癒しの花嫁は幼馴染の冷徹宰相の執愛を知る

はるみさ

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第二章

2-13♡

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 アヴィス様はベッドに入ると、片側を私が入りやすいように毛布を上げてくれる。

 本当に、先に進んでくれるの……? 歩みを進めるが、同時に今からキス以上のことをするかもしれないと思うと、緊張して足が重くなる。それでも、ベッドまでの距離なんてあっという間で、促されるままにベッドに滑り込んだ。

 「失礼、します……」

 どうにも恥ずかしくて、背中を彼に向けるようにしてベッドの端に横になる。すると、後ろから腕が伸びてきて、私をぐっと引き寄せた。後ろから抱きしめられ、彼の身体の熱さがじわじわと背中から伝わってくる。

 「もっと近くに来ないと、触れられないだろう」

 アヴィス様はそう言うと、ちゅっ……と私の首筋にキスを落とした。唇以外に初めて感じる彼の唇は、すごく熱い。繰り返し、軽いキスをちゅっちゅっと落としながら、彼の手も私の身体を這っていた。

 片方の手で胸を揉みしだきながら、もう片方はお腹をそっと撫でる。また焦らされているようで、腰が揺れる。

 「もぅ……我慢できないんです……」

 潤む瞳のまま、アヴィス様のほうを振り返ると、彼は情熱的なキスをくれた。私の口内にねじ込まれた彼の舌は優しくねっとりと私の舌を味わっていく。溶けそうなキスをする最中、彼の手が私の腰を撫でる。

 私はネグリジェの下に横が紐で結ばれた下着を履いていた。これは私たちの情事を信じている侍女たちが用意してくれたもので、あまりにも心もとないデザインに最初は断ったのだが「こちらのほうが旦那様も喜びますよ」と言われ、断り切れず身に着けたものだった。紐パンと侍女たちが呼ぶもので、今貴婦人の間で流行っているらしいが、少し大胆過ぎたかもしれない。

 けれど、アヴィス様は一瞬手を止めただけで何も言わず、スッと紐の結び目を解いた。ようやくアヴィス様に触ってもらえるんだ……そう思ったら、嬉しくて、私は嬉々として彼の舌に舌を擦り合わせた。

 キスをしながらも彼の手が腰から下腹部をなぞって、私の秘部に伸びていく。彼の指が私の蜜口に触れた時、彼が笑った気がした。

 「すごい濡れてる」

 そう……分かっていたけど、アヴィス様に言われると恥ずかしい。触ってもいないのに、キスをして、自慰を見て、一人でこんなに濡らしていただなんて。

 「い、言わないで……」

 「これは確かに辛そうだな」

 「はぁんっ!」

 アヴィス様は既に勃ち上がった私の秘芽を潰すように押し込んだ。急に訪れた強すぎる刺激に身体が跳ねる。

 「悦い反応だ」

 「あんっ……だめ、そこ、やぁっ! 手、止めてぇ!!」

 「メロディアが頼んできたんだろう」

 秘芽を押し込むように前後にクイクイと細かく彼の指が動く。その間も必死に息をしようと口を開ければ彼の舌がねじ込まれるし、絶え間なく胸を揉みしだかれる。秘芽から広がっていく痛いくらいの快感が身体に広がり、胸や口内の気持ち良さを助長して、大きな波にさらわれそう……

 私のかたくなった秘芽は、アヴィス様に扱かれている。その動きが徐々に早くなっていく。

 「あっ、ひっ……だめだめだめっ! あっ、やぁ……またっ、わたし! 」

 快楽の波に飲み込まれ、二度目の絶頂を経験した身体は、大きく震えた。

 私の熱い息遣いだけが部屋に響く。アヴィス様は少し身体を離して、私の身体に軽く手を添えるだけで何もしなかった。そして、ようやく私の呼吸が整ってきたところで、声を掛けてくれる。私はアヴィス様の方に身体を向けた。

 「どうだ? 身体は落ち着いたか?」

 「はい……でも……」

 「他にも何かあるのか?」

 お腹の奥が切なかったけど……そこまでは言えない。

 「……今夜はまだアヴィス様と一緒にいたい、です」

 「一緒に……」

 アヴィス様の表情が強張り、返答はない。やっぱり嫌みたい。

 「ごめんなさい、我儘言いすぎましたね。あはは……」

 そうは言っても悲しいものは悲しくて。アヴィス様の顔を見ていたら、泣いてしまいそうで、私は再び背を向けた。

 「じゃあ、部屋に戻りますね。……ありがとうございました」

 片足をそっとベッドから出した。もう片方の足も出そうとした時に、ぐっと腕を掴まれた。

 「情けない話をするから、振り返らずに聞いてほしい」

 アヴィス様が一旦何を話すのか見当もつかないが、私は彼に背を向けたまま、話を聞くことにした。

 「私は……別にメロディアを追い出したかったわけでも、一緒にいたくなかったわけでもない」

 「え……?」

 「今だってこのまま抱きしめて、一緒にいたいと思っているが……」

 信じられない。アヴィス様がそんな風に思ってくれているなんて。でも、それの何が問題だというのだろうか?

 アヴィス様が意を決したように息を呑む音がした。

 「……これ以上、先に進むのが怖い。メロディアの身体が最優先なのに、これ以上のことをすれば欲ばかりが先行して、自分が制御できなくなりそうで」

 「制御……」

 「呆れただろう。失うことが怖くて踏み出せないと思えば、今度は自分が制御できなくて怖いなど……」

 「ううん、嬉しかったです」

 私がアヴィスの方に身体を向けると、僅かに彼の身体がびくっとする。私は微笑みながら本心を伝えた。

 「だって、踏み出せないのも、制御できなくて怖いのも、きっとそれだけ私のことを大事に想ってくれているからだと思うから。それにもっとって思ってるのは私だけじゃなかったから。さっき言えなかったけど……私も全然足りない。もっとアヴィス様が欲しくて、お腹の奥がきゅうってするの」

 アヴィス様の頬に手を伸ばす。

 「やめろ、駄目だ」

 「駄目じゃない。絶対大丈夫。子供の頃からずっと、アヴィス様は私を一番に考えてくれるから。でしょう?」

 私が首を傾げて、そう尋ねると、アヴィス様は眉間に皺を寄せた。しかし、真剣な表情になって、私を見つめた。 

 「……身体に異変があったら、すぐに教えろ。私を蹴っても、噛みついても構わないから」

 「分かってます」

 「怖くなった時も言うんだぞ。前回、怯えてただろう?」

 「前回はあんなに大きいと思ってなかったからで、今は覚悟できてます……!」

 アヴィス様の表情がフッと柔らかくなる。他の人から見たら僅かな変化だけど、私には分かった。そこに幼い頃の彼が垣間見れた気がして、その可愛らしさにお腹がまた疼く。

 「ねぇ、アヴィス様……近寄ってもいいですか?」

 「あぁ」





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