24 / 29
24.おかえり
しおりを挟む
「クレア嬢!!」
私は伯爵が制止する声も聞かず、馬車を飛び出した。
執事のような人にゼノアの部屋はどこだと詰め寄る。彼は伯爵へ目配せをして頷くと、早足で部屋の前まで案内してくれた。
「こちらがゼノア坊ちゃまのお部屋でございます」
私はノックもせずに部屋の扉を乱暴に開けた。
なんたって私はゼノアに怒っていた。今すぐ文句を言ってやらなきゃ気が済まない……!
バンッと大きな音で開けた扉にゼノアはビクッと身体を震わせた。
「誰だ?! ノックぐらいしろよ! ……親父か?」
そう言って、眉間に皺を寄せて、こちらに顔を向ける彼を見つめる。しかし、涙で前が滲んで、うまく見えない。
言いたいことはたくさんあったはずなのに、ゼノアの顔を見たら、やはり最初に込み上げるのは言いようもない愛おしさで。
彼の目を横切るようにつけられた三本線の痛々しい傷なんて……私の気持ちが変わる理由になんてならなかった。ただどれだけ痛かっただろう……と思ったら、胸が苦しくて、それが大粒の涙となって床を濡らした。
「はぁ……こっちは目が見えないんだ。
ちゃんと名をーー……っ!」
ドンっ!!
身体をぶつけるように、その大きな身体に抱きつく。
私が全力でぶつかっても、その鍛え抜かれた肉体は、びくともしない。私は、恥ずかしげもなく大声で彼に文句を言った。
「……ばか! ばかゼノア!!」
「…………クレア……なのか? なんで、ここに?」
彼の手は困ったように宙に浮いて、いつものように強く私を抱きしめてはくれない……。それが悲しくて、私はより強く腕に力を込めた。
「ゼノが会いに来てくれないからでしょ!!
ずっと……ずっと待ってたのに!!」
「わ……悪かった。でも、こんな顔でどんな顔して、クレアに会いに行けるって言うんだ……会って、わかっただろう?
もう俺は……目が、見えない」
ゼノアは、騎士団の任務中に目を負傷したとのことだった。相手は恐ろしい熊のような魔獣で、その鋭い爪で目元を抉るように切り裂いたのだと言う。それからゼノアは騎士団を休んでいるが、治る見込みはないらしかった。
「俺、心配かけたくなかったんだ……
それに……もし、クレアに憐れまれたらと思うとーー」
「酷いっ!! 私がそんな傷一つでゼノのことを憐れむと思ったの?! 私のことをそんな人間だと思ってたの?!」
「そういうわけじゃない!! ……ただ怖かったんだ。クレアに拒否されるのが」
「するわけないでしょ!! なんでそうやっていつもいつもかっこつけようとするのよ?! 私はゼノに散々情けなく泣いてるところを見られて、いつもいつも助けられてるのに……
なんで……なんで、私には心配の一つもさせてくれないのよ……」
思いきりその胸を叩くが、彼は黙って、されるがままだ。
「ゼノが……っ、呪いを受けた私を受け入れてくれたように……私だってどんなゼノでも受け入れられる……
私を最初に助けてくれたのは……貴方、でしょう?」
「クレア、覚えてたのか……?」
「思い出したの……。私たち、何度も名前を呼び合って、愛を交わした。私、ずっと貴方が好きだった……
ゼノ……お願い、私を離さないで。
目が見えないなら、私がいつも隣にいて、色を、景色をゼノに教えるから……! だから……だから、私のそばにいてよ……」
私は頭をゼノアの胸に預けた。
……ぽつっと頭に一雫、涙が落ちた。
「いいのか……こんな姿なのに」
「ゼノは、ゼノだもの。たとえ目が見えなくても……愛してるの。ゼノが……好きで、好きで、たまらないの。
私、ゼノがいないと……生きていけない。
……お願いだから、捨てないでーー」
「クレア……!」
ようやく彼は私を抱きしめてくれた。痛いくらいの抱擁だった。
「俺がクレアを捨てるなんて、そんなことあるはずないっ!!
でも……目が見えない俺は何もできない。そんな俺がクレアのそばにいていいのか自信がなかったんだ……」
「何もできないなんて嘘だわ。現に私はゼノがいないと生きられないんだから……。私を愛して、それだけでいいの」
「俺で……いいのか?」
私はスッと身体を離して、ゼノアの顔を両手で包んだ。
「……ゼノじゃなきゃダメなの」
そう告げて、私はひとつキスを贈った。チュッ……とリップ音が室内に響く。
ゼノは、開かない両眼から涙を流していた。
「クレア……愛してる」
すると、ゼノが私の後頭部を押さえて、貪るようなキスをくれた。私もそれに応えたくて、ゼノの首に腕を回す。
唇から一緒に溶けてしまいそうな熱い、熱いキス。
私たちは夢中で互いを求め合った。
気付けば、私の服は乱れ、胸が露わになり、下着まで取り払われていた。私は座っているゼノを跨ぐような形で座り、抱き合いながら、その温もりを感じていた。
私が胸を突き出すようにすると、ゼノはそれに吸い付いた。ツンと既に勃ち上がった蕾は、歓喜に震えた。
「甘い、な」
「あっ♡んっ♡母乳が、出ちゃうのぉっ♡」
「そうだったな……。早く、会いたいな。俺の子に」
そう言ってまた私の蕾に吸い付けば、容赦なくおっぱいを吸っていく。レティシアが飲んでる時には何とも思わないのに、今は信じられないくらい気持ちよくて、私は愛液を滴らせた。
それにレティシアを「俺の子」と言ってくれたのが、嬉しかった。早くゼノアにレティシアを会わせてあげたい。レティシアがどんな様子か、隣に立って全て伝えてあげよう。それに、抱いてもらおう。姿を見ることが出来なくても、抱きしめて感じるものは多いはずだから……
ゼノアは母乳が気に入ったのか、とても美味しそうにそれを飲んで、また一段と陰茎を硬くした。私の下にあるそれは私の愛液で、服の上からもうぐっしょりと濡れていた。早く欲しくて、私も愛液を擦り付けるように腰を動かす。
「はんっ♡んっ♡あぁんっ♡とまんない♡」
腰が止まらない。ゼノアも興奮していた。熱い吐息を吐きながら、変わらず私を求めてくれた。
蜜口にゼノアの熱を感じ、吸われている蕾の先まで快感が満ち満ちて、私はそれだけでイった。それでも、私もゼノアも止まれなかった。止まりたくなかった。
性急な手つきでゼノアは、陰茎を取り出すと、私の腰を持った。
ズププッ!!
「はぁあんっ♡♡♡」
蜜口への愛撫も何もない、乱暴な挿入だった。
なのに、私はまたイって、悦びに身体を震わせた。
ゼノアは、私を離さないとばかりに強く強く抱きしめて、容赦なく下から突いた。奥を突かれる度に、まるで雷に打たれたかのように全身に快楽が駆け巡り、私をおかしくさせた。
「あっ♡ひゃん♡あ♡は♡らめっ♡♡ゼノ♡♡♡」
「クレア、クレア!!」
「ゼノ♡あっ♡ふぁっ♡♡」
ゼノアは何度も私の名前を呼んだ。
私も何度もゼノアの名前を呼んだ。
それは私たちの初めての交わりを彷彿とさせた。
まだゼノアはイってないのに、私たちの結合部からは恥ずかしいくらいの愛液が溢れて、部屋中にはぬちゃぬちゃといやらしい水音と、私たちの熱い吐息が響いていた。
「はっ……っ。やばい、クレア」
「あっ♡もっ♡わたしっ、なんども♡あぁんっ♡♡」
「だな……っ。クレア、子宮降りてきてる」
「ふぇっ♡あっ♡そんなの、わかんにゃいよぉ♡♡」
ゼノアはフッと笑った。
「また、ほしいか? 俺の子」
「うんっ♡あっ♡また♡また産むっ♡
ゼノアの子、ほしいよぉ♡♡♡」
私はゼノアの上で跳ねながら、その悦びに胸を震わせた。
「じゃ、つぎは俺にそっくりな赤髪な……っ?」
「あっ♡うんっ♡♡あっ♡♡イく、イっちゃう♡♡♡」
「……っ、受け取れ」
ビュルビューッ!!
…………すごかった。すごい勢いと量だった。
ゼノアは耳元で愛の言葉を囁くと、細かいキスを色んなところに落としていく。ぼうっとする頭でそれを受け入れながら、本当に愛する人のところに戻ってこれたことを私は実感した。
◆ ◇ ◆
それから、四日後。
私は、アレス様とルゥ君と一緒にレティシアのベッドを囲んでいた。
「日に日に可愛くなってくね。本当に可愛いな、僕の子」
「本当だな、私の娘は世界一だ」
「ふふっ。良かったわね、レティシア」
その小さな手をつつくと、レティシアは私の指をギュッと掴んだ。……はぁ、可愛すぎてため息が出ちゃう。
その時、扉がノックされ、カミラから声がかかった。
「お嬢様、ゼノア様がおかえりになりました」
「え?! 予定よりも早いじゃない!」
「クレア!! 団長、ルゥシャも! 戻ったぞ!!」
私の返事も待たず、無遠慮にゼノアが扉を開ける。
その隣には伯爵がいた。ゼノアの右手は伯爵の肩にかけられ、伯爵自らがここまで連れてきたことがわかる。
本当に素敵なお父様だわ……
「ウォルシュタイン伯爵、ようこそおいでくださいました。
……それに、ゼノア。おかえりなさい!」
「おう! ただいま!」
ゼノアはニカっと口を開けて笑ってくれた。その笑顔に涙が溢れる。すっかり、いつもゼノアだ……
私はゼノアに近づき、伯爵に場所を代わってもらった。
伯爵は穏やかな表情で身を引き、私にゼノアの腕を預けてくれた。
「クレアさん、ゼノアをよろしくお願いします」
「はい……! ありがとうございます……!」
その様子をみんな優しい顔で見守ってくれていた。
私はゆっくりとゼノアをソファに案内して、座らせる。
そして、ベッドからレティシアを抱き上げて、彼の隣に戻った。
「腕を前に出してくれる?」
ぎこちなく腕を出したゼノアの上にそっと、レティシアを置いて、彼女が落ちないように手を添えた。
「ゼノア、この子はレティシア。私たちの子よ」
「……あたたかいな。それに、とても……小さい」
ゼノアの声は震えているように聞こえた。
……きっと悔しいだろう。レティシアの姿をどれだけその瞳に映したかっただろうか。
私はゼノアにレティシアの様子を伝えようと思ったが、先に口を開いたのはアレス様だった。
「レティシアの髪色は、私より明るくてルゥシャより暗い茶色だ。ルゥシャと同じ癖っ毛でな、ところどころふわふわと髪がはねてるんだ」
それにルゥ君も続く。
「そうそう。それで肌はクレアと同じで真っ白。唇は鮮やかなローズピンクで、小ぶりだよ。そこもクレアにそっくり。耳の形は団長に似てるって本人は言ってるけど、そんな気がするって程度かな」
ゼノアは微笑みを浮かべてうんうんと頷きながら、二人の説明を聞いていた。私はゼノアの手に自らの手を重ねた。
「そして、レティシアの瞳の色は、私とゼノの色を混ぜたような色なのよ。光の加減では焦茶色にも見えるけど、部屋の中ではゼノアと同じ黒なの。ゼノアと同じで、大きくて、丸くてとっても綺麗な瞳」
「……そうか。嬉しいな……」
ゼノアは少し寂しそうに……でも、とても嬉しそうに笑った。
私は伯爵が制止する声も聞かず、馬車を飛び出した。
執事のような人にゼノアの部屋はどこだと詰め寄る。彼は伯爵へ目配せをして頷くと、早足で部屋の前まで案内してくれた。
「こちらがゼノア坊ちゃまのお部屋でございます」
私はノックもせずに部屋の扉を乱暴に開けた。
なんたって私はゼノアに怒っていた。今すぐ文句を言ってやらなきゃ気が済まない……!
バンッと大きな音で開けた扉にゼノアはビクッと身体を震わせた。
「誰だ?! ノックぐらいしろよ! ……親父か?」
そう言って、眉間に皺を寄せて、こちらに顔を向ける彼を見つめる。しかし、涙で前が滲んで、うまく見えない。
言いたいことはたくさんあったはずなのに、ゼノアの顔を見たら、やはり最初に込み上げるのは言いようもない愛おしさで。
彼の目を横切るようにつけられた三本線の痛々しい傷なんて……私の気持ちが変わる理由になんてならなかった。ただどれだけ痛かっただろう……と思ったら、胸が苦しくて、それが大粒の涙となって床を濡らした。
「はぁ……こっちは目が見えないんだ。
ちゃんと名をーー……っ!」
ドンっ!!
身体をぶつけるように、その大きな身体に抱きつく。
私が全力でぶつかっても、その鍛え抜かれた肉体は、びくともしない。私は、恥ずかしげもなく大声で彼に文句を言った。
「……ばか! ばかゼノア!!」
「…………クレア……なのか? なんで、ここに?」
彼の手は困ったように宙に浮いて、いつものように強く私を抱きしめてはくれない……。それが悲しくて、私はより強く腕に力を込めた。
「ゼノが会いに来てくれないからでしょ!!
ずっと……ずっと待ってたのに!!」
「わ……悪かった。でも、こんな顔でどんな顔して、クレアに会いに行けるって言うんだ……会って、わかっただろう?
もう俺は……目が、見えない」
ゼノアは、騎士団の任務中に目を負傷したとのことだった。相手は恐ろしい熊のような魔獣で、その鋭い爪で目元を抉るように切り裂いたのだと言う。それからゼノアは騎士団を休んでいるが、治る見込みはないらしかった。
「俺、心配かけたくなかったんだ……
それに……もし、クレアに憐れまれたらと思うとーー」
「酷いっ!! 私がそんな傷一つでゼノのことを憐れむと思ったの?! 私のことをそんな人間だと思ってたの?!」
「そういうわけじゃない!! ……ただ怖かったんだ。クレアに拒否されるのが」
「するわけないでしょ!! なんでそうやっていつもいつもかっこつけようとするのよ?! 私はゼノに散々情けなく泣いてるところを見られて、いつもいつも助けられてるのに……
なんで……なんで、私には心配の一つもさせてくれないのよ……」
思いきりその胸を叩くが、彼は黙って、されるがままだ。
「ゼノが……っ、呪いを受けた私を受け入れてくれたように……私だってどんなゼノでも受け入れられる……
私を最初に助けてくれたのは……貴方、でしょう?」
「クレア、覚えてたのか……?」
「思い出したの……。私たち、何度も名前を呼び合って、愛を交わした。私、ずっと貴方が好きだった……
ゼノ……お願い、私を離さないで。
目が見えないなら、私がいつも隣にいて、色を、景色をゼノに教えるから……! だから……だから、私のそばにいてよ……」
私は頭をゼノアの胸に預けた。
……ぽつっと頭に一雫、涙が落ちた。
「いいのか……こんな姿なのに」
「ゼノは、ゼノだもの。たとえ目が見えなくても……愛してるの。ゼノが……好きで、好きで、たまらないの。
私、ゼノがいないと……生きていけない。
……お願いだから、捨てないでーー」
「クレア……!」
ようやく彼は私を抱きしめてくれた。痛いくらいの抱擁だった。
「俺がクレアを捨てるなんて、そんなことあるはずないっ!!
でも……目が見えない俺は何もできない。そんな俺がクレアのそばにいていいのか自信がなかったんだ……」
「何もできないなんて嘘だわ。現に私はゼノがいないと生きられないんだから……。私を愛して、それだけでいいの」
「俺で……いいのか?」
私はスッと身体を離して、ゼノアの顔を両手で包んだ。
「……ゼノじゃなきゃダメなの」
そう告げて、私はひとつキスを贈った。チュッ……とリップ音が室内に響く。
ゼノは、開かない両眼から涙を流していた。
「クレア……愛してる」
すると、ゼノが私の後頭部を押さえて、貪るようなキスをくれた。私もそれに応えたくて、ゼノの首に腕を回す。
唇から一緒に溶けてしまいそうな熱い、熱いキス。
私たちは夢中で互いを求め合った。
気付けば、私の服は乱れ、胸が露わになり、下着まで取り払われていた。私は座っているゼノを跨ぐような形で座り、抱き合いながら、その温もりを感じていた。
私が胸を突き出すようにすると、ゼノはそれに吸い付いた。ツンと既に勃ち上がった蕾は、歓喜に震えた。
「甘い、な」
「あっ♡んっ♡母乳が、出ちゃうのぉっ♡」
「そうだったな……。早く、会いたいな。俺の子に」
そう言ってまた私の蕾に吸い付けば、容赦なくおっぱいを吸っていく。レティシアが飲んでる時には何とも思わないのに、今は信じられないくらい気持ちよくて、私は愛液を滴らせた。
それにレティシアを「俺の子」と言ってくれたのが、嬉しかった。早くゼノアにレティシアを会わせてあげたい。レティシアがどんな様子か、隣に立って全て伝えてあげよう。それに、抱いてもらおう。姿を見ることが出来なくても、抱きしめて感じるものは多いはずだから……
ゼノアは母乳が気に入ったのか、とても美味しそうにそれを飲んで、また一段と陰茎を硬くした。私の下にあるそれは私の愛液で、服の上からもうぐっしょりと濡れていた。早く欲しくて、私も愛液を擦り付けるように腰を動かす。
「はんっ♡んっ♡あぁんっ♡とまんない♡」
腰が止まらない。ゼノアも興奮していた。熱い吐息を吐きながら、変わらず私を求めてくれた。
蜜口にゼノアの熱を感じ、吸われている蕾の先まで快感が満ち満ちて、私はそれだけでイった。それでも、私もゼノアも止まれなかった。止まりたくなかった。
性急な手つきでゼノアは、陰茎を取り出すと、私の腰を持った。
ズププッ!!
「はぁあんっ♡♡♡」
蜜口への愛撫も何もない、乱暴な挿入だった。
なのに、私はまたイって、悦びに身体を震わせた。
ゼノアは、私を離さないとばかりに強く強く抱きしめて、容赦なく下から突いた。奥を突かれる度に、まるで雷に打たれたかのように全身に快楽が駆け巡り、私をおかしくさせた。
「あっ♡ひゃん♡あ♡は♡らめっ♡♡ゼノ♡♡♡」
「クレア、クレア!!」
「ゼノ♡あっ♡ふぁっ♡♡」
ゼノアは何度も私の名前を呼んだ。
私も何度もゼノアの名前を呼んだ。
それは私たちの初めての交わりを彷彿とさせた。
まだゼノアはイってないのに、私たちの結合部からは恥ずかしいくらいの愛液が溢れて、部屋中にはぬちゃぬちゃといやらしい水音と、私たちの熱い吐息が響いていた。
「はっ……っ。やばい、クレア」
「あっ♡もっ♡わたしっ、なんども♡あぁんっ♡♡」
「だな……っ。クレア、子宮降りてきてる」
「ふぇっ♡あっ♡そんなの、わかんにゃいよぉ♡♡」
ゼノアはフッと笑った。
「また、ほしいか? 俺の子」
「うんっ♡あっ♡また♡また産むっ♡
ゼノアの子、ほしいよぉ♡♡♡」
私はゼノアの上で跳ねながら、その悦びに胸を震わせた。
「じゃ、つぎは俺にそっくりな赤髪な……っ?」
「あっ♡うんっ♡♡あっ♡♡イく、イっちゃう♡♡♡」
「……っ、受け取れ」
ビュルビューッ!!
…………すごかった。すごい勢いと量だった。
ゼノアは耳元で愛の言葉を囁くと、細かいキスを色んなところに落としていく。ぼうっとする頭でそれを受け入れながら、本当に愛する人のところに戻ってこれたことを私は実感した。
◆ ◇ ◆
それから、四日後。
私は、アレス様とルゥ君と一緒にレティシアのベッドを囲んでいた。
「日に日に可愛くなってくね。本当に可愛いな、僕の子」
「本当だな、私の娘は世界一だ」
「ふふっ。良かったわね、レティシア」
その小さな手をつつくと、レティシアは私の指をギュッと掴んだ。……はぁ、可愛すぎてため息が出ちゃう。
その時、扉がノックされ、カミラから声がかかった。
「お嬢様、ゼノア様がおかえりになりました」
「え?! 予定よりも早いじゃない!」
「クレア!! 団長、ルゥシャも! 戻ったぞ!!」
私の返事も待たず、無遠慮にゼノアが扉を開ける。
その隣には伯爵がいた。ゼノアの右手は伯爵の肩にかけられ、伯爵自らがここまで連れてきたことがわかる。
本当に素敵なお父様だわ……
「ウォルシュタイン伯爵、ようこそおいでくださいました。
……それに、ゼノア。おかえりなさい!」
「おう! ただいま!」
ゼノアはニカっと口を開けて笑ってくれた。その笑顔に涙が溢れる。すっかり、いつもゼノアだ……
私はゼノアに近づき、伯爵に場所を代わってもらった。
伯爵は穏やかな表情で身を引き、私にゼノアの腕を預けてくれた。
「クレアさん、ゼノアをよろしくお願いします」
「はい……! ありがとうございます……!」
その様子をみんな優しい顔で見守ってくれていた。
私はゆっくりとゼノアをソファに案内して、座らせる。
そして、ベッドからレティシアを抱き上げて、彼の隣に戻った。
「腕を前に出してくれる?」
ぎこちなく腕を出したゼノアの上にそっと、レティシアを置いて、彼女が落ちないように手を添えた。
「ゼノア、この子はレティシア。私たちの子よ」
「……あたたかいな。それに、とても……小さい」
ゼノアの声は震えているように聞こえた。
……きっと悔しいだろう。レティシアの姿をどれだけその瞳に映したかっただろうか。
私はゼノアにレティシアの様子を伝えようと思ったが、先に口を開いたのはアレス様だった。
「レティシアの髪色は、私より明るくてルゥシャより暗い茶色だ。ルゥシャと同じ癖っ毛でな、ところどころふわふわと髪がはねてるんだ」
それにルゥ君も続く。
「そうそう。それで肌はクレアと同じで真っ白。唇は鮮やかなローズピンクで、小ぶりだよ。そこもクレアにそっくり。耳の形は団長に似てるって本人は言ってるけど、そんな気がするって程度かな」
ゼノアは微笑みを浮かべてうんうんと頷きながら、二人の説明を聞いていた。私はゼノアの手に自らの手を重ねた。
「そして、レティシアの瞳の色は、私とゼノの色を混ぜたような色なのよ。光の加減では焦茶色にも見えるけど、部屋の中ではゼノアと同じ黒なの。ゼノアと同じで、大きくて、丸くてとっても綺麗な瞳」
「……そうか。嬉しいな……」
ゼノアは少し寂しそうに……でも、とても嬉しそうに笑った。
1
お気に入りに追加
911
あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

抱かれたい騎士No.1と抱かれたく無い騎士No.1に溺愛されてます。どうすればいいでしょうか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ヴァンクリーフ騎士団には見目麗しい抱かれたい男No.1と、絶対零度の鋭い視線を持つ抱かれたく無い男No.1いる。
そんな騎士団の寮の厨房で働くジュリアは何故かその2人のお世話係に任命されてしまう。どうして!?
貧乏男爵令嬢ですが、家の借金返済の為に、頑張って働きますっ!
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる