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第三章
38. Magical Flower
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それから、一年後。
「アンナ、久しぶり!!」
ソフィアは輝く薔薇が刺繍された見たこともない美しい黒ドレスで、優雅に歩いてくる。色とりどりのドレスが並ぶ中でも、真っ黒なドレスは特に視線を集めた。胸に輝く青薔薇の生花のコサージュもなんとも素敵だ。
そして、その隣には勿論ユーリがいた。ユーリのタキシードは、ソフィアと合わせて作ったんだろう。さりげないところにソフィアのドレスと同じ刺繍されていた。そして胸ポケットにはソフィアとお揃いの青薔薇が挿してある。
二人は本当にお似合いだ。ユーリはより精悍な顔つきになり、ガタイも良くなった気がする。ソフィアは会う度にどんどん色気が増して、美しさに磨きがかかっている。そして、羨ましいことに大変発育が良い。どうしたらああなるのか…。
そんな下世話な思考を隅に追いやり、私は笑顔で二人を迎えた。
「ソフィア!今日はおめでとう。」
「えぇ、アンナもね。」
私たちは軽いハグをする。
「それにしても、素敵なドレスね!
ソフィアによく似合っているわ!!」
すかさず私がドレスを褒めると、ソフィアは恥ずかしそうに目を伏せた。
「あ、ありがとう…。ユーリがね、知らない間に用意して贈ってくれたの。私もびっくりしちゃって…。」
「ははっ、あの驚いた顔をアンナにも見せてやりたかったぜ。」
ソフィアの隣でユーリは鼻高々だ。
ユーリも相変わらず元気そう。
「アンナのドレスも本当に素敵。ドレスにこんなに宝石を散りばめるなんて、なんて贅沢で美しいんでしょうね。このドレスを着れるのは、この世でアンナだけだわ!」
私のドレスは、胸から裾へ白と水色のグラデーションが綺麗なドレスだ。ところどころに蝶の刺繍が施され、蝶が振り撒いたかのように小さな宝石がこれでもかとちりばめられていた。ドレスが豪華すぎて完全に私が負けているが、贈り主のライル様が「アンナの美しさに勝るものはないよ」って言ってくれたので、良いと思うことにした。
「あはは…。私も貰った時に驚いちゃったよ。
それより、良かった。卒業パーティーに間に合って。」
二人はこの二ヶ月間、少し離れたところまで巡業に行っていたのだ。ソフィアがギリギリまで治療をやめないため、間に合わないかもしれないと…ユーリから届いた手紙には書いてあった。
「本当だよ。全く治療に夢中になると、周りが見えなくなるんだから。最終的には患者の方が気にかけて、もう大丈夫だからって追い返したくらいなんだぜ?」
やれやれとユーリがソフィアを横目で見る。
ソフィアは頬を膨らませて、ユーリを睨む。可愛い。
「ユーリ!そんなことアンナに言わなくていいでしょ!!
もう、いつも余計なことばっかり言うんだから!」
ソフィアは、ユーリと一緒にいるようになってから、子供っぽくなった気がする。どんな自分も見せられるからなんだろう。怒ったり、笑ったり、照れたり、コロコロと表情が変わるソフィアは、本当に可愛かった。こんなに可愛いのに、優しくて、スタイルも良くて美しいなんて、やっぱりソフィアは最上の存在だ。
「ふふっ。相変わらず仲が良さそうで何よりだわ。」
私が率直な感想を述べると、ソフィアは顔を染めて怒る。
「仲良くなんてない!」
はぁ~、とユーリが溜息を吐くと、それにソフィアがビクッと反応した。
「ソフィア。ツンツンしてるのも可愛いけどな、嘘はいけないぞ?俺たちは仲良くないのか?俺はこんなにソフィアを愛してるのに?ソフィアだって、今朝だって二人きりなった途端、甘えてきて、俺から離れたくないってー」
「そ、そんなこと言ってない!!」
「じゃあ、俺の聞き間違いなのか?この前は散々俺の子が欲しー」
「わー!!分かった!分かったから、お願い、やめて!
