?」
「もちろんよ。いらないなんて言われたら悲しくて泣いちゃうんだから」
「でしたら……ありがたく頂戴いたします……!」
ベルナが力強く木箱を掴んだのを確認して、私は手を離した。
「開けても、いいですか?」
「うん……」
ドキドキする。
ベルナだったら、なんでも喜んでくれる気はするが、そうではなくプレゼントを気に入ってもらえるのか。
……私は緊張の面持ちで木箱の蓋を開けるベルナの顔を注視した。
そして、蓋を開けたベルナは……泣いた。それはもう、とても泣いた。うれし泣きにもほどがある。
「綺麗~! 嬉しいですぅ~! 一生の宝にしますぅ~!」
「わ、わかったから、落ち着いて。ね?」
私がベルナにプレゼントしたのは華奢なデザインの銀色のバレッタだった。
最初に目にした時、彼女の青い髪に付けたら海に輝く波の飛沫のようでよく似合うと思ったのだ。
「これくらい控え目なデザインだったら、仕事中に付けていてもおかしくないでしょう?
せっかくプレゼントするなら使ってもらいたかったから……」
「……私の部屋の一番高い位置に飾ろうと思っていたんですが……」
こんな小さなバレッタを天井近くに飾られても、よく見えないだろうに。
「使って、もらえたら嬉しいわ」
「……リリアナ様がそうおっしゃるなら……付けます! 毎日付けます!」
「いや、毎日は付けなくていいわよ……」
本当にベルナは極端なんだから。
「でも、付けた姿を見たいわ。ここに座って。私が付けてあげる」
「いやいやいやっ! 王太子妃殿下が一侍女のバレッタを付けるなんてありえませんからっ!」
「いいじゃない、誰も見ていないんだし」
「駄目ですっ! 私が見ていますから」
「うるさい! つべこべ言わずにやらせなさい!」
「あっ!」
私はベルナの隙をついて、バレッタを取った。
「はい、座りなさい。ふふっ、王太子妃命令よ」
「こんな時にだけずるいですぅ。もう……かしこまりました」
ベルナは渋々と化粧台の前に座った。
私は手際よく、彼女の髪を梳かし、少し癖のあるその青髪を編み込んでいく。
妹の髪もよく結ったなぁ……と懐かしくなる。
最後にぱちっとバレッタを留める小気味よい音が響いて……完成だ。
やはり彼女の青髪によくこのバレッタは映えた。
「とても綺麗よ、ベルナ」
「ありがとうございます……本当に、本当にっ、大事にします……!」
「うん、こちらこそいつもありがとうね、これからもよろしく」
「一生、リリアナ様についていきますぅ~」
そんなベルナが可愛くて、私はつい彼女の頭を撫でた。
ふにゃぁ~と猫のように私の手を受け入れてくれるベルナ。
私はその可愛らしい顔に気を取られて、彼女のツノに触ってしまった。
髪の毛とは違う感触に焦って、手を引っ込める。
「あっ、ごめんなさい、ベルナ。触るつもりはなかったの……」
「へ? あ、ツノですか? 全然大丈夫ですよ~」
「そう、なの?」
私は以前にゼノから『魔族のツノはそう易々と触ってはいけないものだ」と言われていて、それ以来、ツノには触れぬよう気を付けて生活していたのだ。しかし、ベルナは、全く気にしていないようだった。
「まぁ、全くの他人に触られるのは嫌ですけど、友達とか家族とか信頼している人なら全然大丈夫ですよ。
別に痛いわけじゃないし」
「そ、そうなのね……」
◆◇◆◇◆
私は庭園でお茶をしながら、先ほどのベルナとの会話を考えていた。
「信頼している人なら、ツノを触っても大丈夫……」
ツノのことをゼノに聞いたのはいつだっただろうか……
あの頃の私はゼノにとって信頼できる人ではなかったのかもしれない。
……でも、私たちはお互いの想いを通じ合わせ、もう結婚式を待つだけの身。ならーー
「今なら触らせてくれるかな……?」
その時、目の端に青い騎士服が見えた。すると、こちらに駆けてくる。
「リリアナ様っ!」
「イズじゃない。庭園にいるなんて珍しいわね」
久しぶりに会ったが、とても嬉しそうに笑ってくれる。イズの笑顔はいつでもからっとして気持ちが良い。
「今度、庭園で行われるティーパーティーの警備を皆でこれから確認するのです。
各国の王太子妃が集まる重要な場ですので」
「そうだったわね。いつもありがとう」
「ありがたきお言葉。これから騎士が集まり、お見苦しいかもしれませんが、できるだけ見えないようにしますので、ご了承ください」
そう言って頭を下げるイズ。私たちのために警備の確認をしてくれるというのに、それを邪険にするなどありえない。
「見苦しいだなんてことないわ。皆さんにもご苦労様とお伝えしておいて」
「ありがとうございます。ではーー」
私にそう言って頭を下げたイズの白いツノが目に入る。イズにも聞いてみようかな……
「あのっ! イズ、少し質問してもいいかしら?
