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1巻
1-3
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「うーん……考えすぎて、ちょっと良くない思考になってきたかも」
頭を抱えそうになったその時、副団長が向かい側から歩いてくるのが見えた。
「副団長、お疲れさまです!」
「あ、マリエル。お疲れ! 今日の訓練はもう終わり?」
「はい。報告書を書かなきゃいけないので、今日はこれで終わりにしようかと」
「そう。報告書って急ぎだっけ?」
「いえ、明後日までの期限なので、明日仕上げれば問題ありませんが……なにか御用ですか?」
「少しお茶でもどうかなって」
副団長は可愛く首を傾げる。
「別に構いませんけど……」
「やった♪ じゃあ、早速テラスに行こー!」
テラスにはほとんど人がいなかった。訓練終わりで利用する団員は多いが、今はランチタイムでもないし、訓練を終わりにするには時間が早すぎる。この時間のテラスは貸切状態だ。
「やっぱりこの時間のテラスは最高ね! 人がいなくて、お喋りにぴったり!」
「お喋り、ですか?」
「そうよ! 例のレッスンの件‼ 二人揃って、私に全く報告してくれないんだもの! ジルベルトなんて、『お前には関係ない』の一点張りだしさ! ほんと頭きちゃうわー!」
副団長はテーブルをバンバンと叩いた。
「す、すみません‼ なんとなく少し気恥ずかしくて……」
「ふふっ♪ いいのよ。なんとなく上手くいってるだろうとはわかってたの。ジルベルトの調子も良さそうだし、ふとした瞬間にソファを見つめて顔緩ませてるし。ほんと、寒気がするわ」
副団長は苦そうな顔をする。私は反応に困り、ポカンとする。
団長がソファを見つめて――って、まさかレッスンのことを思い出しているんじゃない、よね?
「で、実際どういう状況なの? その後どうなったのか、ずっと気になってたのよ!」
「あ、はい。結局、夜会の件も、胸の……件も団長にご協力いただくことにしました。夜会にはまだ時間があるので何も決めていませんが、えーと、もう一つの方は機会をいただいて――」
私は恥ずかしくない程度にかいつまんで副団長に報告をした。
「そう。がっつり揉んでもらった?」
「は、はい。結構がっつりだったと思います」
「気持ち良くしてもらった?」
「はい……それはもう。すごく」
「あら、意外」
副団長は目を丸くする。
「意外、なんですか?」
「そうよ。あの仕事人間にいつ女遊びする時間があるのよ。まぁ、良かったわ。何も知らないんじゃないかと心配してたんだけど、それだけ愛情が深い……ってことかしらね?」
愛情? ……あぁ、団員への愛か。
「本当に団長って団員想いですよね。私も温かい言葉をかけていただきました」
「ジルベルトの株が上がったなら何より! ただ言っておくけど、騎士団員を大事にしてるからって、ジルベルトが全員にあんなことすると思ったら大間違いだからね。それだけはわかってやりなさいよ?」
副団長は指を一本立てて、私の額を押した。何わかりきったことを副団長は言ってるのか。
「わかってますよ! さすがに団長が男性団員の胸まで揉むとは思ってません!」
「……はぁ。この子、残念すぎるわ。ちょっとジルベルトが不憫になっちゃった」
副団長が頭を抱えて、ため息ついてる。
「私、なにか間違ってますか?」
「いろいろと間違ってるけど仕方ないわね。どっちにしろ私から言うのは違うから、もう何も言わないわ。困ったことがあれば相談しにきなさい」
副団長は席を立とうとする。私は慌てて、副団長の服の袖を掴んだ。
「さっそく相談してもいいですか!?」
「え、えぇ。なにかあった?」
「えっと、私、団長に気持ち良くなってほしいんです。いつも私ばっかり気持ち良くしてもらってるから……その御礼に私も団長に何かできることがないかと――」
「まぁ、ジルベルトは御礼なんて求めてないと思うけど……同じように触ってあげたら?」
副団長はとても良い笑顔で提案する。
「え、胸を?」
「んー、一番良いのは下よね」
「……下? え、まさか男性の象徴を触れと?」
「そうよ。マリエルが胸を揉んでもらってる時、きっとジルベルトは相当辛いんじゃない? あそこが痛いくらいだと思うわ。だから、レッスンついでに抜いてあげたらいいわよ」
副団長はなんてことはないように話す。
「男性団員が話すのを聞いたことは何度もありますが、私にできますかね? それに、私なんかで勃ちます?」
「あははっ‼ 心配することないわ。というか、マリエルだからこそって感じね! それに、やり方がわからないなら、本人に聞いたらいいわ」
私は決意と共に両手をぎゅっと握りしめた。
「わかりました。やってみます。でも……本当に勃ってるか確認してからにします」
「ふふっ、いいんじゃないかしら! じゃあ、そろそろ行くわね。付き合ってくれて、ありがと。また報告楽しみにしてる」
副団長は慌ただしく訓練場の方に駆けていった。
私はそれを見送りながら、次のレッスンへ気を引き締めるのだった。
迎えた三回目のレッスン当日。
私は男性騎士寮の裏口に来ていた。裏口はほとんど利用されないため、普段は施錠してある。団長が内側から開けてくれることになっているので、私は扉の前で待っていた。
