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第六章
6-10
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「みんな、元気でね。屋敷をよろしくお願いします」
「はい、かしこまりました」
私の呼びかけにパデルが毅然と応える。
王都から発つ日がやってきた。アヴィス様と私は、これから公爵領の屋敷で主に過ごすことになる。今後、王都の屋敷にやってくるのは、王室から呼び出しを受けた時や、大規模なパーティの時など、年に数回となるだろう。
正直に言えば、王都の屋敷の皆と離れるのはすごく寂しいけど、アヴィス様が宰相を辞めた今、王都にいる必要はない。社交界や、経済界を掌握したいというなら別だけれど、私にもアヴィス様にもそのような気持ちはまるでなかった。
それより宰相を続ければ、それだけアヴィス様のギフトが周囲にばれる可能性が高くなる。それだけは絶対に避けなければならないから、公爵領に引きこもることには何の異論もなかった。ただ仲良くなった皆と離れるのは寂しい。特に……シャシャと離れるのは寂しかった。
馬車に乗り、窓から最後の挨拶を交わす。
「奥様っ! 公爵領はここより寒いので、どうかどうか身体にお気をつけて! 奥様のお世話に関することは全てノートに纏め、公爵領の侍女長にお伝えしてありますが、困ったことがあれば、いつでもこのシャシャにご連絡くださいませ!」
涙を目にいっぱい溜めて、最後の最後まで私の身を案じる彼女に胸の奥が熱くなる。
「ありがとう、シャシャ。本当にありがとう。時々こちらにも戻るからね、シャシャも身体に気を付けてね」
「ありがとうございます……っ、ありがとうございます……、うぅっ」
とうとう耐えきれなくなったシャシャは、ファルコの胸で泣きだしてしまう。ファルコはシャシャの肩を抱きながら、言った。
「旦那様、奥様、申し訳ございません。こいつ、本当に奥様が大好きで、お仕えできて毎日すごく楽しそうだったんで……今日は涙を堪えられなかったみたいです」
そう言うファルコも目の下を赤くしている。そんな二人を見ていると、こちらまで涙腺が緩む。
「おくさま、元気でねっ!」
サリーはいつもの笑顔で見送ってくれる。
アヴィス様も窓から顔を見せ、三人に声を掛ける。
「ファルコも、シャシャも、サリーも……今まで私が留守の間、メロディアを守り、励ましてくれ、ありがとう。これからは私が隣でメロディアを守るから、どうか安心してくれ」
「旦那様も、どうかお身体に気を付けてください。次に戻られる時まで料理の腕を磨いておきます」
「あぁ、楽しみにしている」
アヴィス様の言葉に一瞬驚いたようなファルコだったが、すぐさま「任せてください!」と嬉しそうに笑った。
「じゃあ、そろそろ行こうか?」
「はい」
屋敷の皆に見送られて、公爵領へ向けて馬車は出発した。皆の姿がすっかり見えなくなり、より寂しさがこみ上げてくる。公爵領を離れたくないわけじゃないのに、寂しさで涙が零れてしまいそうだった。
その時、目の前に真っ白なハンカチが差し出される。
「ほら」
「ありがとう、ございます」
私はそれを使って、涙を拭った。ハンカチから微かに感じられるアヴィス様の匂いで、少し気持ちが落ち着いた。
「やっぱり……王都を離れるのは寂しいか?」
アヴィス様が窓の外を見ながら、私に尋ねる。以前なら少し寂しく思うところだけど、もう今は分かる。自分のせいで王都を離れることになったことに負い目を感じているのだろう。
私はアヴィス様の隣に移動しようとする。よろけて、彼が大きく手を伸ばし、胸にポスンと収まった。
「動いてるときに立つな、危ないだろ!」
「でも、アヴィス様が受け止めてくれると思ってました」
「はぁ。でも、危ないことはやめてくれ。メロディアに何かあったらと思うと気が気じゃない」
「ごめんなさい」
私はアヴィス様の隣に座り直し、腕を絡ませて、その肩に頭を預けた。
「私……王都を離れるのは、全然寂しくないですよ。確かにシャシャたちと離れるのは寂しいけど……これからのワクワクのほうがいっぱいです」
「本当か?」
アヴィス様が私の顔を見てくれる。私は彼の腕にすりっと顔を擦りつけた。
「はい。公爵領の屋敷の皆さんとも早く仲良くなりたいですし、公爵領の皆さんにもしっかり回って挨拶したいです。公爵領は雪も降るから初めての雪も見てみたいし、屋敷には畑もあるって聞いたので、野菜とか育ててみたいと思っています」
「花とかじゃないのか?」
「うーん……だってアヴィス様、お野菜嫌いでしょう?」
上目遣いでそう尋ねれば、彼が気まずそうに目線を逸らす。
「……そんなこともない」
「嘘ですね。いつもしれっとお野菜残してますもん」
「いいだろ別に。大体それと野菜を育てることに何の関係があるんだ」
「私が一生懸命育てた野菜なら、アヴィス様、食べてくれるかなって」
「……どうかな」
そこは食べるって言ってくれてもいいのに!