ティーパーティーのこととは全く関係のないことなんだけど……」
「えぇ、まだ皆が集まるまで時間もありますし、何でもお答えいたします」
突然の申し出にも関わらず、イズは快く受け入れてくれた。
「あのね……魔族の方のツノって……。やっぱり触ったら失礼なものなのかしら……?」
「ツノ……ですか? いや、別に触っても問題ないと思いますが……」
「そうなのっ!?」
なぜそんなことを聞くのかと不思議そうな顔をしているイズ。
「まぁ、人間でいうと頭を撫でるのと同じ感覚ですかね。
知らない人は嫌だけど、それなりに関係性が構築できているならそう問題ないことかと」
「……そう、なの……」
「気になるなら、触ってみますか? ツノ」
「え……いいの?」
私の足元に跪くイズ。そして、上目遣いで一言。
「リリアナ様になら……ぜひ」
目を伏せて、その時を待つイズに、私は恐る恐る手を伸ばしていく……
でも、その時にふと、彼の顔が浮かんだ。そして……私は手を引っ込めた。
「ごめんなさい。……やっぱりやめておくわね」
「そうですか。少し、怖かったですか?」
「違うのっ! その……イズのツノを触ったとゼノが知ったら、少しその……」
「ははっ、確かに殿下の機嫌を損ねそうですね」
「でしょ?」
イズは苦笑いをしながら立ち上がる。
「『俺以外の男に触れるなんて許さない』とか言いそうです。今もどこで見ているかわかりませんよ?」
「もう、怖いこと言わないでよ」
「まぁ、リリアナ様がツノが気になるなら、殿下に触らせてもらえばいいですもんね。
出過ぎた真似をいたしました」
少しイズは寂しそうに笑った。まだ時々見せる彼の切ない笑顔を見ると、申し訳ない気持ちになる。
「そんなことないわ。どうもありがとう」
◆◇◆◇◆
その夜、私は寝室で一人ゼノを待っていた。ベッドのヘッドボードに背を預け、考える。
ベルナも、イズも、触っていいと言ってくれた。
ゼノなら問題なく触らせてくれるはずだ。最初は望まれない王太子妃ではあったが、今は違う。
今の私たちの関係性ならゼノが私に触らせてくれないはずない。
その時、寝室のドアが開いた。今日は大浴場で湯あみを済ませてきたようで、彼の頭はまだ湿っていた。
その感じが彼の妖艶さを際立たせている。
私の視線に気づいたゼノはフッと笑って、ベッドにやってくると、いつものように私にキスをくれる。
「ん……ゼノ……」
「部屋に入るなり、そんな可愛い顔で見つめてくるからだろ? なんだ? すぐに欲しいのか?」
ゼノがぎしっとベッドの上に乗り上げてくる。
「ちっ、違うの! 今日は話をしたくて、ゼノを待ってたから……」
「話? ……なんかあったのか?」
ゼノは少し深刻そうな顔をして、私の隣に座った。私が緊張した顔をしているから心配させてしまったようだ。
申し訳なさを感じつつも、私は意を決してゼノに言った。
「あ、あのね……ゼノの……ツノを触らせてほしいのっ!」
「は……? ツノ……?」
ゼノの眉間には僅かに皺が刻まれていた。やっぱり駄目かもしれないとは思ったが、このもやもやとした気持ちを抱えているのも辛かった。
「うん、ずっと前にゼノがそう易々と触るもんじゃないって言ったでしょ? だから、私、気を付けてたんだけど、少し気になることがあって……」
「駄目だ、ツノは……触らせられない」
ゼノはフルフルと首を横に振る。
「なんで……っ!? ……ベルナも、イズも別に触っていいって言ったのに」
「まさか……イズのツノを触ったのか?」
怖い顔で見つめてくるが、もとはと言えば、私にツノを触らせてくれないゼノが悪いのに……!
「…………ふん、教えてあげないっ」
「おい、リリアナ、ふざけたこと言ってるとーー」
「ふざけたことなんて言ってないもの! ベルナは信頼してる人になら、触られてもいいって言ってた!
それを触らせてくれないってことは……信頼されてないのかなって思っちゃうじゃない!
……もう、ゼノのわからずやっ!」
私は布団を被った。ゼノに信頼されてないのかもって思ったら、涙が溢れてしまう。
そんなことでと思われるかもしれないが、ゼノのことが好きなんだもの。
隅から隅まで触りたいと思うのは駄目なことなの……?
布団にすっかり引きこもった私。こんなことで意地を張って喧嘩なんかしたくないと思うのに……
彼が私に心を開いてくれていないのかと思うとどうしても悲しくて、悔しくて、私は子供じみた行動を止めることができなかった。
沈黙が立ち込める寝室で、先に口を開いたのはゼノだった。
「リリアナ……わかったから、ちゃんと話そう。布団から出て来い。な?」
迷ったものの、私だって大好きなゼノと喧嘩したいわけではない。私はもぞもぞと布団から顔を出した。
私の顔を見て、ほっと顔を綻ばせるゼノ。……ちょっと悪いことしちゃったかな……?
「ちゃんと説明しない俺が悪かったな。周りからそんな風に言われたら、なんでって思うのは当たり前なのに」
そう言いながら、ゼノは私の頭を撫でてくれた。
その手のひらは大きくて、優しくて、私の強張った心も身体も溶かしていった。
……悪いのは私だ。ゼノだって理由があるかもしれないのに、それを聞こうとも思わなかったんだもの。
「ゼノにはツノを触っちゃいけない理由があるの?
ちゃんと教えてくれたら、私、もう触りたいなんて言わないよ?」
「それは……」
ゼノは言いたくないのか唇を噛みしめている。言いたくないのを無理に言わせるのは可哀想だろうか……
でも彼がどこか辛そうにしているのを見るのが辛い。……そう、ゼノのこんな顔が見たいわけじゃない。
ツノのことはもう忘れよう。
「ゼノ、もういいーー」
「び、敏感なんだっ!」
「え?」
見ると、ゼノは顔を赤くしている。
「他の人に聞いてみても、ほとんどツノに感覚はないとか、あっても少しくすぐったい程度だというのだが、俺は……どうもツノが敏感で。駄目なんだ、触られると耐えられないほどにくすぐったくて……」
「びん、かん……」
「あぁ。俺だけそんな感じだから、なんか恥ずかしいだろ……
誰にもそんなことは言えないから、絶対に人に頭は触らせないし、髪の毛だって必ず自分で洗う」
「触るとどうなっちゃうの……?」
「すごく、くすぐったい」
「そう、なんだ……」
まずい、めっちゃ触りたい。
魔族としての象徴だとか、痛いとか、言われたらあっさり引き下がっていたと思うけど、くすぐったいという理由なら少し頑張ってもらって触らせてもらえないかな?
でも、耐えられないほどにくすぐったいと言ってるのに、そんな中、やっぱり触らせてほしいというのは、酷い?
大体くすぐったいというのはどの程度なんだろう? ゼノは私がくすぐったいというのに、耳を責めてくることもあるし、それと同じようなものなら、私も触らせてもらっても……
言葉を出さずに黙々と考えていた私。だがーー
「リリアナ、考えが全部口から漏れてるぞ」
「えっ、嘘!」
「本当だ」
呆れたように私の顔を見るゼノ。よし、こうなったら……
「……触っちゃ駄目だよね?」
私は上目遣いでゼノを見つめる。ゼノは顔を歪ませ迷っているようだったが、最後には溜息を吐いた。
「…………わかった。今回だけだぞ?」
「うんっ! ゼノ、ありがとう!」
「まぁな。俺が許可しないからって、他の男のツノを触られたら困るからな。
他の男がツノでさえもリリアナの手のぬくもりを感じるなんて、許せない。
もちろん……イズのツノは触ってないんだよな?」
「さ、触ってない!」
「ならいい」
……危なかった。触ったと言っていたら、きっとイズに迷惑をかけることになっていただろう……
あの時の自分、偉かったわ……!
