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幼馴染×野外
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「あっ……ふぅ、いい……」
静かな森の中にクチュクチュと水音が響いていた。
脚の間に手を忍ばせ、そこを指先で擦れば、ビリビリとした快感が身体に走る。
「はぁ……んっ。もっと……もっと……」
私は下着をずらして、ぐちゃぐちゃに濡れたそこを露わにした。前のボタンも外し、普段はしっかりと隠した乳房を取り出す。
野外にも関わらず、乳房をさらけだし、大股を広げて、自慰をするなんてまずい、と頭の片隅で思ってはいるが……止められない。
どうせここには誰も来ない。
こんな痴態を誰にも見られることなどない。
そうやって自分に言い訳をして、ますます慰める指を早くする。
すぅ、と森の涼しい風が私の陰部を撫でるが、それさえも気持ち良くて、身体が震える。
「あっ……はっ……あぁ!」
もう夢中だった。目を閉じて、もしこの姿を見られたら……と想像すれば、また愛液がじゅんっと溢れた。本当の私は変態で、実は見てほしいのかもしれない。
『すごいな……エロすぎ……』
そう……そんなことを言いながら、彼が私を熱い瞳で見つめる。
私は羞恥心を感じながらも、指を止めることが出来ない。
「あっ、いや。見ちゃだめぇ……」
『そんなこと言って、見られて喜んでるでしょ。愛液が滴り落ちてる……可愛くイくとこ、見せてよ』
妄想なのに、その低い声はとてもセクシーで。どことなく、もう会えない彼の声によく似ている気がした。
「あっ、あっ、ユニ……。わたし、イっちゃうっ!!!」
ビクビクっと身体を震わせ、私は絶頂を迎えた。上を見上げれば、青々と繁った葉の間から、綺麗な青空が見える。
本当に綺麗な、青。
……それにしても、なんだか今日は特別気持ちよかった。心地の良い声と刺さるような視線……私の妄想も笑えない域に達してしまった。
自分に呆れながらも、まだ熱い身体を後ろに倒そうとしたーー
その時、温かく柔らかいものに包まれた。
「へ?」
後ろを向くと、そこには信じられない人がいた。
「ーーーーっ!! う、うそ……」
「ただいま、リア♪」
私を抱きしめたのは、私の幼馴染であるユニだった。
焦茶色の髪に、長いまつ毛にあるのは青空のような大きな瞳。そして、左目下の泣きぼくろ。長いこと会っていなかったけど、彼は確かに幼い頃のユニの面影を残していた。けど……彼がここにいることが信じられない。
「な、なんで……ここに……」
「なんでって……ここは僕とリア、二人だけの秘密基地だろ?」
七年前に村を出て行った私の幼馴染は、そう言ってとても嬉しそうに笑った。
◆ ◇ ◆
私は、リーリア。国の外れの小さな村に住む平凡な娘。
とは言え、親はこの村の村長だ。
現在、この国での結婚適齢期を過ぎた二十三歳。お年寄りが多いこの村では、まだまだ若いと言われる私の労働力は不可欠だ。薪割りから始まり、害虫退治までその仕事は多岐に渡る。普通ならそんなのは男の仕事だと言われそうだが、この村には男手がいない。みな、家族を残して大きな街まで出稼ぎに行くか、この村を出て行くからだ。
それに加え、十代後半くらいになると女性は良い条件の結婚相手を探して、村を出て行ってしまう。村を出ていけないのは、村長の娘である私くらいだ。あっという間に結婚適齢期は通り過ぎてしまった。それでも、私を頼る多くの人がいるのに、村を出ていくなんて出来なかった。最近では父も足を悪くしたので、すっかり出ていくことは諦めた。
別に村が嫌いなわけじゃない。村のみんなは優しいし、みんなに頼られるのも、みんなを笑顔にできる力が自分にあるのも嬉しい。
だけど……みんなに頼られる働き者で、いい子のリーリアでいるのも疲れるわけで……
そんな私が見つけたストレス解消方が先の方法だった。
なのにーー
その現場をよりによってユニに見られるなんて……!
大体七年も前に村を出て行ったユニが何故ここに?
そこでハッと自分の状態に気づく。胸は露わになっているし、下着も丸見えだ。私は慌てて乱れた服をかき集めるようにして、身体を隠した。もちろん彼の顔を見る余裕なんてない。恥ずかしさで頭が爆発しそうだ。
それなのに、彼は私から離れる様子はなく、やたらと機嫌が良さそうに後ろから抱きしめてくる。それどころか、私は気まずくて目も合わせられないというのに、顔を覗き込んで来る。
もう私たちは七年前のような子供じゃないのに……
でも、久しぶりに感じるユニの温かさが懐かしくて、私はその腕から出れなかった。
「リア、久しぶりだね」
「……いつ、帰ってきたの」
「さっき。すぐにリアに会いたくて、村中探したのにどこにもいないから、ここかなって」
そう言って屈託のない笑みをこちらに向けるが、七年も顔を出さず、手紙もくれなかったのに、調子が良すぎる。私はムッとして、返事もせずに顔を背けた。
「……もしかして、リア怒ってる?」
チラッと横目で様子を伺えば、大きな瞳を潤ませていた。
犬が怒られたように耳を垂れる様にそっくり。昔からユニは怒られるとこんな顔をしてたっけ。
私は思わず吹き出してしまった。怒ってたはずなのに、変わらない彼の姿を見たら、怒っているのがバカらしくなってしまった。やっぱりユニは、甘えん坊で泣き虫のままだ。
私は、ようやくまともにユニの顔を見ることができた。
「もういいわ。少し怒ってたけど、男手がこの村を出ていくなんてユニに限ったことじゃないもの。で、どれくらい滞在できそうなの?」
「滞在? いや、僕は結婚のために帰って来たんだよ」
じわっと身体に嫌な汗が滲んだ。
きっとユニは、父様に結婚の承諾を得るために帰ってきたんだ……
ユニの両親は、彼が十四になった時に亡くなっている。だから、ユニの両親の親友でもあった父様がユニの保護者になった。この国では婚姻証明書に保護者のサインを書く欄がある。最近では、省略することも多いと聞くが、真面目なユニのことだから、きっとちゃんとサインを貰いにきたんだろう……お嫁さんになる人を連れて。
ユニの隣に可愛らしい女性が並ぶ姿を想像したとたん、呼吸が浅くなって、声に力が入らない。
……もうこれ以上、ユニと話したくない。話せない。一刻も早くこの場から逃げ出したい。
「そ、そうだったんだ! あの……じゃ、私行くね! あ、さっき見たのは忘れて!」
私は出来るだけ明るい声で、そう捲し立て、ユニの腕から抜け出し、立とうとした。
が、ユニは話してくれなかった。なんとか出ようともがくが、彼はより私を強く抱きしめるだけだった。
「離してよっ!」
「なんで逃げるの?」
……ユニにカッコ悪いところなんて見せたくないのに、なんで逃してくれないの? せめて、彼の結婚を笑顔で祝福して、幼馴染でいさせてほしいのにーー
「いやっ……」
「僕から逃げるなんて許さない」
ユニの声が低く響く。聞いたことのない大人の男性の声。
改めて、私をさっき視姦していたのがユニなんだと思い知る。
さっきのことを思い出すのは、恥ずかしくて情けなくて堪らないはずなのに、ユニの記憶にどんな姿でも私が残るんだと思うと嬉しいと思ってしまう。
でも、気持ちとは裏腹にポロポロと涙が溢れ出てしまった。
「うっ……はな、して……。おね、がい……」
ヒックヒックとしゃくり上げて泣く私をユニは、無理矢理引き寄せて、ぎゅっと抱きしめた。ユニの胸は温かい。
七年前は、同じ背丈だったはずなのに、ユニは私をすっぽり包めるほど大きくなっていた。
「リア……そんなに結婚が嫌?」
私は答えられなかった。
嫌と言えば、ユニが好きだと言うようなものだもの。
七年前の子供の頃の想い出を引きずっていることを悟られてしまえば、幼馴染という唯一の繋がりさえ崩れてしまうような気がした。
でも、嫌じゃない……とは、言えなかった。自分の気持ちをまるっと隠せるほど器用なタイプでもない。
ユニは、私の答えを待っていたようだけど、私は口を噤んだままだった。
痺れを切らした彼が大きく溜息を吐く。
その後に続く言葉が怖くて、身体が硬直するのが分かる。
「……リアが嫌でも諦める気なんてない。この言葉を伝えるために今日まで僕はがむしゃらに頑張ってきたんだから」
そう言ってユニは、私を解放すると、今度は私の目の前に跪いた。
意味が分からない。彼を見つめるが、涙でその姿が歪む。
身体も、声も、何もかもあの頃と違うのに、その瞳だけは変わってない。互いに見つめあっていたあの頃と……
「リア……。いっぱい待たせたけど、これからはずっとリアと一緒にいたい。もう片時だって離れたくない」
……どういう、こと? これは夢?
まるでプロポーズでもされてるみたいな……
いや、あり得ない。じゃなきゃ、何年も私を放置するはずないもの。
でも、なにか言葉を発したら、夢から覚めてしまうような気がして、私はユニの言葉の続きを待った。
「愛してる、リア。子供の頃から、ずっと、変わることなく君だけを」
彼が私の指先をそっと握った瞬間、熱い涙が頬を伝った。
その熱は、私にこれが夢ではないと教える。
何年も、何年も……願ってやまなかった。でも、ずっと前に諦めたはずの言葉が彼の口から紡がれる。
「結婚しよう、リア。もう僕は何もできない子供じゃない。これからは僕が、リアを、この村を守ってみせる」
ユニは、私の指先にキスを落とし、そっと中指に指輪を通した。
見たこともない色の宝石……ユニの瞳と同じ青空のような。
「ふっ……うぅ……っ。ユニのばかぁ~~!!」
うえーん!! と、子供のように上を向いて、私はただただ泣いた。最初は慌てふためいてたユニも私の涙が止まらないことが分かると、困ったように笑って私を抱きしめて、ただ黙って背中をさすってくれた。
◆ ◇ ◆
そして散々泣いた後、ようやく私は彼の胸で泣き止んだ。
「落ち着いた?」
「……うん」
涙は止まったけど、きっと酷い顔をしているはずだ。そんな顔をユニに見せたくなくて、私は彼の胸に顔を押し付ける。
「リアは、会わないうちに泣き虫になったな」
ポンポンと頭に手を置いてあやしてくれるユニの手が優しい。
「泣き虫はユニだもん。今のは驚いただけ」
「はいはい。そういうことにしとく」
二人でクスクス笑い合う。
あぁ……幸せだ。この腕の中にまた帰ってくることができたなんて。私がその幸福に浸っていると、なぜかユニが不安な声を頭上に落とした。
「……リアは、結婚したくない?」
そう問われて、先ほどの返事をしてないことに気付く。私はパッと顔を上げて、真っ直ぐに彼に告げた。
「したい! したいに決まってる!」
ユニはポカンと私を見ている。
なんで予想外みたいな顔をしてるの? この七年間、私がどんな思いでいたのかも知らないで!!
「七年前、『将来のために世界を学んでくるから待っててほしい』って言って出て行ったのに、三年前から全く手紙を寄越さないから、私のことなんて忘れちゃったんだと思ってたの! だから、結婚っていうのも私以外の人とするんだとーー」
「は? 手紙を寄越さなくなったのは、リアでしょ? 僕はリアへの手紙を欠かしたことなんてない! 返事がなくても、何度も何年も手紙を書き続けてたさ! リアは元々筆不精だし、忙しいんだと思って、返事がなくても我慢してたのに」
「嘘でしょ? この三年間は、手紙なんて届いたことないもの。ユニがどこにいるのか分からなければ、手紙なんて書けるはずないじゃない。……どんなに忙しくても、居場所くらい教えてくれたら良かったのに」
「…………え、本当に届いてないのか?」
「うん」
「本当の、本当に?」
「うん、間違いないわ」
うーん……とユニが唸り声を上げて考え込んでいる。
その様子からするに、ユニが嘘をついてるようには見えなかった。
「もしかして、本当にずっと手紙出してたの?」
ユニは、肩を落として、コクンと頷いた。
しょんぼりするその姿を見て、子供の頃を思い出す。私への誕生日プレゼントに花冠を作ったのに、翌朝には花が萎れてて、しょんぼりしてたユニと同じ。
胸がキュッとして、私はそっとユニの手を取った。
「私が受け取れてなかったのかも。疑ってごめん」
「ううん……返事がないことをおかしいと思わなかった僕にも原因はある。ごめん……でも、なんでーー」
「……あ」
「なんか心当たりあった?」
「あー、えーと……。ブルーノさんかも」
「ブルーノさんって言うと……郵便屋の?」
「うん……」
「ブルーノさんと、何かあったの?」
「えっと……。実は、私、ブルーノさんにずっと結婚してくれって、付き纏われてて……」
「は? ブルーノさんなんて、リアと二十は離れてるよね? ……大体あの人には奥さんがいたはずじゃーー」
「ブルーノさん、三年前に奥さんに離縁されちゃったのよ……。それで話を聞いてあげてたら、私に惚れたとか言って……」
ユニは口をポカンと開けたまま固まっている。
「わっ、私はユニが好きだったし、もちろん断ったよ?!
だけど、『手紙なんてそのうち来なくなる』って言われてから、ユニからの手紙が来なくなったような気がするというか……」
私の話を聞いていたユニが怒りで震え出した。相当キレているらしい。
「あのクソ野郎……っ!!」
……怒りでキャラが変わったのか、会わない期間に彼の本質が変わったのか分からないが、元々は温和なユニが見たこともない顔で怒っている。
そんな姿にも少しときめいてしまう自分がいるが、今はそれどころじゃない。彼を止めないと、今にでもブルーノさんのところへ行って殴りかかりそうな勢いだ。
「ユニ、落ち着いて! まだそうと決まったわけじゃないし!」
「いや、絶対そうだ! そうに決まってる! あのクソジジイ……昔からリアのことをジロジロみてると思ってたんだ。よくも……僕のリアに手を出そうとしてくれたな……っ」
僕のリア、だなんて……。その一言で、もうブルーノさんのことなんて、どうでもよくなってしまった。私は目の前でなんだか物騒なことを呟いている彼の頭を撫でた。
「リア?」
「ふふっ! そんなに怒らないで、もう今はブルーノさんのことなんて、どうでもいいよ。
それより……ユニに久しぶりに会えたことを実感させて。七年間、本当に長かったんだから……」
私はユニの頬に両手を添えた。二人で見つめ合うと、この世界には私達だけしかいないような気になる。
「リア……。たくさん待たせて、本当にごめん。これからはもう離れたりしない。愛してるよ」
「私も……。ユニが好き、ユニだけだよ」
どちらからともなく、私達は唇を重ねた。羽が触れるような優しい柔らかなキス。
幸せ……心がふわっと軽く温かくなる。胸がむずむずして、くすぐったい。
七年前、ユニを送り出したあの日もこうやってここで口づけをした。それが、私たちの最初で最後のキスだった。
でも、今、あの頃と同じように私たちはぎこちないキスをしていた。七年の時が経ったけど、私たちの気持ちは何一つ変わってない……そう実感できた。
唇を離して、瞳を見つめあえば、なんだか照れ臭い。私は熱い顔を隠すように俯いた。
「は、恥ずかしいね……」
「もっと恥ずかしいところ、見せてたくせに?」
その瞬間、ぐっと視点が変わって、気付けば私は押し倒されていた。
「ユニ……? ……んっ」
もう一度口づけが与えられる。
けれど、さっきのキスとは何もかも違った。
僅かな隙間からにゅるっとユニの舌が侵入してきて、私の舌を追いかけてくる。擦り合わせるように舌を動かされる。
上手く呼吸ができないせいか、頭が……身体が痺れていくようだった。でも、それは確かに快感のようで私は次第にそれに支配されていく。
ユニが私の唇を貪った後にようやく解放した。
「はぁ……はぁ……。ユニ、はげしいよぉ……」
私を見下げたユニは、唇をぺろっと舐めて、髪をかき上げた。その姿はやけに色気があって、まるでユニが違う人のように見える。
「そんなに全身火照らせて……すっかりえっちになっちゃったんだね」
「はぁ……っ、ユニが、あんなキス、するからでしょ。……えっち、だなんて……そ、そんなことない」
「さっきあんな姿を見せといて、説得力がないなぁ。七年前は……キスをするだけで精一杯だったくせに。……もう我慢しなくていいよね?」
「あっ、ユニ……」
ユニの手が私の胸を触った。その感触を確認するように何度も何度も胸を揉みしだく。
「あっ、ふぅっ……。んっ……」
「リアの胸、柔らかくて……すごく綺麗だ。
それに……美味しそう」
「え? やぁあんっ!」
次の瞬間、ユニが私のシャツを開くと乳首を口に咥えた。吸いながら舌先で乳首をコロコロと転がすように刺激する。反対側の乳首もキュッと優しく摘まれれば、その気持ちよさに声を上げずにはいられなかった。
私の口からは絶えず小さな嬌声が漏れる。
ユニは時々私の様子を確認するように顔を覗き込んでは、嬉しそうに笑って、私を乱れさせた。
「あ、やっ……ユニ! んんぅ……ひゃんっ」
「リアのおっぱい、美味しい。柔らかくて、甘くて、いつまでも舐めていられる」
ユニはそう言って再び私の胸に顔を埋めると、胸に滲んだ汗をペロッと舐めた。それだけなのに、私の背筋にはピリピリとした快感が走り、たまらなくなって私は身体をくねらせた。
「ユニ……、わたし、もう……っ。あぁん……」
「わかってる。……こっちに欲しいんでしょ?」
ユニは私の耳元で妖艶にそう囁くと、手を下腹部に滑らせた。そして、期待で濡れそぼった私のぬかるみに指を添えた。
「すっごい濡れてる。聴こえる? この音」
ユニは私の蜜口に指を浅く入れて、出し入れする。
静かな森林には私たちの心臓の音と、ぬちゃぬちゃ……という恥ずかしい水音が響く。
「あっ、ユニ、恥ずかしいっ、よぉ」
「大丈夫。リアの声も、身体も、びしょ濡れのここも全部可愛い。思いっきり乱れて?」
蜜口を出し入れするユニの指が早くなる。そして、同時に陰核も弾かれる。もう我慢できなかった。
「あっ、あっ、イく! イっちゃうっっ!! ユニっ!!」
「リア、好きだよ」
私はビクビクと身体をしならせて達した。今までに感じたこともない快感に頭がぼーっとする。散々、自分で慰めてきたが、誰かに……いや、ユニに触られるのがこんなにも嬉しくて、気持ちいいものだとは思ってなかった。
私が呼吸を整えている間、ユニの指は私の蜜口に挿入ったままだった。そして、ユニの口からは熱い吐息が漏れる。
「リアの膣内……僕の指をぎゅうぎゅう締め付けて……。めっちゃ、気持ち良さそう」
「そ、そんなこと……」
でも、そう言われたらなんだか嬉しくて、私の中はまた一段ユニの指を締め付けた。ユニがくすっと笑う。
「ほら。またギュッて。ねぇ……リアは指で満足?」
満足なんかじゃない。私はちらとユニのズボンに目をやった。ぱっと見て分かるくらいズボンの下でユニのあれが硬くなってるのが分かる。
ユニの手はまた私の身体を這いまわり始めた。私の身体にまた熱い火を灯すように……
「僕は、リアの膣内に入りたいよ。指じゃ届かない最奥まで突っ込んで、一つになりたい。リアの子宮を僕の精子で満たして、僕のことしか考えられないようにしちゃいたい」
