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連載
【sideジルベルト】夜会までの日々(2)
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そこから夜会までへの一ヶ月半はとてつもなく長かった。
早く時間が過ぎればいいと、無心で仕事に取り組むものの、ふとした瞬間にマリエルを思い出し、胸が苦しくなった。
本当に無事だろうか…
辛い想いはしてないだろうか……
寂しくて泣いてないだろうか……
城に置いてきたことを何度も何度も後悔した。あぁするしかなかったと頭では分かっていても、その状況を作り出してしまった自分を何度も責めた。
夜は寝ると、マリエルが魔女に囚われている夢ばかり見るので、恐ろしくて、長く眠れなくなった。
落ち込む俺をパデルやシルヴィ、ドリーが励ましてくれた。そんな中、特に俺を気にかけてくれたのはアランだった。
マリエルのことで頭がいっぱいで、アランへの処罰などすっかり忘れていた俺にアランは訓練を付けてくれと言ってきた。そんな気分ではないと言ったが、無理矢理連れ出されて打ち合いをした。身体を動かすと、幾分か気持ちが晴れるような気がした。
また、全く食事を摂ろうとしない俺に毎日食べやすいものを持ってきて、無理矢理口に突っ込んだ。俺の好物を遠くまで買ってきてくれたり、マリエルにも出したことのあるラキィティーを淹れてくれたりした。
寝るのが恐ろしくて、夜遅くまで仕事をする俺に合わせるように、仕事を終えるまで一緒に遅くまで仕事をしてくれた。あまりにも寝ない俺を心配して、パデルに相談し、マリエルと過ごしたあの療養室の鍵を借りてきてくれた。
あの療養室でなら、マリエルの温もりを思い出せるからなのか、少しだけ眠れるようになった。
また、今後マリエルが使う物などを用意してみたらどうかと提案してくれたのもアランだった。そうしたら、少しは明るい気分になれるのではないかと。
それを聞いて、私は公爵家にマリエルの部屋を作ることにした。アランにそうすることにしたと報告したら、部屋とまでは考えていなかったらしく、唖然としていたが。
部屋のことを考えていると、マリエルの喜ぶ顔や近い将来訪れるであろうマリエルとの生活が目に浮かぶようだった。もしマリエルが帰ってこなかったら……と頭によぎることもあったが、自分への決意を込めて、準備を進めた。
周りにリサーチして、マリエルが気に入りそうな壁紙や家具を選んだ。アドバイスをくれたフィリップもシルヴィも呆れていたが、それで俺の気が済むならばと、協力してくれた。
その上、なんとフィリップはエルスタイン家に呼んでくれ、マリエルの部屋まで見せてくれた。ゆっくり見て行っていいとしばらくマリエルの部屋で一人にしてくれた。
さすがにあれこれ触るのは悪いと思ったので、ほとんど椅子に座って部屋を眺めるだけだったが。
……途中、ベッドに寝転び、枕を抱きしめ、僅かに残るマリエルの匂いを胸いっぱいに吸い込んだことくらいは許してもらいたい。
また、公爵家にマリエルの部屋を作るにあたって、両親にマリエルと婚約、結婚をしたいと伝えた。両親は思った通り、大喜びですぐにでも連れて来い!と言った。
俺は両親にマリエルが俺の腕を治す代償に魔女の城に滞在していることを伝え、マリエルに何があったとしてもマリエルとしか結婚する意思がないことを伝えた。両親は何があったとしても、という言い方が気になったようだが、今まで結婚しないと言っていた俺が相手を見つけてきたことにとりあえずは納得しているようだった。
しかし、俺はそこで話を終わらせるつもりは無かった。強さを子供に求めるその姿勢は本当に正しく必要なものなのか、問い質した。そして、俺を強くしたのはマリエルや周囲の人々の存在であり、公爵家ではないことを堂々と伝えた。
それを両親は渋い顔をして聞いていたが、確かに生まれで、強さが決まるものではなく、その後の本人の努力が大事だと認めてくれた。よくよく話を聞くと、両親、特に母上は祖父母から子供に強さを求められて辛い思いをしていた。
初めて両親に申し訳なかったと頭を下げられた。それで全てを水に流そうとは思えなかったが、過去と向き合えたことで一つ荷物を降ろせた気がした。
両親と話し、俺はマリエルとの間に万が一子供が出来なくても、離縁はせず養子を取るか、トリスタンの子を後継とすることを了承させた。
もちろん夜会の準備もした。魔女が装いを準備すると言っていたが、そんなのは期待できないし、何より俺の瞳の色のドレスを着てほしかった。
コバルトブルーに包まれたマリエルはきっと美しいだろう。海に抱かれた妖精のような美しさかもしれない。考えただけで胸が躍った。時間は無かったが、最高級のものを店に作らせた。
あとは、婚約の首飾りだ。婚約の白く輝く首飾り。ずっと、ずっと贈りたいと思っていた。私はエルスタイン家に向かった。
応接室に案内され、待っていると伯爵が入ってきた。
「ジルベルト君、今日はどうした?