「こうした方が見やすいか?」
ゼノは私を軽々と持ち上げ、対面で自分の膝の上に置いた。なんか、この体制……
お互いガウンは着ているものの、胸元にゼノの息がかかるし、下も密着して……変な気分になりそうだ。
しかし、そんな邪なことを考えているのは私だけのようで、ゼノは目をぎゅっと瞑って、言った。
「い、いいぞ。……触って」
彼の意を決した声に私はごくりと息を呑んで、ツンと彼のツノを触った。
「ふ……っ」
彼の口から僅かに声が漏れる。今度はつーっと指先を滑らせてみる。
「う……っ」
……なんだか、寝室に響くゼノの耐える声が少し妖艶に聴こえる。
次はゆっくりと彼のツノを包むように撫でる。
ツノの感触は固いのだが、感覚が通っているだけあり、ほんのり温かく感じた。
表面はなめらかでつるつるしていて、いくらでも触っていられる。例えると暖められた大理石のようだ。ツノの先端はわずかに丸みを帯びており、手のひらをくるくると押し付けても痛くはない。
気付けば夢中になって、私はゼノのツノを撫でていた。確かに彼は「うっ」とか「んっ」とか唸ったり、「もう、駄目だ……っ」とか声を漏らしていたが、顔を赤くしながらも、私を押しのけることはなかった。
だから、楽しくなって、私はその可愛らしいツノを愛でていたのだが……調子に乗って、ツノにキスをしたのがいけなかった。
「ひっ……っん!」
ゼノの聴いたこともない声。まるで喘ぎ声のようだった。これはーー
恐る恐るゼノの顔を見ると、彼はこれ以上ないほど、顔を赤くしていた。
恥ずかしさからか少し目も潤んでいるような気もする……。か、かわいい……!
でも、ベッドの上でこんな声を出したことなかった彼は相当恥ずかしいだろうと思った私は、咄嗟にフォローをした。
「だ、大丈夫よ、ゼノ? 私、何も聴こえなかったしーー……っああっ!」
しかし、もう時既に遅し。
ゼノは私のガウンをぐいっとずらすと、ネグリジェの上から、胸の頂に噛みついたのだ。
「ツノはもう十分楽しんだろ? ……さぁ、攻守交替だ」
「あっ、やぁんっ!」
私を見上げる彼の黒い瞳は、まるで燃えているようで。
その瞳に見つめられながら、胸をひたすらに弄られる。私はツノのことなどとうに忘れて、彼に与えられるままに声を上げた。
その後も敏感なツノを触られたせいなのか、彼との営みはいつもより激しくて。
「もう駄目」と懇願しても「リリアナもやめなかったろ?」なんて言って、ぎりぎりまで私を責め立てた。
そうして、私は朝までゼノに貪られ……
ツノはそう易々と触ってはいけないということを身をもって実感したのだった。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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私の手のひらには小さな小箱。
そんなに高い物ではないが、私が自分の足で探して買ったものだ。
これを受け取ったら、どんな顔をするか想像して、思わず笑みが漏れる。きっと喜んでくれるはず。
その時、扉がノックされた。
「リリアナ様、朝の準備に参りました」
私の大事な専属侍女のベルナだ。私は木箱を膝の上に置いて、返事をした。
「えぇ、起きているわ。入って」
ベルナは、礼儀正しく入室したのだが、すぐにいつものテンションに戻る。
「リリアナ様、おはようございます! 今日も女神のごとく美しいですわ! 朝の陽を浴びて、リリアナ様の艶やかな髪がより一層輝いております! あぁ、天よ……リリアナ様をこの世に生み出してくださったこと、心より感謝いたします……!」
今日も安定のうっとりとした眼差しで私を見る。
もう慣れたが、よくこうもポンポンと言葉が出ると毎日感心する。
「ベルナ落ち着いて。まずは、おはよう」
「おはようございます! リリアナ様」
「ねぇ、ちょっとこっちに来てくれる?」
ベルナは少し不思議そうな顔をしたが、私のほうにすぐに来てくれた。
「えっと…………お誕生日おめでとう! 今日はベルナ、あなたの誕生日でしょう?」
「え……あ……。うそ、そんな……」
ベルナは言葉を失い、わなわなと震え出した。その顔は喜びというより驚愕が浮かんでいた。