ついでに今日は騎士服を身に着けている。男性騎士寮は女性騎士の立ち入りが禁止されているので、もし誰かに見つかっても良いように入る時は騎士服を身に着けようということになったのだ。ついでに髪の毛もくるっと上に纏め、ウィッグを被ってきた。ぱっと見は男性騎士に見えるはず。
さすがに近くで見られたらバレる可能性も高いが、騎士寮の周りをウロウロするくらいなら大丈夫だろう。
扉がガチャっと音を立てて開いた。私の姿を見て、一瞬団長の動きが止まる。
「……っ‼ マリエル……、待たせたか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか。早く入れ」
団長は私の腕をぐいっと掴むと、自分の方に引き寄せた。予想していなかった動きに私はバランスを崩し、そのまま団長の胸の中にぽすんっとおさまった。
「す、すみません!」
私は慌てて離れようとするが、団長は腕にグッと力を込め、離さない。
「静かに」
そう耳元で囁かれ、身体がぞくっと反応する。
団長は裏口の鍵を閉め、私を腕の中から解放したが、手は繋いだまま歩き出した。裏口近くの階段を上がったところ、階段のすぐそばに空き部屋はあった。
部屋に入ると、団長は電気をつけ、すぐに鍵を閉める。
「もう大丈夫だ。……にしても見事な変装だな。髪の毛はどうなってるんだ?」
「これはウィッグです。中に髪の毛を入れてただ被ってるだけです。帽子みたいな気休めなので、激しい運動はできませんが、カモフラージュにはなるかと」
そう言ってウィッグを取り、頭を振って、髪の毛を下ろした。
「良かった。まさかあの綺麗な髪まで切ってしまったのかと心配した」
団長はさらりと私の髪に指を通す。褒めてもらえて……触れてもらえて、嬉しい。
「それにしても空き部屋なのに随分と綺麗ですね」
「あぁ、使っていない部屋とはいえ、放置すると埃が溜まるからな、定期的に掃除させている」
「そうなんですね。ついでにお隣の部屋とか大丈夫です? ……声とか――」
「いや、隣も空き部屋なんだ。下の階は物置だし、上の階は資料室だ」
確認した後に、まるで嬌声を上げると宣言しているようだと気付く。
「ところで、騎士服のまま、始めるのか?」
……きた! これは私もどうしようかと数日前から悩んでいた。今まではせめてもの礼儀かと思い、女性らしい服を着ていくようにしていた。だが、今回騎士服を着て会いにいくことになったので、困ってしまった。
そんな時、副団長から「レッスンの時に着ること!」とメッセージ付きのプレゼントを今朝貰ったのだ。日中忙しくて中身は確認できなかったが、結局何を着たらいいかわからなかった私はそれを持ってきていた。それを団長に説明すると、眉を顰めた。
「……シルヴィから? ……嫌な予感しかしないな」
「そうですか? とりあえず開けてみましょう!」
私は可愛い包み紙を開いた。そして、私たちは中身を見て、固まった。
そこには、スケスケの夜着が入っていた。
「……これは、すごいですね」
「……そ、そうだな。くそっ! シルヴィのやつ……何を考えてるんだ!?」
団長は額に手をやり、夜着から目を逸らす。
「えーと……まぁ、きっと副団長なりのお考えがあってのことだとは思いますが――」
「無理するな」
私は夜着を取り出して、全体を見てみた。確かにスケスケだけど、可愛い。
「でも、もしこれを着なかったとして……騎士服だとやりにくくありませんか? 生地が硬いし、脱ぎにくいし、あんまりレッスンには向きませんよ」
「それもそうだが……」
「第一、この前のレッスンの時にかなり私の身体見えちゃってましたよね?」
「……そう、だったか?」
「じゃあ、やっぱりこれ着ましょうか」
団長はすごい勢いで私に視線を戻した。
「き、着るのか!? ……い、いいのか?」
私は頷く。
「はい。可愛いデザインですし。こういうのを着たことがないので、少し興味もあります。団長がお嫌でなければ着ようかと」
「……俺が嫌なわけではない。ただマリエルが嫌だろうと――」
「団長。この夜着を私が着たら、嬉しいか嬉しくないかで言ったらどっちですか?」
団長は目を泳がせてため息を吐いた後、観念したように口を開いた。
「嬉しい……」
私のような身体でも団長に求めてもらえたことが嬉しい。
「じゃあ、着ます! 貧相な身体ですが、どうせなら団長にも楽しんでほしいので!」
そう意気込みながら、私は両手で夜着を抱いた。
「……あ、ありがとう」
「じゃあ、私さっそく着替えますね」
「は? ここで着替えるのか?」
団長の動きが止まる。
「当たり前じゃないですか。ここ以外のどこで着替えるっていうんです?」
私が首を傾げると、団長はそわそわと落ち着きがなくなる。
「そ、そうだな」
「では、団長は後ろを向いて、そこにある椅子に座っていてください。さすがに直接着替えているところを見られるのは恥ずかしいので」
団長は私に背を向け、椅子に座った。
私は一枚一枚、服を脱いでいく。静かな部屋に服を脱ぎ落とす音が響いた。団長は微動だにしないが、この音を聞かれていると思うと、なんだか落ち着かない。
薄い生地を破らないように夜着を丁寧に着ていく。
夜着は綺麗なライトブルーで、真ん中に細い白いリボンが付いている。乳房の部分は生地で隠れてはいるが、薄いレースなので、形や乳首の位置は丸わかりだ。それにリボンを取れば、すぐに胸が露わになってしまう。
着たは良いものの予想以上の卑猥さに心が折れそうになる。
「だ、団長。着ました。……でもっ! あの、まだこちらは見ないでください」