仲良いです。ユーリは、最高の旦那様だわ!」
そう、二人はすでに結婚したのだ。当初は卒業したら…と言っていたのだが、半年前に我慢出来ずに結婚した。我慢出来なかったのは、ユーリなのかソフィアなのか私は知らないが、二人で長いこと巡業に行ける様になったので、これで良かったとソフィアは以前話していた。
「そうか、それなら良い。」
ユーリは満足気に頷き、ソフィアの腰に手を回した。ソフィアの顔はもう真っ赤で顔もまともに上げられないようだ。
クスクスと笑っていると、私の腰にもスッと手が差し入れられた。その温もりと、匂いで誰だかすぐに分かった。
「ライル様!もう打ち合わせは終わったんですか?」
顔を上げて、そう問えば、ライル様は微笑んで、私の頭にキスを落とした。
「あぁ、あとは僕ら卒業生が入場するだけだ。あと、二十分もしたら、入場曲の演奏が始まるだろう。
ソフィアとユーリも久しぶりだな。カナド地方への巡業は大変だったろう。」
「まぁ、遠かったけど、楽しかったよ。あそこは暖かくて良い。
ライルも元気か?」
「ちょっ…ユーリ、砕けすぎよ!」
ソフィアがユーリにそう指摘するのを、ライル様が止める。
「いいんだ、ソフィアとユーリにはどうかこれからも僕とアンナの友人でいて欲しいから。聖女と勇者と敬われるのも大変じゃないか?」
「そうなんだよ!!
どこ行っても堅苦しくてたまんねぇからな。
ライルくらいはちゃんと友達でいてくれよ?」
「勿論だ。これからも宜しく頼むよ。」
二人はそう言って、拳を突き合わせた。
「では……私もお言葉に甘えさせて頂きますわ、ライル様。」
「あぁ。これからもアンナと仲良くしてやってくれ。」
上品な笑みを浮かべてソフィアは礼をした。
「勿論ですわ。ライル様に頼まれなくても、そのつもりです。女同士でしか出来ない話もありますからね。ライル様には話せないことも私にはー」
「僕たちの間には話せないことなんてない。」
……普通にある。この前もライル様に関する相談の手紙をソフィアに出したばかりだ。そんなこと言えないけど。とにかくソフィアの言う通りなんだし、そこで張り合うのはやめてほしい。
「ふふっ。そう思っているのは、ライル様だけではありませんか?」
ソフィアもライル様を焚き付けないで欲しい。
この前の手紙の内容を聞かれたらどう答えたらいいんだ。
「そんなことない。だよね?アンナ。」
「あー、えっと……そう、ですね。
それよりもほら、そろそろ入場時間じゃないですか?!」
話をすり替えようとするが、ライル様にその気はないらしい。
「僕たちの順番は最後だから、まだ時間はあるよ。」
「ライル様たちは、もう花の交換を終えました?
まだ胸に花を挿していないようですが。」
ここでソフィアの良いアシストが入る。
「そうだったね。アンナ、少し歩こうか。」
私たちはその場を離れ、庭園の噴水前へ来た。
ソフィアの言っていた花の交換というのは、一年を通して数多くの花が咲き乱れるこの学園の伝統の一つのようなもので、恋人たちは自分で花を一つ選び、その花を交換するのだ。
ライル様はタキシードの内ポケットから白い薔薇を取り出した。
「……白い、薔薇…。」
「意外かい?ゲームと違った?」
ライル様の言う通りだった。本来、ライル様ルートであれば、最後の卒業パーティー前に渡されるのは真っ赤な一輪の薔薇なのだ。私がライル様に用意した花も真っ赤な一輪の薔薇だった。
でも、ここはゲームの世界ではない。
ゲームの通りになんてならないことを私はもう知っている。
私は笑顔でそれを受け取った。
「何色でも関係ない……嬉しいです。私が卒業パーティーでライル様から花を受け取れるなんて、三年前にはまったく想像できなかったから…。」
「不安な思いをさせて、ごめん。
……でも、僕が愛しているのは、アンナだけだ。
それだけは絶対に変わらない。」
「はい…!私も、ライル様を心からお慕いしております。」
ライル様が近づき、私の腰を引き寄せる。
私が魔法にかけられたようにスッと目を瞑ると、優しく甘いキスが落ちてくる。
唇が離れて、そっと目を開けると、ライル様が満面の笑みを浮かべていた。
「……あぁ、幸せだな。」
「……私もです。」
