呪われ侍女の逆後宮

はるみさ

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14.姉

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 ルゥ君は、ローションを再び私のお尻の穴に垂らしたようだった。それが蜜口の方まで流れてきて、ジンジンと疼く。

 「……っ♡ルゥくん……♡」

 「もうこれじゃあお仕置きにならないじゃん。
 クレアってば期待して、もう穴をヒクヒクさせてるし」

 にゅっ……

 ルゥ君の指がほんの少し私のお尻の穴に差し込まれる。

 「はぁ……っ」

 「痛くない?」

 「ん……っ♡だい、じょぶ……」

 「ふふっ……気持ちいいくせに」

 ルゥ君がお見通しとばかりに笑う。

 気持ち良いとは言い切れないものの、この変な感じが快感の芽なのかも……と、私は感じていた。それを見破られたことが恥ずかしくて、口を噤む。

 「僕に嘘なんてついても無駄なのに」

 ルゥ君は、浅いところで指を止めて、少しずつ穴を広げるようにぐるーっと指をゆっくりと動かす。

 「……ん、ふぅ♡」

 「いいね。じゃあ、もう少し奥に入れるよ……」

 ルゥ君の指は、ゆっくりゆっくり私のお尻の穴を広げながら、奥に進んでいった。奥に進むたびに媚薬がどんどんと染み渡っていくようで、痒さにも似た疼きが私を襲う。もっと激しく擦ってくれたら、もっともっと気持ち良くなれるのに……

 「はぁ……ん♡あぅ♡ルゥくん……♡」

 「ふふっ、良さそうだね。指が全部入ったよ……♡」

 そう言いながら、ルゥ君が小刻みに挿れた指を前後に揺らしたり、中でクルクルと回したりして、穴に馴染ませていく。

 「あっ……♡ふっ……はあっ♡」

 「お尻で感じてんの、かわいい♡ここもビンビンだね♡」

 ルゥ君がそう言って、秘芽を弾く。

 「あぁーっ♡♡」

 私はいとも簡単にイった。お尻にルゥ君の指を挿れたまま。

 「うわっ、締め付けやば。あんだけでイったの? 敏感すぎ」

 ルゥ君がクスクスと笑う。
 でも、私の身体はそれどころじゃなかった。

 イったのに、ルゥ君がお尻の中を刺激し続けるせいで、気持ち良さが身体から抜けきらないのだ。もう、お尻の穴で快感を感じていることは、否定しようのない事実だった。

 「ぐすっ……ルゥくんっ♡ルゥくん……っ♡」

 私はただ自分の身体がどうなってしまうのか恐ろしくて、縋るようにルゥ君の名前を呼んだ。怖くて、気持ちよくて、私はいつの間にか泣いていた。

 「あー……駄目だ。クレアが可愛くて我慢できない。
 そんな誘うようにお尻振って、ずるいな」

 後ろを振り返るとルゥ君が陰茎を取り出しているのが見えた。私は期待で愛液を垂らす。

 「ルゥくん♡挿れて、いれてぇ♡♡」

 「わかってる……でも、どっちがいい? こっちと……」

 ルゥ君の陰茎が私の蜜口に添えられる。が、ゆっくりと割れ目をなぞりながら、上へ移動した。

 「それとも、こっち♡」

 陰茎の先がピタッとお尻の穴にはまる。

 私はとにかく奥を擦って気持ちよくなりたかった。
 ルゥくんに思いきり犯してもらうことしか考えられない。

 「そのまま! そのまま奥まで突っ込んでぇ♡♡」

 「じゃあ、こっちの処女もらっちゃお!」

 ズププ……

 ルゥ君は陰茎をお尻の穴に突き刺した。
 そんなに奥までは挿れられてはいないのに、指とは比べ物にならない太さに、ぐっと内臓が圧迫されたように苦しくなる。

 「は……っ、きつ。クレア、力抜いて」

 「む、むりぃ……」

 苦しい……でも、中に入ってくるルゥ君の陰茎が熱くて、それが身体を熱くした。

 「じゃあ、こっちも」

 ルゥ君は蜜口に指を突き刺した。お尻に入れた陰茎は馴染ませるように少しずつ進み、指は私の弱いところを刺激していく。

 「あっ♡んぅ……♡」

 快感が高まれば高まるほど……物足りなくなってくる。
 もっと激しく求められたい……

 その時、ぐっとルゥ君が腰を押し付けるのがわかった。

 「全部、呑み込めたよ、クレア。えらいね」

 ルゥ君が後ろから抱きしめてくれる。
 苦しくて、気持ちよくて、嬉しくて、私の目尻からは涙が溢れる。

 「動くよ……」

 ルゥ君はゆっくりと腰を振り始めた。
 引き抜かれる度にゾクゾクするような快感が身体を支配していく。

 ジュブ……ジュブ……

 気付けば、私の身体はお尻の穴でも強い快感を拾っていた。
 それがわかるとルゥ君は遠慮なく腰を振り始める。

 「あっ♡♡んあっ♡♡おしりっ、あ、いいっ♡♡」

 「あー、僕も。やっぱクレアには素質があるね、最高」

 ふいに、ルゥ君が秘芽をギュッと摘んだ。

 「あ゛ぁー♡♡」

 ビリビリと全身に強い快感が広がり、イってしまう。

 「うわっ……超締まる……っ」

 ルゥ君の抽送がより早くなる。
 イったばかりの私は、喘ぐことしか出来ない。

 腰に広がった快感は、だんだんと大きくなり背筋を登ってーー

 「ひっ♡あっ♡あぁーっ♡♡♡」

 「……っ!」

 ビュルッ……ビューっ。

 ……私たちは同時にイった。

 最後の一滴までしっかりと私の穴に注ぎ込んだ後、陰茎が抜かれる。背後でフフッと楽しそうに笑う声が聞こえる。

 「クレアのお尻、ぱっくり穴開いちゃってて、かわいい。
 でも、全然お仕置きになんなかったなー」

 そう口では言うが、ルゥ君は私の頭を撫で、優しく労ってくれる。結局のところ、彼も優しいのだ。

 それにしてもすごかった……お尻であんなによがってしまうなんて……。私はまだビリビリと快感が残る身体を少しでも休めようと目を閉じ、ベッドに倒れ込む。

 ルゥ君はベッドを降りたようだった。普段ならこのままあと数回は貪られるのだが、今日は初めての経験をした私を気遣ってくれているのだろうか……

 優しいな……なんて、気を抜いたのが良くなかった。

 少し離れたところで、カサっと音がした。
 まずいっ!! ……そう思って振り返った時にはもう遅かった。

 ルゥ君は険しい表情で、手紙を見つめていた。
 私はその雰囲気にスッと背筋が冷え、シーツをギュッと身体に抱いた。

 「ルゥ君……っ、それはーー」

 「こういう手紙はいつから?」

 「えっと……その……」

 「クレア」

 誤魔化すことなんて許さないとばかりに、ルゥ君は厳しい視線を私に送る。……その雰囲気はとても十四歳だなんて思えなかった。

 「数日前から……」

 「なんで僕たちに話さなかったの?」

 「そ、それは……」

 「そんなに僕は頼りない?」

 クシャッとルゥ君が手紙を握り締める。
 ……悔しさの滲むその声に胸が掴まれたように切なくなる。

 「違うっ! 頼りなくなんてない!!」

 「じゃあ、なんで話してくれなかったの?」

 ルゥ君はとても悲しそうな顔で私に問う。
 そんな顔、させたかったわけじゃないのにーー

 「……みんなに心配かけたくなかった。
 別に危害を与えられるわけじゃないし、私が我慢すれば済む話だと思ったのよ」

 「危害なら与えられてるだろ?! これは立派な言葉の刃だよ!
 クレアだって傷ついたはずだ!」

 「私、傷ついてなんか……」

 「だからっ!! なんでそうやって強がるんだよ?!」

 ルゥ君が声を荒げる。……こんなルゥ君、見たことない。

 「……クレア。僕だけじゃない。団長も、ゼノアさんも、君の力になりたいと思ってる。わかってるだろう?」

  ルゥ君は優しく……それでいてどこか寂しそうな視線を私に送った。彼が私のことをどれだけ大切に想ってくれているかが伝わってくるようだった。

 でも、私はーー

 「……怖いの」

 「怖い?」

 眉間に皺を寄せたルゥ君が聞き返す。
 私は自分の気持ちを確認するようにゆっくり……話した。

 「三人が私のことを優しく見つめてくれる度、嬉しくて舞い上がりそうになる。でも、同時に三人の優しさに慣れるのが怖い……。
 三人は私の呪いに巻き込まれてるだけで、いつでも私から離れられる。いつかは私から離れていくんだ……と思ったら、三人の好意に甘えるなんて恐ろしかった」

 「クレア。僕らは誰一人、君から離れたりーー」

 「それも困るのっ!!

 ……三人とも本当に優しくて素敵な人だからこそ、私への同情で人生を棒に振ってなんかほしくない!!……そんなの、いや」

 「同情なんかじゃない。同情でそばにいるほど、僕は優しい人間じゃない。僕は僕のために、クレアのそばにいたいだけだ」

 ルゥ君はベッドに戻ってくると、シーツの上から私を抱きしめる。その温かさに泣きたくなる。

 「……私、ルゥ君のために出来ることなんて何もない」

 「何かをしてほしいわけじゃない。クレアは好きなように生きたらいい」

 「そんな……っ、私もらってばっかりじゃーー」

 思わず振り返ると予想以上にルゥ君の顔が近くて、心臓が跳ねる。キラキラと輝くその緑色の瞳いっぱいに私を映して、ルゥ君は言った。

 「じゃあ、僕を愛してよ」

 「…………それは、できない」

 「そうかな? もうクレアは好きだと思うな、僕のこと」

 「ーーっ!!」

 何も言えなかった。身体がドクドクと落ち着かない。
 そんな私を安心させるかのように、ルゥ君は優しく言った。

 「大丈夫、もちろん僕だけじゃないのもわかってる。でも、それでもいいんだ。じゃないとクレアは生きていけないわけだし。
 クレアを生かしてくれてると思えば、団長とゼノアへの気持ちも僕は許容できるよ」

 「……ごめん」

 「まぁ、今日のおかげでみんなで楽しめるようにもなったしね♪」

 そう言うと、ルゥ君は可愛くウインクを投げてきた。少ししてお尻での行為を指していると気付き、顔がカァッと火照る。
 ……み、みんなでやるなんて、信じられない!!

 「ルゥ君っ!!」

 私が声を荒げると、ルゥ君は嬉しそうに顔を綻ばせる。

 「ふふっ。いつものクレアだ。
 そうやってクレアは自分の感情に素直に生きて、僕たちにただ愛されてたらいい。この前の団長の元婚約者の件も、この手紙のことも、全ては僕たちの問題だ。クレアが気に病むことなんて何もない。
 団長も婚約者との件を解決しに帰ってるし、この手紙もなんとかする。全て上手くいくよ」

 「なんとかするって……誰が出したものかわかるの?」

 「あぁ、手紙を出したのは、おそらく僕の姉だろう」

 「まさか……」

 困ったように笑ったルゥ君は、私をベッドに倒した。二人で並んで寝転び、ぎゅっと強く手を握られる。
 ルゥ君は仰向けで天井を見つめながら、話し出す。

 「……私生児の僕は幼い頃、公爵家に引き取られた。その時にはすでに公爵家には僕より八歳上の双子の姉がいた。最初は良かったんだ。姉は弟ができたことを喜んで、僕に愛してると言った。
 贅沢な暮らしに、優しい二人の姉……義母からの視線は冷たかったけれど、それにさえ耐えれば良かった」

 ルゥ君は、うっすらと笑みを浮かべているが、話す横顔はなんだか苦しそうだ。

 「しかし、僕が成長するにつれ、姉たちは僕に悪戯をするようになった。最初は軽いキスから始まったはずのその悪戯もどんどんエスカレートしていった。どれだけ嫌がって泣いてやめてと訴えても……あいつらは嬉々として僕の身体を弄った。
 そして、いつからか僕を性欲処理の道具として使うようになったんだ。それを断れば、あいつらは僕の大事なものを容赦なく壊した。鞭で叩かれ、食事を抜かれ、言うことを聞くようになるまで、真っ暗な部屋に閉じ込めた。
 そのうち、僕は思考を停止させて、ただ姉に奉仕するようになったんだ」

 「……そんな」

 血の繋がった幼い弟に暴行するなんて……

 「姉たちを抱く度に吐き気がした。そして、そのうち僕はそのストレスを発散させるように他の女性を抱くようになった。可愛いふりして甘えればたいていの人はヤらせてくれたから。あいつらにはぶつけられないストレスをその人たちを激しく抱くことで解消していた……最低だけどね」

 女性のことを考えると「そんなことない」とは言えなかった。
 でも、ルゥ君の心を守るには必要なことだったのかもしれないと思った。

 「そんな時、この話をもらって、正直有難いな……と思った。僕のストレス解消もできて、その人のためにもなるなんて、最高だってね。最初はただ利用させてもらうつもりだったんだ……」

 ルゥ君がコロリと身体の向きを変え、私を見つめる。

 「でも、クレアはどこまでも純粋で、可愛くて。こんな僕のこともちゃんと見てくれた。

 僕、いつも可愛いって言われて、それが自分だと思ってたし、そうあるべきだとも思ってた。だから、この前クレアが『かっこいい』って言ってくれて、本当にびっくりしたんだ。僕にそんなこと言う人は初めてだったから。

 でも、その時、気付いたんだ。いつまで僕はアイツらの好きな『可愛いルゥシャ』を演じてるんだろうって。本当の自分をちゃんと見てくれてる人もいるのにって」

 「ルゥ君……」

 「僕、騎士になってからも姉に呼び出されれば、すぐに出向いて、奉仕してたんだ。でも、もう止めた。

 僕は私生児だし、公爵家にとっていてもいなくても良い存在なんだ。後妻が産んだ弟もいる。もう騎士としてやっていけることがわかったんだから、公爵家に固執する必要なんてなかった。でも、姉に尽くすことが当然だと思い込んでいたから、そんなことにも気づけなかった。
 でも、クレアが好きだって思ったら、クレアしか抱きたくないって思った。もう指一本あいつらになんて触りたくない」

 「そう……だったんだ」

 「クレアのそばにいるのは、僕の意思だ。きっかけは呪いのための行為だったけど、今はそんなの関係ない。僕がクレアのそばにいたいんだ」

 「…………いいの、かな? そばにいてほしいって思っても」

 「もちろん。クレア……ちゃんと言って」

 ルゥ君の指が私の頬を滑る。
 蕩けそうなその瞳で、私に懇願する。

 「ルゥ君……そばに、いて」

 「ありがとう」

 そう言って笑うルゥ君は、今までで一番可愛い顔をしていた。

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