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第三章

3-10♡

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 パデルの足音が遠ざかっていく。すると、アヴィス様は私のことをぎゅうっとより強く抱きしめた。

 「…………至急の仕事が入った。行かなくてはならない……本当にすまない。しかも、暫くは帰れないかもしれない」

 ようやく正直な気持ちを打ち明けられたのに、また会えなくなるなんて。でも、仕事なんだから仕方ないわよね……。私は気持ちをぐっと飲みこんだ。

 「仕方ないですわ。私は宰相の妻ですもの」

 「……あまり聞き分けの良いふりをするな。寂しくなる」

 呟くようなその声に、胸がぐっと熱くなる。

 離れがたいと思っているのは私だけじゃないんだ……
 なら、我儘を言ってもいいのかな?

 新緑の瞳をじっと見つめれば、まだその瞳にも熱が宿っているような気がして……私は、普段じゃとても言えないような願いを口にしていた。

 「なら…………今、抱いてくれませんか……?」

 アヴィス様が息を呑むのが分かった。

 はしたないと思われているかもしれない。軽蔑されたかもしれない。私は彼の瞳をそれ以上見ているのが怖くて、フッと目を逸らした。

 「ご、ごめんなさ――……んっ」

 気付けば、私の唇はアヴィス様に奪われていて。彼の舌は私の唾液を全て舐めつくすかのように、口内を犯していく。

 「んっ……ふぁっ……。アヴィス、さまぁ……」

 「はぁっ……時間がない。優しく、抱いてやれないかもしれない」

 「それでもいいから……っ」

 私たちは再び唇を重ねた。彼の首に腕を回す。彼の手は私の腰を支えながら、片方の手を胸に這わせた。その手がネグリジェの胸元をぐっと下げると、私の右胸がぽろんとまろび出た。

 彼はキスをやめることなく、右胸を弄る。その重さを確かめるように下から持ち上げると強く揉みしだかれる。いつもより余裕のないその愛撫が、強く求められているようでただただ嬉しくて。彼の指がくりくりと痛いくらいに頂を刺激してきて、私は感じるがままに嬌声を上げた。

 「あぁんっ! アヴィス、さまぁ。あっ」

 硬いアヴィス様のモノがお腹に押し付けられていた。それが膣内に欲しくて、お腹の奥が締め付けられるように痛い。蜜口は触られてもいないのに、もうよだれを垂らしていた。

 アヴィス様の手がシュルっと紐を解き、愛液で濡れたパンティを取り去る。彼は近くの壁に私の背を押し付け、私の片足を上げた。そして、肉棒を蜜口に添える。んちゅっという音とともに私と彼の粘液が接触する。嬉しくて、私の蜜口が彼の先端に吸い付いた。

 「ふぅっ……もし、痛かったら、言ってくれ」

 「いいから……ぁん、早くきてぇ……」

 「くそ、期待しすぎだ……っ」

 ぐぐっと肉棒が挿入される。愛撫なんかしてなくても十分に濡れたそこは、彼を喜んで迎え入れた。いつもは私の顔色を見ながら慎重に行為を進めていく彼だけど、今日は違った。最初から快楽を貪るように、激しく腰を振る。

 目の前にいつものクールな宰相はいなかった。目の前にいるのは、ひたすらに私を求めるただのアヴィス様。それが嬉しくて、私は一段と彼に絡みつく。身体全部で彼を感じていたくて、身体を密着させれば、私の胸もアヴィス様の胸に潰されて刺激になって……全身が溶けてしまいそうだった。

 「あっ、アヴィスさまっ! ふっ……あっ、あああん!」

 「メロディアっ、どれだけ濡らして……くっ」

 アヴィス様の指摘の通り、すごく濡らしているみたいで、結合部からはじゅぷじゅぷと淫らな音が聴こえる。それさえも気持ち良さに変換されてしまう。

 「ひゃっ、あ、らって……アヴィスさまのこと、かんがえると……あぁっ!」

 「変態」

 彼に耳元でそう囁かれた瞬間、びりりっと身体に電流が走ったようだった。

 「あ、やっ……ああああっ!」

 「そんなに締めるとっ…………うっ!」

 私が膣内を締め付けると、アヴィス様の子種が吐き出される。熱くて、身体が灼けそうだった。

 私は身体を弛緩させて、彼にもたれかかる。彼が膣内から肉棒を引き抜くと、ぼたたっと膣内から大量の液体が床に落ちた。

 すごく気持ち良かった。優しく抱いてやれないなんて言っていたけど、アヴィス様は痛いことなんて何一つしなかった。身体の全部が気持ち良くて、心地よい充足感に包まれている。

 「アヴィスさま……ありが――……!?」

 顔を上げて、御礼を言おうとしたその時、私は身体をぐるっと回され、壁に手を付いていた。後ろからアヴィス様が腰を支えている。ま、まさか……

 「まだだ。足りない」

 「やっ……ぁ、あぁ、らめぇっ。時間が……っ!!」

 後ろからアヴィス様の肉棒が再び挿入ってきた。先ほどイったばかりの身体には大きすぎる快感で、目の前がチカチカする。

 「綺麗だ」

 アヴィス様は私の背中にキスを落とす。

 「ひっ、やっ……はぁああんっ!」

 アヴィス様は後ろからガンガンと突いてくる。いつもとは違う場所に当たって、身体がおかしい。

 「あっ、ひぃんっ! やっ、らっ……あっ、ああっ!」

 「は……っ。すごい、締まる」

 「そっ、んなのっ……はぁっ、し、しらないぃ!」

 すると、するっとアヴィス様の手がお腹に回された。

 「ここが好きか?」

 「やぁっ……あ、あ、あ、らめぇ!!」

 アヴィス様の肉棒が膣内で刺激する場所を外側からもぐっと押されて、息が苦しいほどの快感が身体を貫く。それでも、彼は止まってくれなくて、私の身体をどんどんと浸食していく。もう快感を貪ることしか考えられなくて、でもこれ以上気持ち良くなるのも怖くて、私はずりずりと身体の位置をずらそうとしたけど――

 「逃げるな」

 彼が私の腰をぐっと掴み、彼の大きな肉棒が私の膣内全部を刺激しながら、抽送を繰り返す。そして、肉棒で先ほどの弱い部分をぐりっと抉った。何度も何度も、執拗に。

 もう、限界だった。与えられる大きすぎる快感に私は飲み込まれた。

 「や、もっ……むりぃっ……! やっ、あぁあああっー!!」

 頭が真っ白になると同時に、股の間からぷしゅぷしゅと液体が弾けた。

 「ぅ……はぁっ……」

 アヴィス様も小さく唸って、動きを止めた。彼が私を後ろから抱きしめてくれる。

 先ほどと同じようにお腹に優しく手を這わすと、今度は労わるように撫でてくれた。けれども、それさえもまだ気持ち良さに変換されてしまって。

 「んっ……は……」

 熱い吐息と共に小さな声を漏らせば、後ろを向かされて、彼の舌が私の舌を捕らえた。ただ口を開けて、舌だけを絡める。頭の芯まで気持ち良さが支配する。

 「アヴィス……さま……」

 「メロディア……」

 キスの後、私の膣内のアヴィス様がまた固くなった気がしたが、彼はそれを引き抜いた。ぼたたっと床にはもう一つ白い水たまりができる。

 アヴィス様は私を抱きかかえて、ベッドに運んでくれた。

 「……行ってくる」

 「いってらっしゃいませ……」

 アヴィス様は私の額にキスを一つ落として、部屋を出て行った。私は彼のベッドでやわらかなその匂いに包まれながら、眠りに落ちて行った。
  



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