私は頭に飾った真っ赤な一輪の薔薇を抜くと、それをライル様の胸ポケットに挿した。お返しにライル様は私の髪に白い薔薇を挿してくれた。
「よく似合ってる。」
「ライル様も。」
その時、オーケストラの演奏が始まった。
「そろそろ行こうか?」
「はい!」
私たちは、しっかりと腕を組み、会場に向かった。
◆ ◇ ◆
会場に入ると、皆が笑顔で祝福してくれる。
私とライル様は、揃って最後に入場だ。
右の通路には、数ヶ月前に教師として復帰したルフト先生が満面の笑みで拍手をしている。そして、その隣には背の小さなラベンダー色のドレスを着た御令嬢が立っている。
レミリー様だ。レミリー様はまだ少し体調を崩しやすいものの、半年前から学園に通っている。彼女は非常に優秀で、一つ下の学年ではトップなのだそうだ。
左の通路では、ジョシュア様が微笑んでいる。
ジョシュア様は、学園を卒業後、王宮で補佐官見習いをしている。そして来年度からは、王太子付き補佐官となることが決まっている。いわば、ライル様の右腕となるのだ。
ライル様とジョシュア様が組むなんて、これ以上に心強いことはない。きっと将来は宰相となって、ライル様と共にこの国をより豊かなものにしてくれるだろう。
先に入場していた生徒の中に、ウィルガを見つける。私と目が合うと、僅かに口角を上げてくれた。
ウィルガは、ユーリに続いて、史上二人目の在学中の騎士となった。学園にも通いながら、出れる時には訓練にも参加していたウィルガは本当にストイックだと思う。来年からは、王宮騎士団に所属することが決まっている。ウィルガは、王太子妃の護衛騎士を希望しているが、どうなるか分からない。でも、お父様もライル様も私に対して過保護なところがあるから、安心して任せられるウィルガを私の護衛騎士にしてしまう様な気がする。ウィルガは、あれからも付かず離れず、ずっと私を陰から守ってくれている。
卒業生の中でも一際目を引くカップルが、ユーリとソフィアだ。二人は卒業後、本格的に巡業をすることになる。今まで行くことが出来なかった辺境の地も含めて、数年がかりで旅をしてくるという。私とライル様の結婚式に参列したら、すぐにでも発つそうだ。
少し寂しくはなるが、ソフィアは私の唯一無二の親友だ。
離れていても…これからも、ずっと。
みんなが笑顔で、幸せそうで、なんて素敵な卒業パーティーなんだろう。そこはゲームなんて比べものにならないくらい、喜びと愛で満ち溢れた空間だった。
陛下の挨拶が終わる。
勿論だが、今回は断罪なんて無かった。
リィナは、今どうしてるかな…とふと、脳裏によぎる。
それでも、あそこに入るのは許されていない。きっと次に入る機会があるとすれば、ライル様が王位を継いだ時だろう。せめて、その時までにリィナがアルファ様の愛を受け止められればいいな、と思う。
ホッと一息ついていると、次はライル様の挨拶が始まる。
祝いの言葉や教師や来賓への感謝の意を述べていく。
「最後に、皆に我が愛しの婚約者より贈り物がある。
…アンナ、おいで。」
「…えっ?!」
何も聞いていない。
というか、何も贈り物なんて用意してない!私は何をしたらいいの…?!
私が混乱しているとはつゆ知らず、皆、私へ視線を移すと、拍手をくれる……が、何も出来ないんだってー!!
私は不安になりながらも、ライル様の隣に並んだ。
「ほら、アンナ。」
「え?」
ライル様は私の頭に挿した白い薔薇を取って、私に差し出した。
……そっか。このゲームの最後は、断罪が終わった後、攻略対象者との関係を公のものとし、交換した花にキスをすると、魔法が発動するんだった。断罪がないから、そんなことすっかり忘れていたわ。
私はライル様から受け取った真っ白な薔薇に優しくキスをした。
すると、薔薇から魔力の塊が飛び出して天井付近まで上がると、それが弾けた。すると、色とりどりの花びらが空から降ってくる。
会場中からは感嘆の声が漏れる。
「すごい…綺麗…。」
きっとライル様の土魔法が込められているんだろう…と思ったが、微妙に違う魔力も感じる。私が不思議そうにしたのに気づいたのか、ライル様が耳元で補足をしてくれる。
「僕とウィルガから土魔法の贈り物。」
そっか…これはウィルガの魔力も込められているんだ…!