「ひどいです! こうなったら、絶対食べてもらいますからね!」
「メロディアの野菜作りの腕に期待だな」
私たちはそんなくだらない話をしながらも、公爵領へ向かう。馬車で三日の公爵領への道のりは、全く退屈しなさそう。ずっと話していなかった私たちには話さなきゃいけないことがたくさんあるから。
ずっと小さい頃から一緒だったのに、たくさんたくさん回り道をした。好きだから言えなくて……好きだから近寄れなくて……苦しい時期もあったけど、今こうやって笑い合えることがすごく幸せ……
話している最中、ふと手元に目を落とすと、先ほどアヴィス様が渡してくれたハンカチの刺繍に気付く。
「あれ……この、刺繍……」
指先でその刺繍をなぞれば、その上からアヴィス様の指先も重なった。
「そう、メロディアがいつかしてくれた刺繍だろ」
「でも、これは……」
それは、私が約一年前に手紙に同封してアヴィス様へ贈ったハンカチだった。でも、私の手紙や差し入れが彼に届かなくなった頃の物だったから、てっきりクライ伯爵に処分されているものかと思っていた。
「手紙に同封してくれていた手作りの品が忘れられたように伯爵の執務机の奥にあったんだ。刺繍のハンカチや、花の栞とか、手作りのポプリなんかもあった。これは、メロディアが私のために刺してくれた刺繍だろ? 端に『アヴィ』とある」
この刺繍を刺した時のことを思い出す。アヴィス様のことを想いながら、一針一針丁寧に刺した。けれど、パーティで見かけても、私には目もくれないことで不安になっていて……そんな自分を励ますように刺した刺繍。あの時の私に今はこんなに幸せだよって伝えてあげたかった。
「……嬉しい」
「私もだよ。クライ伯爵の机を捜索して、このハンカチを見つけた時、私がどれだけ嬉しかったか……。ここに刺されている紫のアネモネ……」
アヴィス様が愛おしそうに刺繍を撫でる。
「花言葉は……『あなたを信じて待つ』だろう?」
そう言われて、あの頃の気持ちを鮮明に思い出して、涙が溢れて止まらなかった。
毎日不安だった。アヴィス様との約束を信じたいのに、手紙も返ってこなくなって、私はアヴィス様の邪魔にしかなっていないんじゃないかって思っていた。家族からも別の婚約者を探してみたらどうかと打診されて、全員が敵に思えて……
嗚咽を漏らしながら泣く私をアヴィス様は抱きしめてくれた。
「……辛い思いをさせて、すまなかった。弱く、臆病な私を待っていてくれて、ありがとう。……ずっと、メロディアが私を諦めないでいてくれたから、こうやって再び想いを通じ合わせることができた。メロディアの想いにこれからは全力で応えると誓うよ。愛してる、メロディア」
馬車の中で泣く私にアヴィス様は何度も愛の言葉をくれた。
諦めないで良かった。逃げ出さないで良かった。
新しい生活が始まる。初めての土地には、たくさんの初めての出会いが待っていることだろう。もしかしたら、時に大きな困難が襲い来る時があるかもしれないけれど……これからはアヴィス様と二人だもの。きっとより強く一歩一歩、歩いていける。この先もずっと、アヴィス様を想う気持ちで私は強くなれる。
揺れる馬車に潮風の香が漂ってくる。心が晴れ晴れとするようなその香りは、私たちの新しい旅立ちを祝福してくれているようだった。
♪ ♪ ♪
こちらで本編は完結となります!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
まだ少しだけ番外編が続きますので、そちらもお付き合いいただければ嬉しいです!