「わかったが……なにかあったのか?」
「いや……ただ心の準備ができてなくて。あの、着ると言ったくせに情けないんですが、電気を消してもいいですか……?」
少し声が小さくなる。団長はもう落ち着きを取り戻して、いつもの様子だ。
「それは構わない。電気は消して、こちらのランプだけつけておくか?」
「そうですね。じゃあ、ランプつけてもらえます? 電気、消しますから」
「わかった」
私が電気を消すと、部屋はランプの灯だけになり、少し団長の背中の輪郭がぼやける。……これなら夜着を見られても、大丈夫かな。
「ど、どうぞ」
団長がこちらを向く。上から下までゆっくり私を見つめる。……そして、妖しく笑った。
「美しいな。まるで夜の妖精のようだ」
「あ、ありがとうございます」
団長はなおもじっと私を見つめている。
なんだか団長の目線だけでお腹の奥がキュンとなり、思わず膝を擦り合わせてしまう。
「ふっ。本当にマリエルは可愛いな。見られただけで感じているのか?」
「そ、そんなことないです! ちょっと恥ずかしいだけで……!」
団長がくくっと笑う声が響く。
「そうか? 私には可愛く立ち上がる二つの蕾が見えるぞ。もじもじと擦り合わせているその奥からマリエルのいやらしい匂いもしてきた。そのうち音まで聞こえてきそうだ」
「そ、そんな恥ずかしいこと言わないで……暗くしたんだから、見えるなんて嘘です、よね?」
「いや、これだけ光があれば、十分だ。マリエルの恥じらう顔も、可愛い蕾も、滑らかな肌も、全て見えている」
団長は一歩一歩ゆっくりと近づいてきた。そして、私をぎゅっと抱きしめ、囁いた。
「……レッスンを始める」
私を抱きしめた団長は、ゆっくりと私の身体を撫で回す。背中から腰、そして臀部へ……感触をしっかり味わうように団長の手は動いていく。
私の首筋は団長の舌に下からつぅーっと軽く、舐められる。そのまま、私の耳まで到達すると、今度は耳をくちゃくちゃと舐める。
「あっ、団長くすぐったい!」
「この間、くすぐったいのはいいことだと教えたろう? そのまま、マリエルは感じていろ」
団長は私の首筋や耳を舐め、時折額や頬、瞼に唇を落とす。身体中を優しく撫でる団長の手によって気持ち良くなっていくが、刺激が足りない。
私は思わず団長に身体を押し付けた。団長はシャツを一枚着ているだけだ。シャツ越しに団長の体温を感じて、嬉しくなる。団長の逞しい筋肉に乳首が擦れて、気持ちいい……
その時、私はちょうどお腹のあたりに違和感を覚えた。なにか硬いものがある?
下に目を向けると、ズボンの股のあたりがピーンと張り詰めていた。これは――!
固まってしまった私を見て、団長は笑った。
「そんなに見るな。マリエルは気にしなくていい」
団長は私の顎を持って、クイっと上に向けると、優しく深いキスをくれた。団長の舌が入ってきて、私の口内を蹂躙する。どちらの物かわからない唾液が唇から溢れていく。
キスをしながら、団長は右手を私の胸に添え、優しく揉んだ。乳首も時々掠めるように触っていくが、物足りない。
「はぁっ! だんちょう。もっと、さわってほしい……!」
「安心しろ。思いきり可愛がってやるから」
団長は私の乳首をきゅっとつねった。
「はぁあん!」
「感じすぎだ」
団長はそう言って、ニヤリと笑った。そして、後ろにあったベッドに私を横たわらせると、私に覆い被さるようにして、ベッドに乗った。
「ここからが本番だからな」
私の夜着の前のリボンが解かれる。
団長がゆっくり前を開いた。
「美味しそうな果実だ」
両手で胸を揉みしだかれる。先ほどよりも強く揉まれるが、それすらも快感になる。いろんな方向から揉まれ、私の胸は団長の思うままに形を変えた。人差し指で強く乳首を弾かれる。
「はぁ、いぃよぉ!」
団長はパクリと私の左乳首を口に含むと、チロチロと舐める。優しい感触に身を委ねたと思ったら、次の瞬間には甘噛みされる。
右乳首も舐めて、齧られる。団長の手は休むことなく、私の胸を揉み、時折臀部や腰をいやらしく撫でていく。ふとした瞬間に激しいキスが降ってくる。私は団長の舌と指に翻弄された。
私の胸に顔を埋めた団長は、胸の谷間に舌を這わせ、私の汗を舐めた。
「いやぁ! そんなところ、舐めないでぇ。きたないからぁ!」
「マリエルに汚いところなんてない。唾液も汗も甘い……きっと愛液も」
そう言って、団長は私のパンティの横紐を解く。
「あっ……!」
思わず私がパンティを押さえると、団長は熱を孕んだ瞳で私を見つめて、優しく言った。
「気持ち良くする……全部俺に預けろ」
団長は私の手を優しく掴んだ。私はほとんど抵抗することなく、団長に従って手を脇にどかした。
「いい子だ……」
団長の指が私の割れ目へ添えられる。くちゅり……と水音がやけに部屋に響く。
「よく濡れている」
恥ずかしい……なのに、濡れてると言われて、私はまた蜜を溢れさせた。
団長は愛液をすくうように割れ目に指を沿わせると、そのまま指をその整った薄い唇へ運んだ。
「やはり甘い。この甘露は誰にも味わわせたくないな」
団長は私の顔を見ながら唇を舐め、目を細めた。
わざわざ愛液を舐めるなんてあり得ないと思うのに、その姿にまた愛液が溢れるのを感じた。
再び割れ目に指を添えた団長は、ゆっくりと優しく入口を擦る。
「はぁ……んあぁ!」
「こっちもぷっくりとしてきた……可愛いな」
そう言って、今度は陰核をカリカリと引っ掻く。
「ああぁ!!」