ウィルガの方に目を向ければ、ウィルガは微笑んでくれた。
この楽しげな雰囲気にオーケストラも演奏を始める。
しかし、花びらがひらひらと落ちていたかと思ったら、次はその花びらを攫うように風が吹く。そして、その風に乗って、見覚えのある子たちがやってきた。
「あ……風の精霊さん達…。」
いつか、ジョシュア様が私を励ますために見せてくれた風の精霊さん達のダンスがまた行われる。その中央で花びらは集まり、校章や花や星を形作ったりして、音楽に合わせて踊っているようだった。
「これは、僕とジョシュアから。」
「はい…!可愛い…本当に素敵です!」
精霊さん達のダンスを見て、ジョシュア様との思い出が込み上げ、つい涙ぐんでしまう。その瞳でジョシュア様を見つめれば、以前と変わらない、優しい視線を私にくれた。
花びらと精霊達のダンスが終わると、次に出てきたのは、水の龍が二匹。きっとこれは……
「ライル様とユーリから…。」
私がそう呟くと、ライル様はウインクをした。
「当たり。ほら、バルコニーへ。」
水の龍は、天井付近で戯れた後、誘うように私の周りを一回りして、バルコニーに向かって行った。バルコニーからは左右の噴水がよく見える。
水の龍はそれぞれの噴水に分かれて、その水に混ざると、大きく何かを形作り、そのまま凍った。
「……すごい…。」
左右の噴水で作られたのは、大きな氷の花束だった。その氷の彫刻は、美しく月夜に照らされ、輝いている。
「今度はちょっと懐かしいかも。アンナ、前を。」
噴水から顔を上げて前をみると、火の玉のようなものがどんどんと空へ上がっていく。もしかして…これって…。
空高く上がったところで、それが破裂するような音がして、空に火花が広がった。これは……
「花火…!!」
「そう、再現してみたんだ。
これは僕と…ルフト先生にも少し手伝ってもらった。」
次々に打ち上がる花火は、実際の花火より色とりどりだ。
私は思わず懐かしさに目を潤ませた。
侑李と二人、少し遠くの花火大会に行ったのを思い出す。中学生になったから、と許可してもらった私が行った人生初の花火大会だった。隣にいるライル様が指を絡ませ、ギュッと手を握る。
ライル様もあの日のことを思い出しているようで、私と目が合うと照れ臭そうに笑った。
「……少し侑李の気分に引きずられてしまうな。」
「ふふっ。あの花火大会の日も、顔を真っ赤にしながら手を繋いでくれました。」
はぐれたら困るからって言って、私の手を掴んだ侑李を思い出す。照れて私の目を見ることも出来なかったんだよね、侑李は。
「侑李は僕と違って照れ屋だったからね。
手を繋いだだけで、顔から火が出そうだった。」
「そんな侑李も好きでしたよ。」
「嘘だろ。杏奈がキザな男が好きだって言うから、僕は…」
「え……そんなこと言いました?」
「覚えてないならいい…。」
「ふふっ。」
しょんぼりしていて、可愛い。
こうやって侑李とのことも、ライル様のことも話せることが本当に嬉しい。侑李がライル様として、アンナの近くに転生して来てくれた奇跡に感謝しかない。
「アンナ、後ろを見てごらん。」
私が振り向くと、みんな同じように空を見上げて笑っている。
ジュリーに、アリエス、シンシア。ジョシュア様に、ウィルガ、ルフト先生、レミリー様。そして、ユーリ。
どの顔もとても幸せそうだ。それにー
「ソフィアが、幸せそうに笑ってる…。」
それが何よりも嬉しかった。
「そうだね。
……アンナ、彼女を…みんなを救ったのは、君だよ。」
「そんなことない…。私だけじゃきっと何も出来なかった。
みんなが私を救ってくれたんです。」
最後の一段と大きい一発が打ち上がり、花火が終わる。
火花が落ちていく中、私は笑顔で言った。
「…ライル様、みんな、ありがとう…。大好きよ!」
私の声に気付いたみんなが近づいてくる。
ソフィアが私に抱きつく。
「私も!アンナが大好きよ!!」
その後ろにはジョシュア様とユーリが。
「私も大好きです。」
「俺も好きだぞー!」
ライル様の方からはウィルガとルフト先生まで。
「私もお慕いしております。」
「じゃあ、俺も好きってことで!」
ライル様がワナワナと隣で震えている。
「皆、どさくさに紛れて、僕のアンナに好きって言うな!」
みんな冗談なのに、ライル様ったら過剰に反応しすぎだ。
その時、手の中にあった白薔薇が燃え上がり、真っ赤になった。それと同時に最後の魔力の塊が一際輝いて、私たちの頭上に輝いた。
「…え?」
それはパァンと割れて、私たちの上に光の粒を降らした。夜にゆっくりと私たちに降りかかる光の粒はなんとも幻想的だった。
「これって……。」
「最後は、私の聖魔法よ。
……アンナ、ありがとう。私を、助けてくれて…。」
そう言うソフィアの瞳は、濡れている。
私も思わず涙ぐむ。
「私も…助けてくれてありがとう、ソフィア。」
辛くても、怖くても逃げ出さなくて良かった。
幻想的な光に包まれながら、ライル様を見ると、蕩けるような視線を注いでくれる。
私をいつも守ってくれるこの人を、これからは私が全力で守っていきたいな…と心から思う。
ゲームならここでエンドロールが流れるだろう。
でも、ここからも私たちの物語は続いていく。
後悔しないように、毎日を大切に生きよう。
焦らずにゆっくりと自分だけの物語をー
最愛の人とともに。
「アンナ、久しぶり!!」
ソフィアは輝く薔薇が刺繍された見たこともない美しい黒ドレスで、優雅に歩いてくる。色とりどりのドレスが並ぶ中でも、真っ黒なドレスは特に視線を集めた。胸に輝く青薔薇の生花のコサージュもなんとも素敵だ。
そして、その隣には勿論ユーリがいた。ユーリのタキシードは、ソフィアと合わせて作ったんだろう。さりげないところにソフィアのドレスと同じ刺繍されていた。そして胸ポケットにはソフィアとお揃いの青薔薇が挿してある。
二人は本当にお似合いだ。ユーリはより精悍な顔つきになり、ガタイも良くなった気がする。ソフィアは会う度にどんどん色気が増して、美しさに磨きがかかっている。そして、羨ましいことに大変発育が良い。どうしたらああなるのか…。
そんな下世話な思考を隅に追いやり、私は笑顔で二人を迎えた。
「ソフィア!今日はおめでとう。」
「えぇ、アンナもね。」
私たちは軽いハグをする。
「それにしても、素敵なドレスね!
ソフィアによく似合っているわ!!」
すかさず私がドレスを褒めると、ソフィアは恥ずかしそうに目を伏せた。
「あ、ありがとう…。ユーリがね、知らない間に用意して贈ってくれたの。私もびっくりしちゃって…。」
「ははっ、あの驚いた顔をアンナにも見せてやりたかったぜ。」
ソフィアの隣でユーリは鼻高々だ。
ユーリも相変わらず元気そう。
「アンナのドレスも本当に素敵。ドレスにこんなに宝石を散りばめるなんて、なんて贅沢で美しいんでしょうね。このドレスを着れるのは、この世でアンナだけだわ!」
私のドレスは、胸から裾へ白と水色のグラデーションが綺麗なドレスだ。ところどころに蝶の刺繍が施され、蝶が振り撒いたかのように小さな宝石がこれでもかとちりばめられていた。ドレスが豪華すぎて完全に私が負けているが、贈り主のライル様が「アンナの美しさに勝るものはないよ」って言ってくれたので、良いと思うことにした。
「あはは…。私も貰った時に驚いちゃったよ。
それより、良かった。卒業パーティーに間に合って。」
二人はこの二ヶ月間、少し離れたところまで巡業に行っていたのだ。ソフィアがギリギリまで治療をやめないため、間に合わないかもしれないと…ユーリから届いた手紙には書いてあった。
「本当だよ。全く治療に夢中になると、周りが見えなくなるんだから。最終的には患者の方が気にかけて、もう大丈夫だからって追い返したくらいなんだぜ?」
やれやれとユーリがソフィアを横目で見る。
ソフィアは頬を膨らませて、ユーリを睨む。可愛い。
「ユーリ!そんなことアンナに言わなくていいでしょ!!
もう、いつも余計なことばっかり言うんだから!」
ソフィアは、ユーリと一緒にいるようになってから、子供っぽくなった気がする。どんな自分も見せられるからなんだろう。怒ったり、笑ったり、照れたり、コロコロと表情が変わるソフィアは、本当に可愛かった。こんなに可愛いのに、優しくて、スタイルも良くて美しいなんて、やっぱりソフィアは最上の存在だ。
「ふふっ。相変わらず仲が良さそうで何よりだわ。」
私が率直な感想を述べると、ソフィアは顔を染めて怒る。
「仲良くなんてない!」
はぁ~、とユーリが溜息を吐くと、それにソフィアがビクッと反応した。
「ソフィア。ツンツンしてるのも可愛いけどな、嘘はいけないぞ?俺たちは仲良くないのか?俺はこんなにソフィアを愛してるのに?ソフィアだって、今朝だって二人きりなった途端、甘えてきて、俺から離れたくないってー」
「そ、そんなこと言ってない!!」
「じゃあ、俺の聞き間違いなのか?この前は散々俺の子が欲しー」
「わー!!分かった!分かったから、お願い、やめて!