まだ約束の日までは時間があるだろう?
まさか、マリエルに何があったのか?!」
「いえ! まだ特に連絡はありません……。
今日は別件でお伺いしたのです」
「別件?」
伯爵は首を傾げる。
「はい。
……実は夜会の日に、マリエルへ婚約の首飾りを贈りたいと思っています」
「……なんと。
まだ正式な書類も出していないのにか?」
伯爵は目を丸くして、聞き返す。
俺はしっかりと頷く。
「順番が違うことは承知しています。
しかし、どうしても次の夜会では、マリエルの婚約者としてエスコートしたいのです。最後に会った時、マリエルが婚約者としてエスコートしてくれるのを楽しみにしてる、と言っていたので……」
「そうか……
それで鉱石の相談に来たというわけだな」
「はい。鉱石と言えば、エルスタイン家ですから。
すでに加工された物ではなく、最高級の鉱石からマリエルのために首飾りを作り上げたいんです」
伯爵は私をしっかりと見据える。
「今から夜会までだとそんなに時間もない。そうなると、かなり金額もかかるが構わないか?」
「もちろんです。いくらかかっても構いません。
一生に一度の物です。マリエルに喜んでほしいんです」
伯爵は一瞬微笑んだ後に、真剣な眼差しになった。
「分かった。私も協力させてくれ。
鉱石は最高級の物を私が直接選ぼう。マリエルのお気に入りのデザイナーに連絡を入れておく。ジルベルト君はデザイナーと打ち合わせをして、希望やイメージがあれば事前に伝えてくれ。何パターンか作ってもらおう。その中からデザインを選び、首飾りを作る。それで構わないか?」
「はい。宜しくお願いします。
あと、これは前金です。日数もなく無理なお願いを各所にすることになると思いますので、必要な時にお使いください。もちろんかかった費用は、最後に全てお支払いします」
ドサっと袋を机の上に置く。
これだけでも普通の婚約の首飾りが数個作れるくらいの金額は入っている。前金としては十分すぎるほどだろう。
伯爵は、唖然として袋を見つめる。
「さすが公爵家で、騎士団長だな……
やることが違う。
有り難く使わせてもらう」
こうして伯爵に協力してもらい、俺は首飾りの作製に入っていった。
◆◇◆
こうして俺はマリエルを迎え入れる準備をしながら、夜会までの日々を過ごした。
毎日、マリエルが戻ることを祈りながら、僅かな眠りについた。
時折、どうしてもマリエルに会いに行きたい衝動に駆られたが、そんな時は周囲が全力で止めてくれた。
毎日指折り数えて過ごし、ようやく夜会の前日となった。俺はいつもの通り、療養室で横になった。
明日だ……明日、マリエルは戻って来る。
必ず戻って来ると思う反面、言いようのない不安に襲われる。もしマリエルを失うことになったらどうしようと恐ろしくて、目を瞑った。一筋、目尻から涙が流れるのを感じた。
目を瞑り、マリエルの笑顔を思い出す。
大丈夫……大丈夫だ……
マリエルに会いたい。
今すぐ強く……強く抱きしめたい。
俺はいつの間にか眠りについていた。
早く時間が過ぎればいいと、無心で仕事に取り組むものの、ふとした瞬間にマリエルを思い出し、胸が苦しくなった。
本当に無事だろうか…
辛い想いはしてないだろうか……
寂しくて泣いてないだろうか……
城に置いてきたことを何度も何度も後悔した。あぁするしかなかったと頭では分かっていても、その状況を作り出してしまった自分を何度も責めた。
夜は寝ると、マリエルが魔女に囚われている夢ばかり見るので、恐ろしくて、長く眠れなくなった。
落ち込む俺をパデルやシルヴィ、ドリーが励ましてくれた。そんな中、特に俺を気にかけてくれたのはアランだった。
マリエルのことで頭がいっぱいで、アランへの処罰などすっかり忘れていた俺にアランは訓練を付けてくれと言ってきた。そんな気分ではないと言ったが、無理矢理連れ出されて打ち合いをした。身体を動かすと、幾分か気持ちが晴れるような気がした。
また、全く食事を摂ろうとしない俺に毎日食べやすいものを持ってきて、無理矢理口に突っ込んだ。俺の好物を遠くまで買ってきてくれたり、マリエルにも出したことのあるラキィティーを淹れてくれたりした。
寝るのが恐ろしくて、夜遅くまで仕事をする俺に合わせるように、仕事を終えるまで一緒に遅くまで仕事をしてくれた。あまりにも寝ない俺を心配して、パデルに相談し、マリエルと過ごしたあの療養室の鍵を借りてきてくれた。
あの療養室でなら、マリエルの温もりを思い出せるからなのか、少しだけ眠れるようになった。
また、今後マリエルが使う物などを用意してみたらどうかと提案してくれたのもアランだった。そうしたら、少しは明るい気分になれるのではないかと。
それを聞いて、私は公爵家にマリエルの部屋を作ることにした。アランにそうすることにしたと報告したら、部屋とまでは考えていなかったらしく、唖然としていたが。
部屋のことを考えていると、マリエルの喜ぶ顔や近い将来訪れるであろうマリエルとの生活が目に浮かぶようだった。もしマリエルが帰ってこなかったら……と頭によぎることもあったが、自分への決意を込めて、準備を進めた。
周りにリサーチして、マリエルが気に入りそうな壁紙や家具を選んだ。アドバイスをくれたフィリップもシルヴィも呆れていたが、それで俺の気が済むならばと、協力してくれた。
その上、なんとフィリップはエルスタイン家に呼んでくれ、マリエルの部屋まで見せてくれた。ゆっくり見て行っていいとしばらくマリエルの部屋で一人にしてくれた。
さすがにあれこれ触るのは悪いと思ったので、ほとんど椅子に座って部屋を眺めるだけだったが。
……途中、ベッドに寝転び、枕を抱きしめ、僅かに残るマリエルの匂いを胸いっぱいに吸い込んだことくらいは許してもらいたい。
また、公爵家にマリエルの部屋を作るにあたって、両親にマリエルと婚約、結婚をしたいと伝えた。両親は思った通り、大喜びですぐにでも連れて来い!と言った。
俺は両親にマリエルが俺の腕を治す代償に魔女の城に滞在していることを伝え、マリエルに何があったとしてもマリエルとしか結婚する意思がないことを伝えた。両親は何があったとしても、という言い方が気になったようだが、今まで結婚しないと言っていた俺が相手を見つけてきたことにとりあえずは納得しているようだった。
しかし、俺はそこで話を終わらせるつもりは無かった。強さを子供に求めるその姿勢は本当に正しく必要なものなのか、問い質した。そして、俺を強くしたのはマリエルや周囲の人々の存在であり、公爵家ではないことを堂々と伝えた。
それを両親は渋い顔をして聞いていたが、確かに生まれで、強さが決まるものではなく、その後の本人の努力が大事だと認めてくれた。よくよく話を聞くと、両親、特に母上は祖父母から子供に強さを求められて辛い思いをしていた。
初めて両親に申し訳なかったと頭を下げられた。それで全てを水に流そうとは思えなかったが、過去と向き合えたことで一つ荷物を降ろせた気がした。
両親と話し、俺はマリエルとの間に万が一子供が出来なくても、離縁はせず養子を取るか、トリスタンの子を後継とすることを了承させた。
もちろん夜会の準備もした。魔女が装いを準備すると言っていたが、そんなのは期待できないし、何より俺の瞳の色のドレスを着てほしかった。
コバルトブルーに包まれたマリエルはきっと美しいだろう。海に抱かれた妖精のような美しさかもしれない。考えただけで胸が躍った。時間は無かったが、最高級のものを店に作らせた。
あとは、婚約の首飾りだ。婚約の白く輝く首飾り。ずっと、ずっと贈りたいと思っていた。私はエルスタイン家に向かった。
応接室に案内され、待っていると伯爵が入ってきた。
「ジルベルト君、今日はどうした?
まだ約束の日までは時間があるだろう?
まさか、マリエルに何があったのか?!」
「いえ! まだ特に連絡はありません……。
今日は別件でお伺いしたのです」
「別件?」
伯爵は首を傾げる。
「はい。
……実は夜会の日に、マリエルへ婚約の首飾りを贈りたいと思っています」
「……なんと。
まだ正式な書類も出していないのにか?」
伯爵は目を丸くして、聞き返す。
俺はしっかりと頷く。
「順番が違うことは承知しています。
しかし、どうしても次の夜会では、マリエルの婚約者としてエスコートしたいのです。最後に会った時、マリエルが婚約者としてエスコートしてくれるのを楽しみにしてる、と言っていたので……」
「そうか……
それで鉱石の相談に来たというわけだな」
「はい。鉱石と言えば、エルスタイン家ですから。
すでに加工された物ではなく、最高級の鉱石からマリエルのために首飾りを作り上げたいんです」
伯爵は私をしっかりと見据える。
「今から夜会までだとそんなに時間もない。そうなると、かなり金額もかかるが構わないか?」
「もちろんです。いくらかかっても構いません。
一生に一度の物です。マリエルに喜んでほしいんです」
伯爵は一瞬微笑んだ後に、真剣な眼差しになった。
「分かった。私も協力させてくれ。
鉱石は最高級の物を私が直接選ぼう。マリエルのお気に入りのデザイナーに連絡を入れておく。ジルベルト君はデザイナーと打ち合わせをして、希望やイメージがあれば事前に伝えてくれ。何パターンか作ってもらおう。その中からデザインを選び、首飾りを作る。それで構わないか?」
「はい。宜しくお願いします。
あと、これは前金です。日数もなく無理なお願いを各所にすることになると思いますので、必要な時にお使いください。もちろんかかった費用は、最後に全てお支払いします」
ドサっと袋を机の上に置く。
これだけでも普通の婚約の首飾りが数個作れるくらいの金額は入っている。前金としては十分すぎるほどだろう。
伯爵は、唖然として袋を見つめる。
「さすが公爵家で、騎士団長だな……
やることが違う。
有り難く使わせてもらう」
こうして伯爵に協力してもらい、俺は首飾りの作製に入っていった。
◆◇◆
こうして俺はマリエルを迎え入れる準備をしながら、夜会までの日々を過ごした。
毎日、マリエルが戻ることを祈りながら、僅かな眠りについた。
時折、どうしてもマリエルに会いに行きたい衝動に駆られたが、そんな時は周囲が全力で止めてくれた。
毎日指折り数えて過ごし、ようやく夜会の前日となった。俺はいつもの通り、療養室で横になった。
明日だ……明日、マリエルは戻って来る。
必ず戻って来ると思う反面、言いようのない不安に襲われる。もしマリエルを失うことになったらどうしようと恐ろしくて、目を瞑った。一筋、目尻から涙が流れるのを感じた。
目を瞑り、マリエルの笑顔を思い出す。
大丈夫……大丈夫だ……
マリエルに会いたい。
今すぐ強く……強く抱きしめたい。
俺はいつの間にか眠りについていた。
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