お腹の奥がキュンキュンして、団長の指を奥へ咥えようと私の孔は動く。もう奥を擦ってほしくて堪らない。
「だんちょうっ! おくに、ほしぃよぉ!」
「そうだな。マリエル。入口がヒクヒクして、俺の指を誘っている」
「その、ままっ……入れてぇ……」
「辛いか……? イキたいか?」
「ぅん! イキたいの……っ!」
「……じゃあ、今日はこっちでイこうな」
団長は私の陰核に強弱をつけながら刺激を与えていく。全身が気持ち良さでいっぱいになっていく。最後にキュッと陰核を摘まれると、目の前が真っ白になり、身体の中で快感が弾けた。
「あああっ!!」
……すごい疲れた、けど、気持ち良かった。身体がふわふわして、このまま寝てしまいたい。
肩で息をする私の頭を団長は優しく撫でてくれる。気持ちいい……
「マリエル、よくできていた。頑張ったな」
「だん、ちょう……」
やっぱり団長は少し苦しそうに見える。それをなんとかしたくて、私は団長に身を寄せた。
「マリエル……っ!」
団長の焦った声が聞こえたと思ったら、私のお腹に先ほども同じ感触があった。私は少し落ち着いてきた身体と頭で考えた。
「だんちょう……これ、勃ってる、の?」
「あー、そう、だな……」
「わたし、で?」
「……あぁ」
「……うれしい」
私は団長のズボンに手を伸ばす。
「……っ! マリエル、そんなことはしなくていい‼」
「いやっ! 私も団長を気持ち良くしたいの」
「気持ちは嬉しいが、無理はするな」
「無理なんてしてないのに……私じゃダメ?」
そう言って、潤む瞳で団長を見上げる。音を立てて、団長の喉仏が上下した。
「ダメなはずない。マリエルのせいで、さっきから痛いくらいなんだ。お願いできるか?」
私たちは起き上がり、向かい合わせに座った。
団長はベルトを外し、前をくつろげた。初めて見る陰茎は、お腹につきそうなくらいそそり立ち、太くて、長かった。他の人のを見たことがないので比較なんてできないが、私の想像よりもずっと大きかった。ビクビクして、なんだか生き物みたい……
赤黒くて、綺麗なわけではなかったが、団長のだと思えば、それも愛おしく感じた。
そっと陰茎に触れ、サワサワと撫でる。団長がくっ……とか、ふっ……とか言ってる。
……ちょっとつらそう?
「ど、どうですか?」
「すまないが……もっと強くしてくれるか?」
「え? あ、だって、痛くないんですか?」
「優しく触られるほうがつらい……」
「す、すみません。慣れてなくて……」
「そんなの慣れてなくていい。マリエルにとっての初めてだと実感できるからな」
団長は私の頬に手を伸ばし、微笑む。目の下がほんのり赤くなって、色っぽい。
「あの、団長が教えてくれますか?」
「では……もう少し強く握って、上下に手を動かしてくれるか?」
「わ、わかりました!」
私は言われた通り、握る力を強くして、手を上下に動かした。団長の息遣いが荒くなっていく。チラッと覗き見れば、顔を上気させて、団長は感じていた。
「……いいですか?」
「あぁ、最高だ。マリエルの柔らかな手も……この眺めも」
「あっ」
私の夜着は先ほどのままだ。前のリボンは解けたままだし、下も穿いてない。団長を気持ち良くさせることに必死で、気にするのを忘れていた。
正直隠したかったが、団長のモノを擦るこの手を止めて良いものかわからず、顔を背けるしかできなかった。
「あんまり……見ないで」
「はっ、それは無理な相談だな。マリエルが綺麗で可愛いのがいけない」
団長に褒められて嬉しくなった私は、より熱心に団長の陰茎を擦り上げる。
「そろそろやばい……っ」
「イ、イけそうですか?」
団長は突然私の手に自分の手を被せると、ギュッと握り、より強く速く擦った。陰茎が熱いからか、団長の手が熱いからか、擦りすぎなのかわからないが、火傷しそうに手が熱い。
「……っう! マリエルっ‼」
びゅっと白いものが出てきたと思ったら、身体に熱さを感じる。気付くと私の胸には真っ白な団長の精液がかけられていた。思わず固まる私。
「す、すまないっ‼」
団長は大慌てで、枕元に置いてあったタオルで私の胸を拭こうとする。呆然としてしまったが、焦る団長を見たらなんだかおかしくなってきてしまった。
「……ふふっ」
「マリエル?」
下を向いて肩を震わせて笑う私を団長は訝しげに見ている。でも、笑いが止まらない。
「一体どうしたんだ? マリエル……?」
「いえ、すみません。あんなに団長が焦るから、なんだかおかしくって。大丈夫ですよ。団長のだし、かかってもそんなに嫌じゃありませんでした」
「……嫌じゃなかったのか?」
「はい。団長に気持ち良くなってもらえた証拠みたいで嬉しかったです! ……えと、気持ち良かった、ですよね?」
「あぁ、素晴らしい時間だった」
団長がすっきりした顔で微笑む。成功したみたいだ。
「……私もです。あ、あのもし団長がお嫌でなければ、これからは胸を揉むだけじゃなくて、団長を気持ち良くする方法も教えてくれませんか?」
「は? 俺を気持ち良くする方法?」
「そうです。えと……団長に気持ち良く胸を揉んでもらってる御礼で、みたいな?」
団長は顔を顰め、腑に落ちてないようだった。じゃあ――
「あー、えっと、可能性は極めて低いですが、私も将来どなたかと結婚することになった時に殿方を喜ばせるテクニックがあったらいいなぁ、と思って!」
団長の眉間の皺がますます深くなり、訓練の時のような鋭い眼光が私に向けられた。
……え? まさか怒ってる!?