思っていた反応と違った私は焦る。
「ど、どうしたのベルナ? 私、何か間違ったかしら!?」
「違うんです……私、嬉しくて……っ。
心から敬愛するリリアナ様に誕生日を祝福していただけるなんて、本当に夢のようで……
はぁ……、私、こんなに幸せで……明日死ぬのでしょうか?」
ベルナはあろうことか涙まで流し始めた。
一言、誕生日おめでとうと言っただけなのに……もはや心配になってくるレベルだ。
「死なないわよ……。もう、大袈裟なんだから……」
「だって、リリアナ様が私なんかを祝ってくださるなんて言うからです……ぐすっ」
「私なんか、だなんて言わないで。本当にベルナには感謝しているのよ。
私をいつもそばで支えてくれて、シルワのことを知らない私を馬鹿にもせず、色々なことを教えてくれた。
最初にシルワで味方になってくれたのは、あなただったもの」
私は目の前に立つリリアナの手を両手で包み込んだ。
「リリアナ様ぁ……!」
「ふふっ。泣かないの。
でね、少しなんだけど、お祝いの気持ちを伝えたくて、この前ゼノと出かけた時にベルナへのプレゼントを買ってきたの。たいしたものじゃないんだけど、受け取ってもらえると嬉しいわ」
私が木箱を差し出すと、彼女は震える手を出したものの、なかなか受け取ってくれない。
「ほ、ほ、ほ、本当に……いただいてもよろしいのですか?」
「もちろんよ。いらないなんて言われたら悲しくて泣いちゃうんだから」
「でしたら……ありがたく頂戴いたします……!」
ベルナが力強く木箱を掴んだのを確認して、私は手を離した。
「開けても、いいですか?」
「うん……」
ドキドキする。
ベルナだったら、なんでも喜んでくれる気はするが、そうではなくプレゼントを気に入ってもらえるのか。
……私は緊張の面持ちで木箱の蓋を開けるベルナの顔を注視した。
そして、蓋を開けたベルナは……泣いた。それはもう、とても泣いた。うれし泣きにもほどがある。
「綺麗~! 嬉しいですぅ~! 一生の宝にしますぅ~!」
「わ、わかったから、落ち着いて。ね?」
私がベルナにプレゼントしたのは華奢なデザインの銀色のバレッタだった。
最初に目にした時、彼女の青い髪に付けたら海に輝く波の飛沫のようでよく似合うと思ったのだ。
「これくらい控え目なデザインだったら、仕事中に付けていてもおかしくないでしょう?
せっかくプレゼントするなら使ってもらいたかったから……」
「……私の部屋の一番高い位置に飾ろうと思っていたんですが……」
こんな小さなバレッタを天井近くに飾られても、よく見えないだろうに。
「使って、もらえたら嬉しいわ」
「……リリアナ様がそうおっしゃるなら……付けます! 毎日付けます!」
「いや、毎日は付けなくていいわよ……」
本当にベルナは極端なんだから。
「でも、付けた姿を見たいわ。ここに座って。私が付けてあげる」
「いやいやいやっ! 王太子妃殿下が一侍女のバレッタを付けるなんてありえませんからっ!」
「いいじゃない、誰も見ていないんだし」
「駄目ですっ! 私が見ていますから」
「うるさい! つべこべ言わずにやらせなさい!」
「あっ!」
私はベルナの隙をついて、バレッタを取った。
「はい、座りなさい。ふふっ、王太子妃命令よ」
「こんな時にだけずるいですぅ。もう……かしこまりました」
ベルナは渋々と化粧台の前に座った。
私は手際よく、彼女の髪を梳かし、少し癖のあるその青髪を編み込んでいく。
妹の髪もよく結ったなぁ……と懐かしくなる。
最後にぱちっとバレッタを留める小気味よい音が響いて……完成だ。
やはり彼女の青髪によくこのバレッタは映えた。
「とても綺麗よ、ベルナ」
「ありがとうございます……本当に、本当にっ、大事にします……!」
「うん、こちらこそいつもありがとうね、これからもよろしく」
「一生、リリアナ様についていきますぅ~」
そんなベルナが可愛くて、私はつい彼女の頭を撫でた。
ふにゃぁ~と猫のように私の手を受け入れてくれるベルナ。
私はその可愛らしい顔に気を取られて、彼女のツノに触ってしまった。
髪の毛とは違う感触に焦って、手を引っ込める。
「あっ、ごめんなさい、ベルナ。触るつもりはなかったの……」