仲良いです。ユーリは、最高の旦那様だわ!」
そう、二人はすでに結婚したのだ。当初は卒業したら…と言っていたのだが、半年前に我慢出来ずに結婚した。我慢出来なかったのは、ユーリなのかソフィアなのか私は知らないが、二人で長いこと巡業に行ける様になったので、これで良かったとソフィアは以前話していた。
「そうか、それなら良い。」
ユーリは満足気に頷き、ソフィアの腰に手を回した。ソフィアの顔はもう真っ赤で顔もまともに上げられないようだ。
クスクスと笑っていると、私の腰にもスッと手が差し入れられた。その温もりと、匂いで誰だかすぐに分かった。
「ライル様!もう打ち合わせは終わったんですか?」
顔を上げて、そう問えば、ライル様は微笑んで、私の頭にキスを落とした。
「あぁ、あとは僕ら卒業生が入場するだけだ。あと、二十分もしたら、入場曲の演奏が始まるだろう。
ソフィアとユーリも久しぶりだな。カナド地方への巡業は大変だったろう。」
「まぁ、遠かったけど、楽しかったよ。あそこは暖かくて良い。
ライルも元気か?」
「ちょっ…ユーリ、砕けすぎよ!」
ソフィアがユーリにそう指摘するのを、ライル様が止める。
「いいんだ、ソフィアとユーリにはどうかこれからも僕とアンナの友人でいて欲しいから。聖女と勇者と敬われるのも大変じゃないか?」
「そうなんだよ!!
どこ行っても堅苦しくてたまんねぇからな。
ライルくらいはちゃんと友達でいてくれよ?」
「勿論だ。これからも宜しく頼むよ。」
二人はそう言って、拳を突き合わせた。
「では……私もお言葉に甘えさせて頂きますわ、ライル様。」
「あぁ。これからもアンナと仲良くしてやってくれ。」
上品な笑みを浮かべてソフィアは礼をした。
「勿論ですわ。ライル様に頼まれなくても、そのつもりです。女同士でしか出来ない話もありますからね。ライル様には話せないことも私にはー」
「僕たちの間には話せないことなんてない。」
……普通にある。この前もライル様に関する相談の手紙をソフィアに出したばかりだ。そんなこと言えないけど。とにかくソフィアの言う通りなんだし、そこで張り合うのはやめてほしい。
「ふふっ。そう思っているのは、ライル様だけではありませんか?」
ソフィアもライル様を焚き付けないで欲しい。
この前の手紙の内容を聞かれたらどう答えたらいいんだ。
「そんなことない。だよね?アンナ。」
「あー、えっと……そう、ですね。
それよりもほら、そろそろ入場時間じゃないですか?!」
話をすり替えようとするが、ライル様にその気はないらしい。
「僕たちの順番は最後だから、まだ時間はあるよ。」
「ライル様たちは、もう花の交換を終えました?
まだ胸に花を挿していないようですが。」
ここでソフィアの良いアシストが入る。
「そうだったね。アンナ、少し歩こうか。」
私たちはその場を離れ、庭園の噴水前へ来た。
ソフィアの言っていた花の交換というのは、一年を通して数多くの花が咲き乱れるこの学園の伝統の一つのようなもので、恋人たちは自分で花を一つ選び、その花を交換するのだ。
ライル様はタキシードの内ポケットから白い薔薇を取り出した。
「……白い、薔薇…。」
「意外かい?ゲームと違った?」
ライル様の言う通りだった。本来、ライル様ルートであれば、最後の卒業パーティー前に渡されるのは真っ赤な一輪の薔薇なのだ。私がライル様に用意した花も真っ赤な一輪の薔薇だった。
でも、ここはゲームの世界ではない。
ゲームの通りになんてならないことを私はもう知っている。
私は笑顔でそれを受け取った。
「何色でも関係ない……嬉しいです。私が卒業パーティーでライル様から花を受け取れるなんて、三年前にはまったく想像できなかったから…。」
「不安な思いをさせて、ごめん。
……でも、僕が愛しているのは、アンナだけだ。
それだけは絶対に変わらない。」
「はい…!私も、ライル様を心からお慕いしております。」
ライル様が近づき、私の腰を引き寄せる。
私が魔法にかけられたようにスッと目を瞑ると、優しく甘いキスが落ちてくる。
唇が離れて、そっと目を開けると、ライル様が満面の笑みを浮かべていた。
「……あぁ、幸せだな。」
「……私もです。」