「わかった。では、次回からは俺を気持ち良くする方法も教えてやろう。しっかりついてこいよ?」
怒ってるのに受け入れてくれた? よくわからないが良しとしよう。
「はい! ありがとうございます! これからもよろしくお願いします!!」
こうして三回目のレッスンは終了した。
頭を抱えそうになったその時、副団長が向かい側から歩いてくるのが見えた。
「副団長、お疲れさまです!」
「あ、マリエル。お疲れ! 今日の訓練はもう終わり?」
「はい。報告書を書かなきゃいけないので、今日はこれで終わりにしようかと」
「そう。報告書って急ぎだっけ?」
「いえ、明後日までの期限なので、明日仕上げれば問題ありませんが……なにか御用ですか?」
「少しお茶でもどうかなって」
副団長は可愛く首を傾げる。
「別に構いませんけど……」
「やった♪ じゃあ、早速テラスに行こー!」
テラスにはほとんど人がいなかった。訓練終わりで利用する団員は多いが、今はランチタイムでもないし、訓練を終わりにするには時間が早すぎる。この時間のテラスは貸切状態だ。
「やっぱりこの時間のテラスは最高ね! 人がいなくて、お喋りにぴったり!」
「お喋り、ですか?」
「そうよ! 例のレッスンの件‼ 二人揃って、私に全く報告してくれないんだもの! ジルベルトなんて、『お前には関係ない』の一点張りだしさ! ほんと頭きちゃうわー!」
副団長はテーブルをバンバンと叩いた。
「す、すみません‼ なんとなく少し気恥ずかしくて……」
「ふふっ♪ いいのよ。なんとなく上手くいってるだろうとはわかってたの。ジルベルトの調子も良さそうだし、ふとした瞬間にソファを見つめて顔緩ませてるし。ほんと、寒気がするわ」
副団長は苦そうな顔をする。私は反応に困り、ポカンとする。
団長がソファを見つめて――って、まさかレッスンのことを思い出しているんじゃない、よね?
「で、実際どういう状況なの? その後どうなったのか、ずっと気になってたのよ!」
「あ、はい。結局、夜会の件も、胸の……件も団長にご協力いただくことにしました。夜会にはまだ時間があるので何も決めていませんが、えーと、もう一つの方は機会をいただいて――」
私は恥ずかしくない程度にかいつまんで副団長に報告をした。
「そう。がっつり揉んでもらった?」
「は、はい。結構がっつりだったと思います」
「気持ち良くしてもらった?」
「はい……それはもう。すごく」
「あら、意外」
副団長は目を丸くする。
「意外、なんですか?」
「そうよ。あの仕事人間にいつ女遊びする時間があるのよ。まぁ、良かったわ。何も知らないんじゃないかと心配してたんだけど、それだけ愛情が深い……ってことかしらね?」
愛情? ……あぁ、団員への愛か。
「本当に団長って団員想いですよね。私も温かい言葉をかけていただきました」
「ジルベルトの株が上がったなら何より! ただ言っておくけど、騎士団員を大事にしてるからって、ジルベルトが全員にあんなことすると思ったら大間違いだからね。それだけはわかってやりなさいよ?」
副団長は指を一本立てて、私の額を押した。何わかりきったことを副団長は言ってるのか。
「わかってますよ! さすがに団長が男性団員の胸まで揉むとは思ってません!」
「……はぁ。この子、残念すぎるわ。ちょっとジルベルトが不憫になっちゃった」
副団長が頭を抱えて、ため息ついてる。
「私、なにか間違ってますか?」
「いろいろと間違ってるけど仕方ないわね。どっちにしろ私から言うのは違うから、もう何も言わないわ。困ったことがあれば相談しにきなさい」
副団長は席を立とうとする。私は慌てて、副団長の服の袖を掴んだ。
「さっそく相談してもいいですか!?」
「え、えぇ。なにかあった?」
「えっと、私、団長に気持ち良くなってほしいんです。いつも私ばっかり気持ち良くしてもらってるから……その御礼に私も団長に何かできることがないかと――」
「まぁ、ジルベルトは御礼なんて求めてないと思うけど……同じように触ってあげたら?」
副団長はとても良い笑顔で提案する。
「え、胸を?」
「んー、一番良いのは下よね」
「……下? え、まさか男性の象徴を触れと?」
「そうよ。マリエルが胸を揉んでもらってる時、きっとジルベルトは相当辛いんじゃない? あそこが痛いくらいだと思うわ。だから、レッスンついでに抜いてあげたらいいわよ」
副団長はなんてことはないように話す。
「男性団員が話すのを聞いたことは何度もありますが、私にできますかね? それに、私なんかで勃ちます?」
「あははっ‼ 心配することないわ。というか、マリエルだからこそって感じね! それに、やり方がわからないなら、本人に聞いたらいいわ」
私は決意と共に両手をぎゅっと握りしめた。
「わかりました。やってみます。でも……本当に勃ってるか確認してからにします」
「ふふっ、いいんじゃないかしら! じゃあ、そろそろ行くわね。付き合ってくれて、ありがと。また報告楽しみにしてる」
副団長は慌ただしく訓練場の方に駆けていった。
私はそれを見送りながら、次のレッスンへ気を引き締めるのだった。
迎えた三回目のレッスン当日。
私は男性騎士寮の裏口に来ていた。裏口はほとんど利用されないため、普段は施錠してある。団長が内側から開けてくれることになっているので、私は扉の前で待っていた。
ついでに今日は騎士服を身に着けている。男性騎士寮は女性騎士の立ち入りが禁止されているので、もし誰かに見つかっても良いように入る時は騎士服を身に着けようということになったのだ。ついでに髪の毛もくるっと上に纏め、ウィッグを被ってきた。ぱっと見は男性騎士に見えるはず。
さすがに近くで見られたらバレる可能性も高いが、騎士寮の周りをウロウロするくらいなら大丈夫だろう。
扉がガチャっと音を立てて開いた。私の姿を見て、一瞬団長の動きが止まる。
「……っ‼ マリエル……、待たせたか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか。早く入れ」
団長は私の腕をぐいっと掴むと、自分の方に引き寄せた。予想していなかった動きに私はバランスを崩し、そのまま団長の胸の中にぽすんっとおさまった。
「す、すみません!」
私は慌てて離れようとするが、団長は腕にグッと力を込め、離さない。
「静かに」
そう耳元で囁かれ、身体がぞくっと反応する。
団長は裏口の鍵を閉め、私を腕の中から解放したが、手は繋いだまま歩き出した。裏口近くの階段を上がったところ、階段のすぐそばに空き部屋はあった。
部屋に入ると、団長は電気をつけ、すぐに鍵を閉める。
「もう大丈夫だ。……にしても見事な変装だな。髪の毛はどうなってるんだ?」
「これはウィッグです。中に髪の毛を入れてただ被ってるだけです。帽子みたいな気休めなので、激しい運動はできませんが、カモフラージュにはなるかと」
そう言ってウィッグを取り、頭を振って、髪の毛を下ろした。
「良かった。まさかあの綺麗な髪まで切ってしまったのかと心配した」
団長はさらりと私の髪に指を通す。褒めてもらえて……触れてもらえて、嬉しい。
「それにしても空き部屋なのに随分と綺麗ですね」
「あぁ、使っていない部屋とはいえ、放置すると埃が溜まるからな、定期的に掃除させている」
「そうなんですね。ついでにお隣の部屋とか大丈夫です? ……声とか――」
「いや、隣も空き部屋なんだ。下の階は物置だし、上の階は資料室だ」
確認した後に、まるで嬌声を上げると宣言しているようだと気付く。
「ところで、騎士服のまま、始めるのか?」
……きた! これは私もどうしようかと数日前から悩んでいた。今まではせめてもの礼儀かと思い、女性らしい服を着ていくようにしていた。だが、今回騎士服を着て会いにいくことになったので、困ってしまった。
そんな時、副団長から「レッスンの時に着ること!」とメッセージ付きのプレゼントを今朝貰ったのだ。日中忙しくて中身は確認できなかったが、結局何を着たらいいかわからなかった私はそれを持ってきていた。それを団長に説明すると、眉を顰めた。
「……シルヴィから? ……嫌な予感しかしないな」
「そうですか? とりあえず開けてみましょう!」
私は可愛い包み紙を開いた。そして、私たちは中身を見て、固まった。
そこには、スケスケの夜着が入っていた。
「……これは、すごいですね」
「……そ、そうだな。くそっ! シルヴィのやつ……何を考えてるんだ!?」
団長は額に手をやり、夜着から目を逸らす。
「えーと……まぁ、きっと副団長なりのお考えがあってのことだとは思いますが――」
「無理するな」
私は夜着を取り出して、全体を見てみた。確かにスケスケだけど、可愛い。
「でも、もしこれを着なかったとして……騎士服だとやりにくくありませんか? 生地が硬いし、脱ぎにくいし、あんまりレッスンには向きませんよ」
「それもそうだが……」
「第一、この前のレッスンの時にかなり私の身体見えちゃってましたよね?」
「……そう、だったか?」
「じゃあ、やっぱりこれ着ましょうか」
団長はすごい勢いで私に視線を戻した。
「き、着るのか!? ……い、いいのか?」
私は頷く。
「はい。可愛いデザインですし。こういうのを着たことがないので、少し興味もあります。団長がお嫌でなければ着ようかと」
「……俺が嫌なわけではない。ただマリエルが嫌だろうと――」
「団長。この夜着を私が着たら、嬉しいか嬉しくないかで言ったらどっちですか?」
団長は目を泳がせてため息を吐いた後、観念したように口を開いた。
「嬉しい……」
私のような身体でも団長に求めてもらえたことが嬉しい。
「じゃあ、着ます! 貧相な身体ですが、どうせなら団長にも楽しんでほしいので!」
そう意気込みながら、私は両手で夜着を抱いた。
「……あ、ありがとう」
「じゃあ、私さっそく着替えますね」
「は? ここで着替えるのか?」
団長の動きが止まる。
「当たり前じゃないですか。ここ以外のどこで着替えるっていうんです?」
私が首を傾げると、団長はそわそわと落ち着きがなくなる。
「そ、そうだな」
「では、団長は後ろを向いて、そこにある椅子に座っていてください。さすがに直接着替えているところを見られるのは恥ずかしいので」
団長は私に背を向け、椅子に座った。
私は一枚一枚、服を脱いでいく。静かな部屋に服を脱ぎ落とす音が響いた。団長は微動だにしないが、この音を聞かれていると思うと、なんだか落ち着かない。
薄い生地を破らないように夜着を丁寧に着ていく。
夜着は綺麗なライトブルーで、真ん中に細い白いリボンが付いている。乳房の部分は生地で隠れてはいるが、薄いレースなので、形や乳首の位置は丸わかりだ。それにリボンを取れば、すぐに胸が露わになってしまう。
着たは良いものの予想以上の卑猥さに心が折れそうになる。
「だ、団長。着ました。……でもっ! あの、まだこちらは見ないでください」
「わかったが……なにかあったのか?」
「いや……ただ心の準備ができてなくて。あの、着ると言ったくせに情けないんですが、電気を消してもいいですか……?」
少し声が小さくなる。団長はもう落ち着きを取り戻して、いつもの様子だ。