「はい、かしこまりました」
私の呼びかけにパデルが毅然と応える。
王都から発つ日がやってきた。アヴィス様と私は、これから公爵領の屋敷で主に過ごすことになる。今後、王都の屋敷にやってくるのは、王室から呼び出しを受けた時や、大規模なパーティの時など、年に数回となるだろう。
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それより宰相を続ければ、それだけアヴィス様のギフトが周囲にばれる可能性が高くなる。それだけは絶対に避けなければならないから、公爵領に引きこもることには何の異論もなかった。ただ仲良くなった皆と離れるのは寂しい。特に……シャシャと離れるのは寂しかった。
馬車に乗り、窓から最後の挨拶を交わす。
「奥様っ! 公爵領はここより寒いので、どうかどうか身体にお気をつけて! 奥様のお世話に関することは全てノートに纏め、公爵領の侍女長にお伝えしてありますが、困ったことがあれば、いつでもこのシャシャにご連絡くださいませ!」
涙を目にいっぱい溜めて、最後の最後まで私の身を案じる彼女に胸の奥が熱くなる。
「ありがとう、シャシャ。本当にありがとう。時々こちらにも戻るからね、シャシャも身体に気を付けてね」
「ありがとうございます……っ、ありがとうございます……、うぅっ」
とうとう耐えきれなくなったシャシャは、ファルコの胸で泣きだしてしまう。ファルコはシャシャの肩を抱きながら、言った。
「旦那様、奥様、申し訳ございません。こいつ、本当に奥様が大好きで、お仕えできて毎日すごく楽しそうだったんで……今日は涙を堪えられなかったみたいです」
そう言うファルコも目の下を赤くしている。そんな二人を見ていると、こちらまで涙腺が緩む。
「おくさま、元気でねっ!」
サリーはいつもの笑顔で見送ってくれる。
アヴィス様も窓から顔を見せ、三人に声を掛ける。
「ファルコも、シャシャも、サリーも……今まで私が留守の間、メロディアを守り、励ましてくれ、ありがとう。これからは私が隣でメロディアを守るから、どうか安心してくれ」
「旦那様も、どうかお身体に気を付けてください。次に戻られる時まで料理の腕を磨いておきます」
「あぁ、楽しみにしている」
アヴィス様の言葉に一瞬驚いたようなファルコだったが、すぐさま「任せてください!」と嬉しそうに笑った。
「じゃあ、そろそろ行こうか?」
「はい」
屋敷の皆に見送られて、公爵領へ向けて馬車は出発した。皆の姿がすっかり見えなくなり、より寂しさがこみ上げてくる。公爵領を離れたくないわけじゃないのに、寂しさで涙が零れてしまいそうだった。
その時、目の前に真っ白なハンカチが差し出される。
「ほら」
「ありがとう、ございます」
私はそれを使って、涙を拭った。ハンカチから微かに感じられるアヴィス様の匂いで、少し気持ちが落ち着いた。
「やっぱり……王都を離れるのは寂しいか?」
アヴィス様が窓の外を見ながら、私に尋ねる。以前なら少し寂しく思うところだけど、もう今は分かる。自分のせいで王都を離れることになったことに負い目を感じているのだろう。
私はアヴィス様の隣に移動しようとする。よろけて、彼が大きく手を伸ばし、胸にポスンと収まった。
「動いてるときに立つな、危ないだろ!」
「でも、アヴィス様が受け止めてくれると思ってました」
「はぁ。でも、危ないことはやめてくれ。メロディアに何かあったらと思うと気が気じゃない」
「ごめんなさい」
私はアヴィス様の隣に座り直し、腕を絡ませて、その肩に頭を預けた。
「私……王都を離れるのは、全然寂しくないですよ。確かにシャシャたちと離れるのは寂しいけど……これからのワクワクのほうがいっぱいです」
「本当か?」
アヴィス様が私の顔を見てくれる。私は彼の腕にすりっと顔を擦りつけた。
「はい。公爵領の屋敷の皆さんとも早く仲良くなりたいですし、公爵領の皆さんにもしっかり回って挨拶したいです。公爵領は雪も降るから初めての雪も見てみたいし、屋敷には畑もあるって聞いたので、野菜とか育ててみたいと思っています」
「花とかじゃないのか?」
「うーん……だってアヴィス様、お野菜嫌いでしょう?」
上目遣いでそう尋ねれば、彼が気まずそうに目線を逸らす。
「……そんなこともない」
「嘘ですね。いつもしれっとお野菜残してますもん」
「いいだろ別に。大体それと野菜を育てることに何の関係があるんだ」
「私が一生懸命育てた野菜なら、アヴィス様、食べてくれるかなって」
「……どうかな」
そこは食べるって言ってくれてもいいのに!