私は頭に飾った真っ赤な一輪の薔薇を抜くと、それをライル様の胸ポケットに挿した。お返しにライル様は私の髪に白い薔薇を挿してくれた。
「よく似合ってる。」
「ライル様も。」
その時、オーケストラの演奏が始まった。
「そろそろ行こうか?」
「はい!」
私たちは、しっかりと腕を組み、会場に向かった。
◆ ◇ ◆
会場に入ると、皆が笑顔で祝福してくれる。
私とライル様は、揃って最後に入場だ。
右の通路には、数ヶ月前に教師として復帰したルフト先生が満面の笑みで拍手をしている。そして、その隣には背の小さなラベンダー色のドレスを着た御令嬢が立っている。
レミリー様だ。レミリー様はまだ少し体調を崩しやすいものの、半年前から学園に通っている。彼女は非常に優秀で、一つ下の学年ではトップなのだそうだ。
左の通路では、ジョシュア様が微笑んでいる。
ジョシュア様は、学園を卒業後、王宮で補佐官見習いをしている。そして来年度からは、王太子付き補佐官となることが決まっている。いわば、ライル様の右腕となるのだ。
ライル様とジョシュア様が組むなんて、これ以上に心強いことはない。きっと将来は宰相となって、ライル様と共にこの国をより豊かなものにしてくれるだろう。
先に入場していた生徒の中に、ウィルガを見つける。私と目が合うと、僅かに口角を上げてくれた。
ウィルガは、ユーリに続いて、史上二人目の在学中の騎士となった。学園にも通いながら、出れる時には訓練にも参加していたウィルガは本当にストイックだと思う。来年からは、王宮騎士団に所属することが決まっている。ウィルガは、王太子妃の護衛騎士を希望しているが、どうなるか分からない。でも、お父様もライル様も私に対して過保護なところがあるから、安心して任せられるウィルガを私の護衛騎士にしてしまう様な気がする。ウィルガは、あれからも付かず離れず、ずっと私を陰から守ってくれている。
卒業生の中でも一際目を引くカップルが、ユーリとソフィアだ。二人は卒業後、本格的に巡業をすることになる。今まで行くことが出来なかった辺境の地も含めて、数年がかりで旅をしてくるという。私とライル様の結婚式に参列したら、すぐにでも発つそうだ。
少し寂しくはなるが、ソフィアは私の唯一無二の親友だ。
離れていても…これからも、ずっと。
みんなが笑顔で、幸せそうで、なんて素敵な卒業パーティーなんだろう。そこはゲームなんて比べものにならないくらい、喜びと愛で満ち溢れた空間だった。
陛下の挨拶が終わる。
勿論だが、今回は断罪なんて無かった。
リィナは、今どうしてるかな…とふと、脳裏によぎる。
それでも、あそこに入るのは許されていない。きっと次に入る機会があるとすれば、ライル様が王位を継いだ時だろう。せめて、その時までにリィナがアルファ様の愛を受け止められればいいな、と思う。
ホッと一息ついていると、次はライル様の挨拶が始まる。
祝いの言葉や教師や来賓への感謝の意を述べていく。
「最後に、皆に我が愛しの婚約者より贈り物がある。
…アンナ、おいで。」
「…えっ?!」
何も聞いていない。
というか、何も贈り物なんて用意してない!私は何をしたらいいの…?!
私が混乱しているとはつゆ知らず、皆、私へ視線を移すと、拍手をくれる……が、何も出来ないんだってー!!
私は不安になりながらも、ライル様の隣に並んだ。
「ほら、アンナ。」
「え?」
ライル様は私の頭に挿した白い薔薇を取って、私に差し出した。
……そっか。このゲームの最後は、断罪が終わった後、攻略対象者との関係を公のものとし、交換した花にキスをすると、魔法が発動するんだった。断罪がないから、そんなことすっかり忘れていたわ。
私はライル様から受け取った真っ白な薔薇に優しくキスをした。
すると、薔薇から魔力の塊が飛び出して天井付近まで上がると、それが弾けた。すると、色とりどりの花びらが空から降ってくる。
会場中からは感嘆の声が漏れる。
「すごい…綺麗…。」
きっとライル様の土魔法が込められているんだろう…と思ったが、微妙に違う魔力も感じる。私が不思議そうにしたのに気づいたのか、ライル様が耳元で補足をしてくれる。
「僕とウィルガから土魔法の贈り物。」
そっか…これはウィルガの魔力も込められているんだ…!