私の肩に顔をうずめながら、ユニが熱いため息を吐く。身体の熱さから、その吐息の切なさから、彼がいかに私を求めているのかが分かる。何年も何年も待ち続けた彼が私を求めている。何を躊躇することがあるんだろうか……
私はユニの背中に腕を回した。
「うん。ユニ……ちょうだい。私の中をユニで染め上げて」
「リーリア……」
私にキスが落とされる。そのキスに酔いしれていると、蜜口に熱い熱いものがあてがわれた。
私は我慢できなくて、ひくひくと彼の肉棒を飲み込もうとするが、それは蜜口にキスをするようにピチャピチャと緩い接触を繰り返すだけで……
耐えきれなくなった私は涙目でユニに訴える。
「はやく、はやく来てよぅ……。もう待つのは十分だからぁ……っ!」
「ごめん、感動しちゃって。七年前はキスだけで震えてたリアが今はおまんこをヒクヒクさせながら、僕のおちんちんを欲しがっているなんて」
「だって、ユニがたくさん待たせるから……っ。もう我慢できないよぅ」
はしたない真似だと分かっているのに、私は蜜口をユニの肉棒に自分からこすり付けるように腰を揺らした。もうユニが欲しくてたまらない。未知の経験なのに怖さよりも、ユニが欲しいという気持ちの方が圧倒的に勝っていた。
そんな私の様子を見たからなのか、ユニが少し声を低くして、ありえないことを言った。
「……ねぇ、まさかと思うけど、ここは誰にも許してないよね?」
「……っ! じゃあ、ユニが確認してよ、馬鹿ぁ……っ!!」
「あっ! リア……、っく!」
私がずずずと腰を突きだせば、濡れすぎたそこはユニの肉棒を飲み込んでいく。途中、これ以上進めなくて、腰を止めた瞬間、ユニが強く腰を掴み、肉棒を突きつけた。ブチっと何かを突き破った。
少し、痛い……でも、ようやくユニと繋がれたことが嬉しくて、私の身体は悦びで震えた。
「……っきつ、すぎ。はぁ……、リアの中、すご……」
「あっ。はぁ……わかった……? ユニだけだって」
涙目でユニの頬に手を添えれば、彼はとても嬉しそうに笑い、頷いた。その青い瞳はわずかに滲んでいるように見える。ユニが私を抱きしめる。
「あぁ……リーリア……。愛してる。もう離れたりしない……僕の全てを君に」
「当たり前よ……っ。ん……もう、離してやらないんだから」
「そうだね。……リアの中も、僕を離す気はなさそうだし」
すると、挿入れたままだったユニがゆっくりと腰を動かし始めた。
「あっ! んっ、ばかぁ…………あんっ」
徐々に慣れてくると、ユニがタンタンとリズム良く腰を打ち付けてくる。自慰の時とは違う快感が身体に満ちていき、私は言葉にならない声を森中に響かせた。
「リア……可愛い。そんな声だして、気持ちいいんだね……。僕も気持ちいいよ……っ、リアのキツくて、熱くて、僕のに絡み付いてくる」
「あっ、はぁんっ、わたしっ……なんか、おかしくっ、てぇ」
普通に話してるつもりなのに、いつも通り話せなかった。口から溢れるのはやけに甘い声で、自分のものとは思えない。
「いいんだよ、リア。はぁ……っ、一緒におかしくなろ?」
そう言ってユニはグッと奥に肉棒を押し付けた。ぐりぐりと刺激されれば、頭が白く塗りつぶされていくようだった。
「ひゃああんっ!! あっ、ユニっ、それ、やぁ! らめっ!」
「リア、受け取って……っく!」
「あっ、はっ、やぁああんっ!!」
ユニの精子が勢いよく私の子宮に流し込まれるのが分かった。子宮がどろんと熱く、重くなる。けど、ユニの子種を注がれたという事実で、私の心身は満ち足りていく。
私たちは動きを止めて、ただ抱きしめ合った。
ユニの肉棒は私の中に入ったままだ。彼の熱を私の中で感じることで、一つになったような気がして嬉しい……
「っ……リア、そんなに締めないで……」
「だって……嬉しいの。ユニ、好きよ……私の全てを差し出しても惜しくないくらいに」
「リア……そんな可愛いこと言われたら、我慢できない……っ」
「えっ? ……ひゃあんっ!!」
ユニは私の腰を掴むと、また私の奥深く挿入した。
「リアの欠片も他の奴らに渡さない。リアは全部僕のだ」
「あああんっ!!」
結局、私は一歳下の弟のような幼馴染の彼が、実は独占欲のかたまりで、その身体に熱い劣情を隠し持っていたことを身をもって分からされたのだった。
◆ ◇ ◆
「ただいま、リア~!」
椅子にかけて編み物をしている私に、仕事から帰ってきたユニはキスを落とす。そして、私のお腹に手をやると、優しく話しかけてくれる。
あれから数ヶ月、私のお腹にはユニとの子供がいた。ちょっと前まで村を走り回っていた私は、すっかりおとなしく過ごしている。
新村長となったユニは、七年間の旅で得たノウハウと次々と村に取り入れ、大改革を行なっている。元々村の人たちと仲良く、物腰が柔らかいユニは、驚くほど早く村長として受け入れられた。
ユニ自身は忙しそうだが、それでも楽しそうにしている。
彼と離れていた七年という歳月はとてつもなく長かったが、ユニが色々と動いているのを見て、それは私とこの村を守るためだったんだな、と実感した。
それをユニに言ったら「リアとの思い出が全て詰まっているこの村が大好きだから、守りたかったんだ」って言って、笑っていた。
彼の頬に手を添えて、私は彼に笑いかけた。
「ありがとう……ユニ」
「何言ってるの? 感謝するのは僕の方だよ。僕はリアのためにしか頑張れないんだから」
「まったくもう」
「本当だよ、リアは僕の全てだからね」
ユニは私の手から編み物を取り上げると、机に置いた。
「いくらでも、何度でも証明できるよ?」
「あっ、もうわかってるからぁ……んぅ」
こうして今日もーー
いや……きっとこれからも私は優しくユニに抱かれるのだった。
静かな森の中にクチュクチュと水音が響いていた。
脚の間に手を忍ばせ、そこを指先で擦れば、ビリビリとした快感が身体に走る。
「はぁ……んっ。もっと……もっと……」
私は下着をずらして、ぐちゃぐちゃに濡れたそこを露わにした。前のボタンも外し、普段はしっかりと隠した乳房を取り出す。
野外にも関わらず、乳房をさらけだし、大股を広げて、自慰をするなんてまずい、と頭の片隅で思ってはいるが……止められない。
どうせここには誰も来ない。
こんな痴態を誰にも見られることなどない。
そうやって自分に言い訳をして、ますます慰める指を早くする。
すぅ、と森の涼しい風が私の陰部を撫でるが、それさえも気持ち良くて、身体が震える。
「あっ……はっ……あぁ!」
もう夢中だった。目を閉じて、もしこの姿を見られたら……と想像すれば、また愛液がじゅんっと溢れた。本当の私は変態で、実は見てほしいのかもしれない。
『すごいな……エロすぎ……』
そう……そんなことを言いながら、彼が私を熱い瞳で見つめる。
私は羞恥心を感じながらも、指を止めることが出来ない。
「あっ、いや。見ちゃだめぇ……」
『そんなこと言って、見られて喜んでるでしょ。愛液が滴り落ちてる……可愛くイくとこ、見せてよ』
妄想なのに、その低い声はとてもセクシーで。どことなく、もう会えない彼の声によく似ている気がした。
「あっ、あっ、ユニ……。わたし、イっちゃうっ!!!」
ビクビクっと身体を震わせ、私は絶頂を迎えた。上を見上げれば、青々と繁った葉の間から、綺麗な青空が見える。
本当に綺麗な、青。
……それにしても、なんだか今日は特別気持ちよかった。心地の良い声と刺さるような視線……私の妄想も笑えない域に達してしまった。
自分に呆れながらも、まだ熱い身体を後ろに倒そうとしたーー
その時、温かく柔らかいものに包まれた。
「へ?」
後ろを向くと、そこには信じられない人がいた。
「ーーーーっ!! う、うそ……」
「ただいま、リア♪」
私を抱きしめたのは、私の幼馴染であるユニだった。
焦茶色の髪に、長いまつ毛にあるのは青空のような大きな瞳。そして、左目下の泣きぼくろ。長いこと会っていなかったけど、彼は確かに幼い頃のユニの面影を残していた。けど……彼がここにいることが信じられない。
「な、なんで……ここに……」
「なんでって……ここは僕とリア、二人だけの秘密基地だろ?」
七年前に村を出て行った私の幼馴染は、そう言ってとても嬉しそうに笑った。
◆ ◇ ◆
私は、リーリア。国の外れの小さな村に住む平凡な娘。
とは言え、親はこの村の村長だ。
現在、この国での結婚適齢期を過ぎた二十三歳。お年寄りが多いこの村では、まだまだ若いと言われる私の労働力は不可欠だ。薪割りから始まり、害虫退治までその仕事は多岐に渡る。普通ならそんなのは男の仕事だと言われそうだが、この村には男手がいない。みな、家族を残して大きな街まで出稼ぎに行くか、この村を出て行くからだ。
それに加え、十代後半くらいになると女性は良い条件の結婚相手を探して、村を出て行ってしまう。村を出ていけないのは、村長の娘である私くらいだ。あっという間に結婚適齢期は通り過ぎてしまった。それでも、私を頼る多くの人がいるのに、村を出ていくなんて出来なかった。最近では父も足を悪くしたので、すっかり出ていくことは諦めた。
別に村が嫌いなわけじゃない。村のみんなは優しいし、みんなに頼られるのも、みんなを笑顔にできる力が自分にあるのも嬉しい。
だけど……みんなに頼られる働き者で、いい子のリーリアでいるのも疲れるわけで……
そんな私が見つけたストレス解消方が先の方法だった。
なのにーー
その現場をよりによってユニに見られるなんて……!
大体七年も前に村を出て行ったユニが何故ここに?
そこでハッと自分の状態に気づく。胸は露わになっているし、下着も丸見えだ。私は慌てて乱れた服をかき集めるようにして、身体を隠した。もちろん彼の顔を見る余裕なんてない。恥ずかしさで頭が爆発しそうだ。
それなのに、彼は私から離れる様子はなく、やたらと機嫌が良さそうに後ろから抱きしめてくる。それどころか、私は気まずくて目も合わせられないというのに、顔を覗き込んで来る。
もう私たちは七年前のような子供じゃないのに……
でも、久しぶりに感じるユニの温かさが懐かしくて、私はその腕から出れなかった。
「リア、久しぶりだね」
「……いつ、帰ってきたの」
「さっき。すぐにリアに会いたくて、村中探したのにどこにもいないから、ここかなって」
そう言って屈託のない笑みをこちらに向けるが、七年も顔を出さず、手紙もくれなかったのに、調子が良すぎる。私はムッとして、返事もせずに顔を背けた。
「……もしかして、リア怒ってる?」
チラッと横目で様子を伺えば、大きな瞳を潤ませていた。
犬が怒られたように耳を垂れる様にそっくり。昔からユニは怒られるとこんな顔をしてたっけ。
私は思わず吹き出してしまった。怒ってたはずなのに、変わらない彼の姿を見たら、怒っているのがバカらしくなってしまった。やっぱりユニは、甘えん坊で泣き虫のままだ。
私は、ようやくまともにユニの顔を見ることができた。
「もういいわ。少し怒ってたけど、男手がこの村を出ていくなんてユニに限ったことじゃないもの。で、どれくらい滞在できそうなの?」
「滞在? いや、僕は結婚のために帰って来たんだよ」
じわっと身体に嫌な汗が滲んだ。
きっとユニは、父様に結婚の承諾を得るために帰ってきたんだ……
ユニの両親は、彼が十四になった時に亡くなっている。だから、ユニの両親の親友でもあった父様がユニの保護者になった。この国では婚姻証明書に保護者のサインを書く欄がある。最近では、省略することも多いと聞くが、真面目なユニのことだから、きっとちゃんとサインを貰いにきたんだろう……お嫁さんになる人を連れて。
ユニの隣に可愛らしい女性が並ぶ姿を想像したとたん、呼吸が浅くなって、声に力が入らない。
……もうこれ以上、ユニと話したくない。話せない。一刻も早くこの場から逃げ出したい。
「そ、そうだったんだ! あの……じゃ、私行くね! あ、さっき見たのは忘れて!」
私は出来るだけ明るい声で、そう捲し立て、ユニの腕から抜け出し、立とうとした。
が、ユニは話してくれなかった。なんとか出ようともがくが、彼はより私を強く抱きしめるだけだった。
「離してよっ!」
「なんで逃げるの?」
……ユニにカッコ悪いところなんて見せたくないのに、なんで逃してくれないの? せめて、彼の結婚を笑顔で祝福して、幼馴染でいさせてほしいのにーー
「いやっ……」
「僕から逃げるなんて許さない」
ユニの声が低く響く。聞いたことのない大人の男性の声。
改めて、私をさっき視姦していたのがユニなんだと思い知る。
さっきのことを思い出すのは、恥ずかしくて情けなくて堪らないはずなのに、ユニの記憶にどんな姿でも私が残るんだと思うと嬉しいと思ってしまう。
でも、気持ちとは裏腹にポロポロと涙が溢れ出てしまった。
「うっ……はな、して……。おね、がい……」
ヒックヒックとしゃくり上げて泣く私をユニは、無理矢理引き寄せて、ぎゅっと抱きしめた。ユニの胸は温かい。
七年前は、同じ背丈だったはずなのに、ユニは私をすっぽり包めるほど大きくなっていた。
「リア……そんなに結婚が嫌?」
私は答えられなかった。
嫌と言えば、ユニが好きだと言うようなものだもの。
七年前の子供の頃の想い出を引きずっていることを悟られてしまえば、幼馴染という唯一の繋がりさえ崩れてしまうような気がした。
でも、嫌じゃない……とは、言えなかった。自分の気持ちをまるっと隠せるほど器用なタイプでもない。
ユニは、私の答えを待っていたようだけど、私は口を噤んだままだった。
痺れを切らした彼が大きく溜息を吐く。
その後に続く言葉が怖くて、身体が硬直するのが分かる。
「……リアが嫌でも諦める気なんてない。この言葉を伝えるために今日まで僕はがむしゃらに頑張ってきたんだから」
そう言ってユニは、私を解放すると、今度は私の目の前に跪いた。
意味が分からない。彼を見つめるが、涙でその姿が歪む。
身体も、声も、何もかもあの頃と違うのに、その瞳だけは変わってない。互いに見つめあっていたあの頃と……
「リア……。いっぱい待たせたけど、これからはずっとリアと一緒にいたい。もう片時だって離れたくない」
……どういう、こと? これは夢?
まるでプロポーズでもされてるみたいな……
いや、あり得ない。じゃなきゃ、何年も私を放置するはずないもの。
でも、なにか言葉を発したら、夢から覚めてしまうような気がして、私はユニの言葉の続きを待った。
「愛してる、リア。子供の頃から、ずっと、変わることなく君だけを」
彼が私の指先をそっと握った瞬間、熱い涙が頬を伝った。
その熱は、私にこれが夢ではないと教える。
何年も、何年も……願ってやまなかった。でも、ずっと前に諦めたはずの言葉が彼の口から紡がれる。
「結婚しよう、リア。もう僕は何もできない子供じゃない。これからは僕が、リアを、この村を守ってみせる」
ユニは、私の指先にキスを落とし、そっと中指に指輪を通した。
見たこともない色の宝石……ユニの瞳と同じ青空のような。
「ふっ……うぅ……っ。ユニのばかぁ~~!!」
うえーん!! と、子供のように上を向いて、私はただただ泣いた。最初は慌てふためいてたユニも私の涙が止まらないことが分かると、困ったように笑って私を抱きしめて、ただ黙って背中をさすってくれた。
◆ ◇ ◆
そして散々泣いた後、ようやく私は彼の胸で泣き止んだ。
「落ち着いた?」
「……うん」
涙は止まったけど、きっと酷い顔をしているはずだ。そんな顔をユニに見せたくなくて、私は彼の胸に顔を押し付ける。
「リアは、会わないうちに泣き虫になったな」
ポンポンと頭に手を置いてあやしてくれるユニの手が優しい。
「泣き虫はユニだもん。今のは驚いただけ」
「はいはい。そういうことにしとく」
二人でクスクス笑い合う。
あぁ……幸せだ。この腕の中にまた帰ってくることができたなんて。私がその幸福に浸っていると、なぜかユニが不安な声を頭上に落とした。
「……リアは、結婚したくない?」
そう問われて、先ほどの返事をしてないことに気付く。私はパッと顔を上げて、真っ直ぐに彼に告げた。
「したい! したいに決まってる!」
ユニはポカンと私を見ている。
なんで予想外みたいな顔をしてるの? この七年間、私がどんな思いでいたのかも知らないで!!
「七年前、『将来のために世界を学んでくるから待っててほしい』って言って出て行ったのに、三年前から全く手紙を寄越さないから、私のことなんて忘れちゃったんだと思ってたの! だから、結婚っていうのも私以外の人とするんだとーー」
「は? 手紙を寄越さなくなったのは、リアでしょ? 僕はリアへの手紙を欠かしたことなんてない! 返事がなくても、何度も何年も手紙を書き続けてたさ! リアは元々筆不精だし、忙しいんだと思って、返事がなくても我慢してたのに」
「嘘でしょ? この三年間は、手紙なんて届いたことないもの。ユニがどこにいるのか分からなければ、手紙なんて書けるはずないじゃない。……どんなに忙しくても、居場所くらい教えてくれたら良かったのに」
「…………え、本当に届いてないのか?」
「うん」
「本当の、本当に?」
「うん、間違いないわ」
うーん……とユニが唸り声を上げて考え込んでいる。
その様子からするに、ユニが嘘をついてるようには見えなかった。
「もしかして、本当にずっと手紙出してたの?」
ユニは、肩を落として、コクンと頷いた。
しょんぼりするその姿を見て、子供の頃を思い出す。私への誕生日プレゼントに花冠を作ったのに、翌朝には花が萎れてて、しょんぼりしてたユニと同じ。
胸がキュッとして、私はそっとユニの手を取った。
「私が受け取れてなかったのかも。疑ってごめん」
「ううん……返事がないことをおかしいと思わなかった僕にも原因はある。ごめん……でも、なんでーー」
「……あ」
「なんか心当たりあった?」
「あー、えーと……。ブルーノさんかも」
「ブルーノさんって言うと……郵便屋の?」
「うん……」
「ブルーノさんと、何かあったの?」
「えっと……。実は、私、ブルーノさんにずっと結婚してくれって、付き纏われてて……」
「は? ブルーノさんなんて、リアと二十は離れてるよね? ……大体あの人には奥さんがいたはずじゃーー」
「ブルーノさん、三年前に奥さんに離縁されちゃったのよ……。それで話を聞いてあげてたら、私に惚れたとか言って……」
ユニは口をポカンと開けたまま固まっている。
「わっ、私はユニが好きだったし、もちろん断ったよ?!
だけど、『手紙なんてそのうち来なくなる』って言われてから、ユニからの手紙が来なくなったような気がするというか……」
私の話を聞いていたユニが怒りで震え出した。相当キレているらしい。
「あのクソ野郎……っ!!」
……怒りでキャラが変わったのか、会わない期間に彼の本質が変わったのか分からないが、元々は温和なユニが見たこともない顔で怒っている。
そんな姿にも少しときめいてしまう自分がいるが、今はそれどころじゃない。彼を止めないと、今にでもブルーノさんのところへ行って殴りかかりそうな勢いだ。
「ユニ、落ち着いて! まだそうと決まったわけじゃないし!」
「いや、絶対そうだ! そうに決まってる! あのクソジジイ……昔からリアのことをジロジロみてると思ってたんだ。よくも……僕のリアに手を出そうとしてくれたな……っ」
僕のリア、だなんて……。その一言で、もうブルーノさんのことなんて、どうでもよくなってしまった。私は目の前でなんだか物騒なことを呟いている彼の頭を撫でた。
「リア?」
「ふふっ! そんなに怒らないで、もう今はブルーノさんのことなんて、どうでもいいよ。
それより……ユニに久しぶりに会えたことを実感させて。七年間、本当に長かったんだから……」
私はユニの頬に両手を添えた。二人で見つめ合うと、この世界には私達だけしかいないような気になる。
「リア……。たくさん待たせて、本当にごめん。これからはもう離れたりしない。愛してるよ」
「私も……。ユニが好き、ユニだけだよ」
どちらからともなく、私達は唇を重ねた。羽が触れるような優しい柔らかなキス。
幸せ……心がふわっと軽く温かくなる。胸がむずむずして、くすぐったい。
七年前、ユニを送り出したあの日もこうやってここで口づけをした。それが、私たちの最初で最後のキスだった。
でも、今、あの頃と同じように私たちはぎこちないキスをしていた。七年の時が経ったけど、私たちの気持ちは何一つ変わってない……そう実感できた。
唇を離して、瞳を見つめあえば、なんだか照れ臭い。私は熱い顔を隠すように俯いた。
「は、恥ずかしいね……」
「もっと恥ずかしいところ、見せてたくせに?」
その瞬間、ぐっと視点が変わって、気付けば私は押し倒されていた。
「ユニ……? ……んっ」
もう一度口づけが与えられる。
けれど、さっきのキスとは何もかも違った。
僅かな隙間からにゅるっとユニの舌が侵入してきて、私の舌を追いかけてくる。擦り合わせるように舌を動かされる。
上手く呼吸ができないせいか、頭が……身体が痺れていくようだった。でも、それは確かに快感のようで私は次第にそれに支配されていく。
ユニが私の唇を貪った後にようやく解放した。
「はぁ……はぁ……。ユニ、はげしいよぉ……」
私を見下げたユニは、唇をぺろっと舐めて、髪をかき上げた。その姿はやけに色気があって、まるでユニが違う人のように見える。
「そんなに全身火照らせて……すっかりえっちになっちゃったんだね」
「はぁ……っ、ユニが、あんなキス、するからでしょ。……えっち、だなんて……そ、そんなことない」
「さっきあんな姿を見せといて、説得力がないなぁ。七年前は……キスをするだけで精一杯だったくせに。……もう我慢しなくていいよね?」
「あっ、ユニ……」
ユニの手が私の胸を触った。その感触を確認するように何度も何度も胸を揉みしだく。
「あっ、ふぅっ……。んっ……」
「リアの胸、柔らかくて……すごく綺麗だ。
それに……美味しそう」
「え? やぁあんっ!」
次の瞬間、ユニが私のシャツを開くと乳首を口に咥えた。吸いながら舌先で乳首をコロコロと転がすように刺激する。反対側の乳首もキュッと優しく摘まれれば、その気持ちよさに声を上げずにはいられなかった。
私の口からは絶えず小さな嬌声が漏れる。
ユニは時々私の様子を確認するように顔を覗き込んでは、嬉しそうに笑って、私を乱れさせた。
「あ、やっ……ユニ! んんぅ……ひゃんっ」
「リアのおっぱい、美味しい。柔らかくて、甘くて、いつまでも舐めていられる」
ユニはそう言って再び私の胸に顔を埋めると、胸に滲んだ汗をペロッと舐めた。それだけなのに、私の背筋にはピリピリとした快感が走り、たまらなくなって私は身体をくねらせた。
「ユニ……、わたし、もう……っ。あぁん……」
「わかってる。……こっちに欲しいんでしょ?」
ユニは私の耳元で妖艶にそう囁くと、手を下腹部に滑らせた。そして、期待で濡れそぼった私のぬかるみに指を添えた。
「すっごい濡れてる。聴こえる? この音」
ユニは私の蜜口に指を浅く入れて、出し入れする。
静かな森林には私たちの心臓の音と、ぬちゃぬちゃ……という恥ずかしい水音が響く。
「あっ、ユニ、恥ずかしいっ、よぉ」
「大丈夫。リアの声も、身体も、びしょ濡れのここも全部可愛い。思いっきり乱れて?」
蜜口を出し入れするユニの指が早くなる。そして、同時に陰核も弾かれる。もう我慢できなかった。
「あっ、あっ、イく! イっちゃうっっ!! ユニっ!!」
「リア、好きだよ」
私はビクビクと身体をしならせて達した。今までに感じたこともない快感に頭がぼーっとする。散々、自分で慰めてきたが、誰かに……いや、ユニに触られるのがこんなにも嬉しくて、気持ちいいものだとは思ってなかった。
私が呼吸を整えている間、ユニの指は私の蜜口に挿入ったままだった。そして、ユニの口からは熱い吐息が漏れる。
「リアの膣内……僕の指をぎゅうぎゅう締め付けて……。めっちゃ、気持ち良さそう」
「そ、そんなこと……」
でも、そう言われたらなんだか嬉しくて、私の中はまた一段ユニの指を締め付けた。ユニがくすっと笑う。
「ほら。またギュッて。ねぇ……リアは指で満足?」
満足なんかじゃない。私はちらとユニのズボンに目をやった。ぱっと見て分かるくらいズボンの下でユニのあれが硬くなってるのが分かる。
ユニの手はまた私の身体を這いまわり始めた。私の身体にまた熱い火を灯すように……
「僕は、リアの膣内に入りたいよ。指じゃ届かない最奥まで突っ込んで、一つになりたい。リアの子宮を僕の精子で満たして、僕のことしか考えられないようにしちゃいたい」
私の肩に顔をうずめながら、ユニが熱いため息を吐く。身体の熱さから、その吐息の切なさから、彼がいかに私を求めているのかが分かる。何年も何年も待ち続けた彼が私を求めている。何を躊躇することがあるんだろうか……
私はユニの背中に腕を回した。
「うん。ユニ……ちょうだい。私の中をユニで染め上げて」
「リーリア……」
私にキスが落とされる。そのキスに酔いしれていると、蜜口に熱い熱いものがあてがわれた。
私は我慢できなくて、ひくひくと彼の肉棒を飲み込もうとするが、それは蜜口にキスをするようにピチャピチャと緩い接触を繰り返すだけで……
耐えきれなくなった私は涙目でユニに訴える。
「はやく、はやく来てよぅ……。もう待つのは十分だからぁ……っ!」
「ごめん、感動しちゃって。七年前はキスだけで震えてたリアが今はおまんこをヒクヒクさせながら、僕のおちんちんを欲しがっているなんて」
「だって、ユニがたくさん待たせるから……っ。もう我慢できないよぅ」
はしたない真似だと分かっているのに、私は蜜口をユニの肉棒に自分からこすり付けるように腰を揺らした。もうユニが欲しくてたまらない。未知の経験なのに怖さよりも、ユニが欲しいという気持ちの方が圧倒的に勝っていた。
そんな私の様子を見たからなのか、ユニが少し声を低くして、ありえないことを言った。
「……ねぇ、まさかと思うけど、ここは誰にも許してないよね?」
「……っ! じゃあ、ユニが確認してよ、馬鹿ぁ……っ!!」
「あっ! リア……、っく!」
私がずずずと腰を突きだせば、濡れすぎたそこはユニの肉棒を飲み込んでいく。途中、これ以上進めなくて、腰を止めた瞬間、ユニが強く腰を掴み、肉棒を突きつけた。ブチっと何かを突き破った。
少し、痛い……でも、ようやくユニと繋がれたことが嬉しくて、私の身体は悦びで震えた。
「……っきつ、すぎ。はぁ……、リアの中、すご……」
「あっ。はぁ……わかった……? ユニだけだって」
涙目でユニの頬に手を添えれば、彼はとても嬉しそうに笑い、頷いた。その青い瞳はわずかに滲んでいるように見える。ユニが私を抱きしめる。
「あぁ……リーリア……。愛してる。もう離れたりしない……僕の全てを君に」
「当たり前よ……っ。ん……もう、離してやらないんだから」
「そうだね。……リアの中も、僕を離す気はなさそうだし」
すると、挿入れたままだったユニがゆっくりと腰を動かし始めた。
「あっ! んっ、ばかぁ…………あんっ」
徐々に慣れてくると、ユニがタンタンとリズム良く腰を打ち付けてくる。自慰の時とは違う快感が身体に満ちていき、私は言葉にならない声を森中に響かせた。
「リア……可愛い。そんな声だして、気持ちいいんだね……。僕も気持ちいいよ……っ、リアのキツくて、熱くて、僕のに絡み付いてくる」
「あっ、はぁんっ、わたしっ……なんか、おかしくっ、てぇ」
普通に話してるつもりなのに、いつも通り話せなかった。口から溢れるのはやけに甘い声で、自分のものとは思えない。
「いいんだよ、リア。はぁ……っ、一緒におかしくなろ?」
そう言ってユニはグッと奥に肉棒を押し付けた。ぐりぐりと刺激されれば、頭が白く塗りつぶされていくようだった。
「ひゃああんっ!! あっ、ユニっ、それ、やぁ! らめっ!」
「リア、受け取って……っく!」
「あっ、はっ、やぁああんっ!!」
ユニの精子が勢いよく私の子宮に流し込まれるのが分かった。子宮がどろんと熱く、重くなる。けど、ユニの子種を注がれたという事実で、私の心身は満ち足りていく。
私たちは動きを止めて、ただ抱きしめ合った。
ユニの肉棒は私の中に入ったままだ。彼の熱を私の中で感じることで、一つになったような気がして嬉しい……
「っ……リア、そんなに締めないで……」
「だって……嬉しいの。ユニ、好きよ……私の全てを差し出しても惜しくないくらいに」
「リア……そんな可愛いこと言われたら、我慢できない……っ」
「えっ? ……ひゃあんっ!!」
ユニは私の腰を掴むと、また私の奥深く挿入した。
「リアの欠片も他の奴らに渡さない。リアは全部僕のだ」
「あああんっ!!」
結局、私は一歳下の弟のような幼馴染の彼が、実は独占欲のかたまりで、その身体に熱い劣情を隠し持っていたことを身をもって分からされたのだった。
◆ ◇ ◆
「ただいま、リア~!」
椅子にかけて編み物をしている私に、仕事から帰ってきたユニはキスを落とす。そして、私のお腹に手をやると、優しく話しかけてくれる。
あれから数ヶ月、私のお腹にはユニとの子供がいた。ちょっと前まで村を走り回っていた私は、すっかりおとなしく過ごしている。
新村長となったユニは、七年間の旅で得たノウハウと次々と村に取り入れ、大改革を行なっている。元々村の人たちと仲良く、物腰が柔らかいユニは、驚くほど早く村長として受け入れられた。
ユニ自身は忙しそうだが、それでも楽しそうにしている。
彼と離れていた七年という歳月はとてつもなく長かったが、ユニが色々と動いているのを見て、それは私とこの村を守るためだったんだな、と実感した。
それをユニに言ったら「リアとの思い出が全て詰まっているこの村が大好きだから、守りたかったんだ」って言って、笑っていた。
彼の頬に手を添えて、私は彼に笑いかけた。
「ありがとう……ユニ」
「何言ってるの? 感謝するのは僕の方だよ。僕はリアのためにしか頑張れないんだから」
「まったくもう」
「本当だよ、リアは僕の全てだからね」
ユニは私の手から編み物を取り上げると、机に置いた。
「いくらでも、何度でも証明できるよ?」
「あっ、もうわかってるからぁ……んぅ」
こうして今日もーー
いや……きっとこれからも私は優しくユニに抱かれるのだった。
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