「へ? あ、ツノですか? 全然大丈夫ですよ~」
「そう、なの?」
私は以前にゼノから『魔族のツノはそう易々と触ってはいけないものだ」と言われていて、それ以来、ツノには触れぬよう気を付けて生活していたのだ。しかし、ベルナは、全く気にしていないようだった。
「まぁ、全くの他人に触られるのは嫌ですけど、友達とか家族とか信頼している人なら全然大丈夫ですよ。
別に痛いわけじゃないし」
「そ、そうなのね……」
◆◇◆◇◆
私は庭園でお茶をしながら、先ほどのベルナとの会話を考えていた。
「信頼している人なら、ツノを触っても大丈夫……」
ツノのことをゼノに聞いたのはいつだっただろうか……
あの頃の私はゼノにとって信頼できる人ではなかったのかもしれない。
……でも、私たちはお互いの想いを通じ合わせ、もう結婚式を待つだけの身。ならーー
「今なら触らせてくれるかな……?」
その時、目の端に青い騎士服が見えた。すると、こちらに駆けてくる。
「リリアナ様っ!」
「イズじゃない。庭園にいるなんて珍しいわね」
久しぶりに会ったが、とても嬉しそうに笑ってくれる。イズの笑顔はいつでもからっとして気持ちが良い。
「今度、庭園で行われるティーパーティーの警備を皆でこれから確認するのです。
各国の王太子妃が集まる重要な場ですので」
「そうだったわね。いつもありがとう」
「ありがたきお言葉。これから騎士が集まり、お見苦しいかもしれませんが、できるだけ見えないようにしますので、ご了承ください」
そう言って頭を下げるイズ。私たちのために警備の確認をしてくれるというのに、それを邪険にするなどありえない。
「見苦しいだなんてことないわ。皆さんにもご苦労様とお伝えしておいて」
「ありがとうございます。ではーー」
私にそう言って頭を下げたイズの白いツノが目に入る。イズにも聞いてみようかな……
「あのっ! イズ、少し質問してもいいかしら?
ティーパーティーのこととは全く関係のないことなんだけど……」
「えぇ、まだ皆が集まるまで時間もありますし、何でもお答えいたします」
突然の申し出にも関わらず、イズは快く受け入れてくれた。
「あのね……魔族の方のツノって……。やっぱり触ったら失礼なものなのかしら……?」
「ツノ……ですか? いや、別に触っても問題ないと思いますが……」
「そうなのっ!?」
なぜそんなことを聞くのかと不思議そうな顔をしているイズ。
「まぁ、人間でいうと頭を撫でるのと同じ感覚ですかね。
知らない人は嫌だけど、それなりに関係性が構築できているならそう問題ないことかと」
「……そう、なの……」
「気になるなら、触ってみますか? ツノ」
「え……いいの?」
私の足元に跪くイズ。そして、上目遣いで一言。
「リリアナ様になら……ぜひ」
目を伏せて、その時を待つイズに、私は恐る恐る手を伸ばしていく……
でも、その時にふと、彼の顔が浮かんだ。そして……私は手を引っ込めた。
「ごめんなさい。……やっぱりやめておくわね」
「そうですか。少し、怖かったですか?」
「違うのっ! その……イズのツノを触ったとゼノが知ったら、少しその……」
「ははっ、確かに殿下の機嫌を損ねそうですね」
「でしょ?」
イズは苦笑いをしながら立ち上がる。
「『俺以外の男に触れるなんて許さない』とか言いそうです。今もどこで見ているかわかりませんよ?」
「もう、怖いこと言わないでよ」
「まぁ、リリアナ様がツノが気になるなら、殿下に触らせてもらえばいいですもんね。
出過ぎた真似をいたしました」
少しイズは寂しそうに笑った。まだ時々見せる彼の切ない笑顔を見ると、申し訳ない気持ちになる。
「そんなことないわ。どうもありがとう」
◆◇◆◇◆
その夜、私は寝室で一人ゼノを待っていた。ベッドのヘッドボードに背を預け、考える。
ベルナも、イズも、触っていいと言ってくれた。
ゼノなら問題なく触らせてくれるはずだ。最初は望まれない王太子妃ではあったが、今は違う。
今の私たちの関係性ならゼノが私に触らせてくれないはずない。
その時、寝室のドアが開いた。今日は大浴場で湯あみを済ませてきたようで、彼の頭はまだ湿っていた。
その感じが彼の妖艶さを際立たせている。
私の視線に気づいたゼノはフッと笑って、ベッドにやってくると、いつものように私にキスをくれる。
「ん……ゼノ……」
「部屋に入るなり、そんな可愛い顔で見つめてくるからだろ? なんだ? すぐに欲しいのか?」
ゼノがぎしっとベッドの上に乗り上げてくる。
「ちっ、違うの! 今日は話をしたくて、ゼノを待ってたから……」
「話? ……なんかあったのか?」
ゼノは少し深刻そうな顔をして、私の隣に座った。私が緊張した顔をしているから心配させてしまったようだ。
申し訳なさを感じつつも、私は意を決してゼノに言った。
「あ、あのね……ゼノの……ツノを触らせてほしいのっ!」
「は……? ツノ……?」
ゼノの眉間には僅かに皺が刻まれていた。やっぱり駄目かもしれないとは思ったが、このもやもやとした気持ちを抱えているのも辛かった。
「うん、ずっと前にゼノがそう易々と触るもんじゃないって言ったでしょ? だから、私、気を付けてたんだけど、少し気になることがあって……」
「駄目だ、ツノは……触らせられない」
ゼノはフルフルと首を横に振る。
「なんで……っ!? ……ベルナも、イズも別に触っていいって言ったのに」
「まさか……イズのツノを触ったのか?」
怖い顔で見つめてくるが、もとはと言えば、私にツノを触らせてくれないゼノが悪いのに……!
「…………ふん、教えてあげないっ」
「おい、リリアナ、ふざけたこと言ってるとーー」
「ふざけたことなんて言ってないもの! ベルナは信頼してる人になら、触られてもいいって言ってた!
それを触らせてくれないってことは……信頼されてないのかなって思っちゃうじゃない!
……もう、ゼノのわからずやっ!」
私は布団を被った。ゼノに信頼されてないのかもって思ったら、涙が溢れてしまう。
そんなことでと思われるかもしれないが、ゼノのことが好きなんだもの。
隅から隅まで触りたいと思うのは駄目なことなの……?
布団にすっかり引きこもった私。こんなことで意地を張って喧嘩なんかしたくないと思うのに……
彼が私に心を開いてくれていないのかと思うとどうしても悲しくて、悔しくて、私は子供じみた行動を止めることができなかった。
沈黙が立ち込める寝室で、先に口を開いたのはゼノだった。
「リリアナ……わかったから、ちゃんと話そう。布団から出て来い。な?」
迷ったものの、私だって大好きなゼノと喧嘩したいわけではない。私はもぞもぞと布団から顔を出した。
私の顔を見て、ほっと顔を綻ばせるゼノ。……ちょっと悪いことしちゃったかな……?
「ちゃんと説明しない俺が悪かったな。周りからそんな風に言われたら、なんでって思うのは当たり前なのに」
そう言いながら、ゼノは私の頭を撫でてくれた。
その手のひらは大きくて、優しくて、私の強張った心も身体も溶かしていった。
……悪いのは私だ。ゼノだって理由があるかもしれないのに、それを聞こうとも思わなかったんだもの。
「ゼノにはツノを触っちゃいけない理由があるの?
ちゃんと教えてくれたら、私、もう触りたいなんて言わないよ?」
「それは……」
ゼノは言いたくないのか唇を噛みしめている。言いたくないのを無理に言わせるのは可哀想だろうか……
でも彼がどこか辛そうにしているのを見るのが辛い。……そう、ゼノのこんな顔が見たいわけじゃない。
ツノのことはもう忘れよう。
「ゼノ、もういいーー」
「び、敏感なんだっ!」
「え?」
見ると、ゼノは顔を赤くしている。
「他の人に聞いてみても、ほとんどツノに感覚はないとか、あっても少しくすぐったい程度だというのだが、俺は……どうもツノが敏感で。駄目なんだ、触られると耐えられないほどにくすぐったくて……」
「びん、かん……」
「あぁ。俺だけそんな感じだから、なんか恥ずかしいだろ……
誰にもそんなことは言えないから、絶対に人に頭は触らせないし、髪の毛だって必ず自分で洗う」
「触るとどうなっちゃうの……?」
「すごく、くすぐったい」
「そう、なんだ……」
まずい、めっちゃ触りたい。
魔族としての象徴だとか、痛いとか、言われたらあっさり引き下がっていたと思うけど、くすぐったいという理由なら少し頑張ってもらって触らせてもらえないかな?
でも、耐えられないほどにくすぐったいと言ってるのに、そんな中、やっぱり触らせてほしいというのは、酷い?
大体くすぐったいというのはどの程度なんだろう? ゼノは私がくすぐったいというのに、耳を責めてくることもあるし、それと同じようなものなら、私も触らせてもらっても……
言葉を出さずに黙々と考えていた私。だがーー
「リリアナ、考えが全部口から漏れてるぞ」
「えっ、嘘!」
「本当だ」
呆れたように私の顔を見るゼノ。よし、こうなったら……
「……触っちゃ駄目だよね?」
私は上目遣いでゼノを見つめる。ゼノは顔を歪ませ迷っているようだったが、最後には溜息を吐いた。
「…………わかった。今回だけだぞ?」
「うんっ! ゼノ、ありがとう!」
「まぁな。俺が許可しないからって、他の男のツノを触られたら困るからな。
他の男がツノでさえもリリアナの手のぬくもりを感じるなんて、許せない。
もちろん……イズのツノは触ってないんだよな?」
「さ、触ってない!」
「ならいい」
……危なかった。触ったと言っていたら、きっとイズに迷惑をかけることになっていただろう……
あの時の自分、偉かったわ……!
「こうした方が見やすいか?」
ゼノは私を軽々と持ち上げ、対面で自分の膝の上に置いた。なんか、この体制……
お互いガウンは着ているものの、胸元にゼノの息がかかるし、下も密着して……変な気分になりそうだ。
しかし、そんな邪なことを考えているのは私だけのようで、ゼノは目をぎゅっと瞑って、言った。
「い、いいぞ。……触って」
彼の意を決した声に私はごくりと息を呑んで、ツンと彼のツノを触った。
「ふ……っ」
彼の口から僅かに声が漏れる。今度はつーっと指先を滑らせてみる。
「う……っ」
……なんだか、寝室に響くゼノの耐える声が少し妖艶に聴こえる。
次はゆっくりと彼のツノを包むように撫でる。
ツノの感触は固いのだが、感覚が通っているだけあり、ほんのり温かく感じた。
表面はなめらかでつるつるしていて、いくらでも触っていられる。例えると暖められた大理石のようだ。ツノの先端はわずかに丸みを帯びており、手のひらをくるくると押し付けても痛くはない。
気付けば夢中になって、私はゼノのツノを撫でていた。確かに彼は「うっ」とか「んっ」とか唸ったり、「もう、駄目だ……っ」とか声を漏らしていたが、顔を赤くしながらも、私を押しのけることはなかった。
だから、楽しくなって、私はその可愛らしいツノを愛でていたのだが……調子に乗って、ツノにキスをしたのがいけなかった。
「ひっ……っん!」
ゼノの聴いたこともない声。まるで喘ぎ声のようだった。これはーー
恐る恐るゼノの顔を見ると、彼はこれ以上ないほど、顔を赤くしていた。
恥ずかしさからか少し目も潤んでいるような気もする……。か、かわいい……!
でも、ベッドの上でこんな声を出したことなかった彼は相当恥ずかしいだろうと思った私は、咄嗟にフォローをした。
「だ、大丈夫よ、ゼノ? 私、何も聴こえなかったしーー……っああっ!」
しかし、もう時既に遅し。
ゼノは私のガウンをぐいっとずらすと、ネグリジェの上から、胸の頂に噛みついたのだ。
「ツノはもう十分楽しんだろ? ……さぁ、攻守交替だ」
「あっ、やぁんっ!」
私を見上げる彼の黒い瞳は、まるで燃えているようで。
その瞳に見つめられながら、胸をひたすらに弄られる。私はツノのことなどとうに忘れて、彼に与えられるままに声を上げた。
その後も敏感なツノを触られたせいなのか、彼との営みはいつもより激しくて。
「もう駄目」と懇願しても「リリアナもやめなかったろ?」なんて言って、ぎりぎりまで私を責め立てた。
そうして、私は朝までゼノに貪られ……
ツノはそう易々と触ってはいけないということを身をもって実感したのだった。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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