ウィルガの方に目を向ければ、ウィルガは微笑んでくれた。
この楽しげな雰囲気にオーケストラも演奏を始める。
しかし、花びらがひらひらと落ちていたかと思ったら、次はその花びらを攫うように風が吹く。そして、その風に乗って、見覚えのある子たちがやってきた。
「あ……風の精霊さん達…。」
いつか、ジョシュア様が私を励ますために見せてくれた風の精霊さん達のダンスがまた行われる。その中央で花びらは集まり、校章や花や星を形作ったりして、音楽に合わせて踊っているようだった。
「これは、僕とジョシュアから。」
「はい…!可愛い…本当に素敵です!」
精霊さん達のダンスを見て、ジョシュア様との思い出が込み上げ、つい涙ぐんでしまう。その瞳でジョシュア様を見つめれば、以前と変わらない、優しい視線を私にくれた。
花びらと精霊達のダンスが終わると、次に出てきたのは、水の龍が二匹。きっとこれは……
「ライル様とユーリから…。」
私がそう呟くと、ライル様はウインクをした。
「当たり。ほら、バルコニーへ。」
水の龍は、天井付近で戯れた後、誘うように私の周りを一回りして、バルコニーに向かって行った。バルコニーからは左右の噴水がよく見える。
水の龍はそれぞれの噴水に分かれて、その水に混ざると、大きく何かを形作り、そのまま凍った。
「……すごい…。」
左右の噴水で作られたのは、大きな氷の花束だった。その氷の彫刻は、美しく月夜に照らされ、輝いている。
「今度はちょっと懐かしいかも。アンナ、前を。」
噴水から顔を上げて前をみると、火の玉のようなものがどんどんと空へ上がっていく。もしかして…これって…。
空高く上がったところで、それが破裂するような音がして、空に火花が広がった。これは……
「花火…!!」
「そう、再現してみたんだ。
これは僕と…ルフト先生にも少し手伝ってもらった。」
次々に打ち上がる花火は、実際の花火より色とりどりだ。
私は思わず懐かしさに目を潤ませた。
侑李と二人、少し遠くの花火大会に行ったのを思い出す。中学生になったから、と許可してもらった私が行った人生初の花火大会だった。隣にいるライル様が指を絡ませ、ギュッと手を握る。
ライル様もあの日のことを思い出しているようで、私と目が合うと照れ臭そうに笑った。
「……少し侑李の気分に引きずられてしまうな。」
「ふふっ。あの花火大会の日も、顔を真っ赤にしながら手を繋いでくれました。」
はぐれたら困るからって言って、私の手を掴んだ侑李を思い出す。照れて私の目を見ることも出来なかったんだよね、侑李は。
「侑李は僕と違って照れ屋だったからね。
手を繋いだだけで、顔から火が出そうだった。」
「そんな侑李も好きでしたよ。」
「嘘だろ。杏奈がキザな男が好きだって言うから、僕は…」
「え……そんなこと言いました?」
「覚えてないならいい…。」
「ふふっ。」
しょんぼりしていて、可愛い。
こうやって侑李とのことも、ライル様のことも話せることが本当に嬉しい。侑李がライル様として、アンナの近くに転生して来てくれた奇跡に感謝しかない。
「アンナ、後ろを見てごらん。」
私が振り向くと、みんな同じように空を見上げて笑っている。
ジュリーに、アリエス、シンシア。ジョシュア様に、ウィルガ、ルフト先生、レミリー様。そして、ユーリ。
どの顔もとても幸せそうだ。それにー
「ソフィアが、幸せそうに笑ってる…。」
それが何よりも嬉しかった。
「そうだね。
……アンナ、彼女を…みんなを救ったのは、君だよ。」
「そんなことない…。私だけじゃきっと何も出来なかった。
みんなが私を救ってくれたんです。」
最後の一段と大きい一発が打ち上がり、花火が終わる。
火花が落ちていく中、私は笑顔で言った。
「…ライル様、みんな、ありがとう…。大好きよ!」
私の声に気付いたみんなが近づいてくる。
ソフィアが私に抱きつく。
「私も!アンナが大好きよ!!」
その後ろにはジョシュア様とユーリが。
「私も大好きです。」
「俺も好きだぞー!」
ライル様の方からはウィルガとルフト先生まで。
「私もお慕いしております。」
「じゃあ、俺も好きってことで!」
ライル様がワナワナと隣で震えている。
「皆、どさくさに紛れて、僕のアンナに好きって言うな!」
みんな冗談なのに、ライル様ったら過剰に反応しすぎだ。
その時、手の中にあった白薔薇が燃え上がり、真っ赤になった。それと同時に最後の魔力の塊が一際輝いて、私たちの頭上に輝いた。
「…え?」
それはパァンと割れて、私たちの上に光の粒を降らした。夜にゆっくりと私たちに降りかかる光の粒はなんとも幻想的だった。
「これって……。」
「最後は、私の聖魔法よ。
……アンナ、ありがとう。私を、助けてくれて…。」
そう言うソフィアの瞳は、濡れている。
私も思わず涙ぐむ。
「私も…助けてくれてありがとう、ソフィア。」
辛くても、怖くても逃げ出さなくて良かった。
幻想的な光に包まれながら、ライル様を見ると、蕩けるような視線を注いでくれる。
私をいつも守ってくれるこの人を、これからは私が全力で守っていきたいな…と心から思う。
ゲームならここでエンドロールが流れるだろう。
でも、ここからも私たちの物語は続いていく。
後悔しないように、毎日を大切に生きよう。
焦らずにゆっくりと自分だけの物語をー
最愛の人とともに。
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