「それは構わない。電気は消して、こちらのランプだけつけておくか?」
「そうですね。じゃあ、ランプつけてもらえます? 電気、消しますから」
「わかった」
私が電気を消すと、部屋はランプの灯だけになり、少し団長の背中の輪郭がぼやける。……これなら夜着を見られても、大丈夫かな。
「ど、どうぞ」
団長がこちらを向く。上から下までゆっくり私を見つめる。……そして、妖しく笑った。
「美しいな。まるで夜の妖精のようだ」
「あ、ありがとうございます」
団長はなおもじっと私を見つめている。
なんだか団長の目線だけでお腹の奥がキュンとなり、思わず膝を擦り合わせてしまう。
「ふっ。本当にマリエルは可愛いな。見られただけで感じているのか?」
「そ、そんなことないです! ちょっと恥ずかしいだけで……!」
団長がくくっと笑う声が響く。
「そうか? 私には可愛く立ち上がる二つの蕾が見えるぞ。もじもじと擦り合わせているその奥からマリエルのいやらしい匂いもしてきた。そのうち音まで聞こえてきそうだ」
「そ、そんな恥ずかしいこと言わないで……暗くしたんだから、見えるなんて嘘です、よね?」
「いや、これだけ光があれば、十分だ。マリエルの恥じらう顔も、可愛い蕾も、滑らかな肌も、全て見えている」
団長は一歩一歩ゆっくりと近づいてきた。そして、私をぎゅっと抱きしめ、囁いた。
「……レッスンを始める」
私を抱きしめた団長は、ゆっくりと私の身体を撫で回す。背中から腰、そして臀部へ……感触をしっかり味わうように団長の手は動いていく。
私の首筋は団長の舌に下からつぅーっと軽く、舐められる。そのまま、私の耳まで到達すると、今度は耳をくちゃくちゃと舐める。
「あっ、団長くすぐったい!」
「この間、くすぐったいのはいいことだと教えたろう? そのまま、マリエルは感じていろ」
団長は私の首筋や耳を舐め、時折額や頬、瞼に唇を落とす。身体中を優しく撫でる団長の手によって気持ち良くなっていくが、刺激が足りない。
私は思わず団長に身体を押し付けた。団長はシャツを一枚着ているだけだ。シャツ越しに団長の体温を感じて、嬉しくなる。団長の逞しい筋肉に乳首が擦れて、気持ちいい……
その時、私はちょうどお腹のあたりに違和感を覚えた。なにか硬いものがある?
下に目を向けると、ズボンの股のあたりがピーンと張り詰めていた。これは――!
固まってしまった私を見て、団長は笑った。
「そんなに見るな。マリエルは気にしなくていい」
団長は私の顎を持って、クイっと上に向けると、優しく深いキスをくれた。団長の舌が入ってきて、私の口内を蹂躙する。どちらの物かわからない唾液が唇から溢れていく。
キスをしながら、団長は右手を私の胸に添え、優しく揉んだ。乳首も時々掠めるように触っていくが、物足りない。
「はぁっ! だんちょう。もっと、さわってほしい……!」
「安心しろ。思いきり可愛がってやるから」
団長は私の乳首をきゅっとつねった。
「はぁあん!」
「感じすぎだ」
団長はそう言って、ニヤリと笑った。そして、後ろにあったベッドに私を横たわらせると、私に覆い被さるようにして、ベッドに乗った。
「ここからが本番だからな」
私の夜着の前のリボンが解かれる。
団長がゆっくり前を開いた。
「美味しそうな果実だ」
両手で胸を揉みしだかれる。先ほどよりも強く揉まれるが、それすらも快感になる。いろんな方向から揉まれ、私の胸は団長の思うままに形を変えた。人差し指で強く乳首を弾かれる。
「はぁ、いぃよぉ!」
団長はパクリと私の左乳首を口に含むと、チロチロと舐める。優しい感触に身を委ねたと思ったら、次の瞬間には甘噛みされる。
右乳首も舐めて、齧られる。団長の手は休むことなく、私の胸を揉み、時折臀部や腰をいやらしく撫でていく。ふとした瞬間に激しいキスが降ってくる。私は団長の舌と指に翻弄された。
私の胸に顔を埋めた団長は、胸の谷間に舌を這わせ、私の汗を舐めた。
「いやぁ! そんなところ、舐めないでぇ。きたないからぁ!」
「マリエルに汚いところなんてない。唾液も汗も甘い……きっと愛液も」
そう言って、団長は私のパンティの横紐を解く。
「あっ……!」
思わず私がパンティを押さえると、団長は熱を孕んだ瞳で私を見つめて、優しく言った。
「気持ち良くする……全部俺に預けろ」
団長は私の手を優しく掴んだ。私はほとんど抵抗することなく、団長に従って手を脇にどかした。
「いい子だ……」
団長の指が私の割れ目へ添えられる。くちゅり……と水音がやけに部屋に響く。
「よく濡れている」
恥ずかしい……なのに、濡れてると言われて、私はまた蜜を溢れさせた。
団長は愛液をすくうように割れ目に指を沿わせると、そのまま指をその整った薄い唇へ運んだ。
「やはり甘い。この甘露は誰にも味わわせたくないな」
団長は私の顔を見ながら唇を舐め、目を細めた。
わざわざ愛液を舐めるなんてあり得ないと思うのに、その姿にまた愛液が溢れるのを感じた。
再び割れ目に指を添えた団長は、ゆっくりと優しく入口を擦る。
「はぁ……んあぁ!」
「こっちもぷっくりとしてきた……可愛いな」
そう言って、今度は陰核をカリカリと引っ掻く。
「ああぁ!!」
お腹の奥がキュンキュンして、団長の指を奥へ咥えようと私の孔は動く。もう奥を擦ってほしくて堪らない。
「だんちょうっ! おくに、ほしぃよぉ!」
「そうだな。マリエル。入口がヒクヒクして、俺の指を誘っている」
「その、ままっ……入れてぇ……」
「辛いか……? イキたいか?」
「ぅん! イキたいの……っ!」