「ひどいです! こうなったら、絶対食べてもらいますからね!」
「メロディアの野菜作りの腕に期待だな」
私たちはそんなくだらない話をしながらも、公爵領へ向かう。馬車で三日の公爵領への道のりは、全く退屈しなさそう。ずっと話していなかった私たちには話さなきゃいけないことがたくさんあるから。
ずっと小さい頃から一緒だったのに、たくさんたくさん回り道をした。好きだから言えなくて……好きだから近寄れなくて……苦しい時期もあったけど、今こうやって笑い合えることがすごく幸せ……
話している最中、ふと手元に目を落とすと、先ほどアヴィス様が渡してくれたハンカチの刺繍に気付く。
「あれ……この、刺繍……」
指先でその刺繍をなぞれば、その上からアヴィス様の指先も重なった。
「そう、メロディアがいつかしてくれた刺繍だろ」
「でも、これは……」
それは、私が約一年前に手紙に同封してアヴィス様へ贈ったハンカチだった。でも、私の手紙や差し入れが彼に届かなくなった頃の物だったから、てっきりクライ伯爵に処分されているものかと思っていた。
「手紙に同封してくれていた手作りの品が忘れられたように伯爵の執務机の奥にあったんだ。刺繍のハンカチや、花の栞とか、手作りのポプリなんかもあった。これは、メロディアが私のために刺してくれた刺繍だろ? 端に『アヴィ』とある」
この刺繍を刺した時のことを思い出す。アヴィス様のことを想いながら、一針一針丁寧に刺した。けれど、パーティで見かけても、私には目もくれないことで不安になっていて……そんな自分を励ますように刺した刺繍。あの時の私に今はこんなに幸せだよって伝えてあげたかった。
「……嬉しい」
「私もだよ。クライ伯爵の机を捜索して、このハンカチを見つけた時、私がどれだけ嬉しかったか……。ここに刺されている紫のアネモネ……」
アヴィス様が愛おしそうに刺繍を撫でる。
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そう言われて、あの頃の気持ちを鮮明に思い出して、涙が溢れて止まらなかった。
毎日不安だった。アヴィス様との約束を信じたいのに、手紙も返ってこなくなって、私はアヴィス様の邪魔にしかなっていないんじゃないかって思っていた。家族からも別の婚約者を探してみたらどうかと打診されて、全員が敵に思えて……
嗚咽を漏らしながら泣く私をアヴィス様は抱きしめてくれた。
「……辛い思いをさせて、すまなかった。弱く、臆病な私を待っていてくれて、ありがとう。……ずっと、メロディアが私を諦めないでいてくれたから、こうやって再び想いを通じ合わせることができた。メロディアの想いにこれからは全力で応えると誓うよ。愛してる、メロディア」
馬車の中で泣く私にアヴィス様は何度も愛の言葉をくれた。
諦めないで良かった。逃げ出さないで良かった。
新しい生活が始まる。初めての土地には、たくさんの初めての出会いが待っていることだろう。もしかしたら、時に大きな困難が襲い来る時があるかもしれないけれど……これからはアヴィス様と二人だもの。きっとより強く一歩一歩、歩いていける。この先もずっと、アヴィス様を想う気持ちで私は強くなれる。
揺れる馬車に潮風の香が漂ってくる。心が晴れ晴れとするようなその香りは、私たちの新しい旅立ちを祝福してくれているようだった。
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