「……じゃあ、今日はこっちでイこうな」
団長は私の陰核に強弱をつけながら刺激を与えていく。全身が気持ち良さでいっぱいになっていく。最後にキュッと陰核を摘まれると、目の前が真っ白になり、身体の中で快感が弾けた。
「あああっ!!」
……すごい疲れた、けど、気持ち良かった。身体がふわふわして、このまま寝てしまいたい。
肩で息をする私の頭を団長は優しく撫でてくれる。気持ちいい……
「マリエル、よくできていた。頑張ったな」
「だん、ちょう……」
やっぱり団長は少し苦しそうに見える。それをなんとかしたくて、私は団長に身を寄せた。
「マリエル……っ!」
団長の焦った声が聞こえたと思ったら、私のお腹に先ほども同じ感触があった。私は少し落ち着いてきた身体と頭で考えた。
「だんちょう……これ、勃ってる、の?」
「あー、そう、だな……」
「わたし、で?」
「……あぁ」
「……うれしい」
私は団長のズボンに手を伸ばす。
「……っ! マリエル、そんなことはしなくていい‼」
「いやっ! 私も団長を気持ち良くしたいの」
「気持ちは嬉しいが、無理はするな」
「無理なんてしてないのに……私じゃダメ?」
そう言って、潤む瞳で団長を見上げる。音を立てて、団長の喉仏が上下した。
「ダメなはずない。マリエルのせいで、さっきから痛いくらいなんだ。お願いできるか?」
私たちは起き上がり、向かい合わせに座った。
団長はベルトを外し、前をくつろげた。初めて見る陰茎は、お腹につきそうなくらいそそり立ち、太くて、長かった。他の人のを見たことがないので比較なんてできないが、私の想像よりもずっと大きかった。ビクビクして、なんだか生き物みたい……
赤黒くて、綺麗なわけではなかったが、団長のだと思えば、それも愛おしく感じた。
そっと陰茎に触れ、サワサワと撫でる。団長がくっ……とか、ふっ……とか言ってる。
……ちょっとつらそう?
「ど、どうですか?」
「すまないが……もっと強くしてくれるか?」
「え? あ、だって、痛くないんですか?」
「優しく触られるほうがつらい……」
「す、すみません。慣れてなくて……」
「そんなの慣れてなくていい。マリエルにとっての初めてだと実感できるからな」
団長は私の頬に手を伸ばし、微笑む。目の下がほんのり赤くなって、色っぽい。
「あの、団長が教えてくれますか?」
「では……もう少し強く握って、上下に手を動かしてくれるか?」
「わ、わかりました!」
私は言われた通り、握る力を強くして、手を上下に動かした。団長の息遣いが荒くなっていく。チラッと覗き見れば、顔を上気させて、団長は感じていた。
「……いいですか?」
「あぁ、最高だ。マリエルの柔らかな手も……この眺めも」
「あっ」
私の夜着は先ほどのままだ。前のリボンは解けたままだし、下も穿いてない。団長を気持ち良くさせることに必死で、気にするのを忘れていた。
正直隠したかったが、団長のモノを擦るこの手を止めて良いものかわからず、顔を背けるしかできなかった。
「あんまり……見ないで」
「はっ、それは無理な相談だな。マリエルが綺麗で可愛いのがいけない」
団長に褒められて嬉しくなった私は、より熱心に団長の陰茎を擦り上げる。
「そろそろやばい……っ」
「イ、イけそうですか?」
団長は突然私の手に自分の手を被せると、ギュッと握り、より強く速く擦った。陰茎が熱いからか、団長の手が熱いからか、擦りすぎなのかわからないが、火傷しそうに手が熱い。
「……っう! マリエルっ‼」
びゅっと白いものが出てきたと思ったら、身体に熱さを感じる。気付くと私の胸には真っ白な団長の精液がかけられていた。思わず固まる私。
「す、すまないっ‼」
団長は大慌てで、枕元に置いてあったタオルで私の胸を拭こうとする。呆然としてしまったが、焦る団長を見たらなんだかおかしくなってきてしまった。
「……ふふっ」
「マリエル?」
下を向いて肩を震わせて笑う私を団長は訝しげに見ている。でも、笑いが止まらない。
「一体どうしたんだ? マリエル……?」
「いえ、すみません。あんなに団長が焦るから、なんだかおかしくって。大丈夫ですよ。団長のだし、かかってもそんなに嫌じゃありませんでした」
「……嫌じゃなかったのか?」
「はい。団長に気持ち良くなってもらえた証拠みたいで嬉しかったです! ……えと、気持ち良かった、ですよね?」
「あぁ、素晴らしい時間だった」
団長がすっきりした顔で微笑む。成功したみたいだ。
「……私もです。あ、あのもし団長がお嫌でなければ、これからは胸を揉むだけじゃなくて、団長を気持ち良くする方法も教えてくれませんか?」
「は? 俺を気持ち良くする方法?」
「そうです。えと……団長に気持ち良く胸を揉んでもらってる御礼で、みたいな?」
団長は顔を顰め、腑に落ちてないようだった。じゃあ――
「あー、えっと、可能性は極めて低いですが、私も将来どなたかと結婚することになった時に殿方を喜ばせるテクニックがあったらいいなぁ、と思って!」
団長の眉間の皺がますます深くなり、訓練の時のような鋭い眼光が私に向けられた。
……え? まさか怒ってる!?
「わかった。では、次回からは俺を気持ち良くする方法も教えてやろう。しっかりついてこいよ?」
怒ってるのに受け入れてくれた? よくわからないが良しとしよう。
「はい! ありがとうございます! これからもよろしくお願いします!!」
こうして三回目のレッスンは